ギャグ回。(Onlyではない)
「一体どういうことなんだよおい!」
「お前、まさか本当に白石と……?」
「嘘だと言ってくれぇ……」
「もうダメだぁ……おしまいだぁ……」
「お、おい吉田!?しっかりしろぉー!!」
一部の男子生徒は絶望し。
「え、え、え?黒宮くんって一之瀬さんと付き合ってるはずだよね?」
「なのに白石さんにも手を出してるってこと?」
「しかも一之瀬さんと付き合う前からって……」
「最っ低……」
一部の女子生徒は軽蔑して。
「おい、どうやってアイツに襲撃する?」
「今、白石のファンクラブに召集かける。同学年だけでも多分、軽く20人は行けるぞ」
「許せねぇ……」
「火あぶりにしてやろうか?」
一部のファンクラブは襲撃しようとしていた。
「(……あぁぁぁぁぁぁぁすぅぅぅぅぅぅぅかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!何してくれてんだぁああああああああああ!!!)」
僕はこの状況を作り出した飛鳥に対し、心の中で大きく文句を叫んだ。
──────────────────────────
事の発端は試験が終わった次の日の放課後の事だった。
「なぁ黒宮、1つ聞きたい事があるんだが……」
同じクラスの吉田が、僕の近くに寄ってきた。何を聞きたいのだろうかと思っていると。
「お前……白石のこと、下の名前で呼んでたよな?白石とはどういう関係なんだ?」
予想もしていないことを聞いてきた。
「(……え、飛鳥との関係?何でここで?)」
僕は全くと言っていいほど理解が出来なかったが、聞かれた以上答えるしかない。
「飛鳥とは……この学校に入学する前からの友人だ。入学後はクラスが違ったから中々話していなかったけど、クラス移動してまた会うようになって話してるだけだ」
これ以外に答えようがない。それ以上は色々な事情があるので話そうと出来ないから。納得してくれたか?
「そうか……む、昔からの知り合い……クッソ、何で黒宮と白石が……」
……飲み込もうとしているけど、どこか邪魔して中々納得出来ない様子だ。
「(え、吉田ってもしかして……そうなのか?)」
僕はどこぞの鈍感主人公じゃない。いや、少し鈍感な所はあるが、吉田の様子は流石に分かりやすい。
だが悲しいかな。白石はもう……
「私がどうかしましたか?吉田君」
「うぼぁ!?」
と、そのとき、教室の外から飛鳥が中にやって来る。まさか本人が来ると思っていなかったのか、吉田は変な声を上げた。
「な、なんだ白石か……いや、その、白石と黒宮が昔からの知り合いって知ってさ……」
「あぁ、魁座くんから聞き出しましたか?そうですよ。私と魁座くんはお友達です。それと……」
そこで、一旦飛鳥は言葉を切る。
「それと……私の
「へっ?……あ、あぁ。そうだな」
まさかここで話しかけられるとは思っていなかったため、素っ頓狂な声を上げてしまった。予想外だ。
1人目とは何なのか分からないが、取りあえず合ってるだろうと考えて肯定を示す。
「あ、少し外に忘れ物をしてしまいました。取りに戻りますね」
「いってらっしゃい。さて……」
何故かコイツら、飛鳥の発言を聞いた瞬間から黙り始めていたからな。なんでだ?
「なぁ……お前ら急に黙ってどうし──────」
「ひ、ひひひひひひひひひひひひひひ1人目…………白石の…………1人目が…………黒宮……………アババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババ」
『吉田ー!?』
急に白目を向いてブクブクと泡を吹いて倒れた!?なんで!?
「え、ちょ、どうした!?なんで倒れてんの!?」
「黒宮………お前、白石の異名知らないのか?」
すると、近くにいた橋本が呆れたように話しかけてくる。……異名って何?
「その反応……もしかして知らねぇな?白石の『100人斬り』」
「は、100人斬り?」
そのまま橋本が説明する。
どうやら、数多くの男子生徒を弄んできたという噂が流れており、そこから『100人斬りの飛鳥』と呼ばれているらしい。
……え、そうだったの?僕全く知らなかったんだけど………あれ、ということは………
…………
……………?
………………!!
「え、つまり僕は……」
「そ、お前は白石の初めての相手って認識された。……取りあえずドンマイ。このあと頑張れよ」
橋本の言葉に僕はハッと周りを見る。
すると、様々な感情の入り混じった視線があちこちから向けられる。
「(あ、これ詰んだわ)」
──────────────────────────
……そして時は現在に戻る。
飛鳥の1人目発言により、僕に対する視線がかなりマイナス感情寄りになっていた。
飛鳥あの野郎。とんだ爆弾落としてくれたな。何が目的だったんだよホント……。僕にダメージを与えるなんてことだったらまさに成功しているが、あの飛鳥がそんなことをするとは思えない。じゃあなんで………
「おぉぉぉぉぉぉい屑宮!!お前ふざけんなよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉお!!なんで!!なんで!!なんで一之瀬と付き合ってるってのに白石にも手ぇ出してんだよぉおおおおおおお!!??」
「ちょ、引っ張るな!!引っ張らないでくれよ吉田!!ってか屑宮って言うな!!」
「うるっせぇええええ!!成績優秀!!体育も優秀!!見た目は結構イケメン!!それだけでも恵まれてるってのにさらに女2人持ち!!どういうことなんだよゴラァ!!?イケメンなら何でも許されるってか!?どうなんだよおい!!??」
「お、落ち着け落ち着け!!首締まって地味に痛いんだよ!!……ってか皆!見てないで助けてくれよ!!」
「いや……俺は1回痛い目見といた方が良いと思う」
「俺も」
「私も……いくらなんでも二股は………」
「おぉぉい!?ちょ、辛辣すぎない!?」
薄情な奴らしかいないんだが!?なんで!?確かに二股しただけだけど、それだけでしょ!?そこまで皆の恨み買うようなことしてないでしょ!?
「は、橋本!橋本助けて!!」
「悪い。俺じゃ見守ることしか出来ねぇからな。そのまま頑張ってくれよ」
「も、森下!!」
「話しかけないでください二股男。汚らわしいです。もう少し痛い目見てください」
「聞いてんのかよ屑宮屑座ぁぁぁああああああああ!!!」
「痛い!首が痛いって!!……ってか西川!ニヤニヤ見ないでくれよ!!これが楽しいか!?」
橋本も森下も西川も全然助ける気がなく、僕はただ吉田に首を絞められたまま、ブンブンと身体を揺らされ、解放されたのは30分近く経ってからだった。
──────────────────────────
本当は言うつもりなんてなかった。
私の異名は西川さんが付けた真っ赤な嘘だ。そうすれば寄ってくる男子生徒も減って、楽になる。
私はあくまで彼の秘書だ。
彼の手伝いをする、ただそれだけの関係だ。
それだけの関係………のはずだった。
一年生の夏休み。
あの日、私と彼はアルコール入りのチョコを食べてしまい、酔った勢いで大人の関係を結んでしまった。
しかも、心の中で私が密かに思っていたことも多く吐き出して。
あれからだ。
私の中で彼の存在が大きくなったのは。もっとこれからも一緒にいたいと思うようになりました。ですが、関係を結んだとはいえ、彼は悩んでいました。私との関係について。
『こうなった以上、僕は責任を取る。……でもゴメン……僕は君を1番に愛することは……まだ出来てない』
彼は真剣な状況で無意味に冗談を言うことを嫌う。だから、1度言ったこの言葉も本心だ。私を無下にすることはないのだろう。
私自身としても、彼に貰われるのなら別に構わない。どこの馬の骨かも分からない人物に貰われるよりは何百倍もマシだ。
それより気になったのは、彼が私を1番に愛そうと出来なくて悩んでいることだ。
そんなのは気にしなくて良いのに。無理に愛そうと苦しい思いをしている方が、私は見たくない。私は彼の顔を掴むと、唇を合わせてキスをする。
『無理に1番に愛そうとしなくていいです。私は愛人でも構いません。正妻はいつか、本当に好きになった人に譲ってください』
『………良いのか?』
『私は魁座くんの隣に居られればそれで構いません。立場がどうであれ、好きでいてくれるのであれば、私はそれを受け入れます』
勿論、思うところが無いわけではない。でも、彼がずっと悩んで苦しい気持ちになるくらいなら、自身が妥協する方が良いです。
そうして私は彼の愛人になった。
それからも、度々私は彼に抱いてもらった。クラスが違うことや、表向きは私達の関係は隠さなければいけないこともあり、中々会える機会は無かったが、それも彼に抱いてもらえれば払拭された。途中でまた関係を結んだ女の子が出たが、私と同じスタンスのため、特に喧嘩になることなく済んだ。
私達の関係に大きく変化が起こったのは、2年生の春休みだ。
なんと、彼が一之瀬さんに逆レ◯プされ、そのまま恋人関係を結んだということだ。
最初に聞いたときは耳を疑った。一之瀬さんと恋人関係を結んだことにじゃない。逆レ◯プされたことだ。
一之瀬さんはそこまで力がある人じゃない。だから襲われたとしても、すぐに取り押さえられて未遂で終わるはずだ。なのに、そのまま押し切られてしまった。
彼によると『彼女の執念に気押されて、体が動かなくなってしまった』らしい。珍しい。何だって普通にこなしていくので、恐怖とは無縁だと思っていた彼が、1人の女の愛の執念に怖がるなんて。
そして、彼は言った。
『彼女を1番に愛したいと思うようになった。だから彼女を正妻と認めさせて欲しい』と。
私に聞かなくても、本人が勝手に決めても良いのだが、こういう所は真面目だ。そういう性分なのだろう。私は認めた。
でも、私は舐めていた。一之瀬さんを。
正妻となった彼女は、毎日のように彼の部屋に入り浸っている。実質同棲しているようなものだ。そして恋人同士2人っきり。そこから起こることは容易に想像出来る。
勿論毎日というわけではない。だが、様子を見れば分かる。ほとんどの日に抱いてもらっていると。
正妻は彼女だ。それはもう納得済み。だが毎日一緒に彼の部屋にいる。そう考えただけで右手を握りしめる。
正直言えば羨ましかった。私は事情があって彼と常に一緒にいることは出来ないのだ。私がこの2年間で抱いてもらった回数より、彼女が部屋に入り浸って抱いてもらった回数の方がいつか上回るだろう。そう想像しただけで、胸の奥がザワついた。
そこで私は気づいてしまった。
私が愛人を受け入れられたのは、優越感に浸っていたからだ。いくら彼に本当に好きな人が出来ても、『私の方が長く一緒に愛してもらえた』と、心のどこかで思っていたからだ。
なんて傲慢だったんだろう。
私は愛人だ。正妻の方がどうしても優遇される。そんなことはすぐに想像出来たはずなのに。
それだけ、私は彼のことを好きになっていたのだろう。自分でも気づかないうちに。
理解はした。だが納得出来るかはまた別だ。
最近、一之瀬さんばっかりに構っている。
そう考えたら、気づけば話していた。私の異名を利用して、私と彼の関係を皆さんに匂わせることにした。
「らしくありませんね………すみません魁座くん」
彼には悪いと思っている。何も事情を知らない人たちからすれば、彼は二股をかけた最低な人になってしまう。
でも仕方ないんです。
もっと私の事も見て欲しい。その気持ちが抑えられなかった。
ここまでしたんです。だからしっかり見てください。
今日は部屋に行くので覚悟していて下さいね。
私は危ない笑みを隠すようにして腕を当て、そのまま寮へと戻って行った。
──────────────────────────
『今日で僕、死にそうなんだけど。助けてくれない?』
『南無三』
間一髪入れず返信すると、続いて送られてきたメッセージをオレは確認することなくスマホをポケットにしまった。
「アイツは女には弱いな……」
正直、オレには何故アイツが女に対してタジタジになっているのか理解出来ない。自身を貫けばいいだけだろうに。
だが、その理解不能さがオレをより面白くしてくれる。アイツは普段のオレにとって、興味の尽きない観察対象だ。
……だが、それだけではない。
黒宮魁座はゾンビだ。勿論本来の意味ではなく、精神的な意味での。
ーーーーーーーーー
ホワイトルーム時代からそうだった。
どんなに強く打ち付けられても、どんなに酷い言葉をかけられても、アイツがへこたれることは無かった。
弱音を吐かず、1人で飲み込んで、次に切り替える。異常とも言える切り替えの早さだった。
生き残るためにオレは不要と判断した感情を、アイツは所持したままホワイトルームを生き延びた。
アイツの強さは絶望を知らないことじゃない。逆だ。絶望に慣れているから、どんな敵と対峙しても揺るがない。それがアイツの強さだ。
それに、アイツは勝つことに特別拘っていない。
オレと対峙して戦ったときもそうだった。
スピードはアイツの方が上だが、力と技術の練度はオレが上で、何度も叩き落とした。
なのに、奴の瞳には諦めは映らなかった。何故だ?もう差は明らか。なのに諦めることは一切ない。オレには勝てない、無駄な事だと理解した方が良い。オレが言うと、奴はこう返した。
『最初から勝てないことは分かっていた。だが勝てないとしても、何か出来そうなことを試行錯誤してやることはまだ出来る。俺はそれを試したい。だから受けた』
理解不能だ。その一言で一蹴することは出来た。
だが、不思議と否定することはできなかった。
それからだ。奴の存在に興味が湧いたのは。
ホワイトルームでの教えは勝つことが全て。そんな中で勝つことに拘っていない異端児。それが黒宮魁座だった。
そして、アイツと関わったことでオレにも1つ疑問を覚えた。
『この世の中は、勝つことが全てじゃないのか────?』
ーーーーーーーーーー
「────ハッ」
珍しく寝落ちなんてしていたようだ。
スマホを見る。もう早朝5時になっていた。
「……起きるか」
二度寝するには微妙な時間だ。それなら、このまま起きて読書していた方が良い。
「(………そういや、最近ひよりに会ってないな)」
ここ最近、何かと予定が立て込んでいるのもあって中々図書館に足を運べていない。予定が終われば、また図書館でひよりと一緒に読書しようと決めた。
後半は白石と清隆の内心を入れました。白石は喋り方が難しいし、清隆の方もキャラ崩壊しない程度に書かなきゃいけないからかなり難しいんですよね。おまけに私の文章力じゃ読みにくくなってしまう。
まだまだ勉強が必要だな………
補足:西川がニヤニヤして見ている。
今作では原作同様白石LOVEだが、『でも本人が幸せならOKです』ってスタンス。白石と主人公の仲を認めている。そして白石に翻弄される主人公をニヤニヤしながら見ている。野次馬的存在。意外とビジュアル好み(作者談)
高評価とコメント、お気に入り登録してくれるとモチベに繋がります(強欲な壺)。