「ただいま、ティア」
俺は女の子を抱えながら洞窟へと帰ってきた。
「ああ、すまないなアキラ、ん?その抱えている悪魔の娘は?」
「ああ、なんか男達に追われているみたいだったから助けたんだよ、いろいろ限界だったみたいだ。気を失ってるから、そのままにするわけにもいかないしとりあえず、ここで様子を見ようかと思って運んできたんだ」
「そうか、とりあえずその娘が目覚めるまでそこに寝かせておいてやりな、ついでに治療もしてあげなよ」
「そうだね」
俺は抱えている女の子を近くにあった寝床へと寝かせた。
「つか、ここって洞窟の中なのに色々あるよね、普通布団なんてないよ」
「そこは、ザトゥージに感謝しな、あいつが色々持って来てくれるおかげで手に入るんだから」
「そうだね、今度会ったらまたお礼を言っとくよ」
ザトゥージさんとはこの森で初めて会った人の姿をした悪魔だ。何でも使い魔ハンターを目指しているらしく日々修業中らしい。基本使い魔の森に居るようなのだが、たまに街のほうへと行くらしく、その時にいろいろ買ってきてくれるのだ。
「いや~初めてザトゥージさんを見たときはビックリしたけどな、完全に侵入者だと思ったよ」
「まぁ、あいつもあんな格好でうろついているからな」
そうなのだ、ザトゥージさんは俺が前いた世界の某有名アニメ「ポ○モン」に出てくる主人公の格好をした、オッサンなのである。
「見た目完全に変質者だからなぁ、まあいろいろあって誤解も解けたし話をしてみるといい人だったしね」
「ふん、まあな...おや、娘が気がついたようだな」
俺は女の子がいる方へと顔を向けると、布団からゆっくりと起き上がった女の子がいた。
「気がついたか、気分はどうだい?」
-???side-
周りで声が聞こえる….
暖かい….
「….っ……っく」
私は意識が目覚めるとゆっくりと布団から起き上がる。
(ここはどこだろう、洞窟?)
「気がついたか、気分はどうだい?」
突然男から声をかけられた。
「気分は….あまりよくないわ、そんなことよりも君は誰なの?それにここはどこ?」
男は困ったように頭を掻いた。
「覚えてないかな?君が男達に襲われているのを俺が助けたんだ、でも、そのあと君が気を失ってしまったからここまで運んできたってわけなんだけど」
….思い出した。私は私を狙う追っ手から逃げ切るためにこの森に逃げ込んで、疲労が限界に来たんだ、そして殺されかけているところをこの子が…
「思い出してくれたかな?」
「ええ、思い出したわ、最後に助けてくれた子よね?助かったわ本当にありがとう」
私は助けてくれた子に頭を下げる。
「いやいや、女の子が殺されかけていたんだ、助けないわけにはいかないよ。それより俺の名前は火野晃、よければ君の名前を教えて欲しいんだけど」
「私は、黒歌」
「黒歌さんか、もう起き上がっても大丈夫なの?一応怪我は治療しといたけど」
「手当まで…助かったわ本当にありがとうね」
「そっか、よかった。とりあえず起きてそうそう悪いんだけど、これだけは聞いておかなきゃいけないからさ、黒歌さんはなんで殺されかけていたの?」
ああ、やっぱり聞かれるか…そうよね、普通は殺されかけるなんてよっぽどのことかがない限りありえないものね。
私はうつむきながら質問に答える。
「私は、はぐれ悪魔なのよ。主を殺した犯罪者ってわけ」
「黒歌さんがはぐれ悪魔….」
悲しそうな声が帰ってくる。
….やっぱり引くわよね
「別に黒歌でいいわよ、それで、はぐれ悪魔の私を追ってあいつらは私を捕まえに来たの、それで私は何日も逃げ続けていたんだけど、この森に逃げ込んで隠れているところを見つかってね、今までは追い払うことができたんだけど疲労が限界に来てね、それで殺されかけてたってわけ」
「あのさ、言いにくいとわかってるんだけども聞いてもいいかな?なんで黒歌ははぐれ悪魔になってしまったの?」
「…うっ、直球できたね、まぁ別にいいけどこの際だから全部話すよ」
「うぅ、ごめん、それで?」
「私には妹が一人いてね、私たち姉妹は早くに両親を亡くしたの。私って悪魔になる前は妖怪の猫又でさ、その中でも希少な『
「そんな…なんで!?」
「私の主が私がいない時を狙って妹に無理やり仙術を使わせたのよ、妹は失敗してその反動で死にかけていた。私は急いで妹の治療を行ったよ、あと少し遅ければ妹は確実に死んでいた。だから私は主に講義しに行った。そしたらアイツはなんて言ったと思う「力を使えないような奴は殺してしまえ」と言って妹を殺そうとしたのよ」
「ふざけてる…」
「私は怒り狂ってその場で主を殺し、妹を連れて逃げた。だけど妹と一緒に逃げることなんてできなかった。だから私は妹を保護してくれる力を持ち、尚且つ信頼を置ける上級悪魔のところに妹を預けた。それから私の逃亡生活は始まったのよ」
「黒歌は、どれくらいこんな生活を?」
「そうね….もう3年は立つわね、来る日も来る日も追っ手から逃げ続ける日々、夜も安心して眠れない。いつ追っ手が来るかもわからない、周りには味方もいない。全部が敵に見えていたわ….」
「…黒歌」
「あはは、でももう疲れちゃったな、これ以上逃げても…」
私の言葉は途中で遮られた。なぜなら今私は目の前にいるアキラに抱きつかれているからだ。
え?え?なんでアキラは私に抱きついてるの?
「いきなりどうしたの?え、えっと困るんだけど」
「…….黒歌、辛かったね」
アキラの手が私の頭を優しく撫でる。その手は暖かくて私を包み込んでくれているかのようだ。
「ちょ、ちょっとやめて、なんでいきなりそんなことを」
「黒歌は悪くないよ、むしろよく今日まで一人で頑張ってきたね」
耳元で優しく言葉をかけられた。撫でる手が一層優しくなる。
「やめて….私は優しくされるような存在じゃ」
「ううん、黒歌は俺が思ってる以上に優しい子だった、今まで泣かなかった分今は泣いてもいいんだよ」
私の目から自然に涙が溢れ出してくる。
「う、うわぁああああんんんんんん」
こぼれてくる涙は止まってくれない
…暖かい
人の温もりを感じたのはいつ以来だろうか。
「よしよし」
アキラは私の頭を優しく撫でる。
私は涙が止まるまでアキラに抱きつき続けた。
-黒歌sideout-
俺は黒歌が泣き止むまでずっと黒歌を抱きしめ続けた。
つい、勢いで抱きついてしまったけど、今はこれでよかったと思う。今まで一人だったんだ。誰にも頼れず辛い思いにあってきたんだ。今はいっぱい泣けばいい。
黒歌が泣き止み、落ち着きを取り戻してきた。
「ごめん、アキラ、みっともないところを見せちゃって」
「いいんだよ黒歌、こんな俺の胸で良かったらいつでも貸すさ」
俺は笑顔で黒歌に返すと、黒歌は顔を赤くして俯いてしまった。
「あの、黒歌?どう「..あ、あーひとついいか?お前ら私がいることを忘れてないか?」」
俺の後ろではティアが人型で腕組みをしながら立っていた。
ティアがいることをすっかり忘れてた。
「まったく、アキラよお主はそうやってほかの女に….」
「あのティアさん?なぜそんなに怒ってるのですか?」
「そんなもん、お前の胸にでも聞け!」
俺はティアの右ストレート(覇気武装)をくらい、綺麗に吹き飛んだ。
「あ、あのあなたは?」
「ふむ娘よ、見苦しいところ見せたな、私はティアマット、アキラの師をしてるものでこの使い魔の森の主だ、今はこの洞窟に住んでおる」
「ティ、ティアマット!?あの『
「いかにも、私がそのティアマットだが、ふむ、黒歌と言ったか、先ほどの話私も聞いていたが、大変だったな」
ティアは黒歌の頭を優しくなでる。
「辛かったな、だけどこれからはここにいると良い。ここならば追っ手もやすやすと手を出せないはずだからな」
「え、ここにいてもいいの?」
ティアマットの発言に驚く黒歌。
俺も黒歌のそばに戻る。
「ここにいなよ、黒歌」
「そうだな、私たちがお前さんを守ろう」
「私犯罪者だよ?本当にここにいてもいいの?」
「「ああ」」
「あ、あははははは、….あり..が…..とう」
もう一度黒歌の目から涙がこぼれた。だけどそれは悲しさからくる涙ではなく、きっと嬉しさからくる涙だったと思う。
「これから…よろしくにゃん♪」
そういった黒歌の顔はとても可愛らしい笑顔だった。
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