魔法少女リリカルなのは ~ kaleid liner ~ 作:クオリア778
第1話 乖離した物語
~ 海鳴市、公園 ~
よう、初めましてかな?
オレは八束ソーマ、転生者だ。
······厨二病か、だと?
失礼だなオイ。
···まぁ、自分で体験しねぇと信じられねぇだろーがよ。
ん、オレが転生した時?
神様を自称する銀髪幼女が出てきて碌な説明すらなく、「私達のヒマ潰しに参加してネ☆」と放り込まれたんだよ。
その事実と欠片程度の原作知識を思い出して、原作キャラに関わっているってのに気付いて落ち込んだのが昨日の話だ。
んで、どーも今日が原作開始だったらしいんだが······。
「ソーマ、あれ何とかしなさい!」
「アリサちゃん、いくらなんでも無理だよ」
何で毛玉に襲われてんの!?
ユーノ回収イベントだったよね!?
しかも原作より凶暴そうなんだけど!?
···まぁアレだ、最初から変わってるってんなら······
「仕方ねぇよな?」
「え?」
転生特典その1、[プリズマイリヤシリーズの能力]から[英霊カード作成]······即ち。
「今回はエミヤで行くか」
ええと、確か魔力をカードに叩き込んで······
「[夢幻召喚(インストール)]」
自身に力が宿るのを感じつつ、英霊エミヤのお家芸を発動。
何の概念も宿していないが、頑丈さが取り柄のハンマーを創り出す。
そいつの柄を掴み、跳びかかる毛玉を見据え。
「ふんっ!」
「はぁぁ!?」
「ほえ?」
自身に[強化]を掛けて、(文字通り地面から)抜き打ちする。
星になってもおかしくない勢いで飛んでいった毛玉が、樹にぶつかってめり込んだのを確認して戦鎚を送還する。
瞬間、脳裏に羅列される武器の詳細情報。
「···威力がデカ過ぎる···範囲が広い···こいつは直線範囲···」
「そ、ソーマ君?」
「何をブツブツ言ってんの?」
「······トドメ刺してくる」
「え、でも···殺しちゃうのは···」
「······大丈夫です」
4人の視線が1匹に集中する。
「い、いま···」
「しゃべった、わね?」
「ふぇ、フェレットって話せたっけ!?」
「使い魔か何かか? まぁいい。みんなは事情を聴いておいてくれ」
アリサが色々叫んでいるが、今は必要ない。
「投影開始(トレース・オン)」
選択した幻想は猛き大英雄の武器。
一枚岩から削り出したかのような岩の斧剣が現出する。
「投影、装填(トリガー・オフ)」
それに宿る担い手の経験すら読み取り、自身へと投影する。
宝具に昇華された技の模倣という規格外の能力。
筋力などの足りないモノは、魔力で概念そのものを補強する。
「全工程投影完了(セット)」
前進しつつ手順をこなし、準備が完了したのは毛玉から5メートルの位置。
漸く毛玉が、樹から剥がれて動き出す······が、遅い。
「是、射殺す百頭(ナインライブズブレイドワークス)」
一閃と共に描かれるは9つの剣閃。
1つの斬撃でさえ対戦車ロケット1発に相当する威力を誇るというのに、それがほぼ同時に且つ一点に9つも重ねられるのだから堪らないだろう。
轟音と共に出来上がるクレーターの中心部には、青い8面体の宝石が存在していた。
「あれが元凶か? ·····ん?」
斧剣が砕け消えていくのを後目に、元凶となった宝石······ジェムシード(だったか?)に近付く。
すると眼前で宝石が浮き上がり、闇色の光を纏いだした。
この光を、オレは前世のアニメで知っている!
「これは······まさか!」
「ジュエルシード封印!」
「Seelinng」
浄化を行おうと聖剣を検索した瞬間に突き刺さる桃色の光。
闇色の光が風に散らされるように消え、発光の収まった宝石が後ろに飛んでいく。
「······」
リリなのだと思っていた。
いや、今でも思っているが······これは何の冗談だ?
これがアンタのいう[ヒマ潰し]なのか!?
「······上等だ···」
汚染された聖杯が相手だというなら、こちらの手札は頼もしき英霊たちだ。
その汚泥の欠片も残さず消し飛ばすまで。
「無視してんじゃないわよ!」
「おうふ!?」
こ、この抉り込むような打ち方···アリサめ、イケキモメン対策を使ったな!?
「今から私の家で報告会するから来なさい。オーケイ?」
「···っつつ······塾は?」
「休むわよ。塾よりなのはが大事だもの」
当人へ視線を向ければテレテレと頭を掻いている。
「······もちろん、アンタもね···」
「ん? 何か言ったか?」
「っ何でもない! ほら、行くわよ!」
「お、おう」
ズカズカと歩いていくアリサを、2人と話しつつ追いかける。
なのははバリアジャケットを解除して、気を失ったフェレットを心配そうに見ながら。
すずかはオレの左腕を眉根を寄せて見ている······?
「すずか、どうかしたのか?」
「どうかしたのかって······左腕、ケガしてない?」
「ケガ?」
未成熟な身体で斧剣を使った反動は出てるけど。
「感覚がない位かな? でもこれ位なら平気だよ。腕が千切れた訳でもないしね」
ざ・わーるど。
疑問に感じて質問してきたすずかも。
聞き耳をたてていたらしいアリサも。
聞くとは無しに聞いていたなのはも。
3人が等しく凍り付いていた。
「っ!」
「ちょっ、引っ張るな!」
すずかがオレの右手を掴んで走り出し、アリサは鮫島さんに電話しつつ追従。
なのはは転ばないように遅れないように慎重且つ必死に食らいついている。
······この3人は凄いな。
得体の知れない事に巻き込まれて命を落としかけたのに、もう他人の心配をするなんて。
どこの正義の味方だよ。
~ バニングス邸・リビング ~
「それでは私はこれで。また何かありましたら御連絡下さい」
「ああ、ありがとう」
医師が辞去していくのを見送り、金髪の男性が振り向く。
アリサ・バニングス父親、デビッド・バニングスその人である。
「さてと。事情を聴きたいのだが、体調は大丈夫かね?」
「ええ、幸い急を要する状態ではありませんでしたし。···勿論、心配していただいた事には感謝していますが」
左手をぐっぱと動かしてアピール。
元々、感覚が無いだけで動かせてはいたのだ。
「じゃあ、まずはそこのフェレット擬きから、魔法についても含めて説明してくれ。オレの勘じゃ、そちらの事情の方が込み入っている気がする」
説明を引き受けておいてアレだが、ミッドだかなんだかいう魔法に関しては殆ど知らないし。
ユーノにキラーパスしても仕方ないよね?
「え、あ、うん。ええと、まず魔法にはーーー」
いきなり振られたにも関わらず、素直に引き受けてくれるユーノには感謝しかない。
取り敢えず相変わらず睨んでくる鬼ぃちゃんから目を逸らして······あ。
「············」
······おおぅ。
右にはシスコン鬼ぃちゃん、左にはマッドなお姉さん。
なのはとは何にもないですから、ギラギラした目で見ないで下さい。
オレは少し異能を持った普通の人間なので、ワクワクした目でスパナやドリルを出さないでー!?
誰か助けてぷりーず!
まずは駄文にお付き合い頂き感謝です
次回は[幕間]
人気の金髪少女が登場しますよ~
謎の影「■■■■■■■■ーーーーー!!!」