転生スタンド使いの日常。 作:匿名の読む専
転生スタンド使いの日常。
タイトル。
セミファイナル。
時系列。
高校生になった後。
登場キャラ。
大城考調(主人公)。
主人公の父。
セミ。
主人公。
玄関の前で脚が開いたままひっくり返ってるセミが居る…。
「コレどうしよ…近づいたら絶対ジジジジジッ!ってなるよコレ…嫌だ…近づきたくない…でも帰りたい…!アイスの実は中身シャーベットだからすぐ溶けるんだよ…」
セミは堂々たる様で玄関の前、真ん中で仰向けになり、太陽に向かい己を賛美するかの如く脚を広げている(※主人公の主観です、実際はただ仰向けになって脚を広げてるだけ。)
「そうこうしてるうちにかなり時間経っちまった…もうアイスの実溶けてるよ…十分位ここで立ち尽くしてるもん…俺…このまま家に帰れないのか…?」
その時、救世主(生贄)がノコノコと現れた。
鋼立(主人公の父)「考調?何してるんだ?」
「父さん!実は…ッ!」
その時、主人公に電流が流れる。
(父さん割と抜けてるから足元とか見ないし何も言わずに出かけたふりしたら爆弾(セミ)起爆させて処理してくれるのでは…!)
普通に最低である。
「…コンビニ行ったけど買い忘れがあったのに今気づいてさ!ちょっともう一回行ってくるつもり」
鋼立「そうか?ふふ…玄関の前まで来て買い忘れでまた出かけるって斬新だな」(主人公の企みには気づいて無い。)
(ヨシ!何も気づいて無い!後は離れるだけだ…!)
「じゃあちょっと行ってくる!」
鋼立「ああ、この暑さだ、熱中症には気をつけろよ」
「どうせすぐそこだし大丈夫だよ、行ってきま〜す」
そう言って主人公はダッシュで家の玄関から見えない死角に入った。
……………数秒後。
ジジジジジジジジジ!!!!
ギャァァァァァ!?!?
(父さん…アナタのことは忘れない…!てか思ったより爆弾(セミファイナル)の威力高かったな、あの時近づかなくて良かった…)
最低である(2回目)。
そして考調が玄関の近くに戻った時。
鋼立「こ…考調!?お前さてはこの為に出かけるなんて言ったんだろ!?父さんを生贄にするとは何事だ!?」
普通に見抜かれてた。
「フッ…済まない…父さん、尊い犠牲だったんだよ…」
鋼立「ただの身代わりだろうが!?」
「HAHAHA!そのような事ありませんよ?」
そんなやり取りをしている中、主人公と父の間に小さな物体が落ちてきた。
ボトッ……。
セミだ。
「「え?」」
瞬間!主人公の脳内が猛烈な速度で思考を始めた。
(待て、落ち着け俺…まだ焦るタイミングじゃ無い!COOLだ…COOLに考えよう!ここまでの至近距離だとまた父さんを犠牲にする安全確保をする事は出来ない!この場合はAXIOMで虫が怖くない証明をすれば良いんだ!)
(AXIOM!act1!俺は虫が怖くないと自己証明をするぞ!!)
※セミにビビり散らしてるので納得出来ない=証明失敗。
(このクソ能力ゥゥゥゥ!?)
ジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジ!!!!!!!
ギャァァァァァァァァァァァ!?!?!?✕2。
(神様ってやっぱ見てるもんなんだな…)
スタンドのラッシュみたいな描写でセミファイナル食らった。
父は巻き添え。
### Leo/need反応集
### 『転生スタンド使いの日常』セミファイナル
場所:宮益坂女子学園・屋上/時系列:考調の高校入学後、夏
夏の日差しが照りつける、宮益坂女子学園の屋上。
一歌、咲希、穂波、志歩の四人は、類から借り受けた例の機械を囲んでいた。
画面に映るのは、大城考調の日常。
今回の映像タイトルは――『セミファイナル』。
### 1.玄関前の絶望
映像が始まる。
夏の日。家の玄関前。
仰向けになり、脚を広げたセミが一匹。
その数メートル先で、アイスの実を持った考調が立ち尽くしていた。
考調「コレどうしよ……近づいたら絶対ジジジジジッ!ってなるよコレ……嫌だ……近づきたくない……でも帰りたい……!」
咲希「えっ、何してるの!?」
志歩「……セミがいるだけでしょ」
一歌「うん。セミだね……」
穂波「ふふっ、考調くん、困ってるね……」
穂波は微笑ましそうに画面を見る。
一方、映像の中では考調がアイスの実を見つめていた。
考調『アイスの実は中身シャーベットだからすぐ溶けるんだよ……』
咲希「そっち!?」
志歩「いや、アイスが溶けるのはそうだけどさ……」
一歌「もう家に入ればいいのに……」
咲希「でも、急に飛んできたらびっくりするよね!? 分かる、分かるよ考調くん!」
志歩「分かるのはいいけど、十分も立ち尽くしてるのはどうなの」
画面の考調は、セミを見つめたまま微動だにしない。
考調『そうこうしてるうちにかなり時間経っちまった……もうアイスの実溶けてるよ……十分位ここで立ち尽くしてるもん……俺……このまま家に帰れないのか……?』
一歌「十分……」
穂波「アイス、もったいないね……」
志歩「そこなんだ」
咲希「でも、ここまで来たらもう意地だよね! セミを避けて帰るか、勇気を出して進むか!」
志歩「いや、普通に横を通ればいいでしょ」
咲希「しほちゃん、セミファイナルの恐ろしさを知らないんだね……!」
志歩「セミファイナルって言いたいだけでしょ」
咲希「えへへっ、バレた?」
一歌「でも、セミって本当に急に動くから……ちょっと怖いのは分かるかも」
志歩「一歌まで……」
四人の間で、セミへの恐怖に対する温度差が生まれていた。
そのとき。
映像の中に、新たな人物が現れる。
考調の父、鋼立だった。
鋼立「考調? 何してるんだ?」
考調「父さん! 実は……ッ!」
一歌「助かったね」
穂波「お父さんが来てくれたんだね」
咲希「救世主登場!」
志歩「……嫌な予感がする」
### 2.救世主にして生贄
映像の考調の表情が変わる。
何かを思いついた顔だ。
考調『父さん割と抜けてるから足元とか見ないし、何も言わずに出かけたふりしたら爆弾(セミ)起爆させて処理してくれるのでは……!』
一歌「……え?」
穂波「あっ……」
咲希「ええええっ!?」
志歩「最低だ」
即答だった。
映像の考調は、何も知らない父親に向かって爽やかな笑顔を浮かべる。
考調「……コンビニ行ったけど買い忘れがあったのに今気づいてさ! ちょっともう一回行ってくるつもり」
鋼立「そうか? ふふ……玄関の前まで来て買い忘れでまた出かけるって斬新だな」
考調『ヨシ! 何も気づいて無い! 後は離れるだけだ……!』
咲希「お父さーーーん!!」
穂波「考調くん、それはちょっと……!」
一歌「自分が怖いからって、お父さんに任せるんだ……」
志歩「しかも自覚があるのが余計にひどい」
咲希「でも、お父さんも気づいてないみたいだし……!」
志歩「咲希、擁護できる部分がないよ」
咲希「うっ……」
映像の考調は、父親の心配をよそに玄関から離れていく。
鋼立「ああ、この暑さだ、熱中症には気をつけろよ」
考調「どうせすぐそこだし大丈夫だよ、行ってきま〜す」
そして、玄関から見えない死角へダッシュ。
一歌「速っ!」
咲希「逃げ足だけは一流!?」
志歩「普段からその速度でセミを避ければいいのに」
穂波「お父さん、気をつけて……」
四人の視線が、残された鋼立へ向かう。
数秒後。
ジジジジジジジジジ!!!!
鋼立「ギャァァァァァァァ!?!?」
咲希「きゃああああっ!?」
穂波「ひゃっ!?」
一歌「うわっ!?」
志歩「……っ、ふふっ!」
思わず笑いが漏れた志歩を、三人が見る。
志歩「いや、だって……!」
映像の中では、父親の悲鳴が響き渡っていた。
考調『父さん……アナタのことは忘れない……! てか思ったより爆弾(セミファイナル)の威力高かったな、あの時近づかなくて良かった……』
咲希「忘れないでよ! 助けに行ってあげてよ!」
一歌「完全に他人事だ……」
穂波「お父さん、大丈夫かな……」
志歩「いや、これで終わったと思ってるのが一番ひどい」
咲希「考調くん、普段はもっとちゃんとしてると思ってたのに……!」
一歌「うん……少なくとも、こういうときにお父さんを身代わりにするとは……」
穂波「でも、ちょっとだけ分かるかも……」
志歩「穂波?」
穂波「急にセミが飛んできたら、私もびっくりしちゃうと思うから……」
志歩「怖がるのと、生贄にするのは別問題だからね」
穂波「そ、そうだね……」
### 3.父、真相を見抜く
考調が玄関の近くに戻る。
そこには、疲れ果てた父親の姿があった。
鋼立「こ……考調!? お前さてはこの為に出かけるなんて言ったんだろ!? 父さんを生贄にするとは何事だ!?」
咲希「あっ、バレてる!」
一歌「そりゃバレるよ……」
志歩「お父さん、ちゃんと気づいてるじゃん」
穂波「よかった……ちゃんと分かってくれたんだね」
考調「フッ……済まない……父さん、尊い犠牲だったんだよ……」
鋼立「ただの身代わりだろうが!?」
咲希「アハハハッ! 尊い犠牲って!」
一歌「自分で言っちゃうんだ……」
志歩「謝罪の仕方が最悪」
穂波「ふふっ……お父さんとのやり取り、仲が良いんだね」
咲希「うんうん! こういうやり取りができるのって、家族仲が良い証拠だよね!」
志歩「家族仲が良いのは否定しないけど、今回の考調は普通にひどいからね」
映像の中では、考調が笑いながら父親を誤魔化そうとしていた。
考調「HAHAHA! そのような事ありませんよ?」
鋼立「絶対嘘だろうが!」
一歌「お父さん、ツッコミが的確だね」
志歩「考調の性格、こういうところで出るんだな……」
咲希「えっ、どういうところ?」
志歩「普段から理屈をこねるのが好きなのに、自分が悪いときは勢いで誤魔化そうとするところ」
一歌「ああ……ちょっと分かるかも」
穂波「でも、考調くんって、自分が本当に間違ってると分かったら認める人だと思うよ」
志歩「まあ、今回は認める前に逃げようとしてるけどね」
咲希「セミ相手だからね!」
志歩「セミ相手でもだよ」
### 4.第二のセミファイナル
そのとき。
ボトッ……。
小さな物体が、二人の間に落ちてきた。
セミだった。
考調「「え?」」
一歌「……あ」
穂波「落ちてきちゃった……」
咲希「ま、待って!? まだいるの!?」
志歩「さっきのとは別の個体か……?」
映像の考調の動きが止まる。
その目が、目の前のセミを捉えていた。
そして――。
考調『待て、落ち着け俺……まだ焦るタイミングじゃ無い! COOLだ……COOLに考えよう!』
志歩「いや、もう焦ってるでしょ」
一歌「COOLに考えようって言ってるけど……」
咲希「顔が全然COOLじゃないよ!?」
穂波「すごく緊張してるね……」
考調『ここまでの至近距離だとまた父さんを犠牲にする安全確保をする事は出来ない!』
咲希「そこはちゃんと考えてるんだ!?」
志歩「そこしか考えてないんだよ」
考調『この場合はAXIOMで虫が怖くない証明をすれば良いんだ!』
一歌「……えっ?」
穂波「スタンドを使うの?」
咲希「セミに!?」
志歩「……待って。考調、前に自己証明って、自分が納得できないと成立しないって言ってなかった?」
一歌「うん。自分で納得できる結論じゃないと駄目なんだよね」
映像の中で、考調が決意を固める。
考調『AXIOM! ACT1! 俺は虫が怖くないと自己証明をするぞ!!』
咲希「いけーっ! 考調くん!」
志歩「いや、無理でしょ」
一歌「志歩、即答……」
志歩「だって、さっきからずっとセミにビビってるじゃん」
穂波「うーん……確かに、怖くないって納得するのは難しそう……」
そして、画面に注釈が入る。
※セミにビビり散らしてるので納得出来ない=証明失敗。
一歌「ほらぁ……!」
咲希「失敗したああああっ!?」
穂波「やっぱり……!」
志歩「そりゃそうでしょ!」
考調『このクソ能力ゥゥゥゥ!?』
咲希「能力に怒らないでよ!!」
一歌「いや、これは……能力のせいじゃないよね……?」
志歩「完全に自分のせい」
穂波「自分が怖いと思ってるのに、怖くないって証明するのは難しいよね……」
咲希「でも、ここで証明できたらすごかったのに!」
志歩「できるわけないでしょ。本人が一番納得してないんだから」
一歌「うん……AXIOMのルールを考えると、すごく正しい失敗なんだけど……」
咲希「正しい失敗って何!?」
一歌「いや、能力の設定としては……!」
そして、再び。
ジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジ!!!!!
考調「ギャァァァァァァァァァァァ!?!?!?」
鋼立「ギャァァァァァァァァァァァ!?!?!?」
咲希「二人ともーーーっ!!」
穂波「お父さんも巻き添えに……!」
一歌「セミのラッシュ……」
志歩「スタンドのラッシュみたいに言わないでよ……っ!」
志歩はついに、こらえきれずに笑った。
咲希も机を叩きながら笑い、穂波も口元を押さえて肩を震わせる。
一歌は笑いながら、画面の中で悲鳴を上げ続ける考調を見つめていた。
考調『神様ってやっぱ見てるもんなんだな……』
志歩「神様じゃなくてセミでしょ……!」
咲希「もうやだぁ、お腹痛い! 何でセミ相手にこんな大騒ぎになるの!?」
穂波「ふふっ……でも、ちょっと安心したかも」
一歌「安心?」
穂波「うん。考調くんって、すごい能力を持ってるけど……こういう普通のことで困ったりするんだなって」
一歌「……ああ、そういうことか」
咲希「分かる! なんか親近感が湧くよね!」
志歩「まあ……世界を改変できる能力があっても、セミが怖いのは別問題ってことね」
一歌「AXIOMで証明できることにも限界がある……というか、今回は本人が納得してないから失敗したんだけど」
志歩「そこが一番面白いところだと思う」
咲希「えっ、しほちゃん、今回の考調くん、面白かった?」
志歩「……まあね。普段の考調からは想像しづらいし」
穂波「お父さんとのやり取りも、すごく楽しそうだったね」
一歌「うん。ちょっとひどかったけど……家族仲が良いのは伝わってきた」
咲希「じゃあ、次も見ようよ! 今度はどんなことが起こるのかな?」
志歩「……次はせめて、セミ以外の相手に能力を使ってほしい」
一歌「それは考調次第かな……」
穂波「ふふっ。次も楽しみだね」
四人は笑いを落ち着かせながら、次の映像が始まるのを待った。
――世界を改変する力を持つ高校生。
その能力をもってしても、夏の玄関前に現れたセミには勝てなかった。
『セミファイナル』、Leo\need反応集、完。
…………………………………………………………………
### MORE MORE JUMP!反応集
### 『転生スタンド使いの日常』第一話:セミファイナル
場所:宮益坂女子学園・中庭/視聴者:花里みのり、桐谷遥、桃井愛莉、日野森雫
夏の昼下がり。
宮益坂女子学園の中庭に、神代類から借りた不思議な映像装置が用意されていた。
これから見るのは、大城考調という少年の体験を追体験できる映像らしい。
スタンドという未知の存在についても見られると聞いていた四人は、さっそく視聴を開始する。
みのり「考調くんの日常かぁ! どんな感じなんだろう? やっぱりスタンドを使って事件を解決したりするのかな?」
遥「前に聞いた話だと、そこまで頻繁に戦っているわけじゃないんだよね。普段は普通の高校生みたいだけど……」
愛莉「世界を変えるような能力を持ってるって聞いたのに、普通の高校生っていうのがもう怪しいのよね……。絶対、何かあるでしょ」
雫「ふふ、でも楽しみね。考調くんが普段どんなふうに過ごしているのか、ちょっと気になるわ」
そして、映像が始まった。
### ① 玄関前のセミ
映像の中。
夏の日差しが照りつける、大城家の玄関前。
考調は、アイスの実を持って立ち尽くしていた。
その視線の先には、仰向けになって脚を広げたセミが一匹。
考調「コレどうしよ……近づいたら絶対ジジジジジッ!ってなるよコレ……嫌だ……近づきたくない……でも帰りたい……! アイスの実は中身シャーベットだからすぐ溶けるんだよ……」
みのり「えっ、そこ!? そこなの!?」
愛莉「ちょっと待ちなさいよ! 家の玄関前でセミ一匹に詰んでるの!?」
遥「……本当に帰れなくなってるんだ」
雫「ふふふっ……考調くん、セミが苦手なのねぇ」
映像では、セミが太陽に向かって己を賛美しているかのように脚を広げている。
もちろん、これは考調の主観である。
みのり「なんかセミがすごく堂々として見えるんだけど!?」
愛莉「ただひっくり返ってるだけでしょうが!」
遥「考調の中では、もう強敵との対峙が始まってるんだろうね……」
雫「セミさんは何もしていないのに、ずいぶん警戒されているのねぇ」
考調「そうこうしてるうちにかなり時間経っちまった……もうアイスの実溶けてるよ……十分位ここで立ち尽くしてるもん……俺……このまま家に帰れないのか……?」
みのり「十分!?」
愛莉「十分も何してんのよ!?」
遥「……でも、気持ちは少し分かるかも。急に飛んできたら驚くし」
愛莉「遥まで!?」
遥「苦手なものって、頭では分かっていても怖いことがあるからね」
雫「そうねぇ。近づいたらどうなるか分からないから、考調くんも慎重になっているのね」
愛莉「慎重っていうか、完全に立ち往生してるじゃない!」
### ② 救世主、現る
そのとき。
玄関の向こうから、父親の大城鋼立が現れた。
鋼立「考調? 何してるんだ?」
考調「父さん! 実は……ッ!」
ここで、考調の目が輝く。
(父さん割と抜けてるから足元とか見ないし何も言わずに出かけたふりしたら爆弾《セミ》起爆させて処理してくれるのでは……!)
愛莉「最低!!」
みのり「まだ何もしてないのに、もうお父さんを犠牲にする気だよ!?」
遥「……思いつくのが早いね」
雫「ふふっ。考調くん、ずいぶん頼もしい救世主を見つけたのねぇ」
愛莉「救世主じゃなくて生贄でしょうが!」
考調「……コンビニ行ったけど買い忘れがあったのに今気づいてさ! ちょっともう一回行ってくるつもり」
鋼立「そうか? ふふ……玄関の前まで来て買い忘れでまた出かけるって斬新だな」
みのり「お父さん、気づいてない!」
遥「本当に気づいてないね……」
愛莉「いや、普通ちょっとは不審に思うでしょ!? 今まで十分も玄関前で何してたのよ!」
雫「お父さんも、考調くんがそんなことを考えているとは思わなかったのね」
考調(ヨシ! 何も気づいて無い! 後は離れるだけだ……!)
考調「じゃあちょっと行ってくる!」
鋼立「ああ、この暑さだ、熱中症には気をつけろよ」
考調「どうせすぐそこだし大丈夫だよ、行ってきま〜す」
そして考調は、玄関から見えない死角へと全力疾走した。
愛莉「行動が迅速すぎるのよ!!」
みのり「お父さんへの感謝とか、そういうのは!?」
遥「……一応、危険から離れるという意味では合理的、なのかな」
愛莉「遥、これを合理的って評価していいの!?」
遥「いや、作戦としては成功しそうだなって」
雫「ふふっ。考調くん、後ろめたさよりも生き残ることを優先したのねぇ」
愛莉「セミよ!? 相手はセミなのよ!?」
### ③ セミファイナル、発動
数秒後。
ジジジジジジジジジ!!!!
鋼立「ギャァァァァァ!?」
みのり「うわぁぁぁっ!?」
愛莉「本当に来たぁぁぁ!?」
遥「……あっ」
雫「まあ……!」
映像の中では、父親の悲鳴が夏空に響き渡っていた。
考調(父さん……アナタのことは忘れない……! てか思ったより爆弾《セミファイナル》の威力高かったな、あの時近づかなくて良かった……)
愛莉「忘れるな!! 助けに行きなさいよ!!」
みのり「お父さん、かわいそうだよぉ……!」
遥「でも、考調は自分が逃げ切れたことに安心してるね……」
雫「お父さんの犠牲によって、考調くんは無事だったのねぇ……」
愛莉「雫まで犠牲って言わないで!?」
遥「でも、本人の中ではもう作戦成功なんだろうね」
愛莉「成功してないわよ! 人として大失敗よ!」
映像は、しばらくして玄関近くに戻ってきた考調を映し出す。
鋼立「こ……考調!? お前さてはこの為に出かけるなんて言ったんだろ!? 父さんを生贄にするとは何事だ!?」
考調「フッ……済まない……父さん、尊い犠牲だったんだよ……」
鋼立「ただの身代わりだろうが!?」
考調「HAHAHA! そのような事ありませんよ?」
みのり「あははははっ! バレてる!!」
遥「やっぱり気づいてたんだね」
愛莉「そりゃ気づくでしょうよ! 自分がひどい目に遭ったんだから!」
雫「ふふふっ、お父さんもちゃんと怒っているのねぇ。仲が良さそうで微笑ましいわ」
愛莉「微笑ましいで済ませていいのかしら、これ……」
みのり「でも、お父さんが怒ってるのに考調くん全然反省してないよ!」
遥「反省しているように見せかけて、全然していないね」
愛莉「最悪じゃない!」
### ④ そして、第二のセミファイナル
そんな親子のやり取りの最中。
ボトッ。
二人の間に、小さな物体が落ちてきた。
セミだった。
考調「「え?」」
中庭の四人も、同じタイミングで映像を凝視した。
みのり「えっ」
遥「……落ちてきたね」
愛莉「ちょっと待って」
雫「まあ……また来たのねぇ」
考調の脳内で、猛烈な速度の思考が始まる。
(待て、落ち着け俺……まだ焦るタイミングじゃ無い! COOLだ……COOLに考えよう! ここまでの至近距離だとまた父さんを犠牲にする安全確保をする事は出来ない! この場合はAXIOMで虫が怖くない証明をすれば良いんだ!)
みのり「えっ、スタンド使うの!?」
遥「ここで?」
愛莉「セミ相手に!?」
雫「考調くん、ずいぶん追い詰められているのねぇ……」
考調(AXIOM! ACT1! 俺は虫が怖くないと自己証明をするぞ!!)
愛莉「いや、待ちなさいよ。そんなことできるの!?」
遥「……自己証明で、自分の性質を成立させようとしているんだね」
みのり「じゃあ、これでセミが怖くなくなるの!?」
遥「本人が納得できれば、そうなる可能性はあるんじゃないかな」
そして。
(セミにビビり散らしてるので納得出来ない=証明失敗。)
考調(このクソ能力ゥゥゥゥ!?)
愛莉「そりゃそうでしょうよ!!」
みのり「あははははっ!! 自分で怖くないって思えてないんだ!!」
遥「能力のルールが、ちゃんと本人にも適用されているんだね……」
愛莉「今そこを感心してる場合!?」
雫「自分の気持ちを無理やり変えることはできないのねぇ。考調くんらしい能力だわ」
愛莉「いや、能力の仕組みは分かるけど! 今すぐ逃げなさいよ!」
ジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジ!!!!!
考調「ギャァァァァァァァァァァァ!?」
鋼立「ギャァァァァァァァァァァァ!?」
みのり「きゃあああああっ!?」
愛莉「うるさぁぁぁい!!」
遥「……二人とも、見事に巻き込まれたね」
雫「ふふっ……あらあら。親子そろって大変なことに……」
愛莉「笑ってる場合じゃないでしょ!?」
映像では、スタンドのラッシュを思わせる勢いでセミファイナルが連続していた。
考調(神様ってやっぱ見てるもんなんだな……)
みのり「あはははははっ! もうダメ、お腹痛い!」
遥「スタンドの能力を使おうとした結果、普通のセミに負けるなんて……」
愛莉「しかもお父さんまで二回目の被害者になってるじゃない!」
雫「考調くん、最初から最後までセミに振り回されてしまったわねぇ」
愛莉「自業自得よ!!」
### ⑤ 視聴後のMORE MORE JUMP!
映像が終わる。
しばらくの間、中庭には笑い声と、何とも言えない沈黙が交互に訪れていた。
みのり「はぁ〜……面白かったぁ! 考調くん、スタンドを持ってるのにセミが怖いんだね!」
遥「能力が強いことと、本人が怖いものを怖がらなくなることは別なんだね。そこは少し安心したかも」
愛莉「安心するところ!? 私はむしろ心配になったわよ! あんな能力を持ってるのに、セミ一匹で十分も玄関前に立ち尽くして、お父さんを身代わりにして、最後は二人そろって悲鳴って……!」
雫「でも、考調くんらしさはよく分かった気がするわ。普段は色々なことを考えているのに、苦手なものを前にすると、途端に余裕がなくなってしまうのね」
みのり「しかも、AXIOMで自分の気持ちまで変えようとしたんだよね! でも、自分で納得できないから失敗しちゃった!」
遥「うん。あの場面は、能力の説明にもなっていたね。考調が自分で納得していないことは、能力でも成立させられない」
愛莉「……それは確かにそうね。能力が本人の意思と切り離された便利な道具じゃない、ってことなのかしら」
雫「そう考えると、ちょっと素敵ねぇ。自分の気持ちを偽って、何でもできるようになるわけじゃないのね」
みのり「でも、だったら最初からセミから逃げればよかったのに!」
遥「……それはそう」
愛莉「結局そこなのよ!!」
雫「ふふっ。お父さんに助けてもらうつもりが、二人でセミに襲われてしまったのねぇ」
みのり「次はどんな日常が見られるんだろう? 考調くんって、ほかにも変なことしてそう!」
愛莉「変なことって言わないの! ……いや、今回に関しては否定できないけど!」
遥「強敵との戦いよりも、こういう日常の方が本人の性格がよく分かるのかもしれないね」
雫「ええ。次も楽しみね」
四人は、次の映像を待つことにした。
……ただし、愛莉だけは最後まで納得していなかった。
愛莉「本当にもう! 次にセミが出てきたら、今度こそ自分で何とかしなさいよ、考調!!」
みのり「聞こえてないよ、愛莉ちゃん!」
遥「映像だからね」
雫「ふふふっ」
MORE MORE JUMP!の結論:スタンドがどれだけ強くても、苦手なものを前にしたら別問題。あと、お父さんを身代わりにするのはやめましょう。
…………………………………………………………………
### Vivid BAD SQUAD ✕ 転生スタンド使いの日常
### 反応集①「セミファイナル」
場所:WEEKEND GARAGE / 時系列:考調の高校入学後・夏
WEEKEND GARAGE。
いつものように集まっていた小豆沢こはね、白石杏、東雲彰人、青柳冬弥の四人は、神代類から借り受けた妙な機械を囲んでいた。
今回見るのは、大城考調の日常。
スタンド使いでありながら、普段は普通の高校生として生活しているらしい彼の記録だ。
杏「今回はどんな話なんだろうね。前に聞いた話だと、考調って結構いろんなこと考えてるみたいだけど」
彰人「まあ、あいつのことだからな。普通の日常でも妙な方向に話が転がるんじゃねえの」
冬弥「タイトルは……『セミファイナル』?」
こはね「えっ、セミの……ファイナル?」
彰人「なんだその物騒なタイトル」
杏「いや、待って。夏だし、セミの話じゃない?」
冬弥「セミの最終段階……羽化のことだろうか」
彰人「お前、真面目に考えんな」
類から渡された機械が動き始める。
画面に映し出されたのは、夏の暑い日の玄関先だった。
### ① 玄関前の強敵
画面の中。
考調は、玄関の前で立ち尽くしていた。
その視線の先には、仰向けになった一匹のセミ。
脚を広げ、玄関の真ん中を堂々と占拠している。
考調「コレどうしよ……近づいたら絶対ジジジジジッ!ってなるよコレ……嫌だ……近づきたくない……でも帰りたい……! アイスの実は中身シャーベットだからすぐ溶けるんだよ……」
こはね「えっ、帰れないの!?」
杏「ちょっと待って、セミ一匹で!?」
彰人「……おいおいおい。何やってんだ、あいつ」
冬弥「玄関の前で立ち尽くしているのか。十分も?」
杏「十分!?」
画面の中の考調は、微動だにしないセミを見つめている。
考調(そうこうしてるうちにかなり時間経っちまった……もうアイスの実溶けてるよ……十分位ここで立ち尽くしてるもん……俺……このまま家に帰れないのか……?)
こはね「か、考調くん……そんなにセミが苦手だったんだ……」
杏「いや、気持ちはちょっと分かるよ? 急に飛んできたりするし。でも玄関の前で十分はすごいって!」
彰人「スタンド使いだろ、こいつ……?」
冬弥「スタンドの能力と、虫に対する恐怖心は別なのだろう」
彰人「いや、そりゃそうだろうけどよ……!」
杏「でも、これだけ能力がすごいのに、セミには勝てないんだ……」
彰人「勝ち負けの話じゃねえだろ!」
こはね「でも、アイスの実が溶けちゃうのは困るよね……」
杏「そこ!?」
こはね「えっ、だって、せっかく買ったのに……」
冬弥「確かに、十分間も暑い場所にいたのなら、アイスの状態は気になるな」
彰人「お前ら、そっちの心配してんのかよ……」
杏「だって、本人もそっち気にしてるし!」
画面の中では、考調がまだセミを警戒していた。
杏「……これ、セミが動かなかったらずっと帰れないんじゃない?」
彰人「いや、何か道具持ってこいよ。ほうきとか、ちりとりとか」
冬弥「あるいは、父親に助けを求めるという手段もある」
杏「そうだよ! 家族いるんでしょ?」
こはね「お父さんにお願いすればいいのに……」
四人がそれぞれ解決策を口にした、そのとき。
画面の中に救世主が現れた。
ただし、本人たちはまだ知らない。
救世主が、これから生贄になることを。
### ② 父親を生贄に捧げる息子
鋼立「考調? 何してるんだ?」
考調「父さん! 実は……ッ!」
その瞬間、考調の表情が変わった。
何かを思いついた顔だった。
考調(父さん割と抜けてるから足元とか見ないし何も言わずに出かけたふりしたら爆弾《セミ》起爆させて処理してくれるのでは……!)
杏「最低!!」
こはね「えええっ!?」
彰人「おい、こいつ!!」
冬弥「……なるほど。自分が危険を負わずに問題を解決するため、父親を利用するつもりか」
彰人「冷静に分析してんじゃねえよ!」
杏「いや、発想がひどすぎるって! 助けてもらうんじゃなくて、踏ませる気じゃん!」
こはね「お父さん、何も知らないのに……」
冬弥「しかも、本人の中ではすでにセミが爆弾扱いされている」
彰人「そこもおかしいだろ!」
画面の中。
考調「……コンビニ行ったけど買い忘れがあったのに今気づいてさ! ちょっともう一回行ってくるつもり」
鋼立「そうか? ふふ……玄関の前まで来て買い忘れでまた出かけるって斬新だな」
考調(ヨシ! 何も気づいて無い! 後は離れるだけだ……!)
杏「お父さん、気づいてないんだ……」
彰人「いや、気づけよ!!」
冬弥「息子が玄関前で十分も立ち尽くしていた理由を考えれば、不自然さには気づけそうだが……」
こはね「でも、お父さんも普通に会話してるし……」
杏「考調の演技も、妙に自然なんだよね!」
彰人「自然じゃねえよ。やってることが最低なんだよ!」
考調「じゃあちょっと行ってくる!」
鋼立「ああ、この暑さだ、熱中症には気をつけろよ」
考調「どうせすぐそこだし大丈夫だよ、行ってきま〜す」
考調は玄関から見えない死角へ、勢いよくダッシュした。
杏「逃げた!!」
こはね「は、速い……!」
彰人「こういうときだけ行動力あんのかよ!」
冬弥「目的達成のための判断と実行が非常に速いな」
彰人「褒めるな!」
杏「いや、スタンド使いとしての戦闘判断より、今の方が速い可能性あるよ?」
彰人「ねえよ!」
こはね「でも……お父さん、大丈夫かな……?」
四人の視線が画面に集中する。
数秒後。
ジジジジジジジジジ!!
ギャァァァァァァ!?!?
杏「うわあああっ!!」
こはね「ひゃあっ!?」
彰人「っははははは!!」
冬弥「……!」
冬弥は一瞬だけ目を見開いたあと、画面を凝視した。
考調(父さん……アナタのことは忘れない……! てか思ったより爆弾《セミファイナル》の威力高かったな、あの時近づかなくて良かった……)
杏「忘れるな!!」
彰人「お前が仕掛けたんだろうが!!」
こはね「お父さん、かわいそう……!」
冬弥「息子の安全は確保されたな」
彰人「その代わりに父親が被害を受けてんだよ!」
杏「しかも、本人は『近づかなくて良かった』って……!」
こはね「考調くん……お父さんに謝って……!」
彰人「いや、これ絶対あとでバレるだろ」
杏「バレるかなあ?」
彰人「バレるに決まってんだろ! 何年親子やってんだ!」
冬弥「確かに、父親が被害を受けた以上、玄関前で立ち尽くしていた息子の行動と結びつける可能性は高い」
杏「冬弥、こういうときの推理は鋭いね!?」
冬弥「状況から判断しただけだが」
彰人「だから分析すんなって!」
### ③ 当然の報い
画面が切り替わる。
玄関の近くへ戻ってきた考調。
鋼立「こ……考調!? お前さてはこの為に出かけるなんて言ったんだろ!? 父さんを生贄にするとは何事だ!?」
考調「フッ……済まない……父さん、尊い犠牲だったんだよ……」
鋼立「ただの身代わりだろうが!?」
考調「HAHAHA! そのような事ありませんよ?」
杏「あるよ!!」
彰人「開き直ってんじゃねえ!!」
こはね「お父さん、ちゃんと気づいてたんだ……!」
冬弥「先ほどの会話では気づいていなかったが、被害を受けたあとで理解したようだな」
彰人「そりゃそうだろ! あの状況で息子が消えてたら気づくわ!」
杏「でも、親子の会話としてはすごく自然だよね。こういう軽口を言い合えるくらいには仲がいいんだろうなあ」
こはね「うん。怒ってるけど、すごく普段どおりって感じがする」
冬弥「父親も、息子の行動に本気で激怒しているというより、呆れながら叱っているように見える」
彰人「いや、そりゃ怒るだろ。セミを踏ませるために利用されたんだぞ」
杏「それはそう!」
こはね「でも、考調くんもお父さんも、なんだか楽しそう……」
彰人「楽しそうに見えるのはお前らだけだろ!」
……と、四人がそれぞれ好き勝手に感想を言っていた、そのとき。
画面の中で、小さな物体が落ちてきた。
ボトッ……。
セミだった。
考調「「え?」」
杏「…………」
こはね「…………」
彰人「…………」
冬弥「…………」
一瞬、WEEKEND GARAGEの空気が止まった。
杏「……あ」
彰人「……おい」
こはね「ま、まさか……」
冬弥「先ほどの個体とは別のセミか?」
彰人「そこじゃねえ!!」
考調の顔に、明確な焦りが浮かぶ。
そして脳内では、凄まじい速度で思考が始まっていた。
考調(待て、落ち着け俺……まだ焦るタイミングじゃ無い! COOLだ……COOLに考えよう! ここまでの至近距離だとまた父さんを犠牲にする安全確保をする事は出来ない! この場合はAXIOMで虫が怖くない証明をすれば良いんだ!)
こはね「そ、そうだよ! スタンドがあるんだから……!」
杏「おお! そうじゃん! 今度こそスタンドの出番だ!」
彰人「いや、待て。虫が怖くないって証明できんのか?」
冬弥「本人が納得できるなら、可能性はあるのではないか」
画面の中。
考調(AXIOM! ACT1! 俺は虫が怖くないと自己証明をするぞ!!)
全員が固唾をのんで見守る。
……しかし。
※セミにビビり散らしているため、納得できない。証明失敗。
考調(このクソ能力ゥゥゥゥ!?)
ジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジ!!!!!!!
ギャァァァァァァァァァァァ!?!?!?
ギャァァァァァァァァァァァ!?!?!?
杏「ははははははっ!! ダメだったあああ!!」
彰人「っははははは!! そりゃそうだろ!!」
こはね「ひゃああっ!! お父さんまで巻き込まれてるぅぅ!!」
冬弥「……証明には、本人の納得が必要だったな」
彰人「そこだけ設定どおりなの、なんなんだよ!!」
杏「いや、待って! このスタンド、本人が納得できないと使えないんだよね!?」
彰人「そうだよ!」
杏「じゃあ、本人がセミを怖がってる限り、虫が怖くないって証明できないじゃん!」
彰人「そういうことだろうな!」
杏「能力の弱点が、セミ!!」
彰人「セミじゃねえよ! 本人の納得だよ!!」
冬弥「しかし、本人の精神性と能力が密接に結びついているという点は、これまでの説明どおりだな」
彰人「こんな場面で納得したくねえよ!!」
こはね「で、でも……能力が使えない理由が、すごく考調くんらしいというか……」
杏「分かる! 自分が納得してないことは証明できない。だから、本人が心の底からセミを怖がってる限り、無理なんだ!」
冬弥「恐怖を感じている自分を否定できない以上、『恐怖を感じない』という証明は成立しないのだろう」
彰人「……いや、能力の理屈は分かるけどよ」
彰人は、画面の中で絶叫している考調を見た。
彰人「なんでこんな、しょうもねえ場面で能力の根幹を見せられなきゃなんねえんだよ!!」
杏「ふふっ……だって、日常だもん!」
こはね「うん……! 世界をどうにかできるような能力でも、セミは怖いんだね……」
冬弥「強大な能力を持つことと、個人的な苦手意識を克服することは別なのだな」
彰人「……それは、まあ、そうだけどよ」
杏「しかも、さっきまで父さんを身代わりにしてたのに、今度は自分が逃げられなくなってるの、因果応報すぎるよね!」
こはね「お父さんも巻き添えだよ……!」
冬弥「父親は二度目の被害を受けているな」
彰人「お前、そこはもう少し同情してやれよ!」
### ④ 視聴終了後
映像が終わった。
WEEKEND GARAGEには、しばらく沈黙が流れていた。
その沈黙を破ったのは、杏だった。
杏「……ねえ、考調って本当にあのスタンド使いなの?」
彰人「本人だろうが」
杏「いや、分かってるけど! だってさ、世界を改変できるとか、証明によって現実に干渉するとか、そういう話を聞いてたじゃん?」
冬弥「少なくとも、今回の映像では、その能力の規模はほとんど役に立っていなかったな」
こはね「でも、そこが考調くんらしいのかも……。できることがすごく多くても、怖いものは怖いんだね」
彰人「……まあ、変に能力で全部解決するよりは、普通の人間っぽいんじゃねえの」
杏「おっ、彰人が珍しくまともなこと言った!」
彰人「うるせえ!」
冬弥「それに、今回の失敗は能力の欠陥というより、能力の原則がそのまま適用された結果だ。本人が納得できないことは証明できない。そこに例外がないからこそ、あの場面が成立している」
杏「つまり、セミを怖がっている自分を認めちゃってるから、怖くない自分を証明できないんだね」
冬弥「そういうことだろう」
こはね「……でも、ちょっと安心したかも」
杏「ん? 何が?」
こはね「考調くんって、すごくすごい能力を持ってるから……何でもできる人なのかなって、少し思ってたんだ。でも、セミが怖くて玄関に入れないっていうのを見て、普通の高校生なんだなって思ったから」
彰人「普通の高校生は父親を生贄にしねえよ」
杏「それはそう!」
こはね「あっ……そうだった……」
冬弥「ただ、あの親子のやり取りを見る限り、家族仲は良好なのだろうな。あれだけふざけたことをしても、普段から会話が成立している」
杏「うん。お父さんも本気で突き放してるわけじゃなかったしね」
彰人「だからって、次も同じことをしていいわけじゃねえけどな」
杏「次があるの!?」
彰人「知らねえよ!」
こはね「次は、セミを克服できるといいね……」
冬弥「本人が納得できるようになれば、自己証明も可能になるかもしれない」
杏「いや、まずは普通にセミを怖がらなくなる練習からじゃない?」
彰人「スタンドの訓練より先にやることがあるとはな……」
四人は、改めて映像の最後の場面を思い出した。
世界の理不尽に抗える可能性を秘めたスタンド。
その能力の根幹は、本人が納得できるかどうかにかかっている。
そして、その能力の持ち主は――。
杏「……考調、次に会ったらセミの話してみようかな」
彰人「やめとけ。絶対嫌がるぞ」
こはね「で、でも、ちょっとだけなら……?」
冬弥「本人の反応を観察するという意味では、興味深いな」
彰人「お前ら、本人で遊ぶ気満々じゃねえか!」
杏「だって、あんなの見せられたら気になるでしょ!」
彰人「……はあ。まあ、あいつなら笑い話にするかもしれねえけどよ」
こうして、Vivid BAD SQUADの四人は、考調の能力について新たな理解を得た。
どれだけ強大な力を持っていても、本人の納得がなければ証明は成立しない。
そして、セミが怖いという納得だけは、どうやら誰にも覆せないらしい。
少なくとも、今日のところは。
…………………………………………………………………
### ワンダーランズ×ショウタイム反応集
### 『転生スタンド使いの日常』第一話:セミファイナル
場所:ワンダーステージ/夏・高校入学後
ワンダーステージ。
いつものように集まっていた司、えむ、寧々、類の四人は、類が用意した例のトンチキ機械を使い、大城考調の日常を最初から視聴することになった。
司「フハハハハ! 今日は考調の日常を見られるのだな! いったいどのような壮大な物語が待っているのか!」
寧々「壮大って決まったわけじゃないでしょ。普通の日常を見るんじゃないの?」
えむ「わんだほーい! 考調くんの日常! 楽しみだねっ!」
類「ふふ、僕も楽しみだよ。彼の持つ能力については興味深い話を聞いているけれど、日常でどのように使っているのかは、また別の面白さがありそうだからね」
司「よし! それでは上映開始だ!」
### ① 玄関前の絶望
映像が始まる。
夏の日差し。家の玄関。アイスの実を手にした考調。
そして――玄関の真ん中で、仰向けになっているセミ。
考調『コレどうしよ……近づいたら絶対ジジジジジッ!ってなるよコレ……嫌だ……近づきたくない……でも帰りたい……!』
えむ「えっ、セミさんだ!」
寧々「……ああ、これは嫌な人には嫌な状況だね」
司「なにっ!? 玄関の前にセミがいるだけではないか! 堂々と通ればよかろう!」
寧々「司、セミが急に飛んできても平気なの?」
司「むっ……そ、それは……」
寧々「ほら」
司「だが! それとこれとは話が別だ! 恐怖に打ち勝つこともまた、重要なのだ!」
類「なるほど。つまり司くんは、セミが飛び立った際に驚いても、それを恐怖に打ち勝った結果だと解釈するわけだね?」
司「なぜそうなる!?」
えむ「あははっ! でも考調くん、アイス持ってるよ! 早く帰らないと溶けちゃう!」
考調『アイスの実は中身シャーベットだからすぐ溶けるんだよ……』
寧々「そこは冷静に分析してるんだ……」
類「興味深いね。目の前の障害に対する恐怖と、手元のアイスが溶けるという時間的制約。二つの問題を同時に認識している」
寧々「いや、そんな大げさな話じゃないでしょ」
えむ「考調くん、がんばれー! セミさんの横をそーっと通ろう!」
考調『そうこうしてるうちにかなり時間経っちまった……もうアイスの実溶けてるよ……十分位ここで立ち尽くしてるもん……俺……このまま家に帰れないのか……?』
司「じゅ、十分!?」
寧々「玄関の前で十分も立ち往生してたの……?」
類「ふふっ……。スタンド使いが、玄関のセミ一匹を前にして膠着状態か」
司「おい類! 笑っている場合ではないぞ! このままではアイスが!」
寧々「心配するところ、そこなんだ……」
えむ「考調くん、セミさんにおうちを守られちゃってるね!」
寧々「守ってるんじゃなくて、たまたまそこにいるだけだから」
### ② 救世主、現る
そこへ、考調の父・鋼立が登場。
鋼立『考調? 何してるんだ?』
考調『父さん! 実は……ッ!』
考調の脳内に電流が走る。
考調(父さん割と抜けてるから足元とか見ないし、何も言わずに出かけたふりしたら爆弾《セミ》起爆させて処理してくれるのでは……!)
えむ「えっ」
寧々「……最低」
司「待て待て待て! 今、父親を犠牲にする計画を立てなかったか!?」
類「実に鮮やかな発想だね。自分が直接危険に接近することなく、第三者に障害を処理してもらう。しかも、本人には事情を知らせずに」
寧々「分析しないで」
類「いやあ、彼の性格を考えると、こういう小賢しい立ち回りも実に人間らしい」
司「人間らしいで済ませていいのか!?」
考調『……コンビニ行ったけど買い忘れがあったのに今気づいてさ! ちょっともう一回行ってくるつもり』
鋼立『そうか? ふふ……玄関の前まで来て買い忘れでまた出かけるって斬新だな』
えむ「あははははっ! お父さん、気づいてないよ!」
寧々「考調、今すごい顔してるんだろうな……」
考調(ヨシ! 何も気づいて無い! 後は離れるだけだ……!)
司「おのれ考調! 父親を囮にするとは、なんという卑劣な作戦だ!」
類「しかし司くん。彼は別に父親を傷つけようとしたわけではないよ。セミを驚かせて飛ばすことを期待しただけだ」
司「それでも結果的に父親を犠牲にする気満々ではないか!」
類「そうだね。実に小市民的な悪知恵だ」
寧々「二人とも、考調のこと面白がりすぎ」
考調『じゃあちょっと行ってくる!』
鋼立『ああ、この暑さだ、熱中症には気をつけろよ』
考調『どうせすぐそこだし大丈夫だよ、行ってきま〜す』
考調が玄関から見えない死角へとダッシュする。
えむ「いってらっしゃーい! ……って、あっ! これ、お父さんが危ないんじゃない!?」
寧々「今さら!?」
### ③ セミファイナル、発動
数秒後。
ジジジジジジジジジ!!!!
鋼立『ギャァァァァァ!?!?』
えむ「わああああっ!?」
司「ぬおおおおおっ!? な、なんだ今の声は!?」
寧々「セミ! セミが飛んだだけだから!」
類「はははははっ! これは予想以上だ!」
考調(父さん……アナタのことは忘れない……! てか思ったより爆弾《セミファイナル》の威力高かったな、あの時近づかなくて良かった……)
寧々「反省してない!」
えむ「考調くん、お父さんを置いて逃げちゃったよ!?」
司「おのれ考調! 父親を生贄にしておきながら、なんという薄情な息子だ!」
類「しかし、セミの鳴き声と飛び立つ瞬間の動きが、彼にとっては予測困難な脅威だったわけだね。事前に危険を察知し、回避した判断自体は合理的だ」
寧々「だから、なんでそんなに立派な分析になるの!?」
類「問題は、その回避方法が父親への責任転嫁だったことさ」
えむ「セミファイナルって名前、すっごく強そうだね!」
司「強そうというか、実際に父親を撃破しているではないか!」
寧々「撃破って言わないで……」
### ④ 犯行、即バレ
考調が玄関の近くへ戻ってくる。
鋼立『こ……考調!? お前さてはこの為に出かけるなんて言ったんだろ!? 父さんを生贄にするとは何事だ!?』
えむ「あっ、バレた!」
司「当然だ! 父親を何だと思っているのだ!」
考調『フッ……済まない……父さん、尊い犠牲だったんだよ……』
鋼立『ただの身代わりだろうが!?』
ワンダーステージに笑い声が響く。
えむ「あはははははっ! 尊い犠牲だって!」
寧々「いや、ほんと最低だよ、考調……」
司「父親の苦労を何と心得る! 息子のためにセミの攻撃を受けたというのに!」
類「ふふっ。父親も、最初から息子の企みに気づいていたわけではない。だが、戻ってきた息子の反応と状況を見て、推理したのだろうね」
寧々「普通に考えれば分かるでしょ。出かける直前まで玄関にいたんだから」
類「それでも、考調くんが自分の計画を成功したと思い込んでいたところが面白い」
えむ「お父さんも考調くんも、すっごく仲良しなんだね!」
寧々「……まあ、そういう見方もできるけど」
司「仲が良いからといって、父親を生贄にしていい理由にはならんぞ!」
類「司くんは、ずいぶんと父親の肩を持つね?」
司「当たり前だ! 親を大切にするのは人として当然のことだろう!」
寧々「さっきまでセミを恐怖に打ち勝つ対象として扱ってた人が言っても、あんまり説得力ないんだけど」
司「寧々ぇぇぇぇ!?」
### ⑤ そして、本当の恐怖が落ちてくる
二人が言い合っている最中。
ボトッ……。
考調と鋼立の間に、小さな物体が落ちてきた。
セミだった。
考調・鋼立『「え?」』
えむ「……あっ」
寧々「……最悪のタイミング」
司「なっ……!? ま、まさか……!」
類「ふふ。第二幕の開演だね」
考調(待て、落ち着け俺……まだ焦るタイミングじゃ無い! COOLだ……COOLに考えよう! ここまでの至近距離だとまた父さんを犠牲にする安全確保をする事は出来ない!)
寧々「まずそこから考えるんだ……」
考調(この場合はAXIOMで虫が怖くない証明をすれば良いんだ!)
類「おや」
司「なにっ!? ついにスタンドを使うのか!?」
えむ「すごい! 考調くん、セミさんに立ち向かうんだね!」
考調(AXIOM! ACT1! 俺は虫が怖くないと自己証明をするぞ!!)
一瞬、全員が画面に注目する。
――しかし。
※セミにビビり散らしているため、納得できない。証明失敗。
考調(このクソ能力ゥゥゥゥ!?)
寧々「そりゃそうでしょ!!」
司「能力に八つ当たりするなぁぁぁ!!」
えむ「あはははははっ! だって考調くん、全然納得してないもん!」
類「素晴らしいね。能力の制約が、本人の精神状態によって明確に表れている。自分が虫を怖がっているという事実を認めている以上、怖くないという証明は成立しない」
寧々「能力の仕組みが分かるのはいいけど、よりにもよってセミで実証されるなんて……」
司「ACT1だぞ!? あのAXIOMの能力が、セミ一匹に通用しないだと!?」
類「正確には、セミに通用しないのではなく、考調くん自身が納得できていないのさ」
寧々「その説明、今はしなくていいから!」
えむ「でも、ちょっとかわいいね!」
寧々「えむ、何が?」
えむ「考調くん! いつもすごい能力を持ってるのに、セミが怖いんだもん!」
司「ふむ……。どれほど強大な力を持っていても、苦手なものは苦手ということか」
類「そうだね。能力が精神のヴィジョンであるなら、なおさらだ。能力が強いからといって、本人の感情まで都合よく変わるわけではない」
寧々「……そこは、ちょっと分かるかも」
### ⑥ セミファイナル・ラッシュ
次の瞬間。
ジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジ!!!!!!
考調『ギャァァァァァァァァァァァ!?!?!?』
鋼立『ギャァァァァァァァァァァァ!?!?!?』
セミの飛翔と鳴き声が、まるでスタンドのラッシュのような勢いで二人を襲う。
えむ「わああああっ! お父さんも巻き込まれたぁぁぁ!」
司「なんということだ! 父親まで二度目の被害を受けているぞ!?」
寧々「二度目っていうか、今度は考調も逃げられてないんだけど!」
類「はははははっ! まさかAXIOMの能力体系を紹介する前に、これほど見事な実例が見られるとは!」
司「笑っている場合か、類!」
類「いやあ、ACT1の制約が実に分かりやすい。自己証明は、本人が納得していなければ成立しない。理論上の能力と、実際の精神状態は別物というわけだ」
寧々「うん、説明は分かった。だから笑うのやめてあげて」
えむ「あはははははっ! セミさん、すっごく元気だねぇ!」
司「えむ! そこは考調たちを心配してやれ!」
えむ「えっ? でも、もう画面の中で叫んでるよ?」
寧々「そういう問題じゃないから……」
考調(神様ってやっぱ見てるもんなんだな……)
司「神様に祈る前に、まず自分の行いを反省しろぉぉぉ!!」
類「ふふふ……。しかし、考調くんの考え方は面白いね。最初は父親を犠牲にしようとし、次は能力で恐怖を克服しようとした。つまり、彼は逃げるだけではなく、自分なりの解決策も考えている」
寧々「その解決策が失敗した結果、二人そろって叫んでるんだけど」
類「そこも含めて、実に彼らしい」
### ⑦ 視聴後の感想
映像が終了する。
ワンダーステージに、しばらく沈黙が流れた。
司「…………」
寧々「…………」
えむ「……ぷっ」
えむ「あははははははっ!!」
司「笑うなぁぁぁ! いや、笑いたくなるのも分かるが!!」
寧々「最初は普通の日常だと思ってたのに……」
類「いやあ、実に良かった。スタンド使いの日常という題名に偽りはなかったね」
司「どこがだ!? スタンドを使う場面で最も重要な問題が、セミへの恐怖だったのだぞ!?」
類「それが日常なのさ、司くん」
寧々「……でも、ちょっと気になることはある」
えむ「なになに?」
寧々「考調って、能力を使うときは本人が納得してないとダメなんだよね?」
類「そうだね。少なくとも、今回の自己証明はそうだった」
寧々「じゃあ、本人が本当に怖がってるものを、能力で無理やり克服するのは難しいってこと?」
類「少なくとも、今回の方法では失敗した。自分の感情を無視して、望む結論だけを成立させようとしても、彼の能力はそれを許さないということだろうね」
司「……なるほど。自分の心に嘘をついても、能力は誤魔化せないのか」
えむ「でも、考調くんって、セミが怖いって分かってるんだよね?」
寧々「うん」
えむ「じゃあ、怖くないって証明するんじゃなくて、怖いけど頑張るって考えたらよかったのかな?」
類「……ふむ」
司「おおっ! それは良い考えではないか!」
寧々「いや、そもそもセミ一匹にスタンドを使う必要があるのかって話だけど」
類「そこが考調くんらしいところでもあるね。問題を認識したら、自分の持つ能力で解決できないかと考える。だが、能力で解決できることと、能力を使うのが最善であることは別だ」
司「そして今回は、能力を使う前に父親を生贄にしようとした!」
寧々「結局そこに戻るんだ……」
えむ「でも、考調くんとお父さん、楽しそうだったね!」
司「父親は楽しそうというより、完全に被害者だったがな!」
類「それでも、あのやり取りからは普段の親子関係が垣間見えた。考調くんは遠慮なく悪知恵を働かせるし、お父さんも息子の企みを見抜いたら遠慮なく突っ込む。気安い関係なのだろうね」
寧々「……それは、そうかも」
えむ「次は何を見るのかな? 考調くん、今度はセミさんと仲良くできるかな?」
司「いや、次こそはスタンド使いらしい活躍を見せてもらいたいものだ!」
類「ふふふ。そう焦らなくてもいいじゃないか。彼がどんな日常を送っているのか、それを見ていくのが今回の趣旨なのだから」
寧々「……次はせめて、玄関から普通に家に入れる話だといいね」
司「まったくだ!」
えむ「わんだほーい! 次も楽しみー!」
類「さて、次の映像も楽しみにしていようか」
――こうして、ワンダーランズ×ショウタイムの四人は、AXIOMの能力の片鱗と、主人公のしょうもない弱点を同時に知ることになった。
そして彼らの脳裏には、しばらくの間、セミの鳴き声が残り続けるのだった。
…………………………………………………………………
### 25時、ナイトコードで。反応集
### 『転生スタンド使いの日常』第一話:セミファイナル
視聴場所: 奏のパソコンから画面共有。メンバーはそれぞれ自室にいる。
視聴メンバー: 宵崎奏、朝比奈まふゆ、東雲絵名、暁山瑞希。
高校生になった考調の、ある夏の日。
四人はまだ、この少年が世界規模の現実改変能力や、理不尽を事実から否定する能力を持っていることを知っている。だが、その能力を持つ本人が、たかがセミ一匹にどんな醜態をさらすのかまでは知らなかった。
### 1\. 「セミだ……」
画面:夏の玄関前。仰向けになったセミと、その前で立ち尽くす考調。
奏「……夏だね」
絵名「うん、夏だね。……で、何してるの、この子?」
瑞希「えっ、セミ? セミがいるだけじゃん。何が問題なの?」
まふゆ「……苦手なのかな」
画面の中では、考調が玄関前のセミをじっと見つめている。
『近づいたら絶対ジジジジジッ!ってなるよコレ……嫌だ……近づきたくない……でも帰りたい……!』
絵名「いや、気持ちは分かるけど! 分かるけどさぁ!」
瑞希「あははっ! めっちゃ警戒してるじゃん! 何、その距離感! 敵スタンドを前にした主人公みたいになってるよ!?」
奏「アイスの実……溶けちゃうんだ」
まふゆ「そこを一番気にしてるんだね」
絵名「セミよりアイスの心配してるの、ちょっと面白いんだけど!」
瑞希「しかも『太陽に向かい己を賛美するかの如く』って何!? セミにどんな尊厳を見出してるのさ!」
奏「……本人には、そう見えてるんだと思う」
絵名「いや、ただひっくり返ってるだけでしょ!」
まふゆ「考調くんにとっては、玄関を塞ぐ強敵なんだね」
瑞希「世界を変えられるスタンド使いの前に立ちはだかる、自然界の刺客……!」
絵名「大げさすぎるって!」
### 2\. 救世主、現る。
画面:父・鋼立が玄関前にやってくる。
鋼立「考調? 何してるんだ?」
考調「父さん! 実は……ッ!」
そこで、考調の脳内に電流が走る。
父親を生贄にして、セミを処理させる。
瑞希「あっ」
絵名「あっ、コイツ!」
奏「……思いついちゃった」
まふゆ「お父さんを利用するんだ」
瑞希「いやいやいや! 助けを求める流れだったじゃん! なんで一瞬で身代わり作戦に移行してるの!?」
絵名「しかも、父親の性格まで計算に入れてる! 『割と抜けてるから足元とか見ない』って、普段からそういう観察してるの!?」
奏「考調くんらしい……のかな。普段から色々考えてるから、こういう時も考えちゃうんだね」
まふゆ「考える方向が、ちょっと……」
絵名「ちょっとどころじゃないでしょ!」
画面の中では、考調が何食わぬ顔で父親に告げる。
『コンビニ行ったけど買い忘れがあったのに今気づいてさ! ちょっともう一回行ってくるつもり』
鋼立「そうか? ふふ……玄関の前まで来て買い忘れでまた出かけるって斬新だな」
瑞希「信じたーーーっ!!」
絵名「お父さん、疑ってない! 全然疑ってないよ!」
奏「……優しいお父さんなんだね」
まふゆ「考調くんも、それを分かってて利用してる」
絵名「そういうところだけ頭が回るの、腹立つなぁ……!」
瑞希「いやぁ、普段は論議が好きで、自分の間違いも認めるタイプなのに、虫が出た瞬間これだよ!」
奏「……人間らしいとは思う」
絵名「それはそうだけど!」
### 3\. 父、散る。
画面:考調、玄関から見えない死角へダッシュ。
『父さん……アナタのことは忘れない……!』
瑞希「死んでないから!!」
絵名「勝手に殺すな!」
奏「……まだ何も起きてないのに」
数秒後。
ジジジジジジジジジ!!
鋼立「ギャァァァァァ!?!?」
瑞希「あっははははっ!!」
絵名「あははははっ! ちょっと待って、声! お父さんの悲鳴が!」
奏「……っ、ふふ」
奏の口元がわずかに緩む。
まふゆ「……ふふっ」
絵名「まふゆまで笑ってる!?」
まふゆ「ごめん。思っていたより、すごい声だったから」
瑞希「しかも考調くん、死角で待機しながら『思ったより爆弾の威力高かったな』って! セミを爆弾扱いしてる!」
絵名「お父さんが被害を受けてるのに、分析するな!」
奏「……でも、近づかなくてよかった、って思ってるんだね」
瑞希「そう! 他人の犠牲を教訓に安全を確保するタイプ!」
絵名「最低の学習方法!」
まふゆ「でも、自分が怖いものを避けようとするのは、別におかしくないと思う」
絵名「いや、避け方の問題だから!」
奏「……うん。怖いのは仕方ないけど、お父さんを巻き込んだのは別の話だね」
瑞希「奏ちゃん、冷静な総評!」
### 4\. 「尊い犠牲だったんだよ……」
画面:戻ってきた考調と、怒りの父親。
鋼立「こ……考調!? お前さてはこの為に出かけるなんて言ったんだろ!? 父さんを生贄にするとは何事だ!?」
絵名「バレてるじゃん!!」
瑞希「そりゃバレるよ! あんなタイミングで息子が消えたら!」
まふゆ「お父さん、ちゃんと気づいたんだね」
奏「……最初は気づいてなかったみたいだけど」
絵名「というか、あの作戦が成功したと思ってる考調もすごいよ。お父さんの悲鳴、絶対聞こえてるでしょ!」
瑞希「そして、ここで言い放つ!」
『フッ……済まない……父さん、尊い犠牲だったんだよ……』
瑞希「尊くないよ!!」
鋼立「ただの身代わりだろうが!!」
まふゆ「……お父さんの反応も、考調くんの返しも、テンポがいいね」
奏「家族仲がいいから、こういうやり取りができるんだろうね」
絵名「それとこれとは別だってば!」
瑞希「でもさぁ、これだけ怒られても『HAHAHA! そのような事ありませんよ?』で押し切ろうとするの、メンタル強いよね!」
まふゆ「反省してるのかな」
絵名「してないでしょ!」
奏「……少なくとも、今は」
### 5\. 第二のセミファイナル、襲来。
画面:二人の間に、ボトッ……と何かが落ちてくる。
考調・鋼立「「え?」」
瑞希「あっ、追加個体!」
絵名「やめてよ、その言い方!」
奏「……落ちてきたね」
まふゆ「さっきのセミとは別の個体なのかな」
瑞希「そこ気になるんだ!?」
画面の中では、考調の思考が猛烈な速度で回転し始める。
『まだ焦るタイミングじゃ無い! COOLだ……COOLに考えよう!』
絵名「いや、焦ってるじゃん!!」
瑞希「COOLに考えようって言いながら、頭の中めっちゃパニックだよ!」
奏「……この状況で、まず能力を使おうとするんだ」
まふゆ「スタンドで虫が怖くなくなるように証明する……」
絵名「そんなことに使うなぁ!!」
瑞希「いや待って! これ、能力のルールが出てくる場面じゃない?」
奏「ACT1で自己証明……でも、本人が納得できないと成立しない」
まふゆ「今の考調くんは、明らかに怖がっている」
絵名「つまり……」
四人の視線が、画面の中の考調へと集まる。
『AXIOM! ACT1! 俺は虫が怖くないと自己証明をするぞ!!』
一瞬の間。
『このクソ能力ゥゥゥゥ!?』
瑞希「失敗したーーーーっ!!」
絵名「そりゃそうでしょ!! 自分で怖がってるのに、怖くないって証明できるわけないじゃん!!」
奏「……自分が納得できないことは、証明できない」
まふゆ「能力のルールを、自分自身で実演しているんだね」
瑞希「実演の仕方が最悪すぎるよ!!」
絵名「しかも、よりによって虫相手に能力の根本原理を叩きつけられるなんて!」
奏「……AXIOMの設定を知っていると、余計に面白いね」
まふゆ「考調くんにとっては、全然面白くないと思うけど」
瑞希「いやぁ、能力のルールを説明するのに、こんなに分かりやすい失敗例があるとは……!」
絵名「本人の尊厳が犠牲になってるけどね!」
### 6\. スタンドのラッシュみたいなセミファイナル
ジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジ!!!!
考調・鋼立「「ギャァァァァァァァァァァァ!?!?」」
瑞希「あはははははは!! ダメだ、無理!!」
絵名「お父さんまで巻き添え!! 何もしてないのに!!」
奏「……二人とも、すごい悲鳴」
まふゆ「……セミの攻撃、連打みたいだね」
瑞希「セミのラッシュ! セミファイナル・オーバードライブ!!」
絵名「勝手に技名をつけないで!」
瑞希「だって描写が完全にラッシュじゃん! ジジジジジジって! しかも、さっきはお父さんを生贄にしたのに、今度は自分も巻き込まれてる!」
絵名「自業自得でしょ!」
奏「……でも、これで少し分かったかも」
まふゆ「何が?」
奏「考調くんは、自分の能力を何でも解決できる便利な道具として使えるわけじゃないんだね。自分自身が納得できないなら、能力も成立しない」
絵名「……まあ、そういう意味では分かりやすい例だよね」
瑞希「宇宙規模の現実改変も、理不尽を否定する能力も持ってるのに、セミには勝てない!」
まふゆ「勝てないというより、自分が怖がっていることを否定できないんだと思う」
奏「うん。能力で恐怖を消すことと、自分が恐怖を感じなくなることは違うんだね」
絵名「……なんか、急にまともな話になった」
瑞希「でも、本人は今まさにセミに襲われてるけどね!」
絵名「戻すなぁ!!」
### 7\. 視聴終了後
動画が終わり、奏の部屋に少しだけ静寂が戻る。
奏「……面白かった」
絵名「面白かったけどさぁ……。あの子、普段はもっと頭を使ってるんでしょ? なんで虫相手にあんなことになるのよ」
瑞希「むしろ、普段から考えすぎるからじゃない? 逃げるだけでいいのに、父親を利用する作戦とか、能力で恐怖を克服する方法とか、色々考えちゃうんだよ!」
まふゆ「自分の考えで納得したい人だから、怖いという感情も、能力で解決できると思ったのかもしれないね」
奏「でも、自分が怖いと感じていることは、能力で無かったことにはできなかった」
絵名「……なんか、考調らしいと言えば考調らしいのかも」
瑞希「だね! 世界を改変できるスタンド使いでも、セミが怖いのは別問題!」
まふゆ「……お父さん、明日もセミを警戒するようになるかな」
絵名「それは考調のせいでしょ!」
奏「……次も、こんな感じなのかな」
瑞希「いやぁ、分からないよ? 次は宇宙規模の事件かもしれないし!」
絵名「この動画の次が宇宙規模だったら、温度差で風邪ひくわ!」
まふゆ「……でも、ちょっと楽しみ」
奏「うん。次も見よう」
四人は、次の動画がどんな内容になるのか、少しだけ期待しながら画面を閉じた。
ただし、全員の頭に強く残っていたのは、宇宙を改変する力でも、理不尽を否定する能力でもなく。
『父さん……アナタのことは忘れない……!』
という、あまりにも薄情な息子の一言だった。
### 今回の反応・総評
* 奏: 能力の根本原理と主人公の精神性を拾う。笑いつつも「自分が納得できないことは証明できない」というAXIOMの本質に気づく。
* まふゆ: 淡々と状況を観察し、考調の恐怖と能力の制約を見抜く。時々、真面目な分析を挟んで周囲を笑わせる。
* 絵名: 視聴者のツッコミ担当。主人公の卑怯さ、父親の巻き込まれ方、能力の使いどころに逐一ツッコむ。
* 瑞希: 全力でギャグを楽しむ。セミに技名をつけたり、主人公の醜態を大げさに表現したりする。
今回は、強大なスタンド能力の紹介回というより、\*\*「どれほど強い能力を持っていても、本人の性格や感情までは都合よく消せない」\*\*ということが、ギャグを通して伝わる回。
そしてAXIOMにとっては、自己証明の成立条件を、本人が身をもって証明してしまった回でもある。
なお、本人の尊厳については、セミファイナルによってすでに甚大な被害が発生している。
特別番外編なのでプロセカキャラ達は主人公のプロットを読み込んだ後と言う設定です。
神代類の機械なら…!例え主人公本人が知らない情報でも表示してくれるかもしれないじゃないですか!タイムマシン作ってるんですよ!?
プライバシー云々はツッコミ無しの方向で…後こんなん〇〇じゃ無い!見たいな話もチャットgptに言ってください。
私の指示は全キャラそれぞれの一人称とユニット内の二人称を投げただけなんで。
これからもう少しで高校生になる、プロセカ本編に入るであろうこの先の展開でどのくらい主人公とプロセカキャラ達を絡ませる?一応今までの接点よりは深く関わらせる予定。締め切りは高校入学時。
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滅茶苦茶いっぱい絡ませる(作者が大変)
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凄くいっぱい絡ませる(まぁ行ける)
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普通に絡ませる(今と少し変わる位)