俺がティアマットに修行をつけてくれるように頼んでから約3年がたった…
この3年間は長かったような、短かったような….まあ、色々と内容が濃い3年間だったさ。
この3年の間に何があったって?そんなもん、一言で言うと『地獄』だったね、最初はティアマットが修行してくれると思ってたんだ…でも実際は、
『今のアキラが、私と修行ができるとでも?そんなことをすれば1日で死んでしまうわ。だからまずはこの森の魔物や龍と戦えるようになってから来るんだな』
俺は納得したよ?そりゃあ、いきなり修行で死ぬなんて嫌だし、ティアマットの言い分が正論だと思ったからさ、でも徐々にレベルを上げて修行してくれると思ってたのにね?
『とりあえず、森の魔物たちと戦って1年間生き残ってきな、それができたら修行してやるさ….』
この一言だけ言って、洞窟の中に潜っちまったんだ。
俺は1年森の中で修行した。来る日も来る日も魔物や龍と戦った。ウンディーネが美女じゃなく漢だったり、気持ち悪い植物には食べられかけたり、魔物の群れには追い掛け回されたり….まあそんな日が1年も続けば嫌でも戦闘は慣れてくるし、覇気の練度も上がっていった。そうしてあっという間に最初の1年は過ぎていったよ。
2年目、1年間生き残った俺はティアマットの洞窟へ戻った。ティアマットの『本当に生き残ってくるとはな….』と驚いた顔が印象的だった。それからティアマットに修行をつけてもらったり、この世界のことを教えてもらったりもした。他にも魔力の使い方なんかも教えてくれたりして、面倒見が良かったのが意外だった。あと雌のドラゴンだということもこの時に知った。(元々女っぽいとは思っていたが)
ティアマットと修行しての2年もキツかった。森の中を追い掛け回されるし、ブレスが飛んでくるし….だけどな、それでも俺は感謝はしてるんだ。俺が実際ここまで強くなれたのはティアマットのおかげだ。
それからティアマットは高位のドラゴンらしく言葉も話せるし、なんと人型にもなれるそうだ。だからさ、
「……おい、アキラよ、聞いておるのか?」
「ああ、ごめんティア、ちょっと考え事しててね」
今俺の前にいる長く綺麗な青い髪を持つ、スタイルの良い美女。百人が百人とも振り向くであろう。この女性はティアマット本人なのだ。
「さっきから誰に説明しておるのだ?それから美女なのだと……..照れるではないか」
そう言って、顔を赤くして恥じらっている。何だこの可愛い生き物は、本当にあのティアマットなのか….
最初は恐怖の対象でしかなかったティアマットへの印象も、今ではすっかり変わってしまい。むしろこういうところを見ていると可愛いとさえ思う。それに最初は敬語で話していたけどこれだけ一緒に生活していると自然に話しかけれるようになった。ティアマットも長いからティアって愛称で呼んでるしね。
「ああ、そう言えば今日は珍しく人型なんだね。なんで?」
「いや….特に意味はないのだがな、こっちのほうが何かと便利というか、その…変か?」
「いや、いつも言ってるけど可愛いと言うか、綺麗だよ」
「そうか!そうかそうか….いや、別にお前になんと思われようがいいのだがな」
そう言って、何故かティアは向こうを向いてしまった。わけがわからん。
「はぁ….ところでさっき話してたことって?」
そう言うとこちらへ向き直すティア、
「おお、忘れておった。最近この森にもはぐれ悪魔などが逃げ込んできておってな」
「ああ、確かに最近多いね、それに森の魔物を狩るやつとか」
そうなのだ。もう俺だけで7体は倒してる。はぐれ悪魔も多いが、魔物を捕まえて売ろうとする奴らがこの森に入ってきたりしている。そういう奴らは追い払っているが、それでも数は多い。
「そうだ、その度にアキラや、龍たちが討伐してくれるので助かっている。もしまたはぐれ悪魔などが侵入してきたら、すまんがその時も頼むぞ」
「もちろんさ、ティアたちが住んでるこの森を荒らさせやしないよ」
「ありがとう、アキラ」
「いやいや、当たり前さ….あ、ティア、噂をしたらなんとやらかな、悪いけど侵入者だ。」
「なに?またなのか」
「ああ、数は全部で4人か、まあこれくらいなら俺でも大丈夫だ。とりあえずちょっと行ってくるから待っててくれ」
「気をつけてな、アキラよ」
「わかってるって」
(しかし、ひとつだけ随分覇気が小さいな)
そう言って俺は気配のする方へと向かった。
-???side-
__ハァハァ、ハァハァ
一体どれだけ逃げ回ったかわからない。どれだけ追ってくる奴らを倒したか覚えていない。
「どうだ!そっちにいたか?」
「いや、こっちにはいないぞ!」
「この当たりのはずだ!隈なく探せ!」
やばい、追っ手のやつだ。3人ともかなりの実力者。全快ならまだしも負傷している状態の私じゃ絶対に勝てない。
「まずいわね….ここまでかしら」
魔力もほとんど底をついた。それに全身の怪我と睡眠不足。疲労は限界だ。
絶体絶命と言われれば、まさに今の状況だろう。
「おい!こっちに血の跡だ!」
「この辺だな、おい!注意して探せ!相手は負傷していてもSランクのはぐれ悪魔だ!油断はするな」
(まずい、こっちへ来る。)
だけど、逃げようにも体が言うことを聞かない。
「おい!あそこだ!いたぞ!」
「しまっ!逃げなきゃ」
私は最後の力を振り絞り、駆け出した。
「逃げたぞ!追え!」
私は一心不乱に森の中を走る。
後ろから男たちが追いかけてくる。
(逃げなきゃ、逃げ切ってあの娘に…)
しかし、私は転んでしまった。
「ふん、やっと追いついたぞ」
「おとなしくしろ、貴様には抵抗すれば殺しても良いと許可が出ている」
「うるさい!私はあの娘にあわなきゃいけないの!」
そうだ、私はあの子に….
「ちっ、抵抗するようだな、ならば貴様はここで死ね」
男は私に向かって魔力弾を撃ってきた。
(ごめんね、白音、お姉ちゃんここまでみたい….)
私は死を覚悟した。
「
突然の声とともに目の前に炎が現れた。
声が聞こえてきたかと思うと、私の目の前に男が現れた。いや、私と同じ年かそれ以下に見える。男の子といったほうがあっているかもしれない。そんな子が魔力弾を相殺した。
「なに!貴様人間だな?なぜこんなところにいる!」
「あんたらこそ、この森で何をしているんだ?こんな女性ひとりに男三人で、さらにはお前、今この人を殺そうとしたろ」
男の子は私をかばうように立っている。
いや、実際にかばってくれているのだろう。
この子は私をかばってくれている。なんで?
そんな考えが頭をめぐっていく、しかし私の体はどうやら限界を超えたみたいだった。
(もう、意識が…..)
私は男の子の背中を最後に目の前が真っ暗になった。
-???sideout-
どうやら後ろにいる女の子は気を失ってしまったようだ。
いや、今問題なのはこいつらだ。
「なぜこの子を狙う」
「そこをどけ!貴様には関係のないことだ!」
「おとなしくそいつをこちらに渡せ」
「断ると言ったら?」
「貴様も殺すだけだ」
男たち三人は戦闘態勢に入り、殺気をこちらへと飛ばす。どうしてもこの子を連れて行く気なのだろう。
「悪いけど、俺はこの子を守ろうと思う。だから….」
俺は男たちに向けて覇気を飛ばす。
「ぐぅ!」
「ぬぅ!」
「うぉおお!」
しかし、男たちは何とか意識を保ったようだ。
(覇王色の覇気で倒れないってことは相当強いな、いや、俺もまだまだだな)
「貴様今何をした!」
「妖術のたぐいか!っち、貴様もまとめて死ね!」
男たち三人は一斉に魔力弾を放ってきた。
「そんなものが効くか、『
俺は炎でそれを相殺する。
「今度はこちらが攻撃する番だな、『
まるで蛍のような淡い光を男達に向けて繰り出す。
「な、なんだこれは」
「『
だが、その瞬間今まで綺麗だった光は炎に変わり男達にまとわりついた。
「ぐわぁああああ」
「あ、熱い!」
だが、これだけでは終わらない。
「『
小さい弾丸のような炎を飛ばす。
「ちっ、小癪な!」
「もういい!そのはぐれ悪魔ごとまとめて吹き飛ばす!」
男たちはこれまでとは比べ物にならないくらいの大きさの魔力を練り上げ始めた。
「へえ、それがあんたたちの本気か」
「今更命乞いをしようがもう許さん!消えろ!」
そう言って凄まじい魔力の砲撃が飛んでくる。
「ふぅ、まあそれでもティアのブレスには程遠いがな、『
俺は目の前に分厚い炎の壁を展開する。その炎の壁には覇気を少しまとわせてある。覇気と能力による強化によって炎の壁は絶対に破られない強固な防壁となった。凄まじい音を立てて炎と魔力がぶつかり合う。
「な、なに!?」
しかし、男たちの魔力を炎が飲み込んだ。
「俺たちの攻撃が….」
「たかが炎ごときに….」
「今度はこっちの番だよなぁ、くたばれ『
「ち、ちくしょおおおおおおおおお」
男たちは炎に飲み込まれていった。
―――――――
――――――
「さて、あいつらは片付いたのはいいけどこの子をどうするかだな」
俺は後ろで寝ていた女の子をどうするかに困っていた。
「とりあえず、ティアのもとへ行くか、この子を連れて」
俺は女の子を抱えると洞窟へと向かった。
ここまで読んでくださってありがとうございました。
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