スキル『日本』。初期は『勤勉になるだけ』のゴミだったが、開花するにつれ、ゼロ戦、忍者、和食、台風……いくらなんでも強すぎて、みな頭を抱えてる‐センエース‐   作:閃幽零

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4話 セファイラとデカール、戦争開始。

 

 4話 セファイラとデカール、戦争開始。

 

 周囲の参謀たちがざわめく中、ロスは、感情の薄い丁寧な声で言った。

 

「ミシャ王女が想像以上に育っていたのか、それとも、『突然変異の覚醒者』でも現れたのか……何があったのかは知りませんが……世界最弱と言っても過言ではない小国のセファイラすら処理できない者に用はありませんね」

 

「はっ……仰る通りかと」

「……ルットの馬鹿め……」

「これだから平民上がりは……」

 

 もともと、ロスは、ルットのことを快く思っていなかった。

 

(醜い血筋が爵位《しゃくい》を得るなど、あってはいけない)

 

 それでも、これまで重用してきたのは、単純に使えたから。

 レベル110は、デカールの中でもかなりの上澄み。

 その上で、汚れ仕事も、面倒な前線指揮も、文句一つ言わずにこなす便利な駒。

 

(高貴な血を持たぬ者が図に乗っている様は、ただただおぞましい……なにより、皇族の沽券《こけん》に関わる)

 

 いずれ、しかるべき時が来れば消すつもりだった男。

 ちょうどいい機会だった、とロスは内心でほくそ笑む。

 

 そこで、副官が、ロスにそっと、

 

「……もしかしたら、『フーマルの神格』が、いたずらに介入したのでは?」

 

「その可能性もゼロではありませんが……だとしたら、なおさら願い下げですね。実力で負けた者より、運に見放された者のほうが、よほど縁起が悪い」

 

 ロスは、腹心の副官に向き直り、

 

「ルットの妻は全員処分しなさい。屋敷ごと徹底的に破壊し、その様を、他の将校全員に見せて回るように。私の命令を遂行できなかったことがいかに罪深いか、骨の髄まで理解させなさい」

 

「……ルットの子供についても、同様の措置を?」

 

「いえ。やつの子供は高レベルです、殺してはいけません。しかるべき養育院に移し、洗脳教育を施しなさい。『父親は怠慢で敵兵に殺され、簡単な任務に失敗。その罪を母が支払った』――憎むべきは敵。失態こそ何より重い罪。そう、徹底的に刷り込むように」

 

「……承知いたしました」

 

「それと、セファイラには宣戦布告を」

 

「表向きの理由は、いかように?」

 

「奴らは、ドーン共和国と交戦中であった我々の背後を突こうとした。その先制攻撃により、ルット将軍は討たれた。――ゆえにこれは粛清である。聖戦だと、そう発表なさい」

 

 副官は一礼すると、表情一つ変えぬまま、静かに広間を去っていった。

 

 ★

 

 デカールから正式な宣戦布告が届いた。

 

 わかっていたことだ。

 ルットを討った時点で、こうなることは目に見えていた。

 

 それでも、セファイラの謁見《えっけん》の間《ま》は、重い沈黙に支配されていた。

 

「……斥候《せっこう》の報《しら》せによれば、ロス軍、総勢2万。うち騎兵が5000、魔導兵団が1000。国境の砦までは、3日もあれば届きましょう……対する我が軍は、老兵と民兵をかき集めても3000足らず。そのうち半数は、昨日までクワを握っていた者たちにございます……」

 

 白髪の宰相が、地図を見ながら絞り出すように言う。

 

「ルット軍を退けたのは、奇跡のようなもの……そのルット軍ですら、500程度であった……」

「また、あの鉄の龍がきてくれれば……」

「あんな訳のわからないものに期待すべきではないだろう」

「そもそも、味方かどうかすらわからない」

「たまたま噴いた火が、敵兵に当たっただけかもしれんしな」

「あの龍は、フーマルの神格が遣《つか》わした、気まぐれな遊びであると私は睨んでおる」

 

 センは、『ルットにとどめを刺した英雄』として同席を許されている。

 周囲の認識は、あくまで『鉄龍が敵兵の大半を屠り、センは死に瀕したルットの息の根を止めただけ』というもの。

 

 ちなみに、センが急に謎の羽織を身に着けたことに関しても、周囲の疑問は湧いたが、センは『自分でもよくわからん』とテキトーにごまかした。

 

 センは、ミシャの隣に座り、腕を組んだまま、議論には加わらず、天を仰ぎ、

 

(2万、か……)

 

 心の中で、静かに数字を転がす。

 

(ゼロ戦の掃射は、すげぇ火力だったが……あれを召喚できる時間は、かなり短い。全軍を殲滅するのは無理だろうな……)

 

 おそらく、殺せるのは1000人が限界だろう。

 

(それに、今度の敵将であるロス皇子は、皇族だけあって、ルットより格上だって話だしな。確か、レベル150以上あるんだっけか……)

 

 となると、相手の大将だけを殺す、という手法も使えない。

 仮にゼロ戦でロスを殺せたとしても、将棋じゃないのだ。

 大将を取ったからって、敵兵全員が降伏するわけじゃない。

 残った19000人が、セファイラを踏みにじるだけ。

 

 勝ち筋が見えない。

 ミシャも、青ざめた顔で唇を噛んでいる。

 

 センが眉間にしわをよせて、

 

(どうにか、しないと……)

 

 拳を握りしめた、その時だった。

 

 世界の声が、また聞こえた。

 

 

 ――固有スキル『日本』が進化。

 ――スキル3『忍者学園』を獲得!!

 

 

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