おまわりさん、能力者です   作:pemotaro

19 / 19
閑話を投稿しようと思ったら、投稿には1000文字無いと駄目とは思ってもいませんでした。結構難しいですね…


閑話 ときどきあること(治癒紳士2)

三つ揃えを好む老紳士には、人に言えない秘密がありました。

裸になると、怪我を癒す力を発揮できるのです。

ただし、人前で裸になんてなれないし、積み重ねた信用を失いたくもありません。

 

ある晴れた秋の日のことです。

おじいさんは山歩きの準備を整えると、妻に声をかけて出かけました。

「では、出かけてきます」

「いってらっしゃい。お気をつけて」

 

過疎化の進む田舎の山。

聞こえてくるのは木々のさざめきと、川のせせらぎだけです。

 

おじいさんが川沿いの山道を散策していると、怪我で動けなくなっている動物を見つけました。

動物にはまだ息がありますが、ひどく傷ついています。

野生の動物を勝手に連れ帰るわけにはいきません。

かといって、放っておくのもかわいそうです。

 

「また、これですか」

 

おじいさんは周囲を見渡すと、衣服を丁寧に畳んで岩の上に置きました。

そしてなるべく優しく傷口に触れながら、息を止めます。

「治ったらいいのに」

 

動物の出血は止まり、みるみる傷が塞がっていきます。

息を吐き出すと同時に能力は切れますが、動物は元気よく立ち上がり、おじいさんに一礼するようにして森へ帰っていきました。

 

「元気になりましたね」

 

手についた血を川で洗い流しながら、おじいさんは微笑みます。

「人目さえなければ、本当に良い力なんですけどねぇ」

 

「あれ? あそこに誰かいるぞ?」

 

「……」

おじいさんは一瞬で真顔になると、そそくさと逃げ出しました。

 

 

「あれ?昨日あの猫、足引きずってなかった?」

「えー…どうみても元気そうじゃない」

「おかしいなぁ…」

「そういえば、あの山には動物を治してくれる仙人がいるらしいよ」

「まさかぁ」

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

閑話2 俺の特技は正拳突き

 

とあるファミレスで、若い会社員が二人で会話していた。

 

「俺、実は超能力があるんですよ」

 

「へえ、どんな?」

 

「10メートル先のろうそくの火を消せます」

 

「どうやって?」

 

「正拳突きで!」

 

「おー?」

 

「10メートルですよ?」

 

「すごいのか?」

 

「結構すごいですよ」

 

「ろうそく以外も消せるのか?」

 

「いや、それが…」

 

「じゃあ何に使うんだ?」

 

「……」

 

「……」

 

「話のネタ?」

 

「宴会で披露すればウケるんじゃないですか?」

 

「いや、それが……」

 

「今度、見せてくださいよ」

 

「いいですよ」

 

「いつ?」

 

「……今度温泉でもいきますか?」

 

彼らは席を立つ。

 

小柄な少女とすれちがいながら、会計に向かった。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
点
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

そいつの開発者、俺なんだが(作者:束田せんたっき)(オリジナル:SF/コメディ)

なんか学生時代の黒歴史が、未来でディストピアの管理AIをやってたんですけど。国家ぐるみのストーキングやめてね。▼《真面目なあらすじ》▼高城之男へ一致せよ。▼タカギニアでは、すべての人間が、三百年前に死んだ偉人・高城之男とどれだけ似ているかで評価される。似ている者には栄光を、似ていない者には屈辱を。▼管理番号11-F-283-D503、平野平人。彼は一致度0.…


総合評価:8315/評価:8.27/完結:51話/更新日時:2026年10月11日(日) 19:15 小説情報

ブラック企業にすり減らされた社畜が主人公になれるアプリを手にしたらどうなるか→(作者:ぱちぱち)(オリジナル:現代/冒険・バトル)

タイトル変更しました▼【旧題:最安10円レンタルチート ブラック労働で過労死数歩前だった俺の心の癒しだった動画アプリがマジモンの神アプリだった 】▼山里一也は金がない。時間も無ければ彼女もない。健康診断結果も20代とは思えない。▼唯一の娯楽は通勤退勤時にスマホのアニメ視聴。このまま会社の社畜として緩やかに死に向かって進んでいくだけだった一也の人生は主人公をレ…


総合評価:5643/評価:8.59/連載:177話/更新日時:2026年10月20日(火) 07:06 小説情報

ホラー系の世界に転生したのにあまりにも怪異がカラっとしている(作者:ない因習村:図書館に呪い本コーナーがある)(オリジナル:現代/コメディ)

 ホラー系の世界に転生しました。夜道を歩くと大概出会いますが、妙に冷めていたり、カラっとしています。どうすればいいでしょう?


総合評価:8484/評価:8.66/連載:37話/更新日時:2026年09月29日(火) 15:08 小説情報

ラスボス機体の癖に、スーパーロボット系の主人公機を気取っているんですけど?(作者:げげるげ)(オリジナル:ファンタジー/冒険・バトル)

やめろぉ! 邪悪系の力で敵を洗脳するのは絆の力じゃない!!▼違う! 愛とエロを混合するんじゃあない!!▼ええい、貸せっ! 僕がやってやるよぉーっ!!!▼※カクヨムにも投稿しています。


総合評価:9851/評価:8.57/連載:22話/更新日時:2026年10月19日(月) 23:30 小説情報

宮廷魔導師選抜試験を記念受験した田舎者(作者:古野ジョン)(オリジナル:ファンタジー/文芸)

キーガンは農家の息子だったが、鋤を持つには非力で、実を摘むには不器用だった。▼日がな納屋の陰で本を読み、夜が来たら魔法で遊ぶ。▼誰もが畑を耕すだけで一生を終えるこの村で、彼だけは違う世界を生きていた。▼運命を変えたのは、一枚の紙切れだった。▼宮廷魔導師を選抜する試験を行うという、三年に一度の知らせ。▼記念受験がてら、王都を見物してもいいんじゃないか。▼両親の…


総合評価:21966/評価:7.22/連載:42話/更新日時:2026年08月22日(土) 23:42 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>