人見さん、朱音さん、佐木さんの風見野三人チームは現在、見滝原にあるホテルに泊まっている。いや、未成年が平日によく部屋を取れましたね。まぁ、そこはいいですけど。
「おはようございます」
「ああ、おはよう」
「それで……随分と荒れているようです」
「まぁ、な。優木沙々を見滝原に連れてきた手前、その責任をと思っていたんだが、京はそう思わないようでな」
「オールマイトがいるなら任せればいいじゃん」
「オールマイトは魔法少女の件から一度手を引きました。あの人、魔法少女とは相性が悪いので、それよりも手伝ってほしいことがあるんですが」
白い折り紙を手渡して、あるものを作る。
「それで、なんでこんなもの?」
「魔法少女と戦うんだ。わざわざ魔女と同じように個性制限をかける必要はないですよ」
「その羽や角が個性なのではないのか?」
「見目だけが個性ではないんです。まぁ、あまり無茶はできませんが、魔法少女相手に後れは取りませんよ」
「あ、あのさリナちゃん、麻衣ちゃん、こんなに強い人がいるんなら、私達いらないんじゃないかな……」
人見さんと朱音さんは、戦うつもりですですね。正直ありがたいです。でも佐木さんはあまり戦いたくないと言うか、自分の保身を優先しているようですね。
「必要です。佐木さん、心配する気持ちも理解できますが、あまり無茶はできないんです。無茶をしてでも勝てと言うなら高火力技がありますけど、今の体では耐えられません。なので、戦力は多いほうがいいんです」
「本人の意見もあるが、彼女を逃した我々もこの街で被害を出させないよう尽力する義務が……」
「義務って……私は……」
あまり、話がまとまらないまま、紙を折る音だけがしている中、急に窓ガラスが割れる。
外から押し入るように入ってきたのは、黒髪ショート、斧のような爪をもつ黒い魔法少女。暁美さんいわく、呉キリカという名前で、高確率で美国織莉子とともにいる魔法少女。
襲撃に動揺が走る三人はすぐに変身をする。よし、これである程度放っておける。
襲撃は予想はしてましたからね、だからちゃんと用意はしておきました。狙うは、呉キリカではなく、その仲間であるはずの、優木沙々。向かいのビルの屋上に魔法少女がいるのは確認済みです。場というのは重要ですから。
「御三方、外の魔法少女のほうに当たります、そちらも気をつけてください!」
昨日と、さっき作った。折り紙の手裏剣を、空に、宙に、ばら撒く。それらを、外にいる二人の魔法少女目掛けて飛ばす。
「は?なんで?折り紙?!」
全部避けられてしまいましたが、数が少なかったからですね、次はもう少し増やすとしましょうか。
「相手が魔女ならいざ知らず、魔法少女、人間に怪異性が追加されただけの存在に対して、わざわざ個性制限をする馬鹿がどこにいましょう、異形系個性を持ちますが、それだけが僕の個性ではありません」
折り紙を式神として操る。操作系個性。折り紙であるというより、225cm²の紙なら操れる。それ以上の大きさは分割しないと使えない。ちょうど折り紙が適応するサイズだっただけだ。
黄色を基調とした道化師の様な衣装の魔法少女が、優木沙々。ならば、白い魔法少女は美国織莉子ですね。
「直接殴り込んでくるなんて、それに、貴方は何者ですか?」
「殴り込んできたのはそっちでしょう?まぁ、二人まとめて相手してあげますよ、何者かと聞かれるなら、まぁ、死人に口無しとでも言っておきましょうか……」
「答えないつもりね、でも、ここに来てよかったかしら?5人が4人になるのはそう痛手でなくても、5人が3人になればどうなるか。「3人いる」と考えるか、それとも「2人死んだ」と考えるか」
「性格悪いですね、まぁ、詐欺師よりかはマシなんでしょうけど、」
美国織莉子、固有武器は宙に浮かぶ水晶、未来視を使うとのことですが、わざわざ確認を取ったということは僕の未来は見えていないようですね、まぁ、見えないですよね、すでに無いはずの存在ですから。
「優木さん、魔女の結界を、恐らく勝てません。キリカと合流します」
「はいは〜い」
「魔女の結界ですか、面倒なことを」
不死身殺しの怪力は……魔法少女を殺す可能性があるから使えない、魔女がいる状況で判断が迫られるというのに、一番いい方法が、一番使いたくない…
「出し惜しみはできませんね……見様見真似の赫灼熱拳…?!!」
「不発のようですね」
「みたいですね」
赫灼熱拳どころか、極熱すら生成できなかった。
「オラクルレイ!」
対して、美国織莉子は水晶からレーザーを放ってくる。翼で簡単に防げるけど、八咫烏の炎が使えないのは不味いな、そもそもなんで発動しなかった?
準備万全だったはずなのに……
いや、そうだよな。もともと、「助けるのは構わないけれど、無茶をし続けると二ヶ月も持たなくなる」と、そう、言われてんだ。使えなくなることは予想できてたはずだ。早かったな……でも、翼は動く、極熱以外はまだ使える。
いろいろありすぎて、使いづらい個性だったけど、こういうときはありがたいな。
「ところで、貴方はここに一般人が巻き込まれても何も感じない人間「なわけないよ!」
自分からバラしてくれるなんてね、蹴りを入れてから、自分の羽根を折り鶴に止めて、巻き込まれた一般人のところへ飛ばす。
織莉子は後回し、先に魔女を倒す。
「魔女纏……黒影!」
髪が、貝の形にかわり。貝の中から白い球体と仮面を被った黒い影が出てくる。
髪、確かインキュベータが言うには、リズ・ホークウッドのグリーフシードからだっけ?頭に近いから使いたくはなかったけれど、そうも言ってられない。
「早いですね」
「……ロンブル」
影操作を基軸とした苦無を地面に投げ指して影を広げる、そこに潜り、魔女を影の刃で切刻む。
急げ、魔女を倒すか、先に一般人を見つけるかのどちらか……見つけた。鹿目さん?!なんで?!いや、未来視ってことは、鹿目さんが魔女になった時のこともわかるのか……
「臨界・籠目」
飛ばした折り鶴は六枚、羽根を起点に、無理くりに、炎を呼び出すと、鹿目さんの周りに配置した折り鶴が炎が六芒星になるように、吹き出す。
「あそこですか、先に結界の外に出さないと」
翼を広げて、火柱が上がったところへ向かう。急いでも乗らないと……っ!今、魔女の気配が変わった?いや、増えた?なんで?いや、だって、ありえない、でも、優先するのは……
「鹿目さん!」
「忍接臥くん?!」
「急いで外に出ますよ、」
「わかった……その髪は?」
「今は後で、最悪な事になりました。すいません」
「何が?」
「まだ、知らないほうがいいです」
鹿目さんを、結界の外に連れ出して。僕は結界の中へと戻る。
「やっぱり」
巨大な布を被ったニワトリが鼻の高い紅色の仮面を幾つも付けた様な姿の魔女。人見さんと、佐木さんがいない、朱音さんは姿が見えるけど、血が流れている。
遅かった。
どちらかが魔女化して、それを見て動けずに、魔女に殺された、そう見るのがいいんですかね。
「遅かったわね」
「ええ、本当に、知っているならば、尚の事たちの悪いことを…」
「私じゃないわよ?ただ、佐木さんが、こんなチームにいる必要はないことを諭しただけで、魔女になったのは、佐木さんに否定された人見さんだもの」
「その筋書きが視えるから、言ってるんですよ」
「そう?なら聞いていいかしら、なんで貴方は未来視に映らないのかしら?」
「すでに無いものを見れるわけがないでしょう、最初に言ったじゃないですか、死人に口無しだと、それは未来でも同じです……説得しろとは言われてますけど、一人は弔いに狩らせてもらいますよ」
「へ〜やってみたら「優木沙々、お前はもともと風見野チームが追っていたな、手向けの首としては十分だろ」え?」
影の剣で、優木沙々のソウルジェムを砕く。
美国織莉子と、呉キリカは、いない。逃がしましたね。
魔女を倒して結界が消えると、臥煙さんから連絡がくる。
『余弦がそっちに向かっている、やすみなさい』
わかっていたなら、最初に言ってくださいよ、まだ覚悟ができだっていうのに。