スキル『日本』。初期は『勤勉になるだけ』のゴミだったが、開花するにつれ、ゼロ戦、忍者、和食、台風……いくらなんでも強すぎて、みな頭を抱えてる‐センエース‐   作:閃幽零

13 / 14
13話 超スキル2が覚醒!!

 

 13話 超スキル2が覚醒!!

 

(1000人蘇生できる力は、何度でもか? それとも、ドラゴ〇ボールみたいに、一回限り? めちゃくちゃ重要なところだから、しっかり説明してほしいんだがなぁ……俺のスキル、絶妙に不便なんだよなぁ……)

 

 考え込むセンの隣で、ミシャが、机の上に地図を広げた。

 北大陸の西端に、ちっぽけに描かれたセファイラ。

 その東に、地図の半分近くを塗りつぶすように広がる、デカール大帝国。

 

「……今後の、デカールとの戦《いくさ》について話したい」

 

 ミシャの声が、軍議の間の空気を引き締める。

 

「今回は、なんとか、ロス軍を退けた。だが、ロス皇子を仕留められなかった。今ごろは、本国へ向かっているはずだ。……これで戦いが終わるとは思えない。デカールにとって、皇子が小国に敗れたというのは、見過ごせる敗北ではないだろう。帝国のメンツを潰された……と考えてもおかしくない」

 

「……報復は、さけられぬでしょうな」

 

 宰相が、しわがれた声で応じた。

 

「放っておけば、ほかの属国に示しがつきませんからな。『セファイラにできたなら、自分たちも』と考える国が出てくる。帝国は、それを何より恐れるはずです」

 

「最悪の場合、ドーンとの戦を一時止めてでも、こちらに多くを割いてくる……ということもありうるか」

 

「ありえます。デカールの兵員は、総数で100万を超えます。仮にその一割でも差し向けられれば、10万」

 

 宰相は、手元の紙に目を落とした。

 その指が、かすかに震えている。

 

「対して、我が軍は……出陣した3000のうち、2000を失いました。何とか生き残ってくれた1000も負傷者ばかり。すぐに戦える者は……半分にも満たないかと」

 

 軍議の間が、しんと静まり返った。

 

 無理をさせれば、1000人全員を戦わせることはできる。

 だが、傷だらけの1000人で、10万もの大軍を相手にどうしろというのか。

 

 センは、地図の上の、あまりにも小さな自国を見下ろしながら、

 

(1000対10万……下手したら100万……終わってんな……)

 

 心の中で、深いため息をついた。

 

(仮に、千本桜が、無限に1000人を蘇生できる力だったとしても……この兵力差じゃあ、リスポーンキルされて終わりだぜ。ゼロ戦で殺せるのは1000人程度……日本刀も忍者も強いけど、ロスの時みたいに、上位者に範囲魔法を使われたら、まとめて吹っ飛ばされるだけ……)

 

 スキル日本は、かなり強い能力である。

 それは間違いない。

 しかし、デカールのような大国を丸ごと相手にする場合、決定打に欠ける。

 

(もっと、何か……例えば、戦艦大和《せんかんやまと》とか超重戦車オイとか……もういっそ、ウイングガン〇ムゼロエンドレスワルツぐらい出てきてくれねぇかな……)

 

 などと思っていると、

 世界の声が聞こえた!!

 

(よっしゃ、キタぁああ! ゼロカスこい!! テレビゼロでもいい!!)

 

 

 ――固有スキル『日本』が進化。

 ――超スキル2『平成の牛丼屋』を獲得!!!

 

 

 同時に、脳内へスキル情報が流れ込んでくる。

 うまい!

 やすい!

 はやい!

 

 センは、机に両ひじをついて、頭を抱えた。

 

(ついに、スキルがボケかましてきやがった……ふざけてる場合じゃねぇだろ、あほんだらぁ……)

 

 その様子を見て、ミシャが、けげんそうに眉をひそめる。

 

「……セン? どうした?」

 

「いや……なんでもないです。ちょっと、頭痛が……」

 

 センは、はぁ、と深くため息をついた。

 

 その直後、

 『軍議の間』の窓の外、城下町の空き地のあたりで、低い地鳴りが響いた。

 

「な、何事だ!?」

「まさか、また、忍者学園の時のような……」

 

 重臣たちが、弾かれたように立ち上がり、窓へと駆け寄る。

 

 何もなかったはずの空き地に、見たこともない建物が、忽然《こつぜん》と建っていた。

 

 平たい箱のような、一階建ての建物。

 正面は、一面が透き通ったガラス張り。

 屋根の上では、橙色《だいだいいろ》の看板が、昼間だというのに、魔法灯より明るく光っている。

 

 窓辺に集まった者たちが、口々につぶやく。

 

「……なんだ、あれは……店、か?」

「最近のこの国は、いったい、どうなっておるのだ……」

「あれも、忍者学園のように、われらの力になるものならよいのですが……」

 

 誰もが困惑する中、

 センだけが、遠い目で、その看板を見つめていた。

 

(まあ……牛丼が食えるのはありがたいが……どっちかといえば、すし屋がよかったなぁ……)

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。