マグマの底より飛び上がった「ジェノブレイカー」の放つ威圧感は、もはや周囲の空気を完全に支配していた。
『システム再同期完了。全エネルギー循環、許容値の300%に到達』
『武装展開:荷電粒子収束システム、およびエクスブレーカーの稼働準備よし』
私をマグマへと叩き落とした張本人であるディノバルドとウラガンキンは、本能的な恐怖に全身の毛を逆立て、後ずさることも忘れてその場に釘付けになっていた。
「ハハッ……! すげえ、相棒……! 体の芯から力が湧いてくるぜ……! これなら、どんな奴が相手でも負ける気しねえ!」
コクピットの中から、新人ハンターの歓喜に満ちた声が私の頭脳中枢へと響いてくる。彼の高ぶる闘志と私の進化した機体フレームが完全に同調し、かつての「苦戦」など嘘のような完璧な戦闘態勢が整った。
一方的な蹂躙
先手を取ったのはディノバルドだった。
恐怖を振り払うかのように、赤熱した巨大な尾を振り回し、渾身の居合斬りで私の首元を狙って突進してきた。
「甘いッ!」
新人ハンターの叫びとともに、私は一歩も引かずに前へ踏み出す。
進化した我が腕部には、強靭なエネルギー刃――エクスブレーカーが展開されていた。
「ガキィィンッ!!」
凄まじい金属音と火花が散る。かつては一撃で押し返されそうになったディノバルドの必殺の斬撃を、今の私は片手で、それも微動だにせず完全に受け止めて弾き返した。
ディノバルドの目が恐怖で見開かれる。その硬直を見逃さず、私は強烈な踏み込みから繰り出す圧倒的な格闘連撃を叩き込み、巨体を地面へと叩きつけた。
「うおおおっ、次はこっちだ! ゴロゴロ転がってこい、鉄塊トカゲ!」
今度はウラガンキンが丸まって凄まじい突進攻撃を仕掛けてきたが、進化を遂げた私の機動性はそれを遥かに凌駕していた。
私は軽やかに側面に回り込み、背部から展開した高エネルギーの収束ビームを至近距離から一閃させる。
「ドゴォォォンッ!!」
直撃を受けたウラガンキンの頑丈な爆鎚甲殻はもはや耐え切れず、爆発の閃光とともにバランスを崩して盛大にひっくり返った。起き上がる隙すら与えない。
終焉の閃光
『敵対個体、戦闘不能領域に到達。エネルギー回収プロセスへ移行』
ディノバルドもウラガンキンも、数合の交戦の末に圧倒的な力の差を叩きつけられ、地面に伏して動かなくなっていた。
かつて私たちの前に立ち塞がり、2対1の挟撃で窮地に追い込んだ二大巨獣は、進化したジェノブレイカーの敵ではなかった。
静寂が戻った溶岩洞の中で、私の全身に走る深紅のラインが穏やかな明滅に戻る。
「……やった……勝ったのか、俺たち……」
コクピットのなかで、新人ハンターは荒い息を整えながら、手元のモニターに映し出された完全勝利の表示を見つめていた。
上空の観測気球から震えながらその光景を見守るベテラン観測員達の視線など知る由もなく、私は静かに足音を響かせ、火山洞窟の奥へと再び歩みを進める。
人間の成長と、異世界のエネルギーが融合して生まれた「ジェノブレイカー」。私たちの歩む道に、もはや敵う者など存在しない。