「いよいよ明日から小学生だな、優希。」
「時間が経つのは早いわね。学校は楽しみ?」
「うん!友達たくさん作る!」
「優希は明るいし可愛いから、きっと人気者ね。すぐ彼氏なんかもできちゃったりして。」
「か、彼氏?小学生で彼氏は早いんじゃないか?」
「今時の小学生なんてそんなもんよ。ねぇ優希?」
「う、うん。ソウダネ。」
ごめんなさいお母さん。私の恋愛対象は女の子なので、彼氏を作る予定はないです。
私、中村優希には前世の記憶がある。と言っても、同じ両親から同じ年に生まれたから、タイムリープと言うべきか。まぁ、性別は変わってたんですけど。
そう、私の前世は男でした。
前世の私は、多くの男子学生と同じくゲーム、特にフォートナイトと呼ばれるTPSにドハマりした。学校から帰ってすぐゲーム。休日は朝から夜までゲーム。隙間時間に睡眠、食事、勉強などをこなしていた。
なんで親は注意してこなかったかというと、私に甘かったというのもあるが一番は私の成績がよかったからだ。記憶力がよかったのか、隙間時間の勉強だけでテストは学年一桁。そして無事大学に受かり、気の合う仲間を見つけたことでさらにゲーム時間が増え、無事死亡。やっぱあの三徹がよくなかったか?今世では気をつけよう。
いや気を付けるだけで、フォートナイトをしないとは言ってないからね?あの仲間たちとのゲームが、私の青春だ。
「あら?優希はあまり乗り気じゃないのかしら。まあ、男の子側がほっとかないと思うけどねー。」
「やめてよ、ママ。」
「照れてる優希も可愛いわよ。」
「あ、ありがと…」
これは親の欲目ではない。事実、私は可愛いのである。
初めて鏡を見た時は、自分のあまりの可愛さに驚いた。なんと言えばいいか、人形のように、とにかく顔が整っているのだ。ロングにすれば清楚系美少女、ツインテールで小悪魔系美少女、髪を染めれば超絶可愛いギャルだ。どうせならイケメンがよかったけどな!
ちなみに前世は小悪魔系女子が好きであり今の私もそれを引き継いているため、私の髪型はツインテールにしてある。
◇
入学式当日。
入学式自体は、懐かしい顔を見て前世の思い出を振り返っていたら気づいた時には終わっていた。
前世の私には人並みに友達(主にゲーム友達)がいたが、卒業してからも付き合いがあった小学校からの友達は一人。前世とは交友関係も全く異なるものになると思うが、そいつを含む数人は絶対に外せない。
けど、その一人と出会うのはクラスが同じになった五年生の時なので、それまで特にこなしておくミッションは特にない。普通に女の子の友達とか作りたいな。
そんなことを考えながら教室の扉を開け、席に着く。
「ねえねえ。」
「ん?」
隣の席の女の子が話しかけてきた。
「名前なんていうの?」
「中村優希。あなたは?」
「私は小林美咲。ゆうきちゃん、友達になろ?」
「もちろん!」
美咲ちゃん。たしか、前世でもこんな風に誰にでも話しかけてて人気者だったなぁ。私との絡みはほとんどなかったけど。
てか、早速友達できた!やったー。
「美咲ー、帰ろうぜ…誰?」
話しかけてきたのは…田中健太だっけ?美咲ちゃんの幼馴染で、同じく人気者だった。ゲームを好んでやっていたこともあって僕ともまあまあ仲がよかった気がする。
「健太 。この子は優希ちゃん。今日は優希ちゃんと帰るからあなたとは帰れないわ。」
「…可愛い。」
「そうでしょうそうでしょう。私の小学校で最初の友達なのよ。」
「え、俺は?」
「あんたはくされえんってやつね。」
「なにそれ。」
「私も知らない。ってことで優希、一緒に帰ろ。」
「俺も入れてくれよ。」
「えー。」
「私はいいよ。健太君?とも話してみたいし。」
「あーそう?ならいいか。健太、優希ちゃんに感謝しなさい。」
「ありがと、優希!」
「二人とも、仲良さそうだね。付き合ってるの?」
「「それはない。」」
さいですか。
この2人前世でもよくわからなかったんだよなぁ。ツンデレしあってるよう見えるし、友達同士のノリにも見える。私は美咲ちゃんの片想いに一票。
◇
「でさー、今フォートナイトってゲームにはまってて、」
「え、健太君フォートナイトやってるの?私もだよ!」
「まじ?じゃあ今日一緒にやろうぜ。」
「うん。美咲ちゃんも今日空いてる?一緒に遊ばない?」
「私スイッチ持ってない…」
「私の貸してあげるから、ね?」
「いいの?じゃあいきたい!」
よっしゃ。美咲ちゃんをゲーム沼に引きずり込んでやるぜ。
「そういや、優希の家ってどこ?俺と美咲はそこのマンションだけど。」
「えー、健太君には教えたくないなぁ。」
「なんでぇ。」
「冗談。私の家はあそこだね。」
「へー、近いじゃん。じゃあ、そこの公園集合でいい?」
「うん。荷物置いたらすぐ行くね。」
「りょうかーい。」
◇
「いや、優希ちゃん上手すぎでしょ。健太相手になってないじゃん。」
「まじでなんで?俺結構やってる方だと思ってたんだけど…」
「たまたまだよ(笑)。」
「たまたまで5タテもされねえよ!」
クリエでタイマン中の私たちです。やっぱこのゲームクリエが一番面白い。異論は認める。そして健太君には申し訳ないが、ここは経験値の差でボコさせていただいた。
「じゃあ、美咲ちゃんやってみる?」
「うん。」
「じゃあ、操作方法教えるね。」
15分後
「オッケーばっちり!行くわよ健太。」
「お、おう。」
戦いの火蓋が切って落とされる。
「えーっと、ここが壁でここに階段で…」
「…美咲、後ろ。」
「え?」
ばーん。ワンパン、終了。
「健太君…初心者にも容赦がないね。ちょっと引いたわ?」
「そうだよ。そんなんじゃみんなに嫌われちゃうよ?」
「優希のあれも弱いものいじめだろ!俺ボコボコにされたぞ。」
「優希はかわいいからいいの。」
「理不尽…」