無職転生 IF 〜ただ一振りの剣で〜   作:ユタ01

6 / 6
【間話】ルーデウス・グレイラットの友人について

 

「ルディーーっ!」

 

大きく手を振り、無邪気な満面の笑顔を向けて走ってくる一人の少年。

 

風に揺れる灰銀色の髪と、こちらを真っ直ぐに見つめる瞳。その表情には、俺と会えることが嬉しくてたまらないという気持ちが、これでもかというほど表れていた。

 

グレイ・カーティス。

 

俺──ルーデウス・グレイラットが、この世界に転生して初めてできた『友達』だ。

出会いのきっかけはパウロだった。

5歳になったら俺に剣術の稽古をつける予定らしく、「歳が近くて切磋琢磨できる仲間がいた方がいい」という理由で、剣を習いたがっていたグレイを連れてきたのだ。

 

正直、最初に会った時は生きた心地がしなかった。

前世が引きこもりニートだった俺にとって、家族とロキシー以外の『見知らぬ他人』と対面するのは、前世のトラウマが蘇るレベルの試練だったのだ。

 

……だが、いざ蓋を開けてみれば、このグレイという少年、驚くほど人懐っこい。

最初は彼なりに人見知りしてモジモジしていたようだが、一度打ち解けて『ルディ』と呼ぶようになってからは、一気に距離を詰めてくる。

 

「ねえルディ! 今日の素振り、すごくいい感覚だったんだ!」

 

ほら見ろ、今もニコニコと輝くような笑顔で、今日掴んだという剣の感覚を熱弁してくれている。

うーむ、実に微笑ましく、可愛らしい。前世の薄汚れたおじさん心が洗われるようだ。

 

……ただ、唯一にして最大の惜しい点を挙げるとすれば。

 

このグレイ・カーティス君が、『生粋の男の子』であるという点だ。

これがもし、儚げな美少女か天真爛漫な幼女であったなら──!

俺の『幼馴染ヒロインルート』が爆速で開通し、将来の婚約者候補として甘酸っぱい青春を謳歌できたかもしれないというのに。神様はなんとも意地悪な配役をしてくれたものである。

まあ、冗談はさておき。

初対面の相手に抵抗感をまだ抱えてる俺にとって、この世界で最初にできた友達が彼のような素直で真っ直ぐな奴で、本当によかったと思っている。

 

「へえ、すごいじゃないかグレイ。どれ、後で僕にも見せてよ」

 

「うん! 任せて!」

 

俺は、元気に胸を張る小さな友達の頭を、そっと撫でてやった。

 

グレイは嬉しそうに目を細め、まるで尻尾を振る子犬のように笑った。

 

……本当に、裏表のない奴だ。

 

前世の俺は、人との関わりを恐れ、誰かと親しくなることから逃げ続けていた。だからこそ、こうして何の打算もなく自分に懐いてくれる存在が、どれほど貴重なのかが分かる。

 

グレイと出会えてよかった。

 

俺は心から、そう思った。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
点
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

少年転生~異世界来たので戦います~(作者:異界に夢馳せる影見石)(原作:無職転生)

ルーデウス・グレイラットの双子の弟「アルヴィス・グレイラット」のお話。▼※オリジナル要素および他作品要素が多分に含まれています▼※現実世界に対する独自解釈が含まれると思われます▼※タグは順次追加する予定です。▼◆タグに書ききれなかった分↓▼転生したら第七王子だったので、気ままに魔術を極めます▼ワンピース ワンピ ONEPIECE▼ゼルダの伝説ブレスオブザワイ…


総合評価:666/評価:7.57/連載:27話/更新日時:2026年10月10日(土) 18:00 小説情報

兄貴転生 ーいずれ最強へ至るー(作者:ゴールデン茶碗)(原作:無職転生)

不治の病に侵され、若くして人生を終えた青年。▼二度目の人生で彼が目覚めたのは、剣と魔法の異世界だった。▼パウロとゼニスという若き冒険者に戦友の忘れ形見として彼はグレイラット家の長男として迎え入れられ、自分の体に満ちる底知れない魔力と闘気、そして何より「自由に動く手足」を知り、歓喜に震える。▼「――最高だ。今度こそ、この世界を心ゆくまで満喫してやる!」▼規格外…


総合評価:86/評価:-.--/連載:4話/更新日時:2026年09月13日(日) 22:42 小説情報

静寂の弟子が次代の英雄に加わるのは間違っているだろうか(作者:ダンまちにヘラファミリアを求める人)(原作:ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか)

これは、アルフィア達に似た少女がヘラに拾われた場合の物語。▼———私は、あの時、アルフィアさまに◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️と答えられなかった。だから私は……▼———私は、英雄を手助けすることはできても、英雄にはなれない。▼———本当に?▼これは、一人の少女の英雄譚。▼※中盤にやっと出てくるテーマです!しばらく出てきません! ▼※文章は小学生レベ…


総合評価:306/評価:7.17/連載:15話/更新日時:2026年09月23日(水) 15:26 小説情報

直死の魔眼持ちを無職転生にブチ込むだけのお話(作者:なゆさん)(原作:無職転生)

タイトル通りです。やってみたくなっちゃった。▼(このオリ主はルーデウス達とは違い、龍神のループにも毎回ちゃんといます。そしてヒトガミの能力が効きません。まぁ、転生チートの一つだと思ってもらえれば。)▼(オリ主の直死の魔眼ですが、原作と少し変質しています。脳ではなく、あくまでも目が媒介なので、目を潰せば死は認識できなくなります。▼ぶっちゃけ、書いた後に気づいた…


総合評価:2313/評価:7.95/連載:12話/更新日時:2026年08月08日(土) 12:39 小説情報

デメテル・ファミリアの団長(作者:Mr.♟️)(原作:ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか)

▼地雷だと思った方はブラウザバックしてください。▼オリ主ハーレム?モノです。▼タグは随時更新します。▼原作の30年前から始まります。▼挿絵は全てAI絵になります。▼オリ主:ライ・フェンネル▼物語スタート時、年齢:10歳。▼狐人とハイエルフのハーフ、妖精狐(エル・ルナール)。


総合評価:1776/評価:7.49/連載:13話/更新日時:2026年09月01日(火) 00:00 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>