古塔の山頂を吹き抜ける暴風は、私たちの機体を容赦なく打ち据えていた。
クシャルダオラの放つ真空の刃と強靭なフィジカルの猛攻に苦戦しながらも、私たちはその圧倒的な「風の壁」をこじ開けるべく、反撃の糸口を模索していた。
「くそっ、風のバリアが厚すぎる……! だが、隙はあるはずだ、相棒!」
新人の鋭い気合が私の頭脳中枢へとダイレクトに伝わる。
進化したジェノブレイカーのウェポンバインダーの射撃兵装が、限界を超える出力を帯びて青赤く激しく明滅した。私たちは一瞬の風の切れ目を突いて一気に間合いを詰め、クシャルダオラの懐へと強襲を仕掛ける。
「ガキィィンッ!!」
私の両腕に展開されたエクスブレーカーが、クシャルダオラの硬質な鋼の翼と激しく衝突し、周囲に眩い火花がスパークした。
古龍の圧倒的な重量感と風圧が押し返してくるが、私たちも火山で得た強靭なフレームで一歩も引かない。互いの力が拮抗し、空間そのものが震えるような重圧が辺りを支配した。
その時だった。
『警告:未知の大質量エネルギー反応を近距離にて検知!』
『上空より、急激な落下物――回避行動をとれ!』
黒き災厄の降臨
私たちの頭上、嵐の吹き荒れる空の裂け目から、まるで隕石のような黒い影が凄まじい勢いで古塔の広場へと墜落してきた。
――ドゴォォォンッ!!
凄まじい衝撃波と爆風が周囲の瓦礫を吹き飛ばし、クシャルダオラと私たちの間に割って入るように、その巨体が着地した。
砂煙が晴れ、姿を現したその怪物の見た目に、私は瞬時にすべてのセンサーを集中させた。
全身を覆うのは、無数の棘(いばら)のような黒い外殻。一部は白く硬化し、まるで再生を繰り返すかのように禍々しくうねっている。
――滅尽竜、ネルギガンテ。
『分析:対象、古龍種(ネルギガンテ)。闘争本能の数値、極めて異常。周囲の高エネルギー反応に引き寄せられた可能性:100%』
「なっ……なんだあいつは……! クシャルダオラとは別の、とんでもねえ化け物が出てきたぞ……!」
コクピットの中から、新人が息を呑んで絶叫する。
ネルギガンテは、目の前にいる鋼の古龍クシャルダオラには目もくれず、そのギラギラと血走った凶暴な双眸を、私――ジェノブレイカーへと真っ直ぐに向けた。
三つ巴の死闘
古龍とジェノブレイカーの激しい戦いが放つ高エネルギーの波動が、生態系の頂点を狩る「捕食者」であるネルギガンテの闘争本能を完全に刺激してしまったのだ。
「グルァァァァッ!!」
ネルギガンテが凄まじい咆哮を上げ、その強靭な四肢で地面を抉りながら、弾丸のような突進で襲いかかってきた。
クシャルダオラもまた、自分の縄張りを荒らす黒き怪物の出現と、私たちの存在に激昂し、周囲の暴風を一斉に荒れ狂わせる。
鋼の古龍、滅尽竜、そして異世界の破壊兵器。
古塔の山頂は、一瞬にして三つの強大なエネルギーが激突する、文字通り「地獄の戦場」へと変貌を遂げたのだった。