「ほむらちゃんの場所は?」
「今探してます」
折鶴を見滝原中学に広げて、ほむらちゃんを探してくれる余正木くん。そう、今回の語りは私。鹿目まどかです。
「探してはおきますが、一度帰ってください。そろそろ日没です、一度家に顔を出さないと心配されますよ。それに、普通に火柱使っちゃったのでここにヒーローか警察が来る可能性が……」
「その心配はしなくてもいいよ、そのへんは邪魔がはいらないようにしておいたからね」
「あ、なら大丈夫ですね、でも」
「みんな!」
さやかちゃんが飛び込んできた。やっぱり忍接臥くんは距離がある…ってそうじゃない。
「美樹さん、貴方はバイオリンバカのところに行くべきでは?」
「アンタは……大丈夫、」
「蹴りをつけろって話です、気持ちに踏ん切りつけても行動に移せなきゃ意味がないですから、ちなみに今は家にいるみたいです」
「…言ってくる」
「さやかちゃん!」
「なに?まどか」
「頑張ってね」
「……わかった」
さやかちゃんを送り出して、私も家に帰る。
私にできることが、ほむらちゃんを止めることなら、不謹慎だけどそれはとっても嬉しいなって。今まで守られて、何も知らされなくて、任せきりだったから。
「見つけたら連絡します」
「わかった。お願い」
「任せてください。絶対に見つけ出します」
「うん、」
「幸せになりたいなら、現実から、不幸から逃げないことです。不幸がなければ幸せもありませんから」
家に帰り、ご飯を食べて。どうすればほむらちゃんを止められるか考える。そして気づく。なんで今頼ってくれたんだろう。私はほむらちゃんについて何も知らない。それよりも、ほむらちゃんや魔法少女、私たちについて沢山知っている、忍接臥くんみたいな専門家が凄い。
よく話すようになって二週間。それくらいだ。なのに、なんでも知っているみたい。
「はぁ……」
ため息をしても、出てこない答えに。自分が何もできないことが分かる。
少し落ち着こうと、水を飲みに一階に行くと。
「あん? 何だ、まだ起きてたのか」
「ママ……」
バスローブ姿のママがいた。
頼りになるけど、今の事を話しても伝わらないかもしれない。忍接臥くんが頑張っていたのは、大人では対処しづらいからだって言ってた。忍野さんや影縫さんが特殊な立ち位置にいるだけで、大人では意味がないらしい。
そんな事を悩んでいたのに、ママは話を振る。
「座れよ、まどか」
「……………」
コップに水を入れて、正面に座る。
何を言えばいいか分からない。
「………………」
「で?」
「え…?」
何か伝えたいことでもあったと思ったのに、逆に聞かれる。
「これでもあんたが生まれてからずっと母親やってたんだ。何かに悩んでることぐらいは解るさ」
「……………」
「あたしには話せないか?」
話せない。話していいかわからない。
「あたしは頼れないか?」
「そ、そんなことないよ! ただ、これは私が………私だけで、なんとかしないと。だから、頼ってくれたのに」
「なら。なんで頼らない」
「え?」
「誰に何か言われたか?頼られたから自分だけで背負うのか?お前は誰に育てられたんだ?」
「ママとパパ……」
急に聞かれたから、声が小さくなっていく。
「勉強は?」
「学校の先生……」
「お前に人付き合いを教えたのは?」
「と、友達………」
「そうさ。人は一人で人生を歩んでるわけじゃねえ。お前の考え、好きなこと、好きな話、嫌いなことも嫌なことも、ぜぇんぶ誰かが関わったお前の中で生まれたことだ」
「自分でやるって決めたなら何も言わねえよ。でも、自分だけでやらなきゃっつわれたら、それは違うと言ってやる。頼っちゃいけないことなんてあるもんか。それはお前が持つ自分の力だ」
「…………」
「そうじゃねえと、あたし等もお前に頼れないし………何より寂しいじゃん。だからさ、相談できることなら相談してくれ」
「……………うん、ママ。あのね………私、友達を傷つけちゃったんだ。違う、傷つけちゃうかもしれない」
ほむらちゃんに何か言う前に、忍接臥くんと忍野さんがいろいろ言っていたから、逃げたんだと思う。私に関係することで、だから頼ってくれたんだけど、私に関係するから私が傷つけてしまうかもしれない。
「その子は、転校してきたばかりで、どうしてか私に優しくしてくれたの。最初は、少し怖いところもあったけど本当はすごくいい子で。忍接臥くん……最近仲良くなった同級生の………あ、お兄さんと喧嘩して。何かあったら遅いからって、話してきたほうがいいって」
「ふ〜ん?」
「喧嘩した理由が、幸せになるために不幸せを無視してきたからだって言ってて。それでも、私を助けてくれたから、何とかしたくて。でも……その子を助けようとすると、その子の約束が全部意味がなくなっちゃうから……」
私を守るために、時を繰り返してきたと勘違いして。世界を渡ってきた。だから、私がほむらちゃんを助けようとすれば、ほむらちゃんの願い事は真っ向から否定される。
魔法少女にとって願いとは、魔法そのものだから、否定されれば魔女のなりやすい。忍野さんはそう言っていた。
「あたしとしちゃ、勝手に喧嘩して、勝手に託してんだから知るかよって感じだな。でも…まどかはそう思えねえんだな?」
ママの質問に黙って頷く。
「私を助けてくれたのに、私が何もしないのは嫌だし、でもその約束が意味なくなっちゃっうのも嫌だし。そもそも、その子と友達って言えるほど話していないし」
「助ける…ねぇ………友達じゃなきゃ助けちゃいけないなら助けなきゃいいだろ」
「………え?」
「でも、助けたいんだろ?」
「―――」
「なら、答えは出ているじゃないか」
ても、今は助けたいか、とかじゃなくて。
「わかっていることでウジウジするな」
「あうっ」
机を挟んで、額を指打ちされる。
「してもいいかなんて考えるだけ無駄だ。まどか、何がしたいか、何をしてやりたいのか、何になりたいのか……大事なのは、お前がやりたいかだ」
「……………うん」
頷くと、良しといって撫でてくる。
「今日はもう遅いから、まずは寝な。逸っても、意味ないことはあるからな」
「……………うん」
決めた。だから、待っててね。ほむらちゃん。