破面ヒーロー『アランカル』   作:揚げパンcat

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0ポイント敵

「0ポイントはギミック……つまり、受験生にあの超大型敵を倒せる術は無い前提で配置されている」

「だから「避けて通ることをお勧めしてる」んでしょ?」

「もしも破壊できるような奴がいたらどうするんだ?」

「それこそヒーローとして、強力な敵への対処ができるだろうな。破壊できてもできなくても、評価にはおおむね問題ないだろう」

 

 それこそ超パワーとかで1発KOが狙えるような個性があればの話だが。

 

「……アンタ、あれ壊せるの?」

「結論から言えば壊せる。が、壊して助けると意味がない」

「え?」

「あ、そっか。ギミック想定だから──!」

「ギミックと称したのは、強さのヒエラルキーが0ポイント(相手)の方が上だから。その指標は図体のデカさだけじゃないんだよ」

「成程、どこかに蚊みたいな大きさでオールマイト並の強さを持った敵とかが居たりするかもなのか!」

 

 ……まあそれは流石にいないだろうが……2人とも理解できたようで何より。

 

「「凶悪、強力な敵からどうやって民間人を助けるか」を見られてるってことか……うわ、考えられてる〜」

「な!あ、人みっけた!あそこに居る!」

 

 0ポイントの方へ走っていると、上鳴が逃げ遅れた女子を指さしている。どうやら瓦礫に挟まったようだ。

 

「ウチなら壊せる。あと、反対側にもう1人。多分怪我してるから男子頼むわ」

「了解、行くぞ!」

 

 3人同時にバラける。その後すぐに耳郎が瓦礫を破壊する音が聞こえて、女子を逃していた。

 

「頭に瓦礫が当たったんだ……怪我酷えぞ!」

「……雄英がこの事態を想定してないわけがない、リカバリーガールが居るはずだ。上鳴、連れて行けるか?」

「……っ、わかった!でも魄面、お前は……」

「すぐ戻る」

「待っ……」

 

 上鳴に静止される前に駆け出す。響転(ソニード)も鋼皮(イエロ)も使えないから、素の身体能力で走るしかない。

 

 幸い、瓦礫がそこら中に転がって坂になってる。使わせてもらおう。

 

「ちょ、本当にぶっ壊す気!?」

 

 耳郎の声が聞こえたが、まぁ気にしなくてもいいだろう。

 

『ピピ……標的発見。引ッ叩ク』

 

「はっ、物騒なロボだな」

 

 瞬間。

 

 左の手のひら、その中央がボロボロと崩れ、壊死した細胞が中空に集まり、凝縮された光となっていく。

 この世界に霊子はないから、代わりとなるものへ置き換えられた。それは、大虚(メノス)が撃つ霊圧の閃光──

 

 

「虚閃(セロ)」

 

 

 赤色の閃光が、0ポイントめがけて放たれる。0ポイントは反応するものの、あの図体と速度では避けることもままならない。そのまま虚閃(セロ)に破壊され、ただの残骸になってしまった。

 

「……はぁ、痛い。これだから虚閃(セロ)は嫌なんだ」

 

 細胞を消費して放つため、壊死した細胞を集めた部分からは出血している。どれだけヒーローとしての覚悟を固めようと、痛いものは痛いのだ。

 

「ちょ、大丈夫!?」

「……耳郎、逃げなかったのか?」

「いや、ビームに夢中だったよ!あんなん撃てたの!?」

「その代わり細胞を使う。再生能力もゲットできてたら、マジのアタリ個性だったんだけどな……」

「贅沢言うな!!出血酷いから、リカバリーガールのとこ連れてくよ!!」

 

 耳郎が俺の右手を掴んで歩き出したのと、終了のアナウンスが会場中に響いたのは、ほぼ同時だった。

 

 


 

 

「お、届いた届いた」

 

 届いた、というのは雄英からの合否通知のこと。封筒を開けると、小さな機械が入っていた。

 

「……投影機か?」

 

 スイッチらしきものがないか探していると、突如画面が投影された。センサーで起動するのか……。

 

『ハイ、受験番号6855番の……魄面リオくん』

 

 画面に映ったのは、布のようなものを首に巻いた男だった。

 

(……ヒーロー、だよな?)

 

 雄英の教師っていうならプロヒーローだろうが……名前が出てこない。

 

『筆記試験、君の成績は平均より結構上だったよ。十分合格の範囲内だ。ま、気になるのは実技のほうか』

 

 筆記試験に関してはサラッと流されて、実技試験へと移る。

 

『仮想敵、そして0ポイントの破壊。共に見事だった。君が獲得した敵ポイントは68点、かなりの高得点だよ』

 

 68。他がどれくらいかはわからないが、10分間で稼げるだけ稼いだので合格圏内ではあるだろう。

 

『ただ、それだけじゃない。ラスト1分で0ポイントを投入した時、君と君の側にいた2人で逃げ遅れた人を助けに行った』

『実際に助けたのは君の側にいた2人だったけど、作戦立案は君だろ。大丈夫だ、これはヒーローの素養を見極める試験。人助けだって立派な仕事。ちゃんと見てる』

 

 ぶっきらぼうな口調ではあるが、しっかりと人を見るような誠実な人ということはわかる。

 

『もう一つの審査基準、救助活動(レスキュー)ポイント。これが20点……合計88点、見事首席合格だ』

 

 ……首席。

 

『おめでとう、ここが君のヒーローアカデミアだ。雄英で待ってるよ。……校長。最後のコレ、本当に要りますか?』

 

 最後何か聞こえた気がしないでもないが、とりあえず首席で合格したことを喜ぼう。耳郎と上鳴は合格したかな。

 

「……楽しみだ」




砂藤くんには傑物に通ってもらいます。
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