いやはや、まさかこれを語ることになろうとは思いもしなかった。あの時も、あれから二ヶ月たった今でも、アレは僕を終わらせるためだけの仕組みに違いない。
何が起きたのかって、車5台を巻き込む大規模な交通事故だ。おっと玉突き事故だと勘違いしているのは早計だ。玉突き事故じゃない。僕は一度として玉突き事故だなんて言っていない。車五台を巻き込む大規模な交通事故ではあるけれど、一台一台が連なっていたわけじゃない。一本道ではなく、十字路、四方へ伸びる道があったわけだ。
その日はフランス旅行から帰ってきた日だった。別に必要ないって?確かにフランスから帰ってきて初めて乗った車であろうとなかろうと関係ないわけだけれど、フランスに帰った後というのは重要だ。話していればそれも出てくる。
まずは、交通事故にあった車の車種から話そうか、一番大きな被害を被ったのが、軽自動車だ。どこの家庭でも車を買うならこのあたりというくらいな普通な車だ。
そして、十トントラックが正面から追突した。それもただの十トントラックじゃない、木材を大量に載せた十トントラックだ。
これではまだ二台の事故だ。軽自動車に十トントラックがぶつかったなら、木材が乗っていようといまいと、そのまま重差で滑るものだがそういうことはなく、三台目、タンクローリーが正面衝突した。
そして、四台目、左からミキサー車が軽自動車にぶつかって。最後の五台目は就学児童がわんさか乗ったスクールバスが右から軽自動車にぶつかった。
まさしく四面楚歌、軍隊ではなく車ではあったけど、逃げ場はありません。さらにさらに、タンクローリーは可燃性の燃料を運ぶ車である。事故になればもちろん火の車になる。その現場に大量の木材があれば、薪として被害は拡大する。
個性という超常がある社会ではあるけれど、事故と、可燃性物質と木材、化学の大サービスで起きたこの、人為的で殺意的な、そして怪奇的な交通事故は、誰が見ても異質だった。
社会の裏で、魔女という人の死を、呪いを、穢れを振りまく存在がいたとしても、たった一人の人間に向けられた害意としては重すぎる。
そもそもとして、僕が魔女を知ったのは事故の事情聴取から解放されたあとだったのだからこの時にそんなところからの害意を受けるわけがないのです。
無傷で生還したと思われたこの、