機械仕掛けの竜と相棒の物語   作:サンデン

16 / 16
魔装竜と新人ハンター

 

ドボルベルクとの死闘の代償は小さくなかった

 

人竜一体の圧倒的な格闘戦と荷電粒子砲にて山のような巨竜を沈黙させたものの、その過程で私の機体フレーム――特に下半身のサスペンションと右の逆関節部には、許容量を超える過負荷が蓄積されていた。

 

『警告:右脚部フレームに亀裂を検知。駆動系オイル漏れおよび油圧低下』

 

『自己修復プロセス、稼働中……ただし、損傷の規模が標準ナノマシンの修復レートを大幅に超過』

 

ガタガタと重い金属音を立てながら、私は古代林のうす暗い獣道を進んでいた。

 

自給自足のエネルギーコア自体は99%を維持しているものの、物理的な「構造の歪み」は無視できないエラーを引き起こしていた。歩行するたびに、重厚なチタン装甲からキリキリと不気味な軋み音が響く。

 

その時、前方の木立からガサリと音がして、見慣れたボロボロの防具を纏った影が飛び出してきた。

 

新人ハンターだった。彼は先日ドボルベルクを共に打ち破って以来、私に対して奇妙な信頼と親近感を抱いている。

 

「お!居た居た……どうしたんだ……? 歩き方が変だぞ、鉄のトカゲ、いや…ジェノザウラーだったな」

 

新人は私の足元に駆け寄り、右脚の関節部から漏れ出している黒い冷却液と、装甲に走った深い亀裂を見つけて目を見開いた。

 

「うわ、すっげえ傷だ……あのドボルベルクとの戦いで、無理しすぎたのかよ」

 

『対象:人間。接近行動を検知。脅威度ゼロ』

 

私は頭部センサーをわずかに下げ、かすかに赤く明滅させることで現在の稼働不良を伝えた。

 

新人は腕を組み、真剣な表情でしばらく考え込んだ。そして、何かを決意したように私を見上げる。

 

「なあ……このままだと、お前、そのうち動けなくなっちまうだろ。この森にはお前を直せるような鍛冶屋も、パーツもない」

 

彼は私の胸部、かつて彼を飲み込んだコクピットのハッチをポンと叩いた。

 

「俺の村……ハンターズギルドの拠点まで来いよ。あそこには、数々のモンスターの素材から武器や防具を作り出す腕利きの職人たちが揃ってる。お前のその傷を直せるかどうかわかんねえけど、このまま森で野垂れ死ぬよりはマシだろ?」

 

共生への一歩

 

『解析:提案の妥当性を検証。現在の物理的損傷による稼働停止確率、34.5%上昇。外部メンテナンス施設の利用、生存確率の最適化に寄与』

 

私の生体コンピュータは、人間の村という「未知の敵性領域」への侵入リスクと、現在の致命的な損傷を修復するメリットを天秤にかけた。

 

結論――合理性は後者に傾いていた。

 

プシュー、と高圧の蒸気が噴き出し、胸部のハッチがガバリと大きく開いた。

 

新人は少し驚いた顔をしたあと、ニヤリと笑って大きく頷いた。

 

「よし、そういうことだな。またお邪魔するぜ、ジェノザウラー!」

 

彼は迷うことなくコクピットの内部へと飛び込み、シートに身を収めた。

 

ガチャリ、と重厚なロックが閉まり、再び私の生体コンピュータと彼の神経系がダイレクトにリンクする。

 

『同期率:安定。パイロットの指示に基づく移動ルートを統合』

 

私たちは、古代林の鬱蒼とした木々を抜け、人間たちの待つハンターズギルドの拠点へと、その重い足音を響かせながら舵を切った。

 

最強の破壊兵器と、一人の新人ハンター。奇妙な共生関係を結んだ「人竜一体の災厄」が、今、人間たちの文明圏へと足を踏み入れようとしていた。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
点
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

ケロロ軍曹  来訪! 伝説の兵士ギャララ 、であります(作者:ケツアゴ)(原作:ケロロ軍曹)

 ケロロ達が生まれるよりも前、ケロン軍には最強の“兵器”と呼ばれる軍人がいた。▼ 


総合評価:311/評価:8.2/連載:3話/更新日時:2026年07月12日(日) 19:48 小説情報

朱き蜉蝣の残光(作者:ゆのじさん)(原作:ガンダム)

※※作るにあたりAIを多分に使用しています。※※▼デラーズ紛争を生き延びたシーマ・ガラハウと、その艦隊。▼戦いの果てに彼女たちが辿り着いたのは、宇宙世紀ではない、別の歴史を歩む世界だった。▼知らないMS。知らない技術。知らない戦争。▼そして、この世界にもまた、利用される者と、利用する者がいる。▼帰る方法はない。▼ならば、生きるしかない。▼やがて彼女たちは、こ…


総合評価:356/評価:8.12/連載:65話/更新日時:2026年10月08日(木) 23:53 小説情報

遊戯王DMT―転生したら城之内だった件―(作者:Laginera)(原作:遊戯王)

表紙: ▼【挿絵表示】▼(ChatGPTで作成しました)▼事故で死んで生き返ったオレがいたのは遊戯王の世界だった。▼だがよりによってオレが転生したのは一般人なのに毎度カードゲームで死にかける「城之内克也」だった!▼このままだとバトルシティでラーに魂ごと焼かれてしまう!▼そもそもカードゲームがそこまで好きでもないのにデュエルモンスターの世界に転生するというのが…


総合評価:1267/評価:7/連載:67話/更新日時:2026年10月24日(土) 11:29 小説情報

グルメ界で、鹿でしかない(作者:産地直送の焼き鳥)(原作:トリコ)

起きたら背中に森が生えているシカだった。▼夢かと思ったが、しかしシカだった


総合評価:9354/評価:8.78/連載:5話/更新日時:2026年06月25日(木) 20:15 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>