「いやぁ今日朝抜いてきちゃってさぁ、ホント参っちゃうよね~☆」
「おいおいマジかよ……」
「……ッ!?」
いつも通りの教室、休み時間に何気なく聞こえてきた言葉に、美竹蘭は目を丸くした。
(は!?アイツ教室で何話して……!?)
声の主は幼馴染の中の唯一の男子、大谷正宗だ。クラスの男子と談笑しているらしい。
男子高校生というものは下ネタに敏感とは言うがここまでとは……そう呆れながらも蘭は耳を澄ます、少し距離があり会話が聞き取りずらいが問題はないだろう。イヤホンをスマホに繋ぎ無音のまま耳に装着し音楽を聞いている体を装うと
「そんで……オカズ……なんに……」
「あぁ……今日は……蘭……」
「美竹さん……だろ?……相変わらずだなお前は」
(!?……あたし!?あたしで……シたの!?自家発電的なアレを!?は!?)
驚きの余り思わず机に頭をぶつけそうになるのを堪えながら平静を装うためにと呼吸を整える。
(いやまぁ……他の女の人でそういうことされるのは何か嫌だけど……かといっていざそう言うの大っぴらにされるのもなんか……違くない!?)
頭の中で思考を巡らせながら幼馴染に思いを馳せる。元々父親同士が親友であったが故に幼馴染となり男子としては1番親しいといっても過言ではない仲だ。
むかしから様々な場面で助けられており悪く思ってはいない。Afterglowのメンバーと揉めてしまった時も相談に乗ってもらった回数は計り知れない。
(まぁ実際優しいし……いざって時ちゃんと頼りになるし……て言うかそもそもアイツ意外男と関わりなんてないし……それに……)
などと言っているがこれ理屈を並べるのも野暮だ、結論から手っ取り早く言おう。
……惚れているのだ、既に。
でなければ性的な目で見られている事に対し先に嫌悪感などが出てくるだろう。
実際のところ幼馴染……Afterglowのメンバーからは
《某ギター》
『まだくっつかないの~?マサくんクッソ鈍いから急がないとおばあさんになっちゃうぞ~?』
《某ベース》
『何回か2人で出かけてるんだよね?てか一緒に寝たんだよね?それでも進展なし!?』
《某ドラム》
『……まぁホラ、無理に焦んなくてもいいんじゃないか?』
《某キーボード》
『蘭ちゃん、相談ならいつでも乗るからね?』
と、急かす声、進展を疑われる声、もはや哀れみに近い声までかけられる始末だ。
一応本人もアピールはしているつもりだ。露出の高い格好でへやに上がり込んだり、ボデイタッチをそれとなく増やしたり、毎年渡すバレンタインチョコにはモカ達と打ち合わせをして自分だけハートマークのチョコを渡すようにしたり。
しかし当の本人はかなり鈍い、と言うより長年の積み重ねか自分の事を同い年の妹のようなものとしか思ってないのかと思うレベルでアプローチをかわされ続け悶々とした思いを長年募らせていたのだ。
そんな中でも正宗をモノにするためにタイプの女性を調べるうちにセンシティブな内容の物にも手を出し始めた。
その結果……
なんと美竹蘭は極度のムッツリスケベと化した。
程度を例えるのは憚られるが少なくとも自身の腹部に定規を当て正宗の《自主規制》のサイズを妄想したり……
官能小説、果てはエロ漫画(無論全て幼馴染もの)まで読み漁る始末だ。
挙げ句の果てには正宗に押し倒されそのまま抱かれてしまう夢すら何度となく見ている。
……あぁ何でこうなってしまったのやら。
……この物語は脳内真っピンクの赤メッシュが幼馴染の言動に一喜一憂しながら過ごしていく物語であるである。
《ちなみに答え合わせ》
『それで……?オカズどころかなんにも食べずに学校来たのかよ?』
『あぁ、今日は寝坊しちゃって蘭達待たせちゃってさ……』
『美竹さん心配してたろ?全く相変わらずだなお前は……』
《次回予告》
『湊さんこの前一緒に撮ったやつみます?』
『本当に気持ち良さそうだったわよね、私まで変な声が出てしまったわ』
『ハ○録り鑑賞!?ライブハウスで!?』