「あ、」
「……」
「……」
気まずい、昨日、さやかとではないが喧嘩した手前、学校で再会した時に、無言の時間が流れる。
左手の中指に、指輪がある。
「契約したんですね」
「なに?否定するの?」
「いえ、ただ、その選択に後悔しないように、契約は他人任せではなく、自分の意志でするものですから」
「……そ」
この後どうしますかね、巴さんは、美樹さんの方にいきますよね、後輩欲しがってたから……となれば、結局今日も休みたかったんですがね、余命について説明してないんでそう簡単に欠席はできないですし、事故から二週間……さすがに回復したと思われているはずだし、魔女について調べますか。
石器時代における、シャーマンや呪術師、または、薬師を起源とするものである。前者二つは分かりますが薬師が魔女のルーツとは、いえ、薬品、それも石器時代と現代医学とじゃ天と地との差がある。それこそ怪我を治すのですら、人の外側になるはず、そういう意味では薬師も魔女になるかもしれませんね。
そして、一番わかり易い、15世紀から17世紀にかけてのヨーロッパ諸国において行われ、多くの人々が魔女の嫌疑をかけられ、世俗の裁判や宗教裁判によって処断された魔女狩り。
当時魔女は悪魔と交わり特別な力を授けられ、悪天候をもたらしたり、人間や家畜に害をなすと信じられている。魔法少女と何らかわりませんね、インキュバスと契約して魔法を得る、個性がある今それほど、不思議には思いませんが、火を生み出すのだって道具を必要とする。それを願うだけで手に入れられるのだから、異質なものだろう。
かの英雄、ジャンヌ・ダルクが魔女とされたのにも諸説ありますが……ここは直に見てきたインキュベータに聞いたほうが早いですね。
史実ではまぁ、魔女ではなく、異端者を利用した失脚を狙ったもののようですが、魔女狩りと混同するのは、これはジャンヌ・ダルク関係ないですね、戴冠式の否定のために、ジャンヌ・ダルクに魔法を使わせるとは、まぁそういう考えもあるということですよね、
必要か分かりませんが、魔法と魔術の違いについて。
魔法は、科学や通常の技術では絶対に再現できない、奇跡のような現象そのものとされており、魔術は、知識や訓練、手順(術式や呪文、道具)を用いて、合理的に不可思議な現象を起こす技術である。
インキュベータは宇宙人で、科学が発展した生物のはずですが、魔法を扱う……魔法少女の願が力の、エネルギーの原点ゆえに、分類は魔法になるんですかね?
「余正木忍接臥!」
「!…はい?」
「もう放課後よ、いつまでいるつもりなの?」
ぐだぐだと考えていたら暁美さんに時間を教えられる、もう夕暮れだ。
「え?あ、時間がすぎるのは早いですね」
「何を考えていたのよ」
「魔女について考えていたんです。インキュベータや魔法少女に連なる魔女ではなくて、史実における魔女について」
「必要なの?」
「必要ですよ、魔法少女での魔女は、魔法を扱う少女が成長したから魔女です。ですが史実などでは、人の理解が及ばぬ、魔を扱う存在を総じて、魔法使いとして、その表現に、老婆が使われることから、魔女が一般化したわけです」
「それのどこが必要なのよ」
「必要ですよ、魔女を怪異とするためにね」
「怪異は結局なんなの?」
「怪しく異質な事柄に、物語として姿形を得た存在です。逆説的に、語られなければ存在できないわけでず。もちろん、定義というのは語られ方に起因しますからね、その分、変化しやすいんです。魔法少女ならば倒せると言う物語に、改変を行うと思ってくれればいいです。臥煙さん達専門家が行き着いた道だそうです」
名前は重要だ、もちろん存在が成り立つまでの過程もね。
「……暁美さん、黒髪ショート、斧のような爪をもつ魔法少女は知っていますか?」
「黒髪ショート、斧のような爪……知っているわ。名前は呉キリカ、美国織莉子と行動をともにする魔法少女よ、」
「なるほど、風見野の三人組から連絡が来まして。魔女を操る魔法少女、優木沙々が。魔法少女狩りを行う魔法少女、暁美さんの認識が正しいなら、呉キリカに助けられたそうです。つまり、魔法少女を殺すことを厭わない二人に協力関係が出来たようです。明日、僕は休んで風見野の三人と合流します」
「そう、なら、まどかのところにいるわ。美国織莉子の目的はまどかを殺すことだから」
「わかりました。ただ、救う算段があるようなので、殺さないようにお願いします」
「できたらね」