釘を刺されぬ未熟な黄金の神   作:菓子中毒

2 / 2
 あっているかわかりません。だいぶ省略をしています。


そして停滞へ

 長い時間が経った。

 

 ワタシはあの時以来、人について行かないようにしていた。でも、気づいたら人のそばにいて、話しかけて、人ではないものに変化させていた。

 

 どれくらいの人を変えたのだろう。大人も子供も、男も女も問わず、既に数え切ることはできなかった。

 

 そして話しかけてしまう度に人はワタシを見ず、どこかを眺めて呟き、アレらに変わる。

 

「(手も、足も、声もない。そして人を人ならざるモノに変える。ワタシはもしかしたら…いや、既に人ではないの?)」

 

 ワタシが人を救いたい、道を示したいと思うことはきっと本物だ。でも、人ならざるものにしたくないという気持ちも本物だと思う。

 

 けれど、それはワタシの思い込みなのかもしれない。他の人にとって、この行動はどうなる?傍迷惑なものかもしれない。

 

「(怖い。)」

 

 そう思った。ワタシは人?バケモノ?この行動は救い?害?何もかもわからない。誰かが決めて欲しい。この行動は外の世界では普通なの?

 

「(ああ、分からないな…。)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一つの噂が耳に入る。異邦人が来た。今までにない勢いでランクを上げていると。

 

「(ついて行かなきゃ。)」

 

 またこの思考に蝕まれる。

 

 彷徨っていると、ここでは見慣れない服装の人たちが歩いていた。きっとあの人たちだ。近づこうとすると時計頭の人がこちらを向いた気がした。…目がどこにあるか分からないけど、初めてワタシと目が合った気がした。

 

「(異邦人…外から来た者。きっとあの人なら…。)」

 

 きっとワタシが何者かを決めてくれるはず。ワタシは初めて人に対して釘付けになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 様々な部屋を回っていった。赤い部屋、黒い部屋、家具が置いてある部屋、食事場、製糸場。どれも見慣れた場所だった。そして、ワタシが声をかけた人もたくさんいた。そういえば、食事場でワタシも真似をして食べてみようとしてみたけど、結局体をすり抜けた。

 

 異邦人たちについて行ってると、人の呟きが聞こえた。

 

「あぁ、声よ…。どこにいるのですか?あなたの場所は?姿は?衣装は?何もかもがわからない…。ですが、きっとあなたは私たちの側に…。暖かい…。」

 

 ワタシはただアナウンスの声を求めていると思い、異邦人について行く。どこか、似たような雰囲気を感じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「あぁ…!暖かい日の光が、遠のいて行く…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 ワタシと似たような気配を感じる虫を手に入れ、製糸場で金色の糸を手に入れた。あの人もワタシが声をかけたっけ?人ならざるモノたちは黄金のものを欲しがる。様々な妨害にあったが、赤い部屋で赤い人に糸を渡す。どうやらかなり危なそうだ。

 

 "存在意義が分からなくなっているみたい。"

 

 じゃあ助けなきゃ。教えてあげなきゃ。急いで、早く。

 

「"大丈夫?"」

 

                        

 

「管理人様。」

 

<うん、私も聞こえた。恐らく、ねじれになる前の声。だけど…。>

 

「どこか…悲しそうな感じがしませんか?」

 

 とても近くから声が聞こえてきた。私が聞いた声とは似ているけど、もっと幼くて、シンクレアが行った通りに悲しそうな感じがした。何もできないもどかしさなのだろうか。焦っているようにも聞こえる。

 

「…。」

 

 ムルソーは何も言わない。だけど、どこか恐れているような雰囲気は感じ取れた。

 

                        

 

 またやってしまった。さらに人ならざるモノにしてしまった。

 

 でも異邦人たちは止まらない。二階の赤い部屋へ入って行く。黒い軍勢が赤い人を倒していく。その流れに乗じてさらに奥の部屋へ入っていく。

 

「(懐かしい…。)」

 

 昔に多くの人をアレらにした後、疲れきったワタシは偶々この繭を見つけた。中には小さな赤い人がいた。確か赤ちゃんだったっけ?

 

 赤ちゃんには子守唄を歌うらしいから、近くで、声は出せないけど暫く歌っていた。

 

 異邦人たちが繭を切り裂く。中から赤ちゃんのようで大人のような赤い人が出てきた。

 

 ソレはワタシが歌っていた子守唄を歌った。何か意味が分かっているわけではない。ただ繰り返しているだけ。

 

「(きっと、聞こえていたんだね。)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 虚しさが広がる。異邦人たちは赤い人を倒した。その結果は黒い人たちが力をつけていって、この百貨店の全てを止めた。

 

 何も変わらない、動かない、聞こえない。そんな止まったこの場所でワタシは漂っているだけ。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
点
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

万魔の名剣、ルチオ(作者:エルデの宴会芸)(原作:ブルーアーカイブ)

本編のルチオがあまりにもお労しいので透き通るような青春世界で振り回されながらバカやって欲しいという思いつきの作品。


総合評価:345/評価:8.82/連載:3話/更新日時:2026年09月25日(金) 16:30 小説情報

ボニャテッリ家とやらに生まれ変わったらしい(作者:義眼の人)(原作:Limbus Company)

ボニャテッリ家に生まれ変わった現代人の話。▼成り代わりものですが主人公に原作知識はありません。▼9章のネタバレを含みます。


総合評価:1068/評価:8.88/連載:4話/更新日時:2026年10月01日(木) 15:14 小説情報

L社の技術を持っただけの擬態型一般人Aがキヴォトスで生き残るためにできること。(作者:D-T45-45-1919JP)(原作:ブルーアーカイブ)

▼諸君、俺は死にたくない。▼ここが都市だったら大人しく早めに死んだほうが幸せだっただろうが、あいにくキヴォトス。美味しい食べ物も、感動できる景色も、隣人との心温まる交流も、全てが可能な世界だ。▼だったら生きるしかない! このL社の技術を使って!▼でもどうすればいいんだ!?▼変なアブノーマリティを抽出したら即座にキヴォトス滅亡、しかし普通に働いたら銃弾の流れ弾…


総合評価:4867/評価:8.57/連載:34話/更新日時:2026年09月01日(火) 23:06 小説情報

蜘ノ糸ノ青(作者:おねむなボンちゃん)(原作:ブルーアーカイブ)

リンバス・カンパニーとの戦いで命を落とした蜘蛛の巣のメンバー。目を覚ますと、そこは美しい青空が広がり、そこら中から銃声が聞こえる未知の場所で…?▼彼らはこの未知の場所、キヴォトスでどのような生活を送るのか。▼2026/7/19 現状の1話以降を人差し指編としました


総合評価:1012/評価:9.1/連載:12話/更新日時:2026年09月14日(月) 18:13 小説情報

ここでは都市に転移させられ、目の前に人差し指の子方がいた男について語られる(作者:ケジメされた人差し指)(原作:Limbus Company)

【◯日の18時から11区のグソマルセ通りを南下しろ。歩き続けて18時24分を過ぎた後に二つ目の曲がり角を進み、目の前に現れた人間と交際する事】▼何の前触れもなくProject Moonの世界に転移させられたある男。目の前にいたのは指令を受けた様子の人差し指の代行者、ソラ。最早死は避けられぬか、或いは更に惨たらしい仕打ちか……そう戦慄する男に告げられたのは、指…


総合評価:1610/評価:9.04/連載:10話/更新日時:2026年10月08日(木) 21:06 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>