闇のカードが手元にあるが、私は平凡な人生を送りたい。 作:瑠璃色砂糖月
カードポリスが扱うデッキは予想がつく。
王道、攻撃と破壊の赤デッキ。
耐久、回復と
高速、疲労とコア
大体この3色のどれかのデッキを持つプレイヤーが多い印象がある。
まあもちろん、これ以外のデッキを持つカードポリスはいるから一概には言えないが。
まあでも、どのデッキでも言えることが1つある。
正義の味方が使うモンスターは大体
少なくとも、私がカードポリス相手に使うデッキと比べれば、軒並みBPが高いモンスターばかりである。
「私のターン。スタートフェイズ、コアスキップ、ドローフェイズ、リフレッシュスキップ」
山札から1枚ドロー。
手札内容は。
【
【
【
【レボリューション・ゼロ】。
【錆びついた老騎士 ガルバン】。
うーん……まあ、いけるか? 少なくとも2ターンは凌げる。
相手の出方次第なところはあるけど。
「メインフェイズ。【
私のフィールドにおもちゃの槍を持った小さなブリキ兵が現れた。
「召喚時効果はあるが、相手のフィールドのモンスターを除外する、という効果なので、今回はスキップ。そして、【錆びついた老騎士 ガルバン】を召喚」
さらに、フィールドに錆だらけの甲冑を着た、老いた人形騎士が現れた。杖代わりにしているのは折れた大剣である。
ー
BP 2000
ー 錆びついた老騎士 ガルバン
BP 4000
「アタックスキップでターンエンド」
「では、私のターンですね。スタートフェイズ」
相手のターンが開始する。
御加瀬さんは順調にターンを行う。
リザーブにコアが増えて、山札から1枚ドローする。
「リフレッシュスキップで……メインフェイズ! 手札から【スカイホーク・スカウト】を召喚!」
相手のフィールドにどこからともなく鳥が1体現れた。ホーク、って……鷹だっけか。
ー スカイホーク・スカウト
BP 3000
頭部と胴体に甲冑を着用した鷹が、鋭い鳴き声をあげれば、御加瀬さんの山札の上から3枚が捲れた。
「【スカイホーク・スカウト】の召喚時効果発動! 自分の山札の上から3枚オープンし、その中に系統『戦鳥』を持つモンスターカード1枚、緑のグランドカード1枚があれば手札に加えることができる。残りのカードは墓地に送る!」
緑、しかも“戦鳥”の過労デッキ! とにかく疲労がエグいやつだ。
私が使っているデッキもわりとそれに似たり寄ったりなので、意外と面倒なことになるかもしれない。
「さらに、グランドカード【天空を統べる巨木の巣】を配置! このグランドカードが配置されている間、自分の系統『戦鳥』のモンスターカード並びに緑のスペルカードのコストをマイナス1する!」
相手のバトルフィールドの底が抜けて、代わりに巨木がメキメキと生えてくる。
葉が青々と繁ったその巨木の枝に鷹は留まり、己の翼を嘴でくしくしと手入れを始めた。
……意外と可愛いな、猛禽類。
「そして、場に1枚カードを場に伏せて……アタックフェイズに移行! この時、【
自分のモンスターが攻撃するたびにコアが増える……まあ、緑デッキならよくあるコアブースト効果ではある。
すごくダルい。
「【スカイホーク・スカウト】でアタック!」
【スカイホーク・スカウト】が甲高い鳴き声をあげた後、大きな翼を広げて飛翔した。
「【スカイホーク・スカウト】のアタック時効果発動! 相手のモンスター1体を選び、疲労させる! 私は【錆びついた老騎士 ガルバン】を選んで疲労状態に!」
【ガルバン】の体に緑色の光が纏わりついたと思えば、彼はため息でも吐くようにがっくりと項垂れて、地面に座り込んだ。
それを見ていたシュピアが慌ててガルバンに近づいて心配するように彼の様子を伺ったあと、私を見上げてきた。
ご老体も幼子も労らないとね。
「そのアタックはライフで受けようか」
私の目の前まで飛んできた【スカイホーク】の鋭い脚の鉤爪がギラリと輝く。
それが私の眼前に迫り……私を守るように張られた電磁バリアドームを割った。それと同時にバトルボード上のライフ1個がリザーブへ移動する。
ー 禁忌のヤミィ ライフ:5 → 4
「アタックフェイズ終了。ターンエンドです」
「私のターン。スタートフェイズ、コアフェイズ、ドローフェイズ、リフレッシュフェイズ」
リフレッシュフェイズに入れば、バトルボード上で横向きになっていた【ガルバン】のカードが縦向きになった。
それに伴い、バトルフィールド上で疲労状態になっていた【ガルバン】が折れた大剣を地面に突き立てるようにして立ち上がる。
シュピアも嬉しそうだ。
可愛い。
さて、ドローしたのは……【ギロチン・ドロップ】。
可もなく不可もなく。まあ悪くはない。
手札を増やす方法がミザリィのデッキより少ないからなぁ……中々欲しいカードは来ないもの。しょうがない。
リザーブのコアは全部で6個。さて、どうしようかな。
「メインフェイズ。場にカード1枚を伏せて……アタックフェイズに移行。【錆びついた老騎士 ガルバン】でアタック!」
バトルボード上のカードを横向きにすると、バトルフィールド上の【ガルバン】が動き出す。
よっこいせと言わんばかりに折れた大剣を肩にかけて、相手のフィールドに向かって駆け出した。
「相手のアタック時、【天空を統べる巨木の巣】の効果発動! 相手のモンスターがアタックした時、山札からカードを1枚ドロー!」
いやあのグランドまじでめんどくさいな。
「【錆びついた老騎士 ガルバン】のアタック時効果により、【ガルバン】のBPを
「……ん? え、マイナス?」
「よって、【ガルバン】のBPは1000」
御加瀬さんは虚を突かれたような顔をした。
そのあと、疑いの目を私に向ける。
「……自分のBPを下げるんですか? 相手のBPではなく?」
「はい。効果は間違っていませんよ。どうします?」
御加瀬さんは不可解そうに眉を寄せたあと、目を伏せる。
そして、目をかっ開いて声を張った。
「
ー サイレント・オウル
BP 3000
御加瀬さんの背後から滑空してきた1体の梟。それが羽ばたくと羽根が舞い散って、【シュピア】に突き刺さった。
【シュピア】はガクリと項垂れると、その場にべしょーっ、と大の字に寝転がる。
「【サイレント・オウル】の召喚時効果発動! 相手のモンスターを2体疲労状態にする!」
【サイレント・オウル】の羽根が突き刺さった【シュピア】が疲労状態になった。このターンにアタックできず、また次の相手のターンでブロックもできなくなってしまった。
「そして、【サイレント・オウル】でブロック!」
【ガルバン】と【サイレント・オウル】が敵対した。
【ガルバン】が大剣を何度も振るうが、【サイレント・オウル】には届かない。逆に大剣を振った結果、腰を痛めて体勢を崩したところで、仕留められてしまった。
【ガルバン】のカードが墓地に移動する。
うーん……このデッキを使うと子供とご老体をこき使うことになるから、どうしても……こう、ね……罪悪感がね……。
ごめんよ。
「【サイレント・オウル】のブロック時効果発動! バトル終了時、このモンスターは手札に戻すことができる!」
やべぇ、あの梟に無限ブロックされる未来が見える。
「ターンエンドで」
「では、私のターンですね。スタートフェイズ、コアフェイズ、ドローフェイズ、リフレッシュフェイズ」
御加瀬さんは淡々と、しかし生真面目にフェイズを進める。
「メインフェイズ。手札から【バレット・スパロウ】を召喚!」
ー バレット・スパロウ
BP 1000
チチチッ、チュンチュン、と日常で聞き慣れた鳴き声が空から降ってきた。そして、巨大な樹木の枝に金色の兜を装備した雀が留まる。
可愛い。
「【バレット・スパロウ】の召喚時効果発動! 自分の手札にある、カード名に『クロウ』または『レイヴン』と入ったモンスターカード1枚をコストを支払わずに召喚できる!」
効果は可愛くない。
「私は【ジェット・クロウ】を召喚!」
カアア、という鳴き声が空から降ってきて、巨大な樹木の枝に銀色の甲冑を装備した黒烏が留まる。
ー ジェット・クロウ
BP 2000
「【ジェット・クロウ】の召喚時効果! ボイドからリザーブへコア1個を置く! そして、手札にある系統『戦鳥』を持つコスト3以下のモンスターカード1枚をコストを支払わずに召喚できる! 私は【ジェット・クロウ】をもう1体召喚する!」
ー ジェット・クロウ
BP 2000
「そして、今召喚した【ジェット・クロウ】の召喚時効果により、【バレット・スパロウ】を召喚!」
ー バレット・スパロウ
BP 1000
畳み掛けてきたなぁ。
このターンで決めるつもりか?
「今召喚した【バレット・スパロウ】の召喚時効果で――」
「
それは決めさせない。
私の割り込みと同時に、バトルボードに伏せていたスペルカードがひっくり返り、私の目の前まで跳ね上がる。
それをキャッチして、印籠でも掲げるように相手に突きつけた。
「この【
バトルボードに置かれた【バレット・スパロウ】のカードが弾かれたように浮き上がり、御加瀬さんの手札に戻る。
それに伴い、枝に留まっていた2体の雀のうち、後から来た雀の姿がバトルフィールドから消えた。
「そのあと、相手のモンスター3体をゲームから除外することで、このカードをコストを支払わずに使用できる!」
「除外……、っゲームアウトか!?」
「除外するのは【バレット・スパロウ】と【ジェット・クロウ】2体!」
相手のバトルボードに置かれた【バレット・スパロウ】と2枚の【ジェット・クロウ】のカードが消滅した。
こういう仮想空間で
「【ギロチン・ドロップ】のメイン効果。山札から2枚ドロー。そして、このターンの間、自分のモンスターすべては相手のカードの効果を受けず、相手のモンスターはアタックもしくはブロックはできない」
御加瀬さんが眉を寄せる。それもそうだろう。
メインフェイズは継続できるが、実質このスペルは“相手のアタックフェイズのスキップ”を意味する。
それに加えて、自分のフィールドにいるモンスターは相手のカードの効果を受けない。まあ、こっちの効果は疲労状態のモンスターしかいない私のフィールドだとおまけみたいなものだが。
ちなみに引いたカードは【
いいカードだ。次のターンで
「……では、【バレット・スパロウ】を召喚! 召喚時効果で手札にあるカード名に『クロウ』もしくは『レイヴン』と入ったモンスターカードをコストを支払わずに召喚!」
バトルボードに置かれたのは、本来ならばコスト6を支払って召喚されるカードだった。
「これしきのことで風が止んだと思うなよ。これは全てを呑み込む嵐の前兆! 黒き翼よ、大空を覆い隠して漆黒の羽根を撒き散らせ!! 【戦嵐の主 レイヴン・ストーム】召喚!!」
黒い羽根がバトルフィールドに散り降った。
仮想空間の真っ白な天空から巨大な黒い烏が現れる。全身に傷だらけの甲冑を身につけており、数多の戦場を潜り抜けてきたことを思わせた。
ー 戦嵐の主 レイヴン・ストーム
BP 16000
ー バレット・スパロウ
BP 1000
「……これで、ターンエンドです」
相手のフィールドのモンスターはアタックできないし、カードの効果も発揮しない。
だから、召喚したのは
「私のターン。スタートフェイズ、コアフェイズ、ドローフェイズ、リフレッシュフェイズ」
ドローしたのは【
いいね。
「メインフェイズ。【
ー
BP 1000
私のバトルフィールドに、ラッパを持った小さなオモチャ兵が現れる。
【トト】が手に持つラッパの吹き口に口を当てれば、集合の号令代わりの音を鳴らした。
「【
オープンされたカードは【クーデター・レジスタンス】、【熟練の縫製士 メリュジーヌ】、【
よし。【メリュジーヌ】が来てくれた。
「私は【熟練の縫製士 メリュジーヌ】を選び、召喚」
ー 熟練の縫製士 メリュジーヌ
BP 1000
フィールドに現れたのは、赤ずきんやマッチ売りの少女のような、西洋で出てきそうなふっくらとした体格のお婆ちゃんの人形。薄汚れたワンピースドレスに身を包み、丸メガネをかけている温和な老女。
彼女がゆっくりとカーテシーを披露すれば、私の山札や墓地のカードが一斉に宙に浮いた。
「【熟練の縫製士 メリュジーヌ】の召喚時効果発動。山札、墓地、ボイドからカード3枚を選び、手札に加える。手札に加えたカードがコスト3以下のモンスターカードなら、コストを支払わずに召喚できる」
「なんだその効果……」
向こうからドン引きした声が聞こえてきた。
うるせぇお婆ちゃんだからいいんだよ。
このお婆ちゃん、アタックもブロックもできないしBPも低い。だから、その代わりに能力がえげつないだけだ。
「私は山札から【革命の幼皇 エトワール】、【
【エトワール】と【ガルバン】をバトルゾーンに置いた。
「小さき手で掲げるのは革命を表す星の旗! さあ、今こそ変革を起こすとき! 傲慢なる強者に絶対王政の終演を告げろ! 【革命の幼皇 エトワール】召喚!!」
仮想空間の天に夜の帳が降りる。
そして、夜空から落ちてきた流れ星が、私のフィールドに着弾した。
白煙を払い、現れたのは小さな男の子と見違えるほど、精巧に作られた人形だった。
白い人形だった。白い髪。白い軍服。白い肌にはヒビがあった。特に頭部には酷いヒビがあり、割れている。
見開かれた目には、大きな闇色の星が瞳孔として刻まれている。
手に持つ長い棒に巻かれた布を広げれば、それは革命を示す白い旗に変わる。旗には手書きの黄色い星が描かれていた。自分の身長よりも長い旗を地面に突き立てて、彼は戦場に佇んだ。
ー 革命の幼皇 エトワール
BP 1
ー 錆びついた老騎士 ガルバン
BP 4000
「【革命の幼皇 エトワール】の召喚時効果発動! 相手のフィールドに存在するBP3000以上のモンスターすべてをゲームから除外する!」
【エトワール】が両手で旗を持ち、相手の戦場を払うように振るった。
すると、相手のフィールドにいる【スカイホーク・スカウト】と【戦嵐の主 レイヴン・ストーム】が消滅する。
御加瀬さんは「チッ……!」と舌打ちした。うーん、あの人、慇懃無礼に見えて実は荒っぽいのかな。
「そして、【革命の幼皇 エトワール】のメインフェイズ時効果を発動。手札にある系統『革命軍』のモンスターカードを【エトワール】のカードの下に置くことができる。私は【
【エトワール】のカードの下に、【プリエ】のカードを滑り込ませる。
すると、バトルフィールド上の【エトワール】の持つ旗に、小さな星が1つ描き足された。
「グランド【小さき星々の隠れ家】。このカードは自分のフィールドに系統『革命軍』を持つモンスターが4体以上存在するとき、コストを支払わずに配置できる。条件クリア。グランド【小さき星々の隠れ家】を配置」
フィールドの彼らの背後に、手作り感満載の秘密基地のようなものが現れた。
「グランド【小さき星々の隠れ家】の常時効果。このグランドカードがフィールドに配置されているかぎり、系統『革命軍』のモンスターカードのコストをマイナス1する。そして、【
ー
BP 2000
現れたのはゼンマイ人形。背中に新品らしき大きなゼンマイを持つオモチャの兵士。彼がマジックハンドのような手をカチカチと開閉させる。
「【
墓地から浮かび上がった2枚のカードをキャッチして、【ギロチン・ドロップ】を再度場に伏せた。
「カードを1枚場に伏せる。次に【熟練の縫製士 メリュジーヌ】のメインフェイズ時効果発動。このモンスターを疲労状態にすることで、ボイドからリザーブへコア3個を置く」
【メリュジーヌ】を疲労させて、リザーブにコアを増やす。
ありがとね、お婆ちゃん。椅子にでも座ってゆっくりしててね。
「そして、スペル【
「は?」
スペルカードを使用すると、私の背後に黒い靄が現れて、実にいやらしい笑顔を形作る。靄はケタケタと嗤いながら、私のフィールドに存在するモンスターに纏わりついて吸収されていった。
シンボルを1つ追加する。
このシンボルというものは、色と数がある。カードでいうと右下に描かれている。色はコストを支払うときに必要なコアの色を、数は相手のライフを減らせる数を表す。
これはつまり、相手のライフを減らす数が1つ増えるということである。
大体のモンスターはシンボルが1つだけだが、このターンの間だけ、私のモンスターはライフを2つ削ることができる。
クソみたいな効果だよね。キレてもいいよ。
「もう1枚スペルカードを使用。スペル【レボリューション・ゼロ】、そのメイン効果。山札から2枚ドロー。さらに、色を1つ指定する。次の相手のエンドフェイズまで、お互いは指定された色のカードを合計2枚までしか使用できない。指定する色は緑」
緑単色デッキ使いであろう御加瀬さんはこちらを睨んできた。
そりゃそうだろうね。
ちなみにドローしたカードは【古岩の老巧 ジェペット】と【
【ジェペット】のカードは【エトワール】の下に置いて、と……。
「アタックフェイズ! 【錆びついた老騎士 ガルバン】でアタック! アタック時効果でBPマイナス3000、よってBP1000!」
「相手のモンスターがアタックしたので、【
「ここで【革命の幼皇 エトワール】の効果発動! 系統『革命軍』を持つ自分のモンスターがアタックしたとき、相手のフィールドに存在する最もBPが高いモンスター1体をゲームから除外する! 【バレット・スパロウ】を除外!」
【エトワール】が旗を振る。すると、空から流れ星が落ちてきて、雀に着弾。
【バレット・スパロウ】が消滅して、ゲームから除外された。
「そのアタックはライフで受けます!!」
ー 御加瀬 礼 ライフ:5 → 3
そう宣言した御加瀬さんを守るように、電磁バリアドームが張られた。
そこに【ガルバン】が折れた大剣を叩きつけてバリアを割れば、ライフコアが2つ、リザーブへ移動した。
「自分のライフ減少により
やっぱりライフ減少で発動するトラップか。しかも中々にエグい効果を持ってる。
バトルフィールドに突如出現した竜巻に【ネンジ】と【トト】、【シュピア】に【メリュジーヌ】が巻き込まれて、天高く持ち上げられながら全身をバラバラにされた。
【エトワール】と、アタックが終わってBPが4000に戻った【ガルバン】だけがそれに巻き込まれず、仲間の最後を見届けている。
……うーん、それにしてもグロい。人形でよかったと思うべきか。みんなごめんよ。ちゃんと勝つから。
「……? 何故【エトワール】が破壊されない……?」
「このとき、【革命の幼皇 エトワール】の常時効果発動。相手のカードの効果がこのモンスターを対象としたとき、このモンスターの下に置いたカード1枚を手札に戻すことで、その効果を無効にする」
「何っ!?」
「手札に【
【エトワール】の下に置いたカードが跳ね上がり、私の手札に加わる。
それに伴い、【エトワール】が持つ旗に描かれた小さな星が1つ弾けて消えた。
まあ、要は除去耐性だとか、身代わりだとか、そういう効果持ちのエースですね。
「だが、貴様のフィールドにはアタック可能なモンスターは1体だけだ! ライフを削られたとしても……!」
「特殊召喚。このモンスターは通常召喚できない。しかし、自分のモンスターが破壊されたとき、コストを支払わずに召喚できる。条件クリア。【
現れたのはデフォルメ的な爆弾を頭にして、胴体と手足を生やしたような、お粗末なオモチャの兵士。
頭から伸びる導火線をポニーテールのように地面に垂らしている。
ー
BP 1000
「特殊召喚だと……? その割りにはBPが……」
「弱いと思ってナメていると大怪我しますよ」
その結果がこの盤面だろうに。
相手が眉を寄せたところを見て、思わず鼻で笑ってしまった。
「破壊された【メリュジーヌ】と【トト】にも効果がありますが、今回はスキップで」
【ポムボーン】がいれば事足りるので。
「【
【ポムボーン】がどこからともなく爆弾を取り出すと、導火線に着火。野球選手を彷彿させるフォームでそれを投げる。
放物線を描く爆弾が巨木に落ちて見えなくなった瞬間、大爆発。山火事みたいになった。
それを見て【ポムボーン】は手を叩いてキャッキャと笑っている。
ほんとイカレてるわ、こいつ。
「【
「
バトルボードに置かれた【サイレント・オウル】が
その様子を見て、私は嗤った。
「【レボリューション・ゼロ】の効果をお忘れですか? 緑のカードは2枚までしか使えませんよ」
「はあ? 私はまだ1枚しか……、っまさか」
私は自分のバトルボードにある
「緑のグランドカードの効果を使用しましたよね?」
効果を使ったということは、カードを使用したということ。
そして、トラップとして伏せていたスペルカードを使用した。
これで、合計2枚、緑のカードを使用したことになる。
つまり、御加瀬さんは、もうこのターンで緑のカードを使用できない。
「そして、【ポムボーン】の元々のシンボルは
「づぅ、ぐっ……そがぁぁあああああっ!!!」
ー
【ポムボーン】が投げた3つの爆弾が見事に御加瀬さんを爆破した。
彼がケタケタ笑っているところを見ながら、私はバトルボード上を片付ける。
うん。終わってみれば、呆気なかったな。
○
・種類:モンスター
・系統:革命軍/王
・属性:黒
・コスト:3
・シンボル:黒1
・BP:1
【カードテキスト】
・【召喚】
相手のフィールドに存在する、元々のBPが「3000以上」のモンスターすべてをゲームから除外する。
・【常時】
お互いのフィールド・手札・墓地にあるすべてのモンスターは「BPを比べるバトルを行うとき、BPが低い方のモンスターがバトルに勝利し、BPが同じ場合はお互いのモンスターが破壊される」という効果を持つ。
・【常時】
相手のカードの効果がこのモンスターを対象としたとき、このモンスターの下にあるカード1枚を手札に戻すことで、その効果を無効にする。
・【攻撃】
このモンスターのBP以上のモンスターすべてに、このモンスターはブロックされない。
・【自分のメインフェイズ】
自分の手札にある系統:「革命軍」を持つカードを、このモンスターの下に置くことができる(最大5枚、上限なし)。
・【自分のアタックフェイズ】
系統:「革命軍」を持つ自分のモンスターのアタックしたとき、相手のフィールドに存在する最もBPが高いモンスター1体を、ゲームから除外する。
【フレーバーテキスト】
美しき人形の王国は、狡猾な宰相の裏切りによって崩壊した。
両親を壊され、飾りの王とされた幼き王子は、絶望こそすれども、決して屈しなかった。
強者が弱者を虐げる理不尽な世界を正すためならと、自ら闇へ堕ちることに悩みもしなかった。
虐げられた小さな手と古びた手を掴み、少年は星を描き足した白い旗を掲げる。
「ぼくと一緒に、優しい国を創り直そう」
――『星の革命戦記』第一章