銀魂 紅きイカズチ   作:ダイナマイト

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二話目


過去をちょろっと出しとけば大抵は好評

 

 

 

───降りしきる雨のなか・・・家と家のわずかなスキマ・・・僕は雨宿りしながら1人空を見上げていた。

別にこの雨が今の暗い感情を洗い流してくれるなんて思っちゃあいない。

 

ただ・・・この暗い空が・・・自分みたいだと思っただけ・・・

 

雲はいずれ流れてゆく・・・帰る場所もなしに・・・

そんな所まで僕と同じだ。もう・・・帰る場所なんて・・・ない。

 

『 おや・・・こんなところで雨宿りなんて珍しい・・・ 』

 

 

 

『 ご一緒しても よろしいですか? 』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

懐かしい夢を見た・・・先生と初めて出会った時の夢だ。

 

あの人は、持ってた傘をこちらに傾けて・・・今まで見たことの無かった・・・優しい笑顔を俺に向けてくれた。

ただ・・・先生は優しい人で・・・でも曲がったことは許せない真っ直ぐな人だった・・・

 

そんなことを考えたら、涙が出そうになったから・・・オレは思考を切り替える。

 

戦争が終わって一年ほどたったか・・・ここ吉原を住処としたおかげか・・・オレは幕府から追われることはなかった。

まあ・・・吉原と言っても外れも外れ、地上の方が近い所だが・・・

 

法治都市吉原・・・幕府の・・・いや、天人の法も届かぬここは夜兎の王に支配されていた。

 

夜王 鳳仙・・・宇宙最強ともうたわれる奴の力は大きかった。

 

戦争中、あの兎は何匹か相手したが、もう嫌だ。あんな化物とまたやりあうなんざごめんだ。

 

月詠ちゃんを護るだけなら、あいつを殺る必要はないだろう。あの娘もそんなことは望んじゃいないだろう。

 

いつもの格好に着替え、仕込み杖を持つ。

雷模様の着物の上に、皮のジャケットを羽織る。

胸にタバコを突っ込んで・・・オレは常夜の町へ躍り出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「下手人が出たぞっ!!出会え出会え──っ!!」

 

月詠ちゃんが百華を率いて言っているのだろう。遠くでそんな声が聞こえる。

この1年で・・・彼女もえらい別嬪さんになったもんだ。

俺らの関係は会ったら話す、その程度だ。

 

「ちぃっ!ガキめッ!」

 

っと・・・どうやら下手人とやらが来たらしい。

 

「どけっ!!そこの男っ!!」

 

下手人が刀を抜いてこちらに向かってくる。

 

スッ

 

「ど・・・どこだっ!何処に行ったっ!」

 

さっきの奴が何かを呻いている。大方オレがすでに通り抜けたのを気付いていないのだろう。

 

「すまん・・・

       もう切った。」

 

「がはっ・・・」

 

さて・・・百華が来る前に逃げるとしようか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ~、おっかないねェ・・・」

 

百華の軍団が通っていくのを路地裏で見ながら、オレはそう呟いた。

 

「オレ等百華は吉原を仇成す存在を滅す部隊だァ・・・」

 

「お前さんも・・・そいつの1人さ。」

 

闇から現れた男が、オレの首に小刀を当てそういった。

 

「そいつァ悪リィー冗談だ。オレは護ってやってるほうだぜ?」

 

「そっちこそ冗談言うなよ。お前は立派な・・・この町に仇成す不貞ェヤローだ。」

 

じゃあ勝手にしな・・・そう吐き捨てながら、オレは続ける。

 

「自由なんて何一つ無い町さ。女の涙すら霞んじまう悲しい町さ。」

 

くるりと・・・首筋に当たる刃を押しのけ、オレは男の方に振り返る。

 

「蜘蛛手の地雷亜さんよォ、オレァこの町にはたくさん気に喰わねェモンがある・・・」

 

「そん中でも特に気に入らねェのがあんだがよォ・・・」

 

「別に下手人とやらでも、夜王とやらでもねェ・・・」

 

仕込み杖を抜き、地雷亜に突きつける。

 

「テメェだよ、テメェ・・・」

 

地雷亜はニヤリと笑って後ろに飛び退き苦無を投げつける。

オレはそいつを叩き落としながら距離を詰める。

 

「月詠ちゃんは・・・お前の事を実の親のように慕っている・・・」

 

ギンッギン

 

「ここに売られてきたんだ、実の親なんて・・・もういないも同然だろう。」

 

次々と迫り続ける苦無を避け、叩き落としながらオレは続ける。

 

「だから・・・技を教えてくれるテメェを・・・師として、親として慕うのも当然だろう。」

 

「そりゃそうさ、あいつにはオレのすべてを教えている・・・」

 

(宙に・・・浮いている?どんな手ェ使いやがった・・・?)

 

月を背に、地雷亜が言った。

・・・だが、オレの話はまだ終わっちゃあいない・・・ッ!

 

「でも・・・親っていうのは・・・師っていうのは・・・」

 

宙を自由自在に駆けながら、地雷亜はオレを切りつけてくる。

慣れない立体的な攻撃に、オレはされるがままになっていた。

 

「グッ・・・」

 

さすがにもらい過ぎたか・・・だが、オレの言いたいことはそれだけじゃあないんだ・・・。

 

「ガキが間違った方に行きそうになったら・・・体張って止めんのが・・・師のッ!親の責任だろうがッ!!!」

 

未だ切り続ける地雷亜に、オレは啖呵を切る。

奴は気付いているだろうか?オレがもう攻撃を防ぎつつあることを・・・

 

「それを・・・」

 

次・・・左後方から・・・・・!!!

 

「それをッ!親であるテメェが真っ先に間違って・・・どーしやがるんだッ!!!」

 

オレは振り返って、右拳を振りぬいた。

 

「ぐぉっ・・・」

 

そして地雷亜を地面にたたきつける。

 

「師を名乗るんなら・・・自分から育て直しやがれ!!」

 

オレは地に倒れ伏した地雷亜にそう言った。

 

剣を下げ、おもむろにタバコを咥える。

そしてタバコに火を付けながら続ける。

 

「そして・・・親として彼女を支えてやりな。」

 

チッ、くらいすぎたか・・・

そう呟き、地雷亜に背を向け歩き出す。

 

「・・・知ってるさ、親としての、師としての努めくらい・・・知っているさ。」

 

「ッ・・・!!!」

 

まだ意識があったか!!

 

地雷亜は小太刀を両手に持ち、こちらを向いて立っていた。

 

「・・・知っているからこその・・・オレのやり方だ。あいつには・・・オレみたいな目にあって欲しくないからこそっ!!!」

 

どうやらオレは勘違いをしていたらしい。

てっきりオレァ月詠ちゃんを利用しているとばかり思っていたが・・・歪んではいるが愛情はあるらしい。

 

地雷亜がこちらに向かってくる。

オレは再び剣を構えた。

 

スッ・・・

 

 

 

すれ違いざま、互いが互いを切ろうと狙う。

 

バタッ

 

倒れたのは、地雷亜だった。

 

「安心せい・・・みねうちじゃ・・・。ってやつか?」

 

「まあ安心しろや、お前が死んだら月詠ちゃんが悲しむからな。」

 

剣を収めながら、オレはそう言った。

 

「プハァ~~。」

 

最後の一吸いをして、タバコの火を消す。

 

紫煙が空へと伸びていく。

いつかこの空でも月が拝める日が来るだろうか。

 

それまではあの小さな月を拝んでいよう。

雲が・・・いや蜘蛛が月を覆い隠してしまうことがないことを祈りながら・・・。

 

 

 

 

 

 

 




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