原作そのままの場面が多くなりやすいため、裁判パートは主人公が喋らない箇所はダイジェストになりがちです。予めご了承ください。
フクロウの鳴き声が響く。
メッセージを読み、ラウンジへ向かう。
昨日あれだけ話したかったゴクチョーが、目の前にいる。だが、口はピクリとも動かなかった。
説明を聞く。
(……魔女のせい?これを、少女達の内誰かがやったと?)
(見つけられなきゃ全員処刑……)
(文字通りの魔女裁判……処刑を回避するためには、誰かを奉げないといけない……)
だがゴクチョーは、途中聞き逃せない事を口走った。
(……主?それが黒幕の事だとしたら……黒幕の目的は……魔女化による殺し合いではない?)
「捜査時間は……二時間としましょうか。まあ……前向きに頑張ってください。」
(……情報共有が大事だ。まずは城ケ崎さんの事件について。本当に少女達の中に犯人がいるのか。殺したのは誰なのか。)
(……蓮見さんの言う遠野さんが犯人の可能性……頭には入れておこう)
(まず信頼できる人……黒部さんと蓮見さん。両方と連携して犯人を追い詰めよう。)
(まず黒部さんと黒幕が関与していないのかを調べる。それが最優先だ。)
既に蓮見さんと宝生さんは部屋を出た。
同じように、時間を無駄にしないよう動く。
黒部さんに近づく。
「
目を合わせ、二人が同じ事を考えていることを認識し、並んで部屋を出ようとする。
「ま、待って!ナノカちゃんとハヤト君も、犯人を探すの?」
「ええ。」
「なら……犯人を見つけたら、処刑するべきだって思ってるの?」
悲しげな表情でこちらを見てくる桜羽さんを前に、隣の黒部さんが少し動揺したように見えた。
だがその顔をすぐにしまい、毅然と振る舞う。
「ええ。犯人は恐らく魔女化している。なら放置するのは危険よ。」
「でも……」
「桜羽さん、俺たちは城ケ崎さんをよく知らない。それでも、殺されるべき人間だなんて思っちゃいない。」
「それは……ボクも同じだよ。」
「だから、探すんだ。殺された原因を、殺した者にどんな理由があったのかを。」
「……」
「ゴクチョーが言っていた。殺人事件は起きない方が良い。だが魔女になってしまったものはもう手遅れだと。」
「それは……」
「本当に魔女化のせいなんだとしたら……魔女化を抑える方法を見つけるまで、外に出てはいけないかもしれない。」
「ボクたちは……ここにいた方が良いの?」
「……だがそれも、ゴクチョーが本当の事を言っていて、俺たちの中に犯人がいた場合だ。牢屋敷側の運営が……魔女を処分した……その可能性を考慮して俺は動こうと思ってる。」
「犯人は……ゴクチョーの可能性があるってこと?」
「なるほど~。ここに私達を閉じ込めた人が、本当の事を言っている保証はどこにもないですからね!」
「納得してもらえたなら、もういいか?」
「ええ!一緒に謎を解きにいかないんですか~?」
「すまない。」
桜羽さん達から離れる。
「長々と話しすぎた。ごめん、そろそろ行こうか、黒部さん。」
「……ええ。」
◆
まず向かったのは監房だった。
しばらく捜査をし、お互いの認識をすり合わせる。
「血の蝶については恐らく城ケ崎さんの魔法として今は置いておこう。」
「部屋に足跡は無かった……誰も部屋に入ってはいないようね。」
「……凶器は分かった。」
「……ええ。一昨日伝えていた、無くなっていたボウガンの矢……」
「でもさっきのラウンジにはボウガンも無かった。そしてここのバケツに、分解されたボウガン」
「犯人はおそらくボウガンで撃ち殺した……」
「なら、犯行ができたのは全員……誰でも殺せたはずだ。」
牢屋敷の黒幕だけが使える手段ではないことに落胆する。
「城ケ崎ノアの遺体に触れれば魔法が発動できるかもしれないのに……施錠されてしまっているわね。」
「……壊されたボウガンじゃ駄目か……なら、佐伯さんの監房を探すか?」
「いえ、黒幕が直接的に犯行を起こすことはないはず。」
「なら……お手上げか?」
「いえ、証拠はなくとも、犯行時間のアリバイが全員にあれば、あとは牢屋敷を自由に動けるゴクチョー達運営による犯行と示せる。……あと、佐伯ミリアについて。」
事件が起こり、殺された少女も二人目。
(……予想はつく。)
「今回の事件、黒幕にそそのかされ、魔女化による殺人衝動によって起こっていた場合。」
「……分かってる。」
「ええ。これまでのような座視はできないわ。黒幕を始末して、すぐにでもこの悪趣味なデスゲームを終わらせる。」
「……それでも、佐伯さんが黒幕ではない可能性を俺は信じたい。」
「そう。ならあなたとは、これからは別行動のほうがいいかもしれないわね。」
「……そうだな。だが、今回の犯人を探す件については協力し合おう。」
「ええ。」
◆
その後は城ケ崎さんの足跡を辿ろうと様々な箇所を見て回る。
だが城ケ崎さんは、殆ど出歩かず、食事も部屋ですませ、シャワールームも使用していなかったようだ。
「……これ、アリバイ以外考慮できる要素ないんじゃないか?」
「……ええ、ここまで外に痕跡が残っていない以上、魔法で過去を見るのも無理よ。」
「……あとはボウガンが何時無くなっていたのか……」
「一昨日の日中はあった。そして昨日、無くなっていたのを確認している……」
「……誰でも盗める、か……そして昨日の夜から今日の朝までに城ケ崎さんは亡くなっている……」
「……あなたは昨日配信の後、監房に戻るまでの間城ケ崎ノアの死体を見ていないと言ったわね。」
「ああ。だから監房が閉まった後、就寝時間中に殺されたと見ている。……就寝時間に自由に動けるのは、看守とゴクチョー、黒幕のみ……」
「……いえ、夏目アンアンが、医務室から自分の監房に朝に戻ってきたのを私は見た。」
「何?」
「昨日の夜、自分の監房に戻っていない。だから朝に城ケ崎ノアが発見された……医務室にはロックがかからない……」
「……」
「……」
前提が間違っていない場合、あり得るのは一人だけ。
「……他の皆が見つける証拠によって矛盾点が出なければ、ほぼ決まり……か?」
「いえ、桜羽エマも、同じように監房にいなかったとして、それを確認できる者はいない。」
「……一人だけ同室の人がいないからか。」
「ええ。」
「なら殺害時刻にアリバイが無いのはその二人……」
「……城ケ崎ノアの死亡推定時刻が就寝時間なら、だけれど」
「?どういう……」
鐘の音が響く。
「これは……」
続けてフクロウの鳴き声が響く。
『魔女裁判の時間となりました。裁判所に集合してください。』
◆
裁判所に着く。広大な円形のホールと中心の鉄杭。
その周囲を囲むよう配置された十四の証言台。
それに刻まれた自分たちの囚人番号に従う。
(……皆の表情が暗い。当然だ、人が死んだのを目の当たりにして、その2時間後に犯人を探し出して処刑しろなんてできるはずがない。)
ゴクチョーの声が響く。
「それでは、魔女裁判……開廷です!」
最初に口を開いたのはやはり蓮見さんだった。
それに反応し、橘さんが部屋に舞っていた蝶について切り込み、ダイイングメッセージの相手ではないか指摘された宝生さんが自殺の可能性を論じ、それを桜羽さんが床の塗料の傷で反論する。
(皆が真実を探すよう誘導した……桜羽さんは、案外芯の強い子なんだな)
桜羽さんの意外な一面を見て驚く。
そうしている間に求めていた議題がくる。
「ノアさんを殺した凶器について!お話しましょう!」
(ここだな。)
「それについて、黒部さんが昨日言っていたと思うが、ラウンジのボウガンと矢が無くなっていた。そして、これを見てくれ。」
バケツに入れられている部品の写真を見せる。
「これはボウガンの部品だ。恐らく、ボウガンを撃った後、破壊して証拠隠滅しようとしたんだ。犯行に使われたのは、ボウガンだ。」
「ちょっと待って!」
「?桜羽さん、どうかしたのか?」
「実はボクとメルルちゃん、同じものを昨日の夕方に見てて、その時、ノアちゃんの姿を見てるんだ。」
「は、はい……その時、少し部品を持って行ったんです。だから、ノアさんを殺すのには使えないと……思います。」
新たな情報で、前提が覆される。
「……そうだったのか。ありがとう、指摘してくれて。」
「でもその場合、矢をどうやって犯人は刺したんだ?」
紫藤さんの疑問も尤もだ。
ボウガンが前提で考えていたが、その場合矢を届ける手段が振り出しに戻ってしまった。
そのタイミングで、蓮見さんが声を上げる。
「ならやはり、ハンナくんにしか犯行はできない。彼女は、魔法で浮くことのできる唯一の存在だ。」
「わたくし、やっておりませんわ~!」
「だが、部屋の状況は、キミ以外に犯行ができない事を示している。塗料を踏むことなく近づいて矢を刺すことのできるのは……」
「それはおかしいよ!」
「エ、エマくん?」
「レイアちゃん、塗料を越える必要は無いよ。矢を刺す方法はある。それは……伸ばせば良いんだよ。」
桜羽さんの説明を聞きながら考える。
(……殺す手段は桜羽さんの言う方法でいい。だがそうなると不利なのは桜羽さんの方じゃないのか?)
(アリバイが無いのは桜羽さんと夏目さんの二人……)
案の定、皆のアリバイを確認する。
が……そこで不穏な流れになる。
「実は配信の後、皆監房の中を見ていない。城ケ崎ノアは既に死亡していたのではないか?」
(……待ってくれ。)
城ケ崎さんの死亡推定時刻が、変わる。
(その場合……)
「いんだろ、そこにアリバイのねーヤツが。」
(まさか……)
「
皆の視線の先には……俺と、蓮見さんがいた。
(噓だ。)
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