ナザリック地下大墳墓の5日間戦争。 内政改革と、とあるメイドが掴んだ至高の奇跡 作:バルカン39
好きなオーバーロードがもしこんな展開になればどう変わるのかを書きました。
AIを用いた執筆のため、誤字脱字やこのキャラクターはこんなセリフ言わない!などの違和感があるかもしれません。どうかご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いします。
第一話 好奇心はオーバーロードをも殺す
ナザリック地下大墳墓の最深部、玉座の間。
アインズ・ウール・ゴウンは、骨の手の平に載せた小さな琥珀色のオーブを見つめていた。
それは、宝物庫の領域守護者であるパンドラズ・アクターが
「お父様、このような極めて興味深い稀少アイテムが発見されました!」と恭しくアインズに手渡した、一定時間種族を人間に変更する超稀少なアイテム『生者の檻(ケージ・オブ・ライフ)』
魂を肉体という脆弱な器に一定時間閉じ込める呪物。これを使用した異形種は、不老不死の肉体を失う代わりに、病と老いに怯える「人間」としての生を強制される。
(……まあ、ただの気まぐれだ。もし少しでも人間の感覚に戻れるなら、この虚無感も和らぐかもしれない)
ほんの好奇心だった。アインズがアイテムを発動した瞬間、眩い光が彼を包み込む。光が収まったとき、そこにいたのは至高の死者の王ではなく、黒髪の、どこか頼りなさげな人間の青年だった。
「……あ、あ、声が出る。だが、これは……!」
アインズは己の肉体の変化に驚愕した。骨ではなく、温かい肌がある。そして同時に、アンデッド特有の『精神強制静謐』が失われたが、運よく人間に戻ったアインズの心は意外にも落ち着いていた。
(ふむ、アンデッドの強制静謐がなくとも、かつてサラリーマンとして理不尽なデスマーチを乗り越えてきた経験がある。この程度の変化、冷静に対処すれば問題ないな)
鈴木悟としての社会人経験が、思わぬところで発揮されていた。しかし、実験の場に同席していたパンドラズ・アクターの耳に、生々しい異音が届く。
――グゥ……。
しばらく何も食べていなかった人間の肉体は、強烈な空腹感から情けない音を立てて腹を鳴らし、喉が自然と唾を呑み込んでしまうという、異形種時代にはあり得なかった生理現象を引き起こした。主は己の身体を持って、人間という種族が飢えや生理現象から決して逃れられない存在であることを、身を以て証明したのだった。
その腹の音を間近で聞いたパンドラズ・アクターは一つ咳払いしたあと、オーバーな身振りを一切捨て、鋭い敬礼と共に静かに告げた。
「お父様、実験は成功のようですね。……これより先はアルベド様に護衛を任せ、私は本来の持ち場である宝物庫へと帰還いたします」
「うむ、頼む、パンドラズ・アクター」
パンドラズ・アクターが宝物庫へと去り、入れ替わるようにしてアルベドとデミウルゴスが呼び出された。
「アルベド、デミウルゴス。これは……ある大いなる実験の一環である。現在、私のステータスを確認したところ、人間化に伴い能力値が一時的に大幅に減少している」
「私の護衛体制を通常の三倍に強化せよ。何者かがこの隙を狙う可能性がある、細心の注意を払え」
『御意に、即座に配置を』
アインズが冷静にコンソールを見つめながら告げると、そのステータス減少を確認したアルベドは、顔色を変えて即座に通信網へ怒号を飛ばし、護衛強化の指示を出した
守護者たちはアインズの意図を「深謀遠慮なる計画」と捉え、外周の警戒網を極限まで引き上げた。
アインズは急ぎ私室へと戻った。
まずはこの人間としての身体に合う服に着替え、各階層へ情報共有・ナザリック内の混乱を落ち着かせる必要があった。
部屋には、主の身の回りの世話をするために、戦闘能力を持たない一般メイド(ホムンクルス・メイド)の一人であるシクススが控えていた。
アインズが着替える間、その給仕は一般メイドであるシクススに任せられた。一方、護衛であるアルベドは冷徹に状況を分析していた。
(ナザリックの防衛を司るシステムアリアドネの制限上、アインズ様本人ですら、この私室から外への転移は可能であるが私室内への直接転移することは不可能。つまり、外敵がこの部屋に直接現れることは100%あり得ない。私室は完全なる絶対安全圏……)
システムアリアドネのルールがある以上、私室に直接転移してくる敵など存在しない。
つまり唯一の出入り口である執務室を守れば私室は安全であると、今後一生消えることのない大罪を犯したアルベドは、着替えの管理を一般メイドに任せ、自分は執務室にて外から来る敵への対応及び溜まった書類仕事等の膨大な業務をこなすため移動した。
(さて、この服に着替えねばな……)
アインズが冷静にシクススの手を借りてローブを脱ぎ、人間の細い身体を晒したまさにその時、空間が奇妙に歪んだ。
ナザリックの防衛網が外周へ集中し、アルベドが執務室へ移動したその一瞬のエアポケットを突くように、私室の影から陽炎のような人影が躍り出た。
それは、ナザリックの外部から侵入した、極めて隠蔽スキルの高い暗殺者――『襲撃者』がまさにアインズの私室内へと滑り込んできたのだ。
襲撃者の放つ殺気は、人間になったアインズの五感を恐怖で凍りつかせた。
(動けない……! なんだこの殺気は、身体が、動かない……!!)
アンデッドの肉体なら無効化できていた「恐怖」の感情が、人間の心を完全に支配していた。
襲撃者が掲げた漆黒の短剣が、無防備なアインズの胸元へと、一直線に突き刺さる――。
「――アインズ様!!」
着替えを手伝っていたシクススが、異変を察知して振り向いた。
彼女の戦闘レベルはわずか「1」。襲撃者の放つ一撃を受ければ、ひとたまりもないことは分かっていた。
しかし、彼女の創造主たちへの忠誠心は、死への恐怖を遥かにスキップしていた。
ドサリ、と鈍い音がした。
「ガはっ……!?」
シクススは自らの身体を投げ出し、アインズと暗殺者の間に割り込んだ。
鋭い短剣が、彼女の華奢な背中を深く貫く。鮮血がアインズの頬に飛び散った。
「なっ……!?」
襲撃者が驚愕に目を見開く。まさか羽虫のようなメイドが、命を捨てて肉壁になるとは思ってもみなかったのだ。
「アインズ……様……お逃げ、ください……!」
シクススは血を吐きながらも、必死に襲撃者の腕にすがりつき、その動きを止めた。
その執念の数秒が、アインズの、鈴木悟の覚悟を決めさせた。
(仲間が作った子供たちを……私の目の前で、二度と殺させはしない!!)
恐怖が怒りへと塗りつぶされる。人間になろうとも、彼が培ってきた魔法の知識と、体に刻まれた発動のプロセスは消えていなかった。アインズは懐の狂気的なマジックアイテムの数々から、即座に発動できるリング・オブ・アインズ・ウール・ゴウンの指輪を起動した。
「ほ、宝物庫へ転移!!」
アインズは負傷したシクススの身体を抱き寄せ、襲撃者の追撃が至る直前、眩い光と共に私室から消失した。
アインズの私室に取り残された襲撃者の手には蝶のレリーフが刻まれた漆黒の短剣が黒光りながら空を切っていた。