十二月の掲示板の前に、人だかりができていた。
〈決闘クラブ開講のお知らせ 今夜八時、大広間にて〉
「決闘クラブだって!」
「誰が教えるんだろう。フリットウィック先生かな。若い頃、決闘のチャンピオンだったって」
「決闘なんて、サミュエルの独壇場じゃないか」
昼食の席で、シェーマスが鶏肉の骨を振り回しながら言った。
「相手が見えてるんだもんな。こっちの呪文が飛んでくる前に、もう避けてる」
「数秒先までだよ。それに、見えてても体が追いつかなきゃ意味がない」
「でも、追いつくんだろ?」
「……まあね」
周りが笑った。ネビルだけが、真っ青な顔でフォークを握りしめていた。
「ぼ、僕、決闘なんて、絶対に無理だよ……」
「大丈夫。ネビルの相手になる人のほうが、きっと緊張してるよ」
「どうして?」
「何が飛んでくるか、誰にも予想できないから」
ネビルは少し考えてから、情けなさそうに笑った。
期待に満ちたざわめきは、その夜、大広間に入った瞬間にしぼんだ。
長テーブルは片づけられ、壁際に金色の舞台がしつらえてあった。何千本もの蝋燭が、その上を照らしている。
舞台の上で、深紫のローブをまとった金髪の魔法使いが、白い歯を光らせて手を振っていた。
「みなさん、集まって! さあ、集まって! 私がよく見えますか? 私の声が聞こえますか? 結構、結構!」
ロックハートだった。
「ダンブルドア校長先生から、この小さな決闘クラブを始めるお許しをいただきました。私自身が数えきれないほど経験してきたように、自らを護る必要が生じた万一の場合に備えて、みなさんをしっかり鍛え上げるためです。詳しくは、私の著書を読んでくださいね」
ロンが、うんざりした顔で天井を仰いだ。
隣で、ハーマイオニーは舞台を見上げていた。目は、ほんの少しだけ輝いていた。けれど、すぐにはっとしたように表情を引き締めて、握りかけていた両手を下ろした。
それから、ちらりと、サミュエルのほうをうかがった。目が合いかけて、二人とも同時に、視線をそらした。
競技場の夜に、謝ることはできた。彼女は、それを受け取ってくれた。けれど、理由は、まだ話していない。彼女も、まだ聞いてこない。その空白が、二人の間に、まだ座りこんでいた。
サミュエルの胸の奥で、何かが小さく引っかかった。
理由は分からなかった。分からないまま、それを笑顔の下に押しこんだ。
「では、助手のスネイプ先生をご紹介しましょう」
舞台の袖から、黒いローブのスネイプが上がってきた。上唇が、めくれ上がっている。
「スネイプ先生がおっしゃるには、決闘のことを少しはご存じだそうです。模範演技をするのに、勇敢にも手伝ってくださることになりました。ご心配なく――私が先生を負かしても、ちゃんと魔法薬の先生は残りますよ!」
「相討ちで、両方いなくなればいいのに」
ロンが、ぼそりと呟いた。
*
二人は舞台の上で向き合い、一礼した。杖を剣のように構える。
「1――2――3――」
「エクスペリアームス!」
スネイプの杖から、目のくらむような紅の閃光が走った。
ロックハートの体が、舞台から吹き飛んだ。後ろ向きに宙を飛び、壁に激突して、ずるずると床に滑り落ちる。
スリザリンの生徒たちが、歓声を上げた。
ハーマイオニーが、何か言いかけた。爪先立ちになって、舞台のほうへ身を乗り出して――そこで、ちらりとサミュエルを見て、唇を結んだ。
飲みこんだ言葉が、喉の奥で行き場をなくしたらしい。
「ざまあみろ」
ロンが、小声で言った。
サミュエルは、何も言わなかった。ハーマイオニーの横顔も、見なかった。見ないようにしていることが、お互いに分かった。
ロックハートはふらふらと舞台に戻ってきた。帽子がずれ、波打つ髪が逆立っている。
「さあ、皆さん、分かりましたね! あれが武装解除の術です。スネイプ先生、生徒にあの術を見せようとなさったのは、素晴らしいお考えです。ただ、遠慮なく申し上げると、先生がこれから何をなさろうとしているかは、見え見えでしたね。止めようと思えば、簡単に止められました」
スネイプの顔が、殺気立っていた。
「では、二人ずつ組んで練習しましょう!」
*
あちこちで、呪文の閃光が飛び交い始めた。
ハリーの相手は、スネイプの指名でドラコになった。二人は舞台の上で向き合い、礼もそこそこに呪文をぶつけ合った。
「サーペンソーティア!」
ドラコの杖の先から、長い黒い蛇が飛び出した。
蛇は床の上で鎌首をもたげ、近くにいたハッフルパフのジャスティン・フィンチ=フレッチリーに向かって、牙をむいた。
そのとき、ハリーが、蛇に向かって何か言った。
言葉ではなかった。しゅうしゅうと空気の漏れるような、喉の奥を擦る音だった。
蛇が、ぴたりと動きを止めた。ジャスティンの前で、おとなしく鎌首を下ろす。
大広間じゅうが、凍りついた。
「何のつもりだ!」
ジャスティンが叫んで、大広間から駆け出していった。スネイプが杖を振ると、蛇は黒い煙になって消えた。
周りの生徒たちが、じりじりとハリーから離れていく。誰かが、小さな声で囁いた。
「蛇語使いだ……」
「スリザリンは、蛇と話せたって……」
ロンが、ハリーの腕を引っぱった。ハーマイオニーが、青ざめた顔でその後を追う。
ざわめきが、大広間の隅々まで広がっていった。
その混乱を、スネイプの低い声が断ち切った。
「――静粛に」
大広間が、静まり返った。
スネイプの黒い目が、生徒たちの顔を、一人ずつゆっくりと舐めるように動いていく。そして、一点で止まった。
「ミスター・ヴェスゲレート」
サミュエルは、顔を上げた。
「予見の目とやらで、クィディッチを追い出されたそうだな。決闘でも、さぞかし役に立つのだろう」
スネイプの唇が、かすかにめくれた。
「前に出たまえ。模範演技の、続きだ」
舞台へ向かう途中、サミュエルは、大広間の扉のほうを見た。
扉の枠に手をかけたまま、ハーマイオニーが立ち止まっていた。廊下へ出ていくハリーとロンの背中と、舞台のほうとを、一度ずつ見る。
それから、彼女は、扉の枠から手を離した。二人を先に行かせて、壁際へ戻ってきた。
*
舞台に上がると、何百という目が、いっせいにこちらを向いた。
サミュエルは、スネイプと向き合って一礼した。
腰の箱から、扇を抜く。
ざわめきが起きた。防衛術の授業が一緒でない生徒は、彼の杖を初めて見るのだ。
「……扇子、か」
スネイプが、眉をわずかに上げた。
「東洋の骨董で、私と遊ぶつもりかね」
「骨董ではありません。現役です」
スネイプの目が、細くなった。
ロックハートが、慌てて舞台の端から声を張り上げた。
「で、では――1――2――3――」
3、の声が終わる前に、サミュエルの右目の奥で、景色がずれた。
半透明のスネイプが、杖を斜めに振り下ろしている。声のない呪文。紫色の光。
サミュエルは、扇を開いた。
ぱらり、と扇面が広がる。
次の瞬間、本物のスネイプの杖から、無言の紫の閃光が放たれた。
光は、開いた扇の面に触れた。砕けなかった。水が岩の上を滑るように、扇面の上を流れた。サミュエルが手首をひと返しする。流れた光は、扇の縁から弧を描いて向きを変えた。
紫の閃光が、持ち主のほうへ、まっすぐ引き返していく。
スネイプが、杖の一振りで、自分の呪文を打ち消した。散った光の粉が、桃色の花びらになって宙に溶けていく。
大広間に、甘い香りが広がった。
熟した桃と、咲き初めの梅の香り。冬の夜の大広間に、どこか遠い春の匂いが漂った。
「……先生」
サミュエルは、開いた扇の陰から、にっこりと笑った。
「ロックハート先生のときは、あんなに分かりやすく呪文を唱えて差し上げていたのに。僕には無言呪文ですか。殺すおつもりで?」
スネイプの唇が、片方だけ吊り上がった。
「実力に見合った扱いをしているだけだ」
黒い目が、冷たく光る。
「それとも、唱えてほしいかね。『エクスペリアームス』と、一年生にも分かるように、親切に」
大広間の何人かが、くすくすと笑った。壁際で、ロックハートが顔を引きつらせた。
サミュエルは、笑顔のまま、扇をひらりと返した。
「いえ、結構です」
声が、ほんの少しだけ、低くなった。
「では、僕も、少しだけ本気を出します」
*
扇を、大きく開いた。
ふわりと、扇面の下から風が起きた。舞台の床の埃が、渦を巻いて舞い上がる。ローブの裾が、はためいた。
スネイプの次の呪文は、もっと速かった。
右目に映る影が、三つ、四つと重なっていく。足元を狙う呪い。肩を狙う呪い。背後に回りこむ、曲がる光。
サミュエルは、床を蹴った。
扇をひと煽ぎする。足の裏に、風が集まった。体が、羽のように浮き上がる。足元を狙った呪いが、さっきまで立っていた床の上を、空しく通り過ぎた。
宙で、身をひねる。肩を狙った光が、胸の前を素通りしていく。見えない足場がそこにあるかのように、もう一度、風を蹴った。体が、横へ跳ぶ。背後から回りこんできた曲がる光の、さらに外側へ。
降り立ったのは、舞台の端の、ぎりぎりの縁だった。爪先の半分が、宙に出ている。音一つ、立たなかった。
すれ違いざま、開いたままの扇が、花のように光を受け、流し、返していた。足元を狙った呪いは、床を舐めてスネイプの足元へ。肩を狙った光は、天井へ弧を描いて、真上からスネイプへ。曲がる光は、自分の軌道を逆に辿って、持ち主へ。
スネイプは、三つとも弾いた。
「……曲芸かね」
低く吐き捨てる。
「お気に召しませんか」
サミュエルは、縁を蹴った。宙で、くるりと一回転して、舞台の真ん中へ降り立つ。
ぱちり、と。
扇を、閉じた。
骨が合わさる乾いた音が、静まり返った大広間に響く。閉じた扇の先が、杖のように、まっすぐスネイプを指した。
開けば、守り、返す。閉じれば、撃つ。
閉じた先から、淡い光が一つ、ふわりと放たれた。
遅かった。ゆっくりと、宙を漂う。避けるには遅すぎ、弾くには、まだ早い。スネイプの目が、思わずその光に吸い寄せられた。
その瞬間、死角から、閃光のように速い二つ目の光が走った。
スネイプの杖が、ぎりぎりでそれを弾いた。弾いた拍子に、一つ目の遅い光が、ローブの肩をかすめて、小さな火花を散らした。
緩と急。遅い光が目を縛り、速い光が命を狙う。二つの速さが、一つの呪文になっている。
サミュエルは、すでに床を蹴っていた。扇がもう一度開く。風が起きる。床を蹴り、宙を蹴り、光と光のわずかな隙間を、すり抜けていく。跳ぶたびに、桃と梅の香りが散り、呪文の光が花びらになって、舞台の上を流れた。
まるで、舞っているようだった。
大広間じゅうが、息を呑んで見つめていた。誰も、声を出さなかった。聞こえるのは、呪文がぶつかる音と、風の唸りと、扇が空を切る、かすかな音だけだった。
誰もが、目を離せなかった。
スネイプの額に、冷たいものが一筋、流れ落ちた。
曲芸ではなかった。
跳ぶ先は、影の位置を避け、呪文の軌道を隠し、次の一手を読ませないために選ばれている。風は、体を運ぶためだけに起こされている。扇の開閉は、守りと攻めの切り替えを悟らせない。舞に見えるのは、結果だ。すべてが、勝つために編まれていた。
未来を見る目。変則的な呪文の緩急。受けた光を返し、風を操る扇。見る者には舞としか映らない、身のこなし。
間違いなく、天才であった。
スネイプの呪文が、また一段、速くなった。
右目の奥が、じんと熱くなった。影が、追いつかなくなってくる。半歩の遅れが、四半歩になる。袖の端を、光がかすめた。
サミュエルは、扇を大きく開いた。スネイプの渾身の一撃を、扇面で受け止める。扇がしなり、光が流れる。流しきれなかった衝撃が、腕を痺れさせた。
その光を、手首の返し一つで、スネイプの方角へ。
ぱちり、と扇を閉じる。閉じた先端から、自分の光を重ねて撃ち出した。返した光と、撃った光が、一つの束になって走る。
スネイプも、同時に杖を振り下ろした。
二つの光が、舞台の真ん中で正面からぶつかった。
ばちん、と空気が弾けた。
白い閃光が大広間を満たし、生徒たちが思わず目を覆う。光が収まったとき、舞台の上には、二人とも、さっきと同じ場所に立っていた。
サミュエルの前髪が、少しだけ焦げていた。
スネイプのローブの裾から、細い煙が一筋、立ちのぼっていた。
ロックハートが、震える声で言った。
「じ、時間です! そこまで! 素晴らしい! 実に素晴らしい模範演技でした!」
スネイプは、杖を下ろした。
長いこと、サミュエルを見ていた。
「……跳ね回りながら数手先を読むとは、ずいぶんと器用らしい」
低い、乾いた声だった。
「目を閉じても同じことができるようになったら、褒めてやらんこともない」
スネイプはそれだけ言うと、ローブを翻して舞台を降りた。
サミュエルは、扇を閉じて一礼した。
右目の奥が、まだ少しだけ熱かった。
*
舞台を降りた途端、大広間がどっと沸いた。
「すごい……スネイプと互角だった!」
「あの扇、何なの? あんな杖、見たことない」
「ねえ、いい匂いがしなかった? 桃みたいな」
「梅よ、梅!」
女子生徒たちが、頬を赤くしてこちらを見ている。レイブンクローの上級生が、ハッフルパフの女の子が、パーバティとラベンダーが。香りの余韻がまだ大広間に漂っていて、誰かが深く息を吸いこむたびに、小さな歓声が上がった。
「でも、未来が見えるんだろ。ずるくないか?」
どこかで、スリザリンの誰かが言うのが聞こえた。
「見えたって、普通は避けられないよ」
「それに、スネイプの無言呪文だぜ?」
サミュエルは、どの声にも、いつもの笑顔で応えていた。
笑顔のまま、指先で、右のまぶたを軽く押さえた。奥が、まだ熱い。すぐに手を下ろした。誰も、気づいていなかった。
その目が、人垣の中を探していた。
ハーマイオニーは、少し離れた壁際に立っていた。
ハリーとロンは、もう寮へ戻ったらしい。彼女だけが、残っていた。
目が合った。
その視線が、一瞬だけ、彼の右目に落ちた。さっき、まぶたを押さえた指先のほうへ。それから、また、彼の目に戻った。
ロックハートに向けていたのとは、違う目だった。
うっとりと見上げる目ではない。まっすぐに、こちらを見極めようとする目。何かを測り、何かを確かめようとしている目。列車の通路で、初めて扇を見せたときと、少しだけ似ていた。
ハーマイオニーは、何も言わずに視線を外し、大広間を出ていった。
サミュエルは、その背中を見送った。
胸の奥で、さっき引っかかっていた小さな棘が、いつの間にか抜けていた。
代わりに、何か温かいものが、ほんの少しだけそこにあった。
それが何なのか、彼は考えなかった。
大広間には、まだ、桃と梅の香りが残っていた。
*
それから一週間、城の中は二つの噂で持ちきりだった。
一つは、ハリー・ポッターが蛇語使いだという噂。もう一つは、サミュエル・ヴェスゲレートがスネイプと引き分けたという噂。
「ポッターが、スリザリンの継承者なんじゃないか」
談話室で、上級生の誰かがひそひそと言った。サミュエルは、暖炉の前の椅子から振り向いた。
「ハリーが継承者なら、ミセス・ノリスより先に、スネイプを石にしてると思うけど」
談話室に、どっと笑いが起きた。部屋の隅で、ハリーが少しだけ肩の力を抜いたのが見えた。
クリスマス休暇の前の晩、サミュエルは荷造りをしていた。父から、マルフォイ家のクリスマスの晩餐に顔を出すようにと手紙が来ていた。
談話室に降りると、ハーマイオニーが、ハリーとロンと一緒に、テーブルいっぱいに本を広げていた。
「休暇は、残るの?」
「ええ。調べたいことがあるの」
ハーマイオニーは、本から顔を上げずに答えた。ロンとハリーが、なぜか気まずそうに目を見合わせた。
「そう。……風邪、ひかないようにね。塔の上は冷えるから」
「あなたこそ。マルフォイ家のご馳走で、お腹を壊さないように」
「どうして知ってるの」
「マルフォイが、大広間で自慢してたもの。自分は学校に残るけど、父上がヴェスゲレートを晩餐に招いたんだって」
ハーマイオニーは、ほんの少しだけ口の端を上げた。
あの決闘の夜から、二人の会話は、ほんの少しだけ元に戻っていた。
皆様
ご感想ありがとうございます。活動の励みになっております。本日、進行中のプロジェクトについて活動報告にアップしたので、興味のある方は覗いていってください。
紹介する機会がないため、後書きで設定の一部を公開します。作中でそこまで重要な要素ではないため、興味のある方だけ見てください。
【サミュエルの杖(扇子)】
二十七センチ
しなやか
扇面:九尾の狐の毛
親骨:殺生石
中骨:仙木
要:龍の宝珠(如意宝珠)
■龍
危険度XXXXX。
世界的な認知は弱く、「東洋のドラゴン」と呼ばれるため、日本種のドラゴンとひとまとめにされることもある。
龍には、自分が生まれた卵の殻を大切に持ち続ける習性がある。その殻が、長い時をかけて宝珠になる。龍の魔力が宿った宝珠は「如意宝珠」と呼ばれ、嵐を操る力と、使い手の前向きな感情に応えて力を増幅する性質を持つ。
■九尾の狐
危険度XXXX。
非常に知性の高い、狐の姿をした魔法生物。
社会に悪影響を及ぼす性質から、かつて大規模な征伐が行われ、現在は絶滅危惧種に指定されている。そのため、九尾の狐を杖の素材にすることは原則として違法である。九尾の素材を使った杖を持ち歩くには証明書が必要で、征伐以前に得られた素材であることも条件になる。サミュエルが杖をいつも漆塗りのケースに入れて持ち運んでいるのは、そのためである。
殺生石は、九尾の狐が死の間際に姿を変える、岩石のような物体。そこには強大な闇の魔力が宿っている。
また、九尾の狐の毛は変幻自在な魔力に対応できるため、この毛を芯材にした杖は、あらゆる呪文に対応できる。
■仙木
中国のとある山の山頂に生える桃の木。
この木を用いた杖は、甘美な香りをまとった魔術を放つ。
■サミュエルの杖
扇面に九尾の狐の毛、親骨に殺生石、中骨に仙木、要に龍の宝珠を用いた扇子。
あらゆる呪文に対応し、放たれる魔術は華やかで、桃と梅の甘い香りをまとう。
要の龍の宝珠のおかげで、扇子を開いたときには、風や水を操ることができる。
作ったのは、安倍晴明の子孫。帝の御前で舞う舞踊家たちに代々受け継がれてきた品で、長く眠っていたところを、扇自身の意志でサミュエルに拾わせた。