夜。
DA本部に、緊急通信が入った。
「UNKNOWNを確認しました」
オペレーターの報告を聞き、楠木が顔を上げる。
「場所は?」
「市街地です。現在、現場へ向かっている部隊があります」
「サードリコリスは?」
「すでに展開しています」
楠木は一瞬だけ考える。
そして――。
「G3も出せ」
「……G3を?」
「ああ」
前回の戦闘では、G3の性能を十分に引き出せなかった。
だが、UNKNOWNの脅威は明らかに増している。
「今回は実戦データを取る」
「了解しました」
その頃。
市街地では、千束とたきながUNKNOWNと対峙していた。
「……いた」
暗い路地の奥。
人間とは思えない巨体が、ゆっくりとこちらを振り返る。
「たきな、気をつけて」
「はい」
二人が銃を構える。
その直後――。
「――こちらG3。現場に到着しました」
「え?」
千束が振り返る。
そこにいたのは、前回と同じ青と灰色の重装甲。
G3。
「また来たんだ……」
たきなが呟く。
「セカンドリコリスですね」
G3を装着した少女が、二人の前へ出る。
「今回こそ……」
彼女は武器を構えた。
「やります」
両手に構えられた拳銃型のG3用武器。
銃口がUNKNOWNへ向く。
「撃ちます!」
パンッ! パンッ! パンッ!
弾丸がUNKNOWNへ叩き込まれる。
UNKNOWNの身体が僅かに揺れる。
「効いてる!」
千束が声を上げる。
確かに効果はある。
UNKNOWNは後退した。
だが――。
「……まだ来ます!」
次の瞬間。
UNKNOWNが消えた。
「――っ!」
G3が反応する。
しかし、遅い。
目の前にUNKNOWNが現れた。
「くっ……!」
G3が銃を向ける。
UNKNOWNの腕が振り抜かれた。
ドォンッ!!
「――ぐあっ!」
G3の身体が吹き飛ぶ。
地面を転がり、壁へ激突する。
「G3!」
たきなが叫ぶ。
少女は立ち上がろうとする。
だが、身体が動かない。
「……まだ……」
その手から、武器が落ちる。
カラン、と乾いた音が響いた。
UNKNOWNがゆっくりと振り返る。
そして――千束とたきなを見る。
「……来ます」
たきなが銃を構える。
「分かってる!」
二人が同時に発砲する。
だが、UNKNOWNは止まらない。
その巨体が迫ってくる。
「くっ……!」
千束が身を翻す。
たきなが射線を変える。
その時だった。
――カラン。
たきなの足元に、先ほどG3が落とした武器が転がってきた。
「……」
たきなが視線を落とす。
「たきな! それ、G3の武器!」
「分かっています」
たきなは武器を拾い上げた。
ずしりとした重量。
明らかに通常の拳銃とは違う。
「……重い」
だが、構える。
銃口をUNKNOWNへ。
「たきな、それ大丈夫!?」
「試してみます」
照準を合わせる。
UNKNOWNがこちらへ向かってくる。
「――撃ちます」
ズドンッ!!
凄まじい発砲音が、市街地に響き渡った。
「――っ!」
たきなの腕が大きく跳ね上がる。
身体まで後ろへ持っていかれそうになるほどの強烈な反動。
それでも、たきなは踏みとどまった。
弾丸はUNKNOWNへ直撃。
その巨体が、大きくよろめく。
「効いてる!」
千束が驚く。
だが、たきなは二発目を撃たない。
撃てない。
一発撃っただけで、腕が痺れて照準が大きくずれてしまった。
「……なるほど」
たきなは武器を見つめる。
「これは……連射する武器ではありませんね」
「いやいやいや!」
千束が叫ぶ。
「普通は一発撃っただけで腕持っていかれるよ!?」
「そうですか?」
「そうだよ!」
たきなはもう一度、武器を握り直す。
重さ。
反動。
引き金を引いた瞬間の衝撃。
それらを確かめるように、手の中で感触を確かめる。
「……でも」
たきなが呟いた。
「使いやすいです」
「え?」
千束が目を丸くする。
たきなはUNKNOWNを見据えたまま続ける。
「反動は大きいです」
一度、武器を構え直す。
「ですが……癖が分かりやすい」
たきな自身も、不思議に思っていた。
重い。
反動も強烈。
連射には向かない。
それでも――。
「……私には、合っている気がします」
その感覚だけは、はっきりしていた。
たきなが武器を握りしめる。
「一発で十分です」
UNKNOWNが再び動く。
「来ます!」
たきなが構える。
千束がその横へ並ぶ。
「じゃあ、私が隙を作る!」
「お願いします」
千束が駆け出す。
UNKNOWNの注意が千束へ向く。
その瞬間――。
たきなが狙いを定めた。
「――そこです」
ズドンッ!!
再び轟音。
弾丸がUNKNOWNの身体を撃ち抜く。
UNKNOWNが大きく後退する。
「やった!」
しかし――。
UNKNOWNは倒れない。
ゆっくりと身体を起こす。
「……まだ、来ます」
「うん!」
千束が構える。
たきなも武器を握る。
その時だった。
――ドクン。
たきなの動きが止まる。
「……?」
千束も気づく。
路地の向こう。
そこから――。
黄金の光が現れた。
「……あ」
千束の目が見開かれる。
「たきな……」
「はい」
光の中から、一人の戦士が歩み出る。
銀色の装甲。
赤い複眼。
そして――黄金の光を纏う姿。
「……あの人」
たきなが呟く。
仮面ライダーアギト。
アギトは二人を見る。
そして――UNKNOWNへ視線を移した。
何も言わない。
ただ静かに構える。
UNKNOWNもまた、アギトを見据える。
次の瞬間。
両者が同時に動いた。
――黄金の戦士と、異形の怪物。
再び、戦いが始まった。