おまわりさん、能力者です   作:pemotaro

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投稿日時間違えて、18話が先に出てきちゃってました…。


第16話 相手のいないかくれんぼ(怪力少女7)

ちょっと小さめの少女には、人に言えない秘密があった。

裸になると、とんでもない怪力を発揮できるのだ。

ただし、人前で裸になんてなれないし、力加減も難しい。

 

ラッキー。今日は早く帰れたなぁ!

そんなことを考えながら、少女はいつもの道を通っていた。

 

残暑も厳しい季節、平日の昼間で、人通りが増えるにはまだ少し早い時間帯だ。

ふと、道沿いにある古い公園が目に入る。

そういえばこの公園って古いし、監視カメラも少なさそう!検証に使えないかな?

最近、力加減については少しだけコツが掴めてきた気がする。とはいえ、家の中で試すだけでは限界を感じるし、できれば人目につかない場所を探したい。

 

ちょっとした思いつきで、公園に入ってみることにした。

人通りも少なそうだし、結構広い。ここならちょうどいいかもしれない。

 

そう思いながら公園内を歩いていると、奥の方から小さな泣き声が聞こえてきた。

声の方へ向かってみると、古い鉄のブランコが倒れていた。

その下には小さな男の子が挟まれて、泣いている。

 

「大丈夫!?」

 

急いで駆け寄り、ブランコを持ち上げようとするが、びくともしない。

彼女自身が非力なのも確かだが、鉄の塊は余りにも重い。大人が何人もいないと動かせそうにない。

 

彼女はスマホを取り出しかける。

「119?110?いや、これは…」

救助を呼ぶのが一番確実だし、間違ってはいない。ただ、少し時間がかかるだけだ。

その間も、男の子は泣き続けている。

 

彼女は倒れた遊具を見る。

「私なら、動かせる…」

 

少し迷って、周囲を何度も見渡した。

子供の他に、人影は全く無いようだ。

 

「よし!すぐだから!」

 

少し離れたところに公園のトイレが見える。

彼女はそこへ駆け込むと、手早く服を全て脱いだ。

 

そして公園の監視カメラの位置を確認しながら、植え込みの陰を縫うように走っていく。

「すぐ行くから待っててね!」

 

 

慎重に、慎重に…なんとか倒れた遊具の近くまで戻ってきたが、

 

「おじさん、ここ!たかしくん!」

「おい、大丈夫か?」

 

女の子の焦った声と野太い声が聞こえてきた。そっと物陰から伺ってみると、公園の入り口側から体格のいいおじさんと小さな女の子が、男の子の方へ走り寄っていくのが見えた。

 

「よーし、ちょっと待ってろよ!」

 

おじさんは圧倒的な筋肉を誇示するようにブランコを持ち上げて、横にずらすと、男の子を隙間から助け出す。

 

「もう出られるぞ。怪我はないか?」

「うわあぁぁん!」

「おじさん、すごーい」

「病院に行った方がいいかな。ボク、家はどっちだい?」

そうして軽々と男の子を抱きかかえると、公園を去っていく。

 

裸の少女は植え込みの陰から彼らのそんな様子を見ていた。

「…もう、私が出ていく必要ないよね」

自分の言葉にそっとうなずく。

「助かったんだからいいか!」

 

 

あの子は助かったし、力も使わずに済んだ。むしろラッキーと考えよう。

そう思ってトイレの方に戻ろうとする。しかし、トイレ側から人影が…。

「やば!」

あわてて植え込みの陰に戻る。

 

さっきまで誰もいなかったのになんで?

息を凝らしてトイレの方をうかがっていると、背後から声が聞こえる。

 

「お姉ちゃん、何してるの?」

「っ!?」

 

びっくりして振り返ると、先ほどおじさんを連れてきた女の子が、いつの間にか後ろにしゃがみこんでいた。

「かくれんぼ?」

「…違います」

 

「お姉ちゃん、なんでそんな恰好してるの?」

「…趣味です」

「何してるの?」

「虫を見ています」

「どんな虫?」

「珍しい虫です」

「どこ?」

「…いなくなりました」

 

女の子は不思議そうに彼女を眺めている。

 

「なんでお姉ちゃん泣きそうなの?」

「……聞かないでください」

 

女の子は「ふーん」と言うと立ち上がって、そのままどこかへ走り去っていった。

その後、人がいなくなったのを見計らい、裸の少女はトイレに駆け込んで服を着直した。そして、逃げるように帰宅するのであった。

 

 

数日後。

 

「物騒な世の中になったわね」

 

そう言いながら母親が回覧板を彼女に渡してきた。そこには新しい注意書きが貼られていた。

『不審者情報:公園で、子供が不審な女性を目撃したようです。近隣の皆さん気をつけてください!!』

 

「こわいわねぇ。あなたも気をつけなさいよ?」

「…うん」

 

「もっと、気をつける」

 

 

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