サ終を知らなかった俺は聖王様に恋をする   作:アイザナ大使

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しばらくカルカ様は出ません。普通のオリ主もの?として見ていただければ。……それで物語を面白くできるのか自分。



午前零時の産声

 

2138年──。

一人の会社員の男が仕事から帰宅した。

久世蓮、二十七歳。

マスクを外し、ネクタイを緩めてそこら辺へ投げた。

「疲れた……」

明日は遅番。

蓮は時計を見る。

まだ少し遊べる時間だ。

「……久々に入るか」

仕事も忙しくてできず、広告メールすら切っていたゲーム。

首のジャックへプラグを挿し込む。

ヘルメットを着用。

視界にゲーム一覧が並ぶ。

YGGDRASILを選択。

十二年も続いているDMMO-RPG。蓮がその大半を遊び倒したゲームである。

プレイヤーネーム、NOX(ノクス)。

 

今は深夜だが、ゲーム内は快晴の昼間だった。

成人男性、人間種のアバター。

「うわ、懐かし」

久々に見る──ゲーム内の──自室。

蓮の名付けた月影亭は小規模な個人宅だ。

木造の二階建て。暖炉にアイテム整理用の机。

窓からは湖が一望できる。

地下には小さな倉庫。

暖炉に近づいて手を広げた。

「あったけー」

ゲームなのでそんな感覚はないが。

 

フレンド一覧を見てみる。

すいすいとスクロール。ほとんどオフラインだった。

「……まあ、末期ゲームだしな」

蓮自体も久々だったので何も言えない。

外へ出てみた。

草むらを歩き、森へ。

昔なら襲ってきたフィールドモンスターがこちらを見ても動かない。

「あれ?」

さらに近寄る。

来ない。

「仕様変わった?」

まぁ、歩きやすいからいいや、と蓮は森を後にした。

 

月影亭から少し離れたところを散歩する。

大きな湖を通り過ぎ、街へ続く小道へ。

街を目指す訳ではない。久々過ぎて今どこにいるかわかってすらないし、適当に歩いている。

NOX──レベル九十三。以前なら九十代の狩場にも行った。

もっとも、レベル百の連中からすれば中途半端な数字である。

「……あと七レベル上げ直さないとなぁ」

小さな独り言。

 

23時55分。

「今日はもういいか……明日少しレベル上げしよう」

久しぶりにログインした割には、誰とも会わなかった。

フレンドのほとんども既に引退してるし仕方ないのかもしれないが。

ゲームなんてこの時間からが本番じゃないか。なのに全然いない。

「本当に人減ったなあ……明日はログインしてたフレンド誘ってみるか」

アイテム整理を始める。

リング・オブ・サステナンスを右手指に装備。

その他はアイテムボックスへぽい。

暖炉の前のロッキングチェアに座る。

23時59分。

「……夜更かししてもいいが……寝るか」

ログアウトしようとしたその時、

0時0分。

突然、視界が真っ暗になった。

「……は?」

 

 

──────『蓮視点』

 

真っ暗闇の中、首を傾げる。

(回線落ちたか? 珍しいな)

手を伸ばしてヘルメットを外す。

妙に感触がない。

そしてめちゃくちゃ寒い。

もしかして停電かもしれない。暖房切れたか。

寒い。まるで風が吹いているみたいに。

何か柔らかい布が腕に触れる。

背中に少し硬さ。

毛布は被ってたけど、ゲーミングチェアこんな硬かったか?

高かったんだけどなぁ。

空気を吸うと鼻が冷たい。

そして埃臭い。

いやいや俺の部屋そんなに汚くないし。

(……臭い)

とりあえず椅子から立ち上がろう。暗くて危ないが。

起き上がろうとする。

(ふぬっ!)

無理だ。力が入らない。

というか手をつこうにも届かない。腕が短い。

そもそも首すらまともに動かせない。

(うぉおらあああああ! 舐めんじゃねー!)

「ぁ……」

(ん?)

赤ちゃんの泣き始める前のような声。

(隣の部屋の人の……? いや、そんな壁薄くないしそもそもすぐ近くで聞こえたような……俺、隠し子が? って童貞なんだからそんなわけ)

「ぅ、あ……」

その瞬間、一気に空気が肺に。息を吸った。

「おぎゃあああああ!」

(な、何!? 赤ちゃん泣き始めちゃったよ!?!? どどど、どうすればいい!? おー、よちよち泣かないで)

考えろ、この状況。どうすればいいのか。

まずは赤ちゃんの場所を見つけなければいけない。

こんな寒いところに放置する訳にはいかない。

でも。俺も寒い。

なんだか怖くなってくる。自分の部屋にいたはずなのに今は突然外?にいる。

そして眠い。強烈に。

「ふ、ふぇぇぇええ……!」

(赤ちゃん……!!)

頬が生暖かい。触ると涙が出ている。

感情移入しすぎかもしれないが赤ちゃんだぞ。可哀想だろ。

(ん?)

ぺたぺたと頬を触る。小さな手。

(あれ? 赤ちゃんが触ってる? 俺の目の前にいるのか?)

手を伸ばす。けれど無。

(赤ちゃん……?)

「あう、あ……?」

(え? あれ? 声が、出せない? いや、発声してるはずなんだが)

(なんでだ? おかしい)

「あーあ? ああいい」

(え)

(これって……もしかして…………俺、赤ちゃんだった?)

 

そんな訳はない。

だが体感、数時間経った。

それからまた何時間経っても飢餓感が来ない。

変だ。

だんだんとぼやけているが視界が戻ってくる。

(おお……)

ここは外だろうか。暗い青っぽい視界。

右手を掲げた。ぼんやりと指輪が見える。

指で触る。この感触。

(……これ)

(まさか)

リング・オブ・サステナンス。

(何でこいつがある?)

その後、俺は鳥の鳴き声にビビったり、虫にビビったり、風にビビったり。

別に臆病なつもりはなかったのだが、何もかも新鮮で初めてで、怖かった。

眠気で目尻を擦る。涙がちっちゃな指を濡らす。

(起きたら……戻ったりしないかな)

そんな都合のいい期待を最後に、意識が落ちた。

 





作者の馬鹿さ加減を披露してしまった……
本当に阿呆で戦闘シーンも苦手なのでみなさんがご期待するような展開にならないと思います……。あと、恋愛とか人間ドラマがメインになります。でもリクエストなら受け付けています!
私が手をつけてはいけない界隈でした……
でもレンくんが可愛くて仕方ないんですよね最近
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