全ての原因は綾小路です。
今回は結構長め。三人称視点が1回入ります。
修学旅行最終日、ふと外の空気を吸いたくなってウッドデッキに出ることにした。
「……あっ」
………が、タイミング悪くちょうど一之瀬と鉢合わせになってしまった。
「えっと……どうしたの?」
「いや、僕も夜風に当たりに………」
「………そっか」
「「…………」」
……気まずい。あの告白の日以来、まともに会話なんてしてないから当然だけど。
「………一之瀬はいつからここにいたんだ?」
「えっ?」
「いや、その、寒そうにしてたから………」
「10分くらい前だよ。それがどうしたの?」
「噓つかなくていいよ」
「………黒宮くん?」
「手、隠せてないよ」
見ると、かなり赤くなっている。たった10分であそこまで赤くなるはずがない。恐らく何十分も前からここにいたんだろう。
「顔も暗いけど、どうかしたの?何かあった?」
正直、『どの口が言ってるんだ』と内心で思いつつ話す。僕も告白を断って傷つけている。そんな人物が心配するような言葉をかけていいのかと。
……それでも、かけずにはいられなかった。彼女の落ち込んでいる様子を見て、居ても立ってもいられなくなった。
「ううん。大丈夫。ちょっと気分が悪いだけ。すぐに戻るから」
そう言って背を向け、その場を去ろうとする一之瀬を見て、
──────気づけば、僕は後ろから抱きしめていた。
「えっ!?く、黒宮くん!?」
「……また、1人で抱え込んでるんだな」
「そ、そんなわけ……」
「顔を見れば分かる。嘘ついてもダメだよ。いまの一之瀬は大丈夫じゃない」
「黒宮…くん……」
「悪いけど、いまの一之瀬を放っておけない。誤魔化そうとしないでくれ。何で悩んでいるのか、誰かに吐き出した方が楽になる事もある」
そう言って自分の方へ引き寄せる。そうして数十秒後、一之瀬はポツポツと言葉を発した。
「……二学期になってから、私達のクラスが置いてけぼりにされてるの。そのクラスを率いているのは私。不甲斐ない結果を出してるのは全部私が上手くリーダーとして動けてないから……」
「それは……そう、かもね」
もっと優しい言葉をかけてもよかった。でも、ここで自分も誤魔化そうとするのは、彼女に対して失礼になる。だから正直に肯定した。
「あはは……誤魔化さないんだね」
「嫌だったか?」
「ううん、下手に慰められるよりはそっちの方がいいかな。……とにかくね、私がリーダーとして劣ってるから結果を出せなかった。私にもっと坂柳さんみたいに指揮出来れば……龍園くんみたいに力強く引っ張ることが出来れば……堀北さんみたいに連携することが出来れば……そんな風に考えてる」
「それは無いものねだりだよ。一之瀬は一之瀬だ。他人になることは出来ない」
「そうだね。無いものねだり……私は今……そんな手に入らないものが欲しい」
「自分を変えてでも、なのか?」
「勝てるなら……それでも良い」
一之瀬は静かに涙を流す。自身の力不足に、悔しさで心が押しつぶされていた。
「ねぇ、1つ聞いても良いかな。黒宮くん」
「……なんだ?」
「なんで……私を助けてくれたの?そんなことされたら……私………ッ!」
抑えきれないとばかりに涙がポロポロと零れていく。
「黒宮くんのこと……ますます好きになっちゃうよ………私が弱ってるとき、いつも理解して支えてくれる人を手放したくない。断られちゃったけど、それでも諦めたくない。我儘だけど………一緒にいたい………諦めたくないよぉ…………!」
「……………っ」
ついには堰を切ったように大粒の涙を流し出した一之瀬を、僕はさらに強く抱きしめた。
違う。
一之瀬は悪くない。見た目も性格も全部好きな女性だ。
悪いのは全部僕だ。僕が自分の事情に悩まされて、自信がなくなってしまった臆病者だから、君の告白を断ってしまった。
そしていまの君の言葉を聞いても、僕は受け入れられない。本当に情けない。
今後、一之瀬に僕より良い人が現れると言うことは簡単だ。でも、彼女にそんな未来の視野は入ってこない。学校という狭い範囲でしか見れていないため、僕という人間が全てのように思っている。
結局何も言えないまま、静かに時間だけが過ぎていく。
一之瀬の顔をのぞき込むと、最初よりも悪化して絶望的な表情を浮かべていた。
このままではマズい。下手をすれば本当に命を絶ちかねない。
僕は一之瀬の肩を掴み、向き合うようにする。
「じゃあ一之瀬。1つ提案があるんだ」
「……提案?」
「修学旅行が終わったあと、僕とデートしよう」
「………えっ?」
「約束、してくれるか?」
「う、うん!」
完全に立ち直ったとは言えないが、これで少しは時間が稼げた。あとは、これからどうするか。僕は次の行動に思考を移した。
──────────────────────────
黒宮くんとのデートの日。
この日、私は決めていた。最初で最後のデート。この気持ちに終わりを告げようって。
……でも。朝、ケヤキモールの前で待ち合わせたときから、すでに私の計画は狂い始めていた。
『おはよう、一之瀬。待たせたか?』
『ううん、ちょうど着いたところ』
笑顔で手を振ってくる黒宮くんを見て、胸の奥がくすぐったくなった。
断られたあと、まともに顔を合わせるのも避けていたのに。こんなに近くで話せるだけで、もう嬉しい。
『今日はどこ行く? 一之瀬が行きたいところ優先でいいよ』
『えっ、いいの?』
『当たり前だろ。デートなんだから』
その言葉に、また胸が熱くなった。
最初はただの服屋を覗くだけのつもりだった。
でも黒宮くんは私の反応を見て、
『これとか似合うんじゃない? 一之瀬ならスタイル良いし』
と、何気なく差し出したカーディガンを見て、思わず笑ってしまった。
『似合うかな……?』
『似合うよ。着てみるか?』
結局、試着までしてしまった。
鏡の前で少し照れながら振り返ると、黒宮くんが『やっぱり似合う』と素直に言ってくれた。
その笑顔を見て、私はまた嬉しさがこみ上げてきた。
お昼は少し高めのカフェに入った。
黒宮くんがメニューを指差す。
『食べようよ、このパフェ。甘くて美味しいよ? 一之瀬、甘いもの好きだろ』
『……なんで知ってるの?』
『前に生徒会で、休憩中にケヤキモールで1番甘いって言われてるケーキ食べてたから』
そんな細かいことまで覚えているんだ、と思うと、涙が出そうになった。
午後は公園を散歩した。
ベンチに座って、しばらく黙って風に当たっていたとき、黒宮くんがぽつりと言った。
『……やっと笑ってくれた。最近の一之瀬、ずっと張りつめた表情ばっかりしてたから』
その言葉に、私は顔を上げた。
『黒宮くんは……いつも私のことに気づいてくれるね』
『気づくってほどじゃないよ。ただ、放っておけないだけなんだ』
放っておけない。
その言葉が、胸に染みた。
1日中黒宮と触れ合って、話して、笑って分かってしまった。
私はやっぱり黒宮くんが好き。黒宮くんが大好きなんだって、このデートで再認識出来た。
でも、いまの私では振り向いてもらえない。
………だからもう、覚悟を決めるしかない。
他人を傷つけずにみんなと勝ち抜こうとしていた、過去の自分と決別して、他人を傷つけてでもみんなと勝ち抜くと決める。
「ごめんなさい。お母さん」
私、またお母さんのこと裏切っちゃった。
私は悪い子だね。
他人への優しさを、好きな人のために捨てるなんて。
「でもね、お母さん。無理なんだよ」
これからの自分が間違ってるのは分かってる。
それでも、私は彼の隣にいたい。
この1年で、私は何度も彼に助けられて支えられてきた。
その度に彼への思いは膨らんでいった。
そして、どんな私でも受け入れてくれた。
みんなの頼れるリーダーの私も。
犯罪に走ってしまった私も。
みんなの期待に押しつぶされそうになって弱い私も。
黒宮くんは全部受け入れてくれた。
そんな人の隣に一緒にいたい。
そのためにいまの自分を変えるしかないんだったら、私は変わる。彼のために必要以上の優しさは捨てる。
私は黒宮くんに振り向いてもらえるような人間になる。
「待っててね、黒宮くん」
君のために頑張るから。
──────────────────────────
あのデートの日以降、一之瀬は変わった。
後日、改めて告白してきた。僕の事が好きだと。僕に振り向いてもらうために、変わっていくと。
そして実際、彼女は変わった。
協力型筆記試験では龍園クラスを学力で上回ってることに加え、龍園の妨害を跳ね除けて勝利した。
生存と脱落の試験では退学者を出さないこと、坂柳クラスを最下位に落とすことを方針にして、密かに龍園と結託した。
(ちなみにこれは、僕を10ターンすべてで連続指名を行った事に対して聞きにいった際に教えてもらった)
「僕のせい……だよな」
正直に言えば複雑だった。
彼女には、ずっとあのままでいて欲しかった。
だが、彼女が変わる原因となったのは僕だ。僕を手に入れるために不要な優しさを捨てて、変わった。
実際、その目論見は成功している。
日に日に彼女を目で追うことが多くなった。
魅力的に映るようになった。
神室が退学したあと、気分の落ち込んでいた僕を側で支えてくれたのも相まって、さらに気になり始めている。変化した彼女を欲しがり始めている。
………それでも、僕はまだ結論を出せない。
ホワイトルームの呪縛が、僕を素直にさせてくれない。
自分の白い髪を見る度に時折思い出す。仲の良かった同期が、ある日突然いなくなった事での喪失感を。
もし失ったら、居なくなったらどうしよう。そんな思いが蔓延っていて一歩を踏み出せない。
僕はやっぱり弱い人だ。
結局決断出来ずに日に日に時間が過ぎていく中、僕の彼女への想いは段々と大きく膨らんでいった。
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学年末試験前、オレは決断を迫られていた。
このまま行けば、恐らく魁座と一之瀬は結ばれるだろう。早ければ学年末試験終了日、遅くとも3月末までには。
だが、それでは面白くない。
これではただ普通に付き合うだけだろう。魁座は一之瀬を正妻にして、普通に恋人行為をして、卒業したら結婚して、愛人も含めて纏めて愛する。そんなありきたりな展開だ。
そんなことでは愉悦出来ない。普通すぎてむしろ呆れるくらいだ。
「……何か2人の関係に加える必要があるな」
今のままでは意味がない。2人の関係に劇薬を投じて変化させる必要がある。
となれば、行動を起こすべきは学年末試験。そこで一之瀬を徹底的に追い詰める。そうすればアイツはオレに激怒するだろう。
だが問題ない。対策も既に考えてある。
悪く思うなよ、魁座。
これでお前も一之瀬と付き合える。むしろお前にとってもメリットだ。
そうなれば優しいお前のことだ。必要以上にオレを責めることはないだろう。
最後に笑っているのは、オレだ。
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ガン!と寮の裏手で強く叩きつける音が聞こえる。
そこには、見たこともないほど怒りを含んだ黒宮魁座が、綾小路清隆の首元の服を掴んで壁に叩きつけていた。
「………調子に乗るのもいい加減にしろよ。清隆」
「悪かったな、オレのためだ」
「オレのため………?ふざけんな、何であんなことを………!!」
黒宮は怒っていた。その理由は単純だ。
綾小路が一之瀬を追い詰め、徹底的にメンタルをボロボロにしたからだ。
事の発端は学年末試験。
大将の一之瀬が中堅の堀北を完封して、大将の綾小路が部屋に入って勝負が始まる。そして、今回の試験で一発逆転と唯一の退学リスクという諸刃の剣である「背信者」というシステムを談合で相殺し合うことを綾小路が提案する。
敵クラスであっても退学者を出すことを望まず、また堀北クラスに一発逆転のチャンスを与えないことは、一之瀬にとって願ってもない提案であったためこれを快諾。
その後、特別試験とは思えないほどの和やかな雰囲気が流れるが、綾小路は突然、「背信者」の権利を利用してクラスの裏切り者の前園杏を退学にさせたのだ。
互いのクラスメイトから退学者を出さない、と提案したはずなのに、綾小路に騙されて前園退学の片棒を担がれたことに一之瀬は困惑する。
さらに、ここから綾小路が言葉巧みに徹底的に一之瀬の心を追い詰め、砕いた。
「なんだ?クラスメイトが騙されて退学したことに怒ってるのか?」
「そんなわけないだろ。むしろ前園の退学は妥当だ。別に仲の良くない人物が退学しようが僕は何も感じない」
だが、黒宮が怒っているのはクラスメイトが退学したことではない。
「なんで……なんであの作戦を僕が提案したって事にしたんだ…………!!」
そう。綾小路はこの作戦を実行したのは黒宮だと一之瀬に話したのだ。
『これは魁座の作戦だ。全部な』
『相手の心を利用する。戦いにおいて基本的な戦法だろう?』
『魁座はお前の善意を利用したんだ。だからお前は騙された』
『そんなはずがないと言い切れるか?アイツはいざというときに非道な行動を取れる人物だぞ?』
たちが悪いのは、黒宮が提案した作戦と善意を利用したこと以外は全て合っているため、簡単に否定しきれないのだ。
そうして一之瀬は騙されてしまい、試験に集中出来ずに惨敗した。
「お前なら分かるだろう?一之瀬だからこそ、お前の作戦にした方がより大きくダメージを与えられる。だからお前の名前を借りた。それだけだ」
「お前…………っ!」
黒宮はさらに力を込めて綾小路を締め上げる。力はこもってるはずだが、綾小路の顔は一切変化しない。
「ここまで派手に追い詰めて……一体何が目的だ?」
「お前が知る必要はない。それよりここで借りを消費させてもらう」
「借り?」
なんでここで────と思っていると、予想していなかった事を突きつけた。
「お前が今回の事の真実を話すことを禁止にする。もし聞かれても、全て自分がやったという扱いにしろ」
「………っ!」
どこまでコイツは自分を怒らせればいいんだ。
そう口を開こうとした瞬間、間を挟まぬ速度で清隆が続ける。
「一之瀬の事を気にしなくて良いのか?」
聞かれた途端、黒宮の力が弱まり、その隙に清隆は抜け出す。
「悪く思うなよ。これでお前も決断せざるを得ないだろう。あとはお前次第だ」
そう言うと、静かにその場をあとにした。
黒宮も綾小路のあとを追いかけようとしたが、『決断せざるを得ない』という言葉が心にこびりついて離れず、踏み出すことが出来なかった。
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あれから一之瀬に会おうとしたが、表向き自分が酷い事をしたと認識のため、どうやって会って話そうか中々決められず悩んでいると、気づけば1年前の約束の日になっていた。
僕は結局、どうしようか決められなかったが、恐らくこの日を逃せば勇気が出ないと判断し、話すことにした。
だが、時間が刻々と過ぎる中、一之瀬は現れない。
強引にでも会いに行こうと、僕は痺れを切らして門限ギリギリの時間に会いに行くことにした。
中へ入ると、一之瀬の姿が見える。白シャツ1枚の姿で、声はいつも通りだが覇気がなく、顔も暗いままだ。
ここへ来ても未だに考えが纏まらないままだが、最終的な結論を決めた。
僕は、彼女への恋を諦めることにした。
今、ここに来てようやく僕は分かった。
僕は一之瀬のことが好きだと。恋愛的に好きになった人だと。
これまで飛鳥と美紀を自分の女にしてきたが、彼女達はあくまで相手側からアプローチをしてきたから受け入れた。言い方は悪いが、最初から彼女達に惹かれた訳ではなかった。
だが、一之瀬は違う。
一之瀬は僕が自ら好きになった。初めて惹かれた女性だった。
それがいつしか恋心へと変わっていった。
でも僕はそれに気付かなかった。否、気づいていないフリをしていた。
そのせいで、僕は清隆に関係を壊され、修復出来ないほど戻れなくなってしまった。
正直、契約なんてものがなければ今すぐにでも真実を話しただろう。だが、現実は話せない。
もう、全てが遅かった。手遅れだった。
「ねぇ黒宮くん……この前の試験で、私を騙して利用したって……本当?」
「………あぁ。本当のことだ。お前を拒絶するにはこれが1番手っ取り早いからな」
後悔による苛立ちからか、少し冷たい態度で話していく。
「そっ……か。酷い………ね」
「僕へ恋を諦めさせるために、あんな手を使った。僕の恋より、自分のクラスのことに集中して欲しかった。ハッキリ言おう。もう迷惑だ。やめてくれ。僕に恋するのは諦めろ」
これで良いだろう。好きな人を他でもない自分が傷つけているということに、心が悲鳴を上げるが、それを押し殺して接していく。
「………ゴメンな」
だが、最後の最後で本音がうっかり漏れてしまった。何をやっているんだろうか。否定したのは僕なのに。
「僕を憎んでくれて良い。だから────」
と話しているそのときだった。
「ゴメンね、黒宮くん」
そう言って一之瀬は僕の両肩を掴むと、そのままベッドへ押し倒した。
「えっ、え?」
突然のことに困惑する。一之瀬程度の力ならすぐ振りほどけるのに、何故かこのときは驚くほど力が入らなかった。
「黒宮くんのさっきの言葉……本音じゃないよね?だって、本当に諦めて欲しいなら、ゴメンなんて言わないもん」
「あれは……」
「つまりさ、あの作戦は黒宮くんの本心じゃないってことだよね?」
上に覆い被さっている一之瀬の姿に、僕は思わずゾクッとする。
「でもまだ黒宮くんは私を受け入れてくれない。なんで黒宮くんが恋愛出来ないのかは分からない。でも、私は絶対に逃さない。私に黒宮くんのことを深く刻んだように、私も黒宮くんに一之瀬帆波って女の子がいた事を刻みつける」
「き、刻みつけるって………」
とてつもなく嫌な予感がする。今の一之瀬からは、僕が感じたこともないような恐怖が全身から滲み出ている。
「黒宮くん、前に言ってたよね。『家族が欲しい。安心出来る温かい場所が』って」
「あ、あぁ………」
「知ってる?血の繋がらない他人同士が交わることで、初めて本当に家族が出来るんだよ」
「ま、待て。まだ僕たちは学生だし、仮に繋がってもあと一年はあるんだぞ!?もしデキたら」
「そのときはそのときだよ。言っておくけど、もしデキたら絶対に下ろすつもりはないから。二人で育てようね、パ・パ?」
僕の知ってる一之瀬は誰よりも優しく、他人を思いやることが出来る校内、いや出会ってきた人物の中でも一番の善人だ。
だが今はどうだ?僕を押し倒し、ヤンデレじみた発言を口にしている。これが
「い、一之瀬。僕は………」
「黒宮くんは私を利用していた。だから、私も利用する権利はあるよね。どうする?これで助けを呼ぶ?」
正直に言うと全く警戒していなかった。この前の学年末試験での出来事で僕に対して憎みを抱いていてもおかしくない。そう思っていたのに、出てきたのは全くの真逆。僕への思いが溢れ出て止まらない、愛情の化け物と化していた。
「私は黒宮くんのことが好き。好きな気持ちは変えられない。忘れることなんて出来ない。むしろ貴方に会いたくて会いたくて仕方なかった。クラスメイトの誰よりも、家族の誰よりも、貴方のことしか考えられなくなっている」
すると、一之瀬が首を近づけてくる。それで何をするか察したため、僕も上に動いて唇同士を合わせる。
が、少し勢いがあったのかゴチンと歯と歯がぶつかる事になった。
「ゴメンね。下手っぴだったよね。キス、初めてだから」
「いや、大丈夫だ」
僕は一之瀬の様子を見て考えを改める。
ここまで一之瀬が変貌することになったのは誰だ?
僕だ。全部僕が悪いんだ。
僕がずっと中途半端なままでいたから、逆に彼女を追い詰めた。
そしてここでも彼女を拒んだらどうなる?
恐らく破滅するだろう。何なら今すぐ自◯しようとしてもおかしくない。
そんなのは絶対に嫌だ。こんな所で死ぬのは見たくない。手遅れになりたくない。
ではどうする?
簡単だ。もう僕も覚悟を決める。まだ終わってない。彼女を手放さない。
僕は体に力を込めて起き上がると、一之瀬を抱きしめた。
「きゃっ、く、黒宮くん?」
「………ずっと自信が無かったんだ。自分に。僕なんかが君を幸せに出来るのかって。僕の事情に巻き込んで、君が不幸になるくらいなら諦めた方が良いんじゃないのかって。……そう思って行動した結果がこれだ。君を一番追い詰めたのは僕だった。バカだよな、僕…………でも、これで覚悟を決めた。君をこれ以上不幸にはさせない」
ここで一旦言葉を切ると、一之瀬と正面から向き合う。
「一之瀬、僕と付き合ってほしい。今度は君を手放さない」
「────っ」
一之瀬の唇が小さく震えた。そして、瞳からはポタポタと涙を流し始める。
「私ね………怖かった。ここで関係を結んでも、結局最後は見捨てられちゃうんじゃないかって………でも……黒宮くんがそう言ってくれるなら………!」
今度は一之瀬が僕の胸に飛び込んでくる。僕は彼女の背中に腕を回すと、優しく抱きしめる。
「うん………うんっ!私で良ければ………よろしくお願いします!」
こうして、長い間続いた僕達の関係は、ひとつの終着点に付いた。
そしてそのまま、勢いにのる。
「一之瀬、これ以上進んだら元に戻れない。それでもいいか?」
僕の警告にも一之瀬は意に介さないとばかりにニコリと笑う。
「勿論。黒宮くんが行くところならどこまでも付いていく。例えそこが地獄でも、黒宮くんがいれば怖くない」
そう言って僕の服を手にかける。抵抗せずにされるがままにして、やがて2人とも下着1枚になる。
「一之瀬、最後に一つ言うよ。ここて関係を結めば、僕は君を絶対に手放さない。一生をね。それでも良い?」
「むしろ本望だよ。………好きだよ。黒宮くん。一生愛してる」
「僕もだ。愛してる」
そして、互いに身につける物が無くなると、暗い部屋の中でお互いを貪り食い合う姿が映し出される。それは朝日が昇るまで続いた。
この日、僕と一之瀬は本当の意味で一つになった。
綾小路「一之瀬の絶望した顔は中々悪くなかったな。人生で一番高揚した」
今回は補足なし。裏話というか書いた感想を言います。
いやぁ~~~………一応原作と展開は同じにしたけど、清隆が主人公の責任にしたから余計に酷く感じるな……。
これまで言ってなかったけど、主人公は白髪で赤い目のアルビノの容姿。
ちなみに白髪にした理由は時折ホワイトルームの事を思い出して苦しんで欲しいから(笑)。
はい。というわけで結ばれましたね。前々からネタ温めておいたおかげで最後らへんはスムーズに書けた。
一之瀬の闇堕ち上手くかけたかなぁ〜?コメントでも聞きたいです。
主人公も綾小路と同じなんですよね。ホワイトルームが呪いのように離してくれないんです。
これからどうなっていくのか、ぜひ楽しみにしてていただけたら幸いです。
それでは、今回はここまで。
高評価とコメント、お気に入り登録してくれるとモチベに繋がります(強欲な壺)
堀北クラスをボコボコにしても良い?
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ボッコボコのフルボッコにして欲しい。
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原作くらいの扱いで良い。
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しないで欲しい。