ジンオウガとの激闘を制して以来、ハンターズギルドの勢力図において、私たちは完全に異質な、しかし無視できない「不可欠な存在」となっていた。
依頼掲示板から次々とクエストを受注し、私たちは古代林から原生林、そして凍土や火山地帯に至るまで、あらゆるフィールドを駆け抜けた。
リオレイアの猛毒の尾を私の高密度チタン装甲で弾き返し、ブラキディオスの粘菌爆破をパルスレーザーの精密射撃で未然に誘爆させる。時にはグラビモスの強固な熱線ビームを真正面から受け止め、その胸郭を圧倒的な格闘性能でこじ開けた。
初期の頃は、ただ私の圧倒的なスペックに引っ張られるだけであった新人ハンターの戦闘スタイルは、数々の死線を共にするうちに劇的な変貌を遂げていた。
私の生体コンピュータと彼の神経回路のリンクは、もはや思考のタイムラグすらないほどの領域に達していた。
彼が次の一瞬にどう動くか、私がどう踏み込むか。言葉を交わす必要すらなく、私の巨体は彼の身体の延長線上の如く滑らかに敵の死角へと滑り込み、一撃で獲物を沈黙させる。
「そこだ、相棒……ッ!」
新人ハンターの研ぎ澄まされた気合の声と、私の重厚な駆動音が完全に重なり合う。
その姿を見た周囲のハンターたちは、かつてのように私たちを「恐ろしい化け物」と怯えることはなくなっていた。代わりに、畏敬と親しみを込めて、彼らをこう呼ぶようになった。
――「双極の狩人」と。
ギルドの評価と、確かな成長
シュレイド地方の本部集会所。
カウンターの前に立つ新人ハンターは、以前のボロを纏った青臭い少年の面影を完全に脱ぎ捨てていた。全身には討伐したモンスターの極上素材で仕立て上げられた威風堂々な防具を纏い、その眼光は一国の猛者たちと渡り合っても引けを取らないほどの鋭さと落ち着きを放っている。
「お疲れ様、新人……いや、今や上位ハンターの君に、これ以上『新人』って呼ぶのは失礼かしらね」
受付嬢は感心したような笑みを浮かべ、新しい高難度の依頼書を彼に差し出した。
「はは、名前なんてどうでもいいさ。俺には最高の相棒がいるからな」
新人はそう言って、集会所の外の広場で静かに待機している私の巨体にちらりと視線を向けた。
私の頭脳中枢は、彼の成長データを冷徹に、しかしどこか肯定的な熱量をもってトレースしていた。
エネルギー残量:99.9%。外部パーツのメンテナンス状態:良好。そして、搭乗者である人間の精神的・肉体的スペック:最高値。
私たちは、もはやこの世界の生態系に「迷い込んだ異物」ではない。
この過酷な世界を生き抜くための、最強にして唯一無二の共生関係。彼が強くなるほどに、私の存在意義もまた、この世界に深く刻み込まれていく。
「さて、相棒。次の獲物はどこだ?」
コクピットに乗り込み、満足げに微笑む彼の声を聞きながら、私は重い足音を響かせて次の戦場へと歩み出した。