自分が見たいために作りました。
リコリコメンバーがハワイから戻る少し前
『リコリス・リコイル × 仮面ライダーアギト』
夜の路地裏。
乾いた銃声が、幾度となく響き渡っていた。
「撃って! 撃ち続けて!」
サードリコリスの少女たちが、一斉に拳銃の引き金を引く。
銃口から火花が散り、無数の弾丸が標的へと殺到する。
しかし――。
アンノウンは、歩みを止めなかった。
弾丸を受けても、怯む様子すらない。
まるで、自分たちが何をしているのか理解できないとでも言うように。
「う、嘘でしょ……!」
「効いてない……! 全然効いてない!」
少女たちの声に、明らかな動揺が混じる。
訓練されたリコリスであっても、目の前の存在は常識の埒外だった。
「弾が――!」
「下がって! いったん距離を――」
言葉の途中だった。
アンノウンの姿が、消えた。
「……え?」
次の瞬間。
隊員の一人が、横合いからの衝撃で吹き飛ばされた。
「きゃあっ!」
地面を転がり、動かなくなる。
「そんな……!」
別の隊員が銃を向ける。
だが、引き金を引くよりも早く、アンノウンの腕が振るわれた。
鈍い音。
少女の身体が地面に崩れ落ちる。
「全員、撤退! 撤退して!」
隊長の叫びが夜に響いた。
しかし、逃げ道はすでに塞がれていた。
アンノウンは、ゆっくりと彼女たちへ向き直る。
その異様な姿が、街灯の下に浮かび上がった。
人間ではない。
人間であるはずがない。
少女たちは、ようやく理解した。
自分たちが対峙しているのは、訓練や装備で対処できる相手ではないのだと。
◇
同時刻。
DA本部、管制室。
「現場班との通信が不安定になっています」
「映像は?」
「ノイズがひどく、確認できません!」
オペレーターの報告に、管制官が眉をひそめる。
「現場の状況を確認して。隊員に応答させて」
『こちら本部。現場班、応答してください』
通信機から返ってきたのは、激しい雑音だった。
ザザッ……ザザザッ……。
『こちら…………』
「聞こえています。状況を報告してください」
『対象……銃撃が……通用しな……』
そこで音声が途切れた。
「現場班?」
管制官が身を乗り出す。
「現場班、応答してください!」
返事はない。
数秒後、再び通信が繋がった。
『たすけ……』
少女の声だった。
『お願い……誰か……』
その声に、管制室の空気が凍りつく。
「現場班! 現在位置を報告!」
『死にたく……ない……』
微かな嗚咽。
そして。
『いや……来ないで……!』
――ブツン。
通信が途絶えた。
「……現場班?」
管制官は、もう一度呼びかけた。
「現場班、応答してください」
返事はない。
「応答してください!」
オペレーターが慌ただしくキーボードを叩く。
「通信ロスト。現場の映像も消失しています!」
「再接続は!」
「できません! 信号が完全に途絶しています!」
管制室に、重苦しい沈黙が落ちた。
やがて、誰かが呟く。
「……全員、やられたのか?」
誰も答えなかった。
ただ、モニターに表示された文字だけが、無機質に現実を告げていた。
――現場班、通信途絶。
◇
夜の路地裏。
そこには、もう銃声も悲鳴もなかった。
地面に散らばった薬莢。
砕けたアスファルト。
そして、そこに残るのは少女達が着ていたであろう制服
アンノウンは、その光景を一瞥すると、何事もなかったかのように歩き始めた。
その姿が闇に消えていく。
誰も知らない。
この夜、何が起きたのか。
なぜ彼女たちが襲われたのか。
そして――。
この事件が、これから日本を揺るがす異変の始まりに過ぎないことを。
未知なる敵、アンノウン。
その存在を、DAはまだ知らない。