綾小路にこき使われる部下の話   作:白峰 真紀

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多分3年生編から始めるオリ主小説ってこれ以外にある?(笑)

ちなみに3年生編はキリの良い所で終わらす予定。取りあえず5巻までの内容は書くかな。


code1 このブラック上司がぁ!!

 

 突然だが僕、黒宮魁座(くろみやかいざ)は間違いなく苦労人だと思う。

 

 コイツ──綾小路清隆の無理難題に何度振り回されたか。もう100を超えてから数えていない。

 

 やれ『イジメ撮影をバレないように実行しろ』だの、やれ『他クラスの人達と仲良くなって伝を作れ』だの、『一之瀬を1回心を折ってから立ち直らせ』だの、ほとんどがロクでもないものばかりだ。

 

特に死ぬかと思ったのは3階の窓の外から他クラスの会話を盗み聞けという事だ。屋上から届く距離にあるロープが見当たらなかったため、命綱無しで死ぬ気で窓に捕まりながら録音した。

 

あのときは腕が痺れて途中落ちそうになったのも何度かある。それで清隆に文句を言えば「4階のマンションから落ちても無傷だったんだ。これくらい問題ないだろ」と返されてしまった。そういう問題じゃない。僕の命を軽く見ないでくれ。

 

だからいつも、僕は清隆の命令が来るたびに身構えている。どんな無茶振りを振られるのかと。どこまで僕の命が削られるのかと。

 

 

そして、今も逃げ出したい気持ちで一杯になりつつ、それを表情に出さず精一杯平静を保つ。

 

 「今日からお世話になります。Aクラスから移籍した綾小路清隆です」

 「……同じくAクラスから移籍して来ました………黒宮魁座です………」

 

Cクラスの連中が、明らかに怪訝そうな目で僕達を見ている。分かってはいたが、完全にアウェーだ。僕より清隆にその視線が多く向けられているのは分かっているが、それでもこういう事には慣れない。

 

 「(…あぁ、逃げたい……帆波にヨシヨシされたい………)」

 

この現実から半ば諦め気味に目を背けつつ、こうなった原因である清隆に目を向けた。

 

 

 

 

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 事の発端は僕が帆波と契約を結び、お互いを貪り食いあって共犯関係、ないし恋人関係になった次の日だ。気だるげな身体を動かしつつ、言われた通りに清隆の部屋へと向かう。

 

 「おはよう魁座。昨日は楽しめたか?」

 「お前、こうなる事分かってたよね?こうなると分かっていながら止めなかったね?」

 「そうだ。オレの未知の探求の為にもお前が一之瀬と上っ面だけの関係を超えた、より深い関係になることを望んでいたからな。結果としては大成功だ」

 「僕を生け贄にしてたのね………」

 

勝手に僕の貞操を売るなと文句の一つでも言いたいんだが、未だに身体の疲れが取れず、言うほどの気力がないため、そのまま黙って受け流す。

 

 「で、今度は何があるの?昨日の疲れもあって早く寝たいから手短にね」

 「3年生になったとき、オレと一緒に元坂柳のクラスへ移籍して欲しい」

 「……………は?」

 「どうした。別に前々からオレが移籍することは知っていただろう。別に驚くことでもない」

 「そっちじゃない。なんで僕まで一緒に移籍するんだよ。てっきり僕はそのまま残ってスパイ活動するか、帆波のいるクラスへ移籍するかと考えてたんだが」

 「あぁ。オレ自身もそうするつもりだった………が、試験が終わったあの日、坂柳から貸しを消費して頼まれてな。『黒宮くんも一緒に入れてください』と」

 「アイツ………」

 

坂柳有栖。

元Aクラスの生徒で、龍園と自分達の退学をかけて勝負し、敗北して自主退学した生徒。

そして、僕や清隆の過去を知っている唯一の生徒だ。

 

女の子らしい見た目とは裏腹に、性格は非常に悪い。いや、性格のイカれ具合は清隆の方が圧倒的なのだが、普段から性格の悪さが滲み出ている坂柳の方が僕はどちらかと言うと苦手だった。

一応フォローしておくと、僕は彼女の事が嫌いではない。他の人達に比べて僕達には優しかったし、たまに見せる乙女の部分が可愛く、嫌いにはなれなかった。

 

退学になって学校を去る最後の日、清隆と抱き合って微笑みを浮かべる彼女の様子を見て、そのあと僕にも抱きしめてくれたので彼女から受けた数々の仕打ちも結局許してしまった。意外と僕はチョロいのかもしれない。

 

正直、僕は順当に行けば坂柳が勝利すると思っていたため、この結果には驚いた。のちに真相を知ると、随分派手にやったなと清隆にジト目を向けた。

 

 「まぁ、今のクラスも正直居心地悪いから移籍するのは別に構わないけどさ、ppはどうするのさ。せっかく貯め込んでるってのにここで2000万も丸々消費したくないぞ」

 「その点は抜かりない。ちゃんと坂柳から持ってるppを全て回収済みだ。これで普通に2000万に届く」

 「……マジじゃん」

 

ピロリン♪とスマホに音が鳴って僕に送られてくる。その額1874万pp。2000万ppまであと126万pp。これくらいなら消費してもすぐ回収出来るので大丈夫だろう。

 

 「もうこれは決定事項だ。オレと一緒にお前も移籍する。これは坂柳の貸しだ。どうしても嫌なら別に聞かなくてもいいが……」

 「行くよ。仮にここで移籍しない場合、卒業後に出会った坂柳に色々問い詰められそうだからな」

 「さて、これから忙しくなるぞ。何せ移籍してオレがクラスのリーダーとして動く必要があるからな。お前にもその手伝いをしてもらう」

 「なるべく僕の負担も減らしてくれると助かる」

 

このクソブラック上司に何度僕の命が削られたか分からない。もしコンテニュー機能なんて物があれば余裕で12回は復活していただろう。死の原因は過労死で。

 

来月の始業式、移籍後にどんな事が待っているのか気が気で仕方ない。僕は不安を抱えつつも、結局なるようになるしかないと清隆の作った料理を口に運んだ。

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

 

 

 

 

そして現在。

 

移籍後の軽い自己紹介をして、真嶋先生に言われて席に移動した。そして放課後になっても止まない新しいクラスメイト達からの視線から目を背けるように、左斜め後ろの清隆に話しかける。

 

 「……なぁ、大丈夫か?僕は一応元生徒会役員だから良いけど、お前は表向き何もしてないからこうなるのは当然だ。こういうの、慣れなくないだろ」

 「問題ない。オレの実力を見せれば間違いなく認める。慣れないのは確かだが、お前よりはマシだと思う」

 「うっ」

 

仕方ない。どうしても人の視線を集めるのは苦手なのだ。生徒会役員で活動したり、とある仕事で人前に出ることがあったりしたので、入学時に比べれば抵抗感は薄くなってきたものの、やはり苦手なモノは苦手だ。

 

 「……なぁ綾小路。お前が来たことには歓迎するが、なんで黒宮までいるんだ?」

 

かつて坂柳の側近で、以前の生存と脱落の試験で明確に裏切ったものの、結局坂柳が許した事でお咎めなしになった橋本正義が少し困惑して話しかけてくる。

 

 「魁座は坂柳からの最後の貸しで一緒に引き抜いた。ポイントも坂柳自身が用意してくれたおかげで足りたんだ。オレ以上に優秀な部分もいくつかあるし、役立つと思うぞ」

 「……優秀、か?いや、確かに黒宮は常に綾小路の側にいるし、何かまだ実力があるとは見ていたけどな……」

 

その表情には今ひとつ信じられないが、嘘をついてるようにも見えないため、なんと言ったら良いのか分かってない様子だ。

 

 「それはにわかに信じがたいですね。綾小路清隆」

 

すると、Aクラスで一番の変人の森下藍が話に入ってくる。

 

 「確かに黒宮魁座がかなり優秀な事は認めましょう。学力も常に学年10位以内、運動能力もかなり高水準。OAAを見れば全体的に高水準で学年1位。優秀なのは誰からも見て一目瞭然です。ですが、あくまで数値上での結果です。この数値とは裏腹に、実際黒宮魁座はこれまでの特別試験で特別目立った活躍はしてません。実績が低いので信じるに値する価値がまだありませんね。あと、見ての通り常に溜め息を吐いていて暗いです。そこにいる山村美紀より100倍マシですが」

 

おい、しれっと山村に飛び火するなよ。山村泣くだろこれ。

 

 「綾小路清隆の部下である事から優秀なのは予想できます。ですが、やはりこの目で確認して見ないと完全には信じられませんね」

 「随分と辛辣な意見をどーも。心配しなくてもちゃんと実力出して認めさせるよ」

 「本当ですね?では、もし発揮出来なければ藍ちゃんに特盛りクレープを3回奢って下さい」

 「特盛りクレープ?………ってこれ2000円もするんだぞ。たけぇなおい。もう少し値段安いやつにしてくれよ」

 「ダメです。これじゃないと嫌です」

 「この強欲女め」

 

こんなに高いとは思わなかった。いくら金があるとはいえ、クレープに3回も使うのは流石に躊躇する。

 

 「ま、取りあえず歓迎会でもしようぜ。場所はケヤキモールで」

 「それは良いけど……肝心の人数は?」

 「今んとこ俺一人だな」

 「少な」

 

わかっていたことだが、やはり僕達の移籍には歓迎する生徒は少ないようだ。だとしても歓迎側が橋本一人だけとは花が無いではないのか。

 

野郎と一緒かぁと肩を落としていると、ツンツンと右肩を突かれる。

 

 「その歓迎会、私も参加してよろしいでしょうか?」

 

振り返ると、白石飛鳥がニコリと笑みを浮かべて立っていた。

 

 「……白石がか?なんで突然。ってか珍しいな、お前がそんな積極的に関わってくるなんて」

 「おや、おかしいですか?新しいクラスメイトと仲を深めるのは何もおかしくないでしょう?それに………」

 

チラリ、と僕に視線を向けると言葉を続ける。

 

 「彼とは話したいと思っていましたから」

 「ま、人が増えるのなら俺としては大歓迎だが……2人は良いか?」

 「オレは別に構わない」

 「僕も良いよ。大丈夫」

 

実際、僕としても知(・)っ(・)て(・)い(・)る(・)人物が来てくれるのは大歓迎だ。それだけで空気が落ち着く。

 

 「綾小路清隆に黒宮魁座、私と白石飛鳥との対応に差がありませんか?これには藍ちゃんも不満を示します。ということで特盛りクレープを奢って下さい」

 「お前も来てくれるなら良いぞ。あと特盛りはダメだが大盛りなら許してやる」

 「……仕方ありませんね。藍ちゃんも特別に参加してあげましょう。まぁ、男3人に女子一人では心配ですからね。白石飛鳥の貞操が」

 「お前は僕達を猿か何かと思ってんのか」

 「では行きましょう。時間も惜しいですしね」

 

白石の一声で一旦話を止めると各々準備を整え、教室を出る。

こうして、奇妙な面子が集まった僕達の歓迎会がいま始まろうとしている。………なんかすでに面子が濃いような気がする。

 

 




・黒宮魁座(くろみやかいざ)

学力:A(92)
身体能力:A(86)
機転思考力:A-(81)
社会貢献性:B+(79)
総合:A-(85)


誕生日は12月4日。綾小路清隆の部下として働いており、かなり無茶振りの命令にも結局聞き入れて動いている。ざっくり言うと立ち回りは男版神室。
実は清隆とは異母兄弟。魁座自身は清隆を兄として認識したことは一度もないが、家族としての情は抱いている。
ホワイトルーム4期生で清隆と違って感情を持ったままβカリキュラムを突破した。
一之瀬とは1、2年生で色々とあり、付き合ってなかったものの、春休みに一之瀬が魁座を逆◯イプしたことでその覚悟を受け止め、最終的に恋人同士になった。
移籍してどんな困難が自身に降りかかってくるのか想像して、胃が痛くなっている。


・綾小路清隆
今作では原作と考えは変わらないものの、魁座に対しては少しだけ情を抱いている。少なくとも魁座が自身と敵対する事は起こさないよう気をつけている。ちなみに自分の命令で苦悶の表情を浮かべて働く魁座を見て愉悦に目覚めている。



はじめまして。よう実作品を初めて書きました。真紀です。良ければ感想をお願いいたします。

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