魔法少女リリカルなのは ~ kaleid liner ~ 作:クオリア778
···ホントダヨ?
[翌朝]
~ 社務所・広間 ~
「はむはむはむはむはむはむ···」
「もぐむぐもぐむぐもぐむぐ···」
「もくもくもくもくもくもく···」
「3人とも落ち着け···といっても、聞こえていないな」
物凄い勢いで朝食を食べる魔法世界組。
ソーマがゆっくり食べるように伝えるも、大した効果は見られない。
「······ほぅ···凄いのソーマ君」
「······じょ、女子のプライドが···」
「······負けた···」
「···何の事だか解らないが······好評のようで何よりだ」
緑茶を飲んでほっこりしているなのは。
難しい顔して食べているアリサ。
目の幅の涙を流しているすずか。
そんな3人を不思議そうに見ていたソーマだったが、喜んでいるのだと判断して微笑む。
「それにしても驚いたな。まさか急遽パジャマパーティーをするとは」
「···悪かったわよ」
「半分ノリで動いた感じだもんね」
バツの悪そうなアリサに苦笑いのすずか。
「悪いとは言っていない。ただ準備が中途半端になったのが、些か悔やまれるんだよ」
「······小学6年生のセリフじゃないわね」
「安心しろ、十二分に理解している」
呆れたように呟くアリサにサラリと返すソーマ。
普通の感性からすると、皆さん総じて子供らしくないのだけれど。
知らぬは本人達ばかりなのである。
「フェイト、私達は3人で町を歩きつつジュエルシードとかいうのを探すけど、あなたはどうするの? 一緒に来る?」
「え···と······ソーマを家に連れていくんだ」
何かにヒビが入ったような音がした。
「ほ、ほぉお? ソーマァ?」
問い詰める視線。
悲しげな視線。
羨ましげな視線。
「フェイトの母親に確かめたい事があるんだ」
それら全てを受けて尚、彼は平常運転だった。
「···教えられないワケ?」
「今はね」
「今は、か。解ったわよ」
「行ってらっしゃい、ソーマ君、フェイトちゃん」
「今度は私達も連れて行ってね、フェイトちゃん」
「えっと······お母さんに聞いてみるね?」
流れるような会話にぐるぐる目になっていたフェイトだったが、なのはの言葉には何とか返事を返す。
同性で同年代で魔導師の友達は稀少なのだ。
「フェイト、本当に私じゃなくて大丈夫?」
「大丈夫だよ。それに2つだけだけど、ジュエルシードをキチンと封印して貰わないとだし」
[あんな強いのが出てきたら困るし]と呟くフェイト。
アルフもなのはも同意する他なかった。
「直径20センチ位に収束した[NANOHA☆キャノン]なら防御を抜けるんじゃないかな?」
「············(ぷるぷるぷるぷる)」
「そんな魔法ないよ!? フェイトちゃんも勝手にイメージ作らないで!?」
「ないの? 分からず屋と駄々っ子を黙らせる、一撃必殺な砲撃なんだけど?」
「どんな限定状況!?」
「ってか殺しちゃだめじゃない」
「非殺傷設定になってるから、せいぜいプスプスになるくらいだよ」
「それ絶対ダメージ入ってるよね?」
「ある魔導師は言いました。「死んでないならオッケーだ」と」
「どんなブラック企業よ!?」
アリサに睨まれたユーノがもげそうな勢いで首を振る。
フェイトはよくわかっていないようで、首を傾げている。
「······ホント、気を付けなさいよ···」
「ん?」
「な、何でもないわよバカ!?」
「ええぇ? ······まぁいいや。フェイト、準備はできてるか?」
「うん。開けた場所があればどこでも大丈夫だから」
「そうか。なら境内で頼む。改めて本格的な陣地作成を行ったから、その試運転も兼ねたいんだ」
「陣地作成? そんな魔法があるの?」
「あたしらは知らないよ?」
「僕も知らないし、多分ソーマのレアスキルかな?」
「ああ。英霊の中には魔術に長けた者もいるからな」
感心したように頷くフェイト。
傍らに座るアルフが首を傾げる。
「アンタは何人喚べるのさ?」
「今は7人だが、マテリアル···情報が集まれば何人でも」
「······うげ」
見も蓋もない返答に顔をしかめるアルフ。
アリサが身を乗り出す。
「ねぇ、アーサー王やマーリンも喚べるの!?」
「今のところマーリンは喚べないな。アーサー王なら喚べる」
「~~~~~!」
ぷるぷる震えて腕をじたばた。
そんなに嬉しいのだろうか?
彼が喚ぶのは腹ペコ王だというのに。
~ 八束神社・境内 ~
刻まれた術式が発動しており鳥1匹見かけない。
そんな境内でフェイトは通常モードのデバイス[バルディッシュ]を構える。
「じゃあ、行くよ」
フェイトの足下に魔法陣が描かれる。
「転移、[時の庭園]!」
フェイトの言葉と共に出現する、天に伸びる光の柱。
それは徐々に輝きを増し、やがて弾けるように消えた。
「······行ったね」
「ワープってかっこいいね。私にも使えるかなぁ?」
「次元世界を移動するのは、かなり難しい部類だからね。同世界の短距離移動ならできるかも······ユーノはどう思う?」
「うーん······僕の使ってる術式をレイジングハートに入力してみようか?」
「お願い!」
身を乗り出すように答えるなのは。
「わかった。じゃあレイジングハート」
<アクセス許可しました。プログラムをお願いします>
ーーーー これがのちの[魔神]誕生の瞬間だった ーーーー
~ 時の庭園 ~
「!?」
「どうしたの?」
大きく震えたソーマに、心配を滲ませて問い掛けるフェイト。
「······何かとんでもないモノのフラグがたった気がする···!」
「?」
劇画調に目を見開くソーマに首を傾げるフェイト。
そんな2人の前にウィンドウが開かれる。
「お帰りなさい、フェイト。大変だったわね」
「ただいま戻りました、母さん。こちらが」
「ええ、見ていたわ。初めまして、ソーマ君。私はプレシア・テスタロッサ。フェイトの母親よ」
「···母親、なんだな?」
「···ええ。誰が何と言おうと、ね」
「······そうか。ならば、オレから訊くことはなくなったな」
安心したように呟くソーマ。
「そう? それならこちらから質問してもいいかしら?」
「うん? 大抵の質問には答えるが、何かな?」
「······[ゴーストライナー]という単語に心当たりは?」
ソーマが訝しげに首を傾げる。
「どこで知ったんだ? その言葉を知る人間は、この世界軸にはいない筈だが?」
「[この世界軸]?」
「······全ての次元世界を単一の世界と見なした時の呼称だよ」
「······よく解らないのだけれど?」
「まぁ、説明は後でいいだろう。先に答えるが、[ゴーストライナー]というのは[英霊]の事だ」
「英霊?」
「神話や伝説に語られる英雄や偉業を成した者。それらは原則として[英霊の座]に招かれる」
「っ···!?」
想像以上の存在にプレシアが絶句する。
「彼らは人類の滅びの要因が発生した時に[英霊]として召喚され、周囲もろともに要因を消し去って消えていく」
「周囲もろとも、という事は······生存者がいない···?」
「いや。生存者はいるが、彼らの記憶から[英霊]に関わる事は消えている。故に[幽霊として奇跡を実行する者(ゴーストライナー)]なんだ」
「······なる程ね。確かに、そんな存在なら···」
唇を噛み締めるプレシア。
「お願いがあるの。娘を······アリシアを助けて下さい」
「······事情がさっぱりわからないな。病で永くないのか?」
「いいえ。······[神]を名乗る者の、呪いよ」
いやはや、説明は苦手だね。特に英霊の説明がw
さて次は短くなる予定です。
···いつもの予告がない? やんなきゃダメ?
女神は何の意図を持っていたのか。
アリシアの身に起こった事は。
次回[疑念]
女神「······お願いね、私の転生者(ヒーロー)」