オーバーホールを終えた私の機体内部で、新しく組み込まれたドボルベルクの甲殻と複合フレームが滑らかに駆動音を響かせていた。
『機体診断:オールグリーン。負荷耐性およびエネルギー循環効率、ベースラインを20%超過』
数日間にわたる名工鍛冶師の狂気的なまでの改修作業により、私の巨体はかつての精密機械としての美しさに、モンスターハンターの世界の荒々しい重厚感が加わった完璧な仕上がりとなっていた。
ハンターズギルド拠点の大規模な掲示板の前で、新人ハンターが腕を組みながら悩ましげな声をあげる。
「さてと……オーバーホールの調子を見るための『試運転』だが、どのクエストにするか……おっ?これは……」
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依頼文:静寂を切り裂く迅雷
依頼主: 怯えた様子の村の若者
報酬: 12,000z
契約金: 1,000z
制限時間: 50分
目的地 渓流(夜)
依頼内容
数日前から、夜になると静かな渓流の奥から、今までに聞いたこともないような不気味な遠吠えが響くようになったんだ。まるで獣のようでありながら、どこか雷鳴のようにも聞こえる、重く低い咆哮……。
そして昨夜、ついにその正体が動き出した。
一帯の虫や小動物たちが一斉に姿を消し、辺り一帯が異様な静けさに包まれたかと思うと、突然の閃光とともに夜空が青白く発光したんだ。落雷の衝撃で周囲の木々はなぎ倒され、大地そのものがビリビリと震えて……あれはただの自然の雷なんかじゃない。何者かが「纏っている」ような、そんな圧倒的な気配だった。
姿を見た者は誰もいない。暗闇の中で闇夜に溶け込む黄金の光と、稲妻だけが視界の端をかすめたという。音もなく忍び寄り、一瞬で全てを焼き払うかのようなその影に、村中が恐怖に震えている。
あの暗闇に潜む、全ての電気を司るような「正体不明の脅威」を討伐してほしい。頼む、俺たちの平穏を取り戻してくれ!
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「対象不明か…… 相棒の調子を確かめるには、これくらいの相手の方がちょうどいいだろ!」
新人ハンターはニカッと笑い、私の胸部ハッチをポンと叩いた。
プシュー、と冷却蒸気が噴き出し、私は再び彼をコクピットへと迎え入れる。
ガチャリ、と重厚なロックが閉じ、生体コンピュータと人間の神経回路が完全に同期した。
『同期完了、新人ハンターの出撃要請を受理。試運転クエスト、開始する』
狩猟の空の下へ
ギルドの門出の広場を離れ、私たちは再び緑豊かな渓流の奥地へと足を向けるのだった
これまでは「頂点を目指すだけの破壊兵器」だった私に、明確な「目的」と、隣に並び立つ「パートナー」が存在している。
背部のロングレンジ・パルスレーザーライフルが静かに月光を反射し、新人の高ぶる心音が直接私のセンサーへと伝わってくる。
「行くぞ、相棒! この世界のてっぺんまで、一気に駆け上がってやるぜ!」
私の喉元から、低く重い、しかしどこか弾むような電子音が響いた。
人間の少年と、異世界の破壊神。その翼は、まだ見ぬ強者たちが待つさらなる深淵へと向けて、力強く踏み出されたのだった。