リコリスリコイル 不可能犯罪   作:鼻眼鏡26号

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受け継がれる武器

 

 

 夜。

 

 DA本部に、緊急通信が入った。

 

「UNKNOWNを確認しました」

 

 オペレーターの報告を聞き、楠木が顔を上げる。

 

「場所は?」

 

「市街地です。現在、現場へ向かっている部隊があります」

 

「サードリコリスは?」

 

「すでに展開しています」

 

 楠木は一瞬だけ考える。

 

 そして――。

 

「G3も出せ」

 

「……G3を?」

 

「ああ」

 

 前回の戦闘では、G3の性能を十分に引き出せなかった。

 

 だが、UNKNOWNの脅威は明らかに増している。

 

「今回は実戦データを取る」

 

「了解しました」

 

 その頃。

 

 市街地では、千束とたきながUNKNOWNと対峙していた。

 

「……いた」

 

 暗い路地の奥。

 

 人間とは思えない巨体が、ゆっくりとこちらを振り返る。

 

「たきな、気をつけて」

 

「はい」

 

 二人が銃を構える。

 

 その直後――。

 

「――こちらG3。現場に到着しました」

 

「え?」

 

 千束が振り返る。

 

 そこにいたのは、前回と同じ青と灰色の重装甲。

 

 G3。

 

「また来たんだ……」

 

 たきなが呟く。

 

「セカンドリコリスですね」

 

 G3を装着した少女が、二人の前へ出る。

 

「今回こそ……」

 

 彼女は武器を構えた。

 

「やります」

 

 両手に構えられた拳銃型のG3用武器。

 

 銃口がUNKNOWNへ向く。

 

「撃ちます!」

 

 パンッ! パンッ! パンッ!

 

 弾丸がUNKNOWNへ叩き込まれる。

 

 UNKNOWNの身体が僅かに揺れる。

 

「効いてる!」

 

 千束が声を上げる。

 

 確かに効果はある。

 

 UNKNOWNは後退した。

 

 だが――。

 

「……まだ来ます!」

 

 次の瞬間。

 

 UNKNOWNが消えた。

 

「――っ!」

 

 G3が反応する。

 

 しかし、遅い。

 

 目の前にUNKNOWNが現れた。

 

「くっ……!」

 

 G3が銃を向ける。

 

 UNKNOWNの腕が振り抜かれた。

 

 ドォンッ!!

 

「――ぐあっ!」

 

 G3の身体が吹き飛ぶ。

 

 地面を転がり、壁へ激突する。

 

「G3!」

 

 たきなが叫ぶ。

 

 少女は立ち上がろうとする。

 

 だが、身体が動かない。

 

「……まだ……」

 

 その手から、武器が落ちる。

 

 カラン、と乾いた音が響いた。

 

 UNKNOWNがゆっくりと振り返る。

 

 そして――千束とたきなを見る。

 

「……来ます」

 

 たきなが銃を構える。

 

「分かってる!」

 

 二人が同時に発砲する。

 

 だが、UNKNOWNは止まらない。

 

 その巨体が迫ってくる。

 

「くっ……!」

 

 千束が身を翻す。

 

 たきなが射線を変える。

 

 その時だった。

 

 ――カラン。

 

 たきなの足元に、先ほどG3が落とした武器が転がってきた。

 

「……」

 

 たきなが視線を落とす。

 

「たきな! それ、G3の武器!」

 

「分かっています」

 

 たきなは武器を拾い上げた。

 

 ずしりとした重量。

 

 明らかに通常の拳銃とは違う。

 

「……重い」

 

 だが、構える。

 

 銃口をUNKNOWNへ。

 

「たきな、それ大丈夫!?」

 

「試してみます」

 

 照準を合わせる。

 

 UNKNOWNがこちらへ向かってくる。

 

「――撃ちます」

 

 ズドンッ!!

 

 凄まじい発砲音が、市街地に響き渡った。

 

「――っ!」

 

 たきなの腕が大きく跳ね上がる。

 

 身体まで後ろへ持っていかれそうになるほどの強烈な反動。

 

 それでも、たきなは踏みとどまった。

 

 弾丸はUNKNOWNへ直撃。

 

 その巨体が、大きくよろめく。

 

「効いてる!」

 

 千束が驚く。

 

 だが、たきなは二発目を撃たない。

 

 撃てない。

 

 一発撃っただけで、腕が痺れて照準が大きくずれてしまった。

 

「……なるほど」

 

 たきなは武器を見つめる。

 

「これは……連射する武器ではありませんね」

 

「いやいやいや!」

 

 千束が叫ぶ。

 

「普通は一発撃っただけで腕持っていかれるよ!?」

 

「そうですか?」

 

「そうだよ!」

 

 たきなはもう一度、武器を握り直す。

 

 重さ。

 

 反動。

 

 引き金を引いた瞬間の衝撃。

 

 それらを確かめるように、手の中で感触を確かめる。

 

「……でも」

 

 たきなが呟いた。

 

「使いやすいです」

 

「え?」

 

 千束が目を丸くする。

 

 たきなはUNKNOWNを見据えたまま続ける。

 

「反動は大きいです」

 

 一度、武器を構え直す。

 

「ですが……癖が分かりやすい」

 

 たきな自身も、不思議に思っていた。

 

 重い。

 

 反動も強烈。

 

 連射には向かない。

 

 それでも――。

 

「……私には、合っている気がします」

 

 その感覚だけは、はっきりしていた。

 

 たきなが武器を握りしめる。

 

「一発で十分です」

 

 UNKNOWNが再び動く。

 

「来ます!」

 

 たきなが構える。

 

 千束がその横へ並ぶ。

 

「じゃあ、私が隙を作る!」

 

「お願いします」

 

 千束が駆け出す。

 

 UNKNOWNの注意が千束へ向く。

 

 その瞬間――。

 

 たきなが狙いを定めた。

 

「――そこです」

 

 ズドンッ!!

 

 再び轟音。

 

 弾丸がUNKNOWNの身体を撃ち抜く。

 

 UNKNOWNが大きく後退する。

 

「やった!」

 

 しかし――。

 

 UNKNOWNは倒れない。

 

 ゆっくりと身体を起こす。

 

「……まだ、来ます」

 

「うん!」

 

 千束が構える。

 

 たきなも武器を握る。

 

 その時だった。

 

 ――ドクン。

 

 たきなの動きが止まる。

 

「……?」

 

 千束も気づく。

 

 路地の向こう。

 

 そこから――。

 

 黄金の光が現れた。

 

「……あ」

 

 千束の目が見開かれる。

 

「たきな……」

 

「はい」

 

 光の中から、一人の戦士が歩み出る。

 

 銀色の装甲。

 

 赤い複眼。

 

 そして――黄金の光を纏う姿。

 

「……あの人」

 

 たきなが呟く。

 

 仮面ライダーアギト。

 

 アギトは二人を見る。

 

 そして――UNKNOWNへ視線を移した。

 

 何も言わない。

 

 ただ静かに構える。

 

 UNKNOWNもまた、アギトを見据える。

 

 次の瞬間。

 

 両者が同時に動いた。

 

 ――黄金の戦士と、異形の怪物。

 

 再び、戦いが始まった。

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