今回はこの作品のメインヒロイン、一之瀬が主人公と付き合うまでの過程のお話です。
視点は一之瀬と主人公で所々別れますが、基本的に主人公視点。1回だけ綾小路視点有り
「ふふっ………」
私は隣に眠る黒宮……ううん、魁座くんの寝顔を見つめていた。元からカッコいいと思っていたけど、近くで見るともっとカッコいい。
正直、夢みたいだ。
私が彼の隣に一生一緒に居られるだなんて。
しかも正妻。つまり私を1番に愛してくれる。
これまで私は何度も何度も困難に立ちふさがった。
それでも諦めずに来れたのは、彼がいたからだ。彼が私の側で支えてくれたからこそ、今の私がある。
2度も彼は私を拒否した。
でも私は諦めたくなかった。否、諦めずに行動した。
だからこそ、こうしていま幸せになることが出来た。好きで好きで堪らない相手と、付き合えるようになれた。一生離さないと言ってくれた。本当の意味で結ばれることが出来た。
「ずっと、ずーっと一緒に居ようね。魁座くん」
そう呟くと、温もりを確かめるように彼の体をギュッと抱きしめた。
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振り返ると、僕と一之瀬が最初に会ったのは1年生の中間テスト前、うちの須藤とCクラスの男子生徒が揉めている間に一之瀬が仲裁しに行ったのだ。とはいっても、そのときは軽く自己紹介して頭を下げただけなので、会話という会話はしていない。
次に本格的に話すことになったのは暴力事件の際だ。あのとき、Bクラスがうちのクラスを手助けしてくれたおかげで、何とか訴えを取り下げることが出来た。
その際、一之瀬が友達からの告白を断るために僕を偽彼氏として代役する事を頼まれた。そのとき一之瀬には告白に向き合う大切さを説いて納得させた。
それ以降は特に特筆することはなかった。強いていえば一之瀬が生徒会に入会して来て、一緒に活動することになったくらいだ。
そんな中、僕達の関係性が変わる最初のキッカケになったのは1年生の3学期に起きた噂事件だ。この事件の原因は坂柳が清隆を引っ張り出すために、一之瀬の過去を暴露して行動を起こした。つまり当て馬にされたのだ。
当初、清隆は動く予定はなかったが、坂柳の駒の神室が清隆の部屋を訪れ、坂柳を止めるよう話したことで動くことを決めた。
だが、ここで僕も予想だにしなかったことが起こった。
「お前が一之瀬を助けろ」
「は?」
何と、最後の一之瀬の一押しを僕に任せたのだ。
これは僕も驚いた。確かに関係性としては清隆より僕の方が少し深いが、あくまで友達の範疇を出ない。
なので最初は断った。
「いやなんで?そもそも僕、一之瀬のお見舞いには2回しか行ってないよ?それに対して清隆は毎日行ってるだろ。そこからいけばお前が助けるのが普通じゃないのか?」
「いや、オレは助けようと思って助けている訳では無い。ただ、坂柳に色々やられて動いているだけだ。一之瀬がどうなろうと知ったことではない」
「流石だな清隆……まぁ、そこはもう既に慣れてるから特に驚くことでもないけど。で、なんで僕が助けることになるんだ?」
「単純に、お前に任せた方が色々と楽になるからだ」
「ま〜たこっちに丸投げか………ってか、これお前の怠惰じゃねぇのか?」
「怠惰じゃない。そっちの方が効率が良い。お前が動いてくれれば、オレはオレで別のことに動きやすくなる」
「だったとしてもだな………」
「それともなんだ。お前はオレが助けるのが本当に良いとでも思うのか?」
「………いや、思わないな。全く」
「だったらお前が助けろ。そっちの方が良いだろう。何だったら貸しにしてやる」
渋い顔をして断ろうとした僕だったが、これを貸しにしてくれるとアメを出されれば断りにくい。
清隆に貸しを作れるのはかなりのアドだ。普段清隆にこき使われている僕からすれば、休暇が貰えるありがたい物だった。
僕はそれで手を打った。
「あ~はいはい、分かったよ。実際、僕もこれ以上一之瀬が落ち込んでるのを見たくないからさ。協力するよ。で、かける言葉とかはこっちで考えてきて大丈夫?」
「あぁ。問題ない」
そうして僕が一之瀬を助ける事になった。本当に何故だろうか?
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そして次の日、一之瀬の部屋に入って彼女を言葉巧みに1回追い込ませる。そして、今度は僕自身の本音を絡ませて説得した。
「なんで休んでいるのかは分からない。でもさ、僕はいつものように生徒会で会えないのが寂しいんだ。なぁ一之瀬。これ以上一人で耐えようとしないでくれ」
「ゴメンね。無理に聞いて。でも僕は一之瀬と一緒に居たい。皆のリーダーの一之瀬じゃなくて、一之瀬帆波っていう一人の女の子と」
「だって、いくら過去に犯罪していようが、この学校で助けられた事には変わらないよ。僕はそれに感謝してるし、他のみんなもそう思ってる」
「一之瀬、前に進むためには今を受け入れるしかないんだ。もし前へ進もうとするなら、僕はそれを助ける。………まぁとにかくさ、一緒に行こう」
この言葉をキッカケに、僕たちの会話は途切れる。
「黒宮くん──────!」
一之瀬が僕に抱きつき、涙を流し出したからだ。これには少し驚いたが、今は彼女の好きにさせようとそのままにした。僕は宥めるようにして頭を撫でる。
これでもう大丈夫だろう。不器用で途中上手く言葉に出来ず詰まったところはあったが、何とか無事に終える事が出来てホッとした。
ちなみに、後日やって来た坂柳は不満げな表情だった。彼女としてはこの事件は全て清隆が動くことを想定していたらしい。なので僕が一之瀬の説得に動いたことは面白くなかったそうだ。
僕に言われても困るのだが………。
その後、クラス内投票では不足しているppを交渉無しで貸し出してあげたり。
学年末試験では戦う相手が違う事もあってか龍園クラスの戦略について話し合ったりした。
ちなみに、その頃から一之瀬にシトラスの香水の香りが漂っていた。
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春休み、私は雨のなかで傘も刺さずに打たれていた。学年末試験での結果から自身の不甲斐なさを感じ、一人になりたくなった。
そのとき、そこに黒宮くんが現れた。彼は私を心配していたが、今の私はその優しさに応える余裕も無かった。
すると彼は私を放っておけないと言って、自身の部屋に連れて行った。部屋に入ったあと、私は気が抜けそうになるのを堪えていた。彼にこれ以上弱いところは見せたくなかったからだ。
……でも。
「信用出来ない?」
「えっ?」
「まぁ、クラスが違うしね。敵だし仕方ないか」
「そ、そんなことないよ………多分私は………誰よりも黒宮くんを信頼してる………」
黒宮くんは味方じゃない。
でも、この学校で私が一番頼りになる人。
私が落ち込んでいるとき、いつも隣にいてくれる人。
自分でも想像以上に、私は黒宮くんを頼りにしていた。
そんな彼に、気づけば私は抱え込んでいた悩みを吐露していた。
この1年、皆は成長しているのに、私だけ置いてけぼりにされていること。
このまま1年後、どうなっていくのか怖くて仕方ないこと。
いま、私が抱えていることを全部話す。
すると、私の頬に手を当てて、黒宮くんは一つ約束を付ける。
「じゃあ、来年のこの日にまた会おう。そこで色々と話し合いたいんだ」
「でもそのとき……私は………私のクラスは………」
「クラスとか、敵だとかそんなのは関係ない。ただ一人の人間として、2人で話したい。……約束してくれるか?」
「……うん、分かった。私もこの1年、頑張ってみせるよ」
……不思議だった。
あんなに落ちこんでいたのに、彼と話すうちに自然と元気が出てくる。
これからこの1年、前へ進んで行けると思った。たまたまでもこの日、黒宮くんと会えて良かった。
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「私は……黒宮くんの事が好きだから!!」
……………
…………………?
…………………………え?
脳がフリーズを起こした。言われた言葉が衝撃的過ぎて、脳の理解が追いついていない。
………マジで?
「ち、ちが!今のは、えっ、と違う!あれ、なんで、私今、えっ?」
両手に口を当て、慌てふためく一之瀬。どうやら本人にとっても想定外のことだったらしい。
「違うの?」
「いや、そのっ」
「違うなら否定してほしい。変な勘違いはしたくない」
僕が一之瀬に好かれていることに信じられず、聞き間違いであったと思って否定の声をかける。
「違……わない……です。その、好き………です」
しかし、どうやら現実のようだった。一之瀬は僕のことが好きらしい。
「(……そっっっっかぁ………)」
これは予想だにしていなかった。こんな無人島の試験中に告白されるなど、考えた事も無かった。
「いやっ、その、返事とかは別に……」
「────────ありがとう」
告白することは、それなりに勇気のいることだ。拒絶することを怖がって、自分の気持ちを隠してしまう人も少なくない。
その壁を乗り越えて、告白してくれた事には感謝を伝えなければいけない。
「えっ、え?」
「正直、一之瀬にそんな風に思われてた事には驚いた。一之瀬みたいに可愛い子が、僕のことを好いてくれるなんて考えもしなかったから」
「か、かわっ!?」
「でも一之瀬、まだ告白の返事は出来ない。僕にはまだ解決しなきゃならないことが残ってるから」
ここで返事を返す訳にはいかない。僕の返答によっては、特別試験の調子を崩す可能性も考えられる。
だから────
「だから一之瀬……全てが終わったらまた話そう。それまで待っててくれないか?」
「う、うんっ!」
「じゃあ、僕はI2に向かう」
「だ、ダメだよ!危ないよ!!」
「悪い。でも僕はこの問題を解決しないと、一之瀬に顔向け出来ない。無粋なマネを、僕はしたくない」
「……分かった。でも1つ約束して。………無事に帰ってきてね」
「あぁ。約束する」
そうして一之瀬と別れ、I2へと向かう。
移動中、僕は内心で月城さんに文句を言う。
「(月城さんの馬鹿やろぉぉぉぉぉぉぉ!!なに生徒を脅してんだよ!!そりゃ事情分かってる僕らからすればブラフだってのは分かるけども!!これのせいで新たな問題が生まれたじゃねぇか!!)」
まさかこれがキッカケで一之瀬の告白が起こるだなんて誰が予想しただろうか。迷惑ではないが、完全に予想外である。
「(告白……やっぱ、断るべきだろうか)」
正直、嬉しかった。多分僕が複雑な出生をしていなければ、断ることはなかったと思う。
………ホワイトルーム云々に関係ない人物を2人、愛人にしてる時点で今さら説得力ない?
いやいやいや、少し反論させて欲しい。
確かに2人とも僕の特別な出生の原因の施設には関係ない。
だが飛鳥の場合は、彼女もまた特別な事情があって、僕の裏事情を知っている。
美紀は普通に一般人だが、ものすごく影が薄い。具体的に言うと、コンビニの自動ドアが3回に1回しか開かないくらい。そんな影の薄さなら、巻き込まれたとしても普通に切り抜けられそうだと思ったため、彼女も問題ない。
………というのは建前で、もしも僕が見捨てたら自殺しそうな勢いなので、いやでも彼女の面倒を僕が見ないといけないのである。最近はもう慣れてきたが。
だが一之瀬は違う。
飛鳥と違って僕の事情を深く知っているわけではない。
美紀のように僕なしでは生きられないほどの愛の重たさがない。
そんな普通の彼女を、僕が幸せに出来るのだろうか。
答えは分からないが、多分難しい。不幸にする可能性だってある。
それならいっそ、断って下手な真実を知らない方が良い。
あんなに優しい人を、僕の事情に触れて潰させる訳にはいかない。
彼女の幸せを考えれば、僕と関わらない方が良い。
そう、結論を出した。
………それでも、この胸に残る痛みは何なのだろうか。
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試験終了後、豪華客船で一之瀬を呼び出したあと、告白の返事をする。
「告白の返事だけどさ。正直、嬉しかった。一之瀬が僕のことを好きだって言ってくれたことに。………でも、ゴメン。僕は君とは付き合うことは出来ない」
「……そう、だよね。ゴメン、ね。一人で勝手に盛り上がって、舞い上がって……」
「────さよなら」
彼女の涙を見た途端。
ズキリ、と心に痛みが走るのを感じた。
なんで痛いんだよ。
これで良かったんだ。これで。
この方がお互い傷付かずに済む。
そうだろ?
自分でフッておいて傷ついて……勝手に被害者振るなよ。
そう思っても、何故だか痛みはしばらく取れなかった。
「(……思った以上にキツいなぁ。フることなんて経験してるはずなのに………)」
僕がその場をあとにしたのは、一之瀬が去って20分近く経ったあとだった。
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Side:綾小路清隆
今日の夜、珍しく魁座に呼び出された。どうやら愚痴を聞いてほしいらしい。
「実は最終日、一之瀬に告白されてさ。驚いたよ。一之瀬が僕のことを好きだなんて。確かに色々と助けたりしたけど、それが好意に発展するまでになるとは思ってもなかった……」
「で、返事はどうしたんだ?」
「……断ったよ。僕らの複雑な事情に彼女を巻き込みたくない。あんな優しい人を、不幸にさせたくないから。………でも何でだろうなぁ………一之瀬の事を思うとさ、胸が痛いんだよ。彼女が傷ついていると思うと、心がズキズキする。自分でフッておいてさ。酷いよなぁ僕………」
「(……まさかコイツ………自分の気持ちに気づいていないのか?)」
魁座の会話を聞いていくうちに、オレの考えは纏まっていく。魁座は一之瀬の事を特別に思っていると。
まだ恋愛感情かどうか、今の段階では判断できない。
だが、間違いなく他の人達よりは大切に扱っている。
これまで魁座には様々な特別な存在がいる。
雪、白石、山村………女子ばかりなのは気になるが、まぁここでは置いておこう。
そんな存在が傷つくことを絶対に許さない。
実際、オレが雪を拒否したとき、アイツはオレをぶん殴った。オレが視認できない速度で。そこから兄弟喧嘩に発展していき、最終的に相打ちになった。
普段の実力から考えれば、殴り合いで勝つどころか相打ちになる可能性すら低い。それにも関わらず、魁座は相打ちに持っていった。
………いかん。そのときの様子を思い出して頭が少し痛くなってきた。ここで終わろう。
話が逸れたが、魁座は3人をかなり大切に扱っている。彼女達が傷つくと、自分も悲しげな顔をするほどに。
アイツはバカだ。自分より他人を優先してばかりの、バカでどうしようもない人間だ。
そんなアイツが、一之瀬が傷ついた事に心を傷めている。
それはきっと────────
「……清隆、ありがとな。愚痴聞いてくれて」
「あぁ。これで気持ちが晴れるなら別に構わない。また呼んでくれ」
「分かった。……良かったよ。信頼出来る人に話せて。またね」
「またな」
魁座が去ったあとも、オレは椅子に腰をかけたまま思考に深ける。
「信頼出来る人……か」
悪いな、魁座。
逆にオレはお前を信頼したことは一度もない。
オレからすればお前は、たった一人の大切な弟なのだろう。
だが、それは関係ない。
オレにとってお前は家族と思える唯一の存在、だが同時に一歩間違えれば命に関わる、扱いづらい道具でもある。
だからお前を利用させてもらう。
オレの計画のために。
そして………オレの愉悦のために。
2人の関係を上手く扱わせてもらう。
「まずは魁座も気づかせる必要があるな…」
相思相愛にすることで、魁座の思考パターンを制限すれば、オレも動かしやすくなる。
どうやって気づかせるべきか、それはおいおい考えておこう。そろそろ夜も遅くなってきた。
オレは立ち上がり、部屋へと戻って行った。
──────────────────────────
「どうしましたか?魁座くん」
「体調でも悪いですか……?』
「いや、大丈夫。ちょっと考え事」
「私達を前にして、他のことを考えるなんて……イケナイ人ですね」
「ハハッ、ゴメンね」
………ダメだ。
2人を前にしても、僕は一之瀬の事ばかり気にしている。2人に集中しなきゃいけないのに。
なんでここまで気になっている?
2人のときでも、こんなに気にすることは無かったのに。
………もしかして僕は一之瀬の事──────
「(………違う。そんなわけない)」
きっと彼女の泣いてる姿を見たくないと思っていたから、それを受け入れたくなくてこんなに苦しくなってるだけ。そうに違いない。
「あっ………」
「んっ………」
「ゴメンね。今度は2人だけを見るから」
僕は自分の気持ちに蓋をして、目の前の2人を愛する事に集中することにした。
補足
・春休みの約束
原作綾小路と違い、ただ単に一緒に話したいなぁと思っただけ。なのに………
・主人公は一之瀬の告白を断った。
理由は自分の出生と裏事情が原因で普通に幸せに出来ると思っていないから。
白石は同じく複雑な事情で自身の裏事情を知っているから、山村は主人公なしでは生きられないほどの依存性を見せているから受け入れた。
主人公と深い関係になるためには自分の裏事情を知っているか、依存するほどの愛が必要不可欠。
あと一之瀬は優しい人だと思っているため、巻き込みたくなくて断った。
・清隆の主人公の扱い
主人公を自分の家族と思っていて情はあるけど、それはそれとして自分の一番使える道具扱いしている。
今回は自身の愉悦のために、2人の関係をどう利用しようか考えてる。つまりモルモットのような扱いに近い。
ただし他の人達と同列扱いはしてない。扱いを間違えれば綾小路自身が痛い目を見るから、常に考えて運用してる。
次は後編。
綾小路が核爆弾を放り込みます。お楽しみに。
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堀北クラスをボコボコにしても良い?
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ボッコボコのフルボッコにして欲しい。
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原作くらいの扱いで良い。
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しないで欲しい。