機械仕掛けの竜と相棒の物語   作:サンデン

17 / 17
拠点襲来 ハンター達の驚愕

 

ハンターズギルド拠点――その巨大な正門前は、かつてないほどの緊張と混乱の渦に包まれていた。

 

「おい、冗談だろ……!? なんだあれは!」

 

「門を開けるな! 迎撃態勢を取れ!」

 

見張りのハンターたちが次々と武器を構え、集会所から飛び出してきたベテランハンターたちも、目の前の光景に息を呑んで立ち尽くしていた。

 

地鳴りを立てて石畳の広場へと歩み寄ってきたのは、ギルドが「不可侵の災厄」として警戒を呼びかけていた漆黒の異形、魔装竜だった。右脚の関節部からは黒い冷却液が漏れ、装甲の随所に激しい戦闘の痕跡と亀裂が走っている。明らかに、致命的なダメージを負った状態だった。

 

だが、それ以上に周囲の度肝を抜いたのは、その巨体の胸部中央――本来であれば絶対に開くはずのない装甲ハッチがガバリと開き、そこから一人の人間がひょっこりと顔を出したことだった。

 

「おーい! みんな、そんなにビビるなって!」

 

泥まみれの防具を着た新人ハンターが、大きく手を振りながら堂々とそう叫んだ。

 

広場に集まっていたハンターや受付嬢たちは、言葉を失って固まった。あのリオレウスを光線の一撃で消し去り、金冠級のドボルベルクを沈黙させた「歩く災厄」の内部から、あの新人ハンターが現れたのだから無理もない。

 

「なっ……、何を考えているんですか、新人ハンターさん……!」

 

ギルドマスターの側近であるベテラン受付嬢は、青ざめた顔で震え声を絞り出した。

 

「あんな危険な化け物の腹の中に自ら飛び込むなんて、正気か!? 丸呑みにされたわけじゃないのか!?」

 

「丸呑みって……おいおい、失礼だな」

 

新人ハンターはふっと笑い、ジェノザウラーの冷たく光る黒い装甲をポンと叩いてみせた。

 

「こいつは俺を食ったりしねえよ。見てくれよ、この傷を。こいつ、この前のドボルベルクとの戦いで無理をしすぎて、足がぶっ壊れちまったんだ。だから、ここに直してもらいに来たんだよ」

 

「それとこいつの名前はジェノザウラーっていうんだ!この前中に乗ったときに教えてくれたんだ」

 

「ジェノザウラー……?」

 

ベテランハンターや受付嬢達が呟く

 

「しかし直す……って、誰がこんな未知の鉄の塊を直せるっていうんだ!」

 

周囲のベテランハンターたちが頭を抱える中、ガサリと広場の特等席、鍛冶屋の炉の傍らから、白髪交じりの老うねりのような巨漢がゆっくりと歩み出てきた。

 

長年、数々の素材から伝説の武器を打ち出してきた、この拠点の誇る名工――名工鍛冶師だった。

 

名工の好奇心

 

名工鍛冶師は巨大な片手ハンマーを肩に担いだまま、ぎこちなき足取りでジェノザウラーの目の前まで歩み寄った。

 

その老練な瞳は、恐れの色を微塵も浮かべていなかった。代わりに、未知の素材と構造を前にした職人特有の、狂気的なまでの熱狂と探究心でギラギラと輝いていた。

 

「ほう……こいつが、噂の『魔装竜』か」

 

名工鍛冶師は足元にしゃがみ込み、ギシギシと軋むジェノザウラーの右脚の亀裂にそっと触れた。

 

「ふむ……! この重厚な密度、この未知の硬度……マカライトでも、ユニオンでもねえ。聞いたこともない合金だ。どうやって鋳造したんだ、この流線型のフレームは……!」

 

私の頭脳中枢は、目の前の老いた人間を冷徹にスキャンする。

 

『対象:人間(名工鍛冶師)。脅威度ゼロ。修復プロセスに対する技術的寄与の可能性、高』

 

横に立つ新人ハンターが少し得意げな顔をして言った。

 

「どうだ、鍛冶師! こいつの足、直せそうか?」

 

名工鍛冶師はしばらく唸り声をあげて考え込んだあと、ハッと顔を上げ、豪快な笑い声を響かせた。

 

「ハッハァー! 面白い! ギルドの連中が何と言おうと関係ねえ! 職人として、こんな極上の鉄の塊を見せられて、修理しねえわけがねぇだろうが!」

 

その一言で、広場を覆っていた恐怖の空気は一気に吹き飛び、周囲のハンターたちはただただ呆然と、人間と「災厄」の奇妙な共同戦線が成立する瞬間を見守るしかなかった。

 

最強の破壊兵器は、人間たちの拠点の真ん中で、最高の職人の手による「オーバーホール」を受けることになったのだった。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
点
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

ケロロ軍曹  来訪! 伝説の兵士ギャララ 、であります(作者:ケツアゴ)(原作:ケロロ軍曹)

 ケロロ達が生まれるよりも前、ケロン軍には最強の“兵器”と呼ばれる軍人がいた。▼ 


総合評価:311/評価:8.2/連載:3話/更新日時:2026年07月12日(日) 19:48 小説情報

遊戯王DMT―転生したら城之内だった件―(作者:Laginera)(原作:遊戯王)

表紙: ▼【挿絵表示】▼(ChatGPTで作成しました)▼事故で死んで生き返ったオレがいたのは遊戯王の世界だった。▼だがよりによってオレが転生したのは一般人なのに毎度カードゲームで死にかける「城之内克也」だった!▼このままだとバトルシティでラーに魂ごと焼かれてしまう!▼そもそもカードゲームがそこまで好きでもないのにデュエルモンスターの世界に転生するというのが…


総合評価:1271/評価:7/連載:67話/更新日時:2026年10月24日(土) 11:29 小説情報

俺だけレベルアップな件 × 名探偵コナン 【 水篠旬は、米花町へと迷い込む 】(作者:冷凍シャケ)(原作:名探偵コナン)

影の君主となり、絶大な力を手にした水篠旬。▼ある日、システムから与えられた謎の鍵によって、旬は自分の知る世界とは異なる世界――ゲートもハンターもモンスターも存在しない、日本の米花町へと飛ばされてしまう。▼元の世界へ帰る方法を探す旬に、システムが提示した新たなクエスト。▼それはモンスターを倒すものではなく、次々と発生する“事件の真相解明に貢献する”という、これ…


総合評価:298/評価:8/連載:22話/更新日時:2026年09月29日(火) 08:10 小説情報

朱き蜉蝣の残光(作者:ゆのじさん)(原作:ガンダム)

※※作るにあたりAIを多分に使用しています。※※▼デラーズ紛争を生き延びたシーマ・ガラハウと、その艦隊。▼戦いの果てに彼女たちが辿り着いたのは、宇宙世紀ではない、別の歴史を歩む世界だった。▼知らないMS。知らない技術。知らない戦争。▼そして、この世界にもまた、利用される者と、利用する者がいる。▼帰る方法はない。▼ならば、生きるしかない。▼やがて彼女たちは、こ…


総合評価:356/評価:8.12/連載:65話/更新日時:2026年10月08日(木) 23:53 小説情報

白翼の機械人形になった転生者は海賊(人助け)をしながら、世界を見守る。(作者:キング・クリムゾン!!)(原作:ONE PIECE)

とんでもなく長い話にする予定なのでどうかよろしくお願いします。


総合評価:778/評価:6.86/連載:41話/更新日時:2026年10月12日(月) 13:55 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>