今日からついに五年生。
やっとだよ。やっとあいつと話せるよ。親友が目の前にいても話しかけられない日々はつらかったなぁ。
「どう?似合ってる?」
「優希ならなんでも似合うぞ。」
「そういうことじゃなくてさ。」
はぁー。女心をわかってないね。…私の心は男だけど。
「優希、可愛いわよ。」
知ってる。
「うん。ありがと!今日は気合い入れてるの。」
「でも急にどうしたの?今まであまりオシャレに興味なかったわよね。」
「見せたい人がいるからね。」
「もしかして、男の子かしら?」
「そうだよ。」
「…男?ちょ、ちょっと…」
「はいそこ、口出さない。優希、いってらっしゃい。」
「行ってきまーす!」
◇
「お、今年は三人一緒だね、健太。」
「まじじゃん!よっしゃ。それに…男子も仲いいやつ多いし、楽しいクラスになりそうだぜ。」
「あれ、優希どうしたの?」
私と健太がクラスを確認し教室に入ると、机に突っ伏している優希をクラスメイトが囲んでいた。…ぐでーってなってる優希も可愛い。
「なんか同じクラスになりたかった人と別れちゃったって。」
「あれ?美咲ちゃんと健太君とは同じだったよね。他になりたい人がいたのかな?」
「優希?だれとなりたかったの?」
「あ…美咲、おはよう。健太も。」
「うんおはよう。それで?私たちとは同じクラスだけど。」
優希って誰とでも仲いい割に親友は少なそう、というか私たちだけだと思っていた。
「うーんと、この人。」
優希は名簿の紙を指さす。
「大木真司くん?」
「うん。」
「えっ男子じゃん。優希この子のこと好きなの!?」
「まじ?優希が好きってやばくない?」
途端にクラスメイトたちが騒ぎ出す。…私も、優希の恋愛事情めっちゃ気になる。
「優希?本当にその人のこと好きなの?」
「え?うん。」
「まじか!頑張れよ。」
「なにを?」
「は?」
何も分かってない優希は置いておいて、健太お前、優希のことが好きなんじゃなかったの?あと、そこの男子たち聞いてないふりをしながらさっきビクってなってたの見えてるからな。
「優希、その真司くん?と話したことあるの?」
「あ…あ、あるよ?」
「いや絶対嘘じゃん。」
「え、一目惚れ!?やば、その真司くんっての見てみたい!」
「だからそういうんじゃないって。」
「でも一目惚れ以外で話したことない人と仲良くなりたいってなんなくない?」
「…フィーリングが合いそうだと思った的な?」
「いやいやおかしいで「そういうことだから!」」
優希がにっこり微笑む。
「ね?」
怖ぁ。
結局真相はわからなかったが、優希にこの話をしない方がいいことは全員が理解した。
◇
「なぁなぁ、お前中村さんの話知ってる?」
「なにそれ?」
「中村さんがお前と別クラスになって落ち込んでたって。」
「中村さんって、中村優希さん?」
「そう。」
「ええ…なんで?話したこともないよ。」
話してみたいとは思っているけど。中村さんも、フォートナイトが好きらしいから。一緒にその話で盛り上がれたらなー…とか。あり得ない想像はしていた。
「一目惚れれらしい。」
…え?
「…なわけないでしょ。優希さんにからかわれてるんだよ。」
「いやー、優希さんも、俺に話したやつもそんなことするような人じゃねぇよ。」
「じゃあ、今お前が作った話?」
そのどっちかだ。なるべくなら、からかわれてないほうだと嬉しい。
「なわけ。」
「じゃあ、ほんとに何、」「あの、大木真司君ですよね?」
「ん?そうだけど…あ、中村さん…どうしたの?」
えっなんでいる?…ってか、こいつが作った話じゃなきゃ僕と同じクラスになりたいって言ったんだよな。本気かは別として。
やばいなんか緊張してきた。
「私が真司くん…と同じクラスになりたいみたいな話聞いた?」
「うん。聞いたよ。」
「そうだよね…ごめん。その時寝ぼけてたみたいでよく分からないこと言っちゃったんだ。…迷惑かけてるよね。」
「あ…いや、全然大丈夫だよ。気にしないで。」
寝ぼけてて、か。…とりあえず悪意がなくてよかった。
「え…あ、ありがとっ!それと…これをきっかけに友達になってくれない?」
「えっ僕と?」
「うん。」
「も、もちろん!」
「やった。これからよろしくね♪」
「こちらこそ。」
「じゃ、またねー。」
「うん。」
…もしかして、本気だったのかな?寝ぼけてて口が滑っちゃったとか…
なーんてね。さすがにあり得ないか。でも、もしかしたら。
「中村さんかわいいったな。てか、ほんとにおまえのこと好きなんじゃねぇの?」
「…」
「おい、真司?」
「優希さん…」
「あ、だめだこれ。」
◇
うまくいったぽいね。
真司とクラスが別だと気付いて落ち込んでたとこまでは素だけど、クラスメイト達に心配されているときに思いついちゃった。ここで真司の名前を出せば、噂になって話しかけるきっかけになるんじゃねと。
真司、もしかして本当に僕のこと気になってるのかなとか思ったりして。うん、前の俺なら間違えなくそうなってる。ていうか私がそういう態度で行ったし。
『思いついちゃったかぁ。』
え、何?誰?
『男だった時のお前だよ。』
は?…いや、は?
『なんかさー、魂が分離してるのかな?お前は、男である中村優希の記憶を持った別人だと思うんだよね…いや、中村優希であることには変わらないんだけどさ。』
えー、なにそれ。魂が2つあるってこと?
『そう。』
もうこうなってんだから何が起こっても驚かないけどさぁ。でも、分離してても同一人物なんだから魂?は同じじゃないの?
『俺も知らんけどな。でもお前、美少女…というか悪女ムーブして楽しんでるだろ。俺にはそんな趣味も演技力もなかった。』
確かにに楽しんでるわ。そしてそんなコンテンツが好きだったという記憶もないね。…私が中村優希(男)とは別かー。
『まあ、安心しろ。なんにしろ体の支配権は当然お前にあるし、俺は後ろからお前の行動を見て笑ってるだけだから。』
悪趣味ね…
『お前が言うな。』