闇のカードが手元にあるが、私は平凡な人生を送りたい。   作:瑠璃色砂糖月

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2話 VS 石腕のゴズ

『承認。プレイヤーA・石腕のゴズ』

『承認。プレイヤーB・禁忌のヤミィ』

『プレイヤーが揃いました』

『山札に規定枚数のカードを確認しました』

 

『ジャッジシステムを起動。これより試合を開始します』

 

『ボイドよりライフ並びにリザーブにコアをチャージ』

『両者、山札の上から4枚手札を引いてください』

 

 対戦卓(バトル・ボード)から流れてくる指示に従って、山札から最初の手札として4枚引く。

 引いた手札に目を通せば、思った通り、彼女のデッキだった。

 

 手札の内容は。

 【冥府の黒羊 ラムネーロ】。

 【時計職人の速業(クロックワーカー・テクニック)】。

 【冥府の影法師 シャドール】。

 【十三時を告げる時計塔】。

 

 まあ、そこまで悪くはない。

 むしろ、結構いいかもしれない。

 

『先攻が決まりました』

『プレイヤーA・石腕のゴズ、ターンを開始してください』

 

 AIの言葉に、ゴズさんはニィと口の端を吊り上げて歯を剥き出しにした。

 

 ……どうして黄ばんだ歯って、こう、汚いなとか、キモいって思うんだろう。

 カードに精神を蝕まれていたとしてもちゃんと歯磨きくらいした方がいいよ?

 

「俺のターンスタート。コアスキップ。ドロー。……【ガラスリザード】と【地脈の幼獣 パイルビースト】を召喚する」

 

 ー ガラスリザード

   BP 1000

 

 ー 地脈の幼獣 パイルビースト

   BP 3000

 

 対戦卓上の小さな戦場(バトルフィールド)にガラスでできた蜥蜴(トカゲ)と幼いトリケラトプスのような恐竜が現れる。

 

「【ガラスリザード】と【パイルビースト】の召喚時効果発動。まずは【ガラスリザード】。ボイドからコア1つをリザーブに置く」

 

 ガラスの蜥蜴が地面から赤いコアを掘り当てる。それを咥えると、リザーブへと持っていった。

 可愛い。

 

「次に【パイルビースト】。自分の山札の上から3枚オープンする。その中に系統『地竜』を持つカード1枚を手札に加えて、残りは墓地に置く」

 

 小さなトリケラトプスが庇護欲をそそる甲高い鳴き声をあげる。

 その瞬間、自動で相手の山札の上から3枚、ゴズさんにだけ見えるようにオープンされる。

 ゴズさんがその中の1枚を手に取ると、残りの2枚は墓地へと移動した。

 

「そして、スペル【命懸けの錬命術(ライフ・トレード)】を使用する。フィールドに存在するモンスター1体を破壊することで、自分のバトルボードにあるコアと同じ数のコアを、ボイドからリザーブに置く。このとき、コアの色は自分が指定できる。破壊するのは【ガラスリザード】、色は全て赤だ」

 

 アッなんかやっべぇことしてるぅ……。

 そのコアブーストカード、本来そのデッキに組み込まれてないでしょ。黒枠だし……。

 

 思わず目が死んだ魚みたいになった。

 相手が使用しているデッキは赤シンボルの“地竜”デッキ。

 これはカードの効果で山札を展開して欲しいカードを手に入れたり、条件を揃えて高いコストを踏み倒して相手を蹂躙する、みたいな……まあまあオーソドックスなテーマのデッキだったはず。

 

 だけど、ゴズさんが使用した【命懸けの錬命術(ライフ・トレード)】。

 

 これはカードの枠が黒で、いわゆる“闇のカード”と呼ばれている公式戦で使用が禁止されているヤバいカードである。

 なにせこのカード、持っているだけで精神が崩れていき、使用するたびにカードから呪われて不幸な目に遭うのだ。危険すぎて世間では発見次第通報しなければならないとされている。

 ただ、害を与える分、その性能はぶっ壊れており、理不尽な効果を持つカードばかりである。

 まあ、所持するだけでカードポリスから捕まるし、公式の対戦卓(バトル・ボード)に闇のカードを含んだデッキを置くだけで通報が行くから、使う者はほとんどいない。

 なお、“いない”と断言できないのは、こういう地下施設などで使われていることがあるからである。ここの対戦卓(バトル・ボード)はそういう警備システムが組み込まれていないので、好きなカードを使うことができる。

 

 と、脳内で考えている間に、【ガラスリザード】が破壊されて墓地に送られ、相手のリザーブにコアが置かれていく。

 最初のターンだから4個。それに【ガラスリザード】がコア1個を追加したから、5個。それに加えてライフコアも対象となるので、合計で10個の赤いコアがリザーブに置かれた。

 いや本当にそれはキツいな。コスト2で使っていいカードじゃない。

 

 相手の展開(ターン)は、まだ終わらない。

 

「更に、【突撃地獣 トリケラロード】を召喚。【トリケラロード】の召喚時効果発動。自分は山札から2枚ドロー。更に、系統『幼獣』のモンスターがフィールドに存在している場合、相手はこのターンの間、手札からスペルカードを使用できない」

 

 ー 突撃地獣 トリケラロード

   BP 6000

 

 相手のバトルフィールドに鼻の角が立派な四足怪獣が現れた。

 【パイルビースト】がピョンピョンしながら喜んでいる。

 可愛い。

 

「そして」

 

 相手の口の端が裂けんばかりに吊り上がった。

 血走った目に喜色が混じる。

 

「このカードは自分の墓地にカードが3枚以上ある時、コスト6として扱う!」

 

 うわ、最初のターンで来るのかぁ……。

 

「大地を鳴らし、平地を割り、その剛腕で全てを粉砕しろ! 【石腕巨神 ギガノトス】召喚!!」

 

 バトルフィールドがひび割れ、地鳴りと共に割れた底から現れたのは、巨大なゴーレム。全身が苔むしており、土埃がパラパラと関節から落ちていく。

 

 ― 石腕巨神 ギガノトス

   BP 18000

 

 先程のバトルで“浸水のミカミ”を蹂躙した、“石腕のゴズ”のエースである。

 というか初手からエースは出せんよ。普通。

 

「【石腕巨神 ギガノトス】の召喚時効果発動! 相手のフィールドに存在する疲労状態のモンスターを3体まで破壊する。更に、相手のライフを1つトラッシュに置く!」

 

 私のバトルフィールドにモンスターはいないため、モンスターの破壊はない。

 だが、ライフが1つ削られた。

 

 ― 禁忌のヤミィ ライフ:5 → 4

 

 【トリケラロード】の召喚時効果で、私は手札のスペルカードを使用できない。

 まあ、スペルカードを使うつもりはないから、問題はない。

 

「最初の(ファースト)ターンだから、アタックフェイズはスキップ。ターンエンドだ」

 

 最初の(ファースト)ターンだから助かった。が、すでに相手のフィールドには3体。そのうち1体はエース。ライフも1つ削られたし、相手には15個のコアがある。

 このターンで決めないと結構キツいかもしれない。

 

「私のターン。スタートフェイズ。このときに、手札から【冥府の影法師 シャドール】の効果発動。お互いの手札の合計枚数が10枚未満のとき、自分の手札にあるこのカードを破棄することで、自分と相手は山札からそれぞれ1枚ドローする。ただし、この効果はターンに1回しか使えない」

 

 私の手札は4枚。ゴズさんの手札は3枚。合計7枚。条件である“お互いの手札の合計枚数が10枚未満”はクリアしている。

 私は【シャドール】を墓地に捨てて、山札から1枚ドローした。

 ゴズさんも山札から1枚ドローする。

 

 引いたのは【破刻の長針 ポインテッド】。

 いいね。

 

「コアフェイズ、ドローフェイズ、リフレッシュフェイズ」

 

 私のリザーブにコアが1つ増えて、山札から1枚ドロー。そして、トラッシュに置かれたコアがリザーブへと移動した。

 山札からドローして、手札に加わったのは【冥府の巨神 タルタロス】。

 

「メインフェイズ。スペル【時計職人の速業(クロックワーカー・テクニック)】を使用。このカードは自分のフィールドにモンスターが存在しないとき、コストを支払わずに使用できる」

 

 手札からスペルカードを使用する。

 初手で来ると大変使い勝手の良いカードである。

 

「条件クリア。山札から3枚ドロー。さらに、このターンの間、相手の手札と山札にあるコスト4以下のカードすべては、コストがプラス3される」

 

 3枚ドロー。

 引いたのは、【破刻の懐中時計 ティクタック】、【時間の逆理(クロノ・パラドックス)】、【冥府の骸獣 ヘル・シェデル】。

 

「【冥府の黒羊 ラムネーロ】。このカードは、自分の1ターン目であれば、好きなフェイズでコストを支払わずに召喚できる。条件をクリアしているので召喚」

 

 私のフィールドに靄のような黒毛を纏った羊が現れる。

 

 ― 冥府の黒羊 ラムネーロ

   BP 3000

 

「【冥府の黒羊 ラムネーロ】の召喚時効果発動。山札から3枚ドローし、手札を2枚破棄する」

 

 羊が天を仰ぐように鳴けば、山札の上からカード3枚が浮き上がり、私の手札に加わった。

 新たに加わったのは【冥府の渡し守 カロン】、【冥府の残響(ネザー・リフレイン)】、【破刻の歯車 カカチココチ】。

 

 さらに。

 

「そのあと、相手の山札の上から5枚をゲームから除外する」

 

 ここまでが【ラムネーロ】の召喚時効果。

 最初から手札に来ていればかなり心強いカードだ。

 

 私のテキスト説明に、ゴズさんは眉を寄せた。

 

「除外(・・)だと……? 墓地に破棄(・・)ではなく?」

「はい」

 

 ゴズさんの問いかけに頷いた。

 カードの説明文にはそう書いてあるし、私の使うデッキにはこれが得意なカードが多い。

 

「一応説明しておくと、除外したカードはこのゲーム中使用できません。つまり、ゲームアウトします」

「……!」

 

 除外(ゲームアウト)。

 

 このデッキはそれが得意なカードが詰め込まれている。

 元々のコンセプトは“デッキ破壊(ライブラリアウト)”なんだけどね。まあ、カードが墓地じゃなくてゲームに復帰できない場所に行くってだけでコンセプトに嘘偽りはない。

 これからちゃんと削っていく心算です。

 

 説明が終わった瞬間、相手の山札から5枚のカードが吹き飛んだ。着地したのは墓地ではなく、ボイド……つまり、バトルボードの外である。

 そこは基本的にプレイヤーが干渉できない場所であり、そこに行ってしまったカードはこのゲームに参加することはできない。

 

 私は展開(ゲーム)を進める。

 

「手札から破棄するのは【冥府の骸獣 ヘル・シェデル】と【破刻の歯車 カカチココチ】。そして、【破刻の歯車 カカチココチ】の効果発動。このカードが墓地に置かれたとき、自分の墓地からこのカード以外のカード1枚を手札に戻す。戻すのは【冥府の影法師 シャドール】」

 

 【ラムネーロ】の効果で【ヘル・シェデル】と【カカチココチ】を墓地に捨てて、【カカチココチ】の効果で【シャドール】を手札に加える。

 これで、私の手札は8枚。相手は4枚。

 コアはまだ使用してないので、6個のまま。

 ……うん。まずまずか。

 

「さて……じゃあ、始めますか」

 

 私の呟いた言葉に、相手がピリつくのを感じた。

 私は山札に手を翳す。

 

「このカードはお互いのターンの好きなフェイズで、自分と相手の手札の合計枚数が10枚以上の場合、かつ、このカードが手札または山札にあるなら、コストを支払わずに召喚できる」

 

 頭の中で、クスクスと嗤う女性の声が響いた。

 早く、速く、と囁かれている。

 

「刻(とき)は砕かれ、世界は逆巻きに蠢き出す。遥か地の底から這い上がり来たれ! 【刻逆の冥主 クロノ・エレシュガル・ミザリィ】召喚!!」

 

 フィールドが歪む。

 ブラックホールのような歪みが生じて、そこから青白い生足が生えた。履いているハイヒールには青薔薇が咲いている。

 現れたのは麗しい青の貴婦人。

 体に張りついたような藍色のドレス。深いスリットから見える生足の肌は青色。

 顔から頭部にかけて様々な種類の青色の花で隠れており、肌はつるりとしており文字通り青白い。唯一見える厚めの唇には色鮮やかに発色している真っ青なルージュが塗られていて、美しい微笑みを浮かべている。

 手に持つ錫杖には、彼女が統べる冥府にしか咲かないという青い冥華が飾られている。

 

 ― 刻逆の冥主 クロノ・エレシュガル・ミザリィ

   BP 12000

 

 山札から召喚した場合、山札はシャッフルされる。

 それを見ながら、私は言葉を続けた。

 

「【刻逆の冥主 クロノ・エレシュガル・ミザリィ】の召喚時効果発動! お互いの手札を比べて、枚数が多いプレイヤーの手札1枚につき、相手の山札の上から3枚をゲームから除外する!」

「……は!?」

「私の手札は8枚、あなたの手札は4枚なので、私の手札を参照する。よって、24枚を除外!」

 

 【ミザリィ】が指を鳴らせば、相手の山札がバラけて宙にぶちまけられた。

 そして、凄まじい勢いでボイドへと置かれていく。

 

 ……おや。

 デッキ枚数が40枚にしては、まだ結構分厚く残ってるな。

 えー、と……?

 手札に4枚。バトルフィールドに3枚。墓地に4枚。除外されたのが29枚。

 だから……合計40枚、山札から消費している。公式戦ならこれで終わり。……なのだが、非公式なバトルならデッキの規定枚数は40~60枚と幅広く、また60枚以上のデッキを組むプレイヤーはいない。そういうやつは「プレイヤーの風上にも置けないやつめ!」とブーイングで袋叩きにされる。

 つまり、あと最大で20枚削ればライブラリアウトで私の勝ち。

 まあ、削りきれなくともどうにかなるでしょ。

 

「グランド【十三時を告げる時計塔】。このカードはフィールドに存在する系統『冥府』または『破刻』のカード1枚を破壊することで、コストを支払わずに配置できる。【冥府の黒羊 ラムネーロ】を破壊することで条件クリア。【十三時を告げる時計塔】を配置」

 

 黒羊が靄の姿になり墓地へと吸い込まれていく中で、私のフィールドには時計塔が聳(そび)え立った。

 組み込まれた時計の針は反時計回りで動いている。塔を成立させている内部構造は、歪んだ歯車がいくつも噛み合い、軋んだ音を鳴らしており、今にも崩れそうな危うさがあった。

 

「【十三時を告げる時計塔】は、系統『冥府』または『破刻』を持つモンスターのコストをマイナス1する。さらに、系統『冥府』または『破刻』を持つモンスターが召喚されたとき、相手の墓地にあるカード3枚をゲームから除外する。もしカードが墓地になければ手札から、手札がなければ山札から除外していく効果を持つ」

 

 相手の顔色が変わった。

 そうだよね。使っててあれだけど、このカードエグいよね。分かる。でも使う。強いから。

 

「手札から【冥府の影法師 シャドール】、【冥府の渡し守 カロン】、さらに【破刻の長針 ポインテッド】を召喚」

 

 フィールド上にモンスターが3体現れる。

 うつろう黒い陽炎のような、小さな影法師。

 今にも壊れそうな古びた木の舟に乗った、外套に身を包んだ異形。

 時計の長針を擬人化させて紳士服を着せたような、縦に細長い機械仕掛けのからくり人形。

 

 ー 冥府の影法師 シャドール

   BP 2000

 

 ー 冥府の渡し守 カロン

   BP 5000

 

 ー 破刻の長針 ポインテッド

   BP 2000

 

 【十三時を告げる時計塔(グランドカード)】の効果が発動する。

 時計塔から鐘の音が鳴り響けば、相手の墓地からカードがすべてボイドにすっ飛んでいき、手札もすべて除外され、山札が1枚だけ削れた。

 

「【破刻の長針 ポインテッド】の召喚時効果発動。山札から2枚ドローして、そのあと、手札を1枚破棄する」

 

 引いたのは、【破刻の短針 ショーテッド】と【冥府の黒猫 ネグロ】。

 うーん、念のために【新品の予備歯車(はぐるま)】が欲しかったが、しょうがない。【ショーテッド】がいるからどうにかなるか。

 

「【時間の逆理(クロノ・パラドックス)】を破棄。そしてこのとき、【冥府の巨神 タルタロス】の効果が発動する。このカードは、自分のカードの効果によって自分の山札もしくは手札からカードが破棄されるとき、このカードも一緒に破棄できる。よって、【タルタロス】も破棄」

 

 手札から【時間の逆理(クロノ・パラドックス)】と【タルタロス】を墓地に捨てる。

 

「手札を破棄したことで、【冥府の渡し守 カロン】の効果発動。このモンスターがフィールドに存在するかぎり、自分がカードの効果で手札を破棄したとき、破棄する手札1枚につき、相手の山札の上からカード3枚をゲームから除外する」

「ちょ、ちょっと待て」

「手札を2枚破棄したので、6枚除外」

 

 【カロン】が両手で持つ1本の櫂(かい)を振るった。その風圧が届いたように、山札から6枚のカードがボイドへと吹き飛んでいく。

 あと13枚。

 

「そして、今引いた【冥府の黒猫 ネグロ】と【破刻の短針 ショーテッド】を召喚」

 

 ー 冥府の黒猫 ネグロ

   BP 2000

 

 ー 破刻の短針 ショーテッド

   BP 2000

 

 さらに、フィールドにモンスター登場。

 目が金色に輝く黒猫が、ミザリィの足に頭を擦り付けて可愛らしく鳴いた。

 時計の短針を擬人化させて紳士服を着せたような、小柄で横に太い機械仕掛けのからくり人形。それが、ポインテッドとハイタッチをしている。

 

 【ネグロ】と【ショーテッド】の召喚を祝福するように、【時計塔】が鐘を鳴らす。

 相手の山札がゴリゴリと削れていく。

 残り7枚。

 

「【破刻の短針 ショーテッド】の召喚時効果発動。墓地からカード2枚を選んで手札に戻し、そのあと、自分の手札1枚を破棄する。私は墓地から【冥府の黒羊 ラムネーロ】と【破刻の歯車 カカチココチ】を手札に加える」

 

 そう言いながら墓地に手を翳すと、墓地からカードが2枚飛び出してきた。それをキャッチして、手札に加える。

 

「代わりに【冥府の残響(ネザー・リフレイン)】を破棄。手札を破棄したので、【カロン】の効果で山札からカードを3枚除外。……で」

 

 【カロン】が再び櫂を振るって、山札を吹き飛ばす。

 それを見届けたあと、私は顔をゴズさんに向けた。

 真っ青な顔から冷や汗を垂らして、倒れないようにするためか体が前後左右に揺れている彼に、問いかけた。

 

「山札、まだあります?」

『プレイヤーA・石腕のゴズの山札は残り4枚です』

 

 返事は対戦卓(バトル・ボード)のAIがしてくれた。

 私は苦笑しながら、手札に戻ってきた【ラムネーロ】を再度フィールドに召喚する。

 召喚に反応した【十三時を告げる時計塔(グランドカード)】が、また山札を3枚吹き飛ばす。

 【ラムネーロ】の効果により、私は山札から3枚ドローして、手札を2枚破棄した。

 この破棄に反応した【カロン】がまた山札を吹き飛ばす。これで相手の山札は0枚となり、ライブラリアウトした。

 

 ここで私はターンを終えて、相手にターンを返す。

 なぜ返したかというと、ライブラリアウトによる勝利は、相手のスタートフェイズ時に山札の枚数が0のときだからである。

 

『プレイヤーA・石腕のゴズのライブラリアウトを確認。よって、勝者はプレイヤーB・禁忌のヤミィ』

 

 これで私の勝ち。やったね。

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