ホグワーツの聖女――アスペンの杖は灰色の秩序を刻む   作:神切優羽

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第4話も来てくださりありがとうございます!!

お気に入りが日々増えていくのが嬉しいです!

引き続き誤字脱字がありましたら教えてくれると幸いです!
キャラの性格や言動も一貫していないと感じたら教えてください!!

では、4話もどうぞ!!


第4話:白の杖と期待の授業

ホグワーツで迎える、初めての朝。

ハッフルパフの地下談話室には、円形の丸窓から差し込む柔らかい琥珀色の光と、天井から吊り下げられた銅製バスケットの植物たちが放つ、芳しい草木の香りが優しく満ちていた。

 

セラフィナは朝早くに目覚めると、一筋の乱れもない完璧な所作で身だしなみを整えた。

プラチナブロンドの髪を梳かし、亡き姉アリシアの遺品である『百合の銀ヘアピン』をそっと挿す。

 

同室のエマ、ハンナ、スーザンを起こし、4人で並んで地下談話室の温かな丸いトンネルを抜けた。

 

「あ、いけない。エマ、ネクタイの結び目が少し曲がっていますわ」

 

「えっ、本当? えへへ、やっぱりまだ結ぶの難しくて……」

 

大広間へ続く重厚な石造りの廊下を歩きながら、セラフィナはすっと足を止め、エマの前にかがみこんだ。

指先で素早く、けれど丁寧にネクタイの結び目を整えてあげる。

 

至近距離でセラフィナの陶器のように透き通った肌と柔らかい微笑みに触れ、エマは照れくさそうに若草色の瞳を細めた。

 

「ありがとう、セラフィナちゃん! 本当にお姉ちゃんみたい!」

 

「ふふ、どういたしまして。さあ、参りましょう」

 

大広間のハッフルパフ・テーブルに着くと、寮監のポモーナ・スプラウト教授がにこやかな笑顔で時間割を配って回っていた。

土の匂いをさせた親しみやすい丸顔の魔女は、セラフィナたちに羊皮紙を手渡しながら温かく声をかけた。

 

「おはよう、1年生たち。ホグワーツでの最初の朝はいかがかしら?

本日の午前はレイブンクローとの合同で『呪文学』と『変身術』、グリフィンドールとの合同で『薬草学』よ。頑張りなさいね」

 

「はい、スプラウト教授」

 

セラフィナが気品あふれる動作でお辞儀を返すと、スプラウト教授は満足そうに頷き、次の生徒のもとへと歩を進めた。

 

ふと隣のグリフィンドール・テーブルを見やると、ハリーとロンが手を振っているのが見えた。

セラフィナが優しく微笑み返すと、ハリーは嬉しそうに顔をほころばせ、ロンも誇らしげに大きく手を振って応えた。

 

◇ ◇ ◇

 

最初の授業は、小さな体のフィリウス・フリットウィック教授が教鞭を執る『呪文学』だった。

ハッフルパフとレイブンクローの1年生が集まった教室で、背を高くするための分厚い本の上に立ったフリットウィック教授が、甲高い声で楽しそうに講義を開始する。

 

「魔法とは、明確な意志と正しい呪文の発音、そして手首の振りによる魔力伝導が何よりも重要なのです!

焦ってはいけませんよ。さあ、皆さんの前に置かれた羽毛を浮かべてみましょう!」

 

教授の合図とともに、教室のあちこちで「ウイングガーディウム・レヴィオーサ!」と叫ぶ声が響き始めた。

 

セラフィナの隣の席では、レイブンクローの男の子が必死に杖を振っていたが、力みすぎているせいか羽毛はぴくりとも動かない。

エマも「うーん、飛んでくれないよぉ」と眉をひそめている。

 

セラフィナは手元のアスペンの杖――『白の杖』の柄に指先を添え、呼吸を整えた。

指先から杖の芯材であるドラゴンの心臓の琴線へと、素直な魔力をスムーズに流し込んでいく。

 

(力で押し出すのではなく、手首の滑らかな円運動に合わせて魔力を乗せる……)

 

「――ウイングガーディウム・レヴィオーサ」

 

鈴を転がすような澄んだ声とともに、セラフィナは無駄のない洗練された軌道で手首を振り下ろした。

 

瞬間。

アスペンの白い木肌から微かな光が走り、教卓の上の白い羽毛が、まるで透明な糸で引かれたかのように静かに宙へと浮き上がった。

風に揺れることもなく、天井近くで一点のブレもなくピタリと静止している。

 

「おおっ! こりゃあ見事だ! なんというスムーズな魔力伝導と手首の振りでしょう!

初日から完璧な浮遊呪文です! ハッフルパフに5点!」

 

フリットウィック教授が驚きのあまり本の上で飛び跳ね、足を踏み外して危うく転びそうになった。

教室中にくすくすという笑い声と、感嘆の溜め息が広がる。

 

「手首の力を抜き、回転軸を中心とした力学的なエネルギー伝達を意識すると魔力が伝えやすいですわ」

 

セラフィナが隣のレイブンクロー生とエマに優しく声をかけると、男の子は顔を赤らめながら「あ、ありがとう……!」と頷き、エマも「やってみる!」と嬉しそうに杖を握り直した。

 

◇ ◇ ◇

 

続いて行われたのは、ミネルバ・マクゴナガル教授による『変身術』だった。

高い天井と重厚な石造りの講義室。教卓の上に座っていた斑猫が一瞬にして厳しい表情のマクゴナガル教授へと姿を変えると、生徒たちから一斉に「おお……!」と息をのむ声が漏れた。

 

「変身術は、ホグワーツで学ぶ魔法の中で最も厳密で危険な分野です。ふざけた振る舞いは一切許しません」

 

厳格な宣言の後、一人ひとりに一本のマッチ棒が配られ、それを『針』に変える実技課題が与えられた。

 

知性を誇るレイブンクローの生徒たちも眉をひそめ、真剣な面持ちでマッチ棒と向き合っている。

 

セラフィナは配られた木製マッチを見つめ、思考を巡らせた。

木材から金属への変換、手首の角度、魔力の伝導速度、そして脳裏に描く絶対的な百合の花のイメージ。

 

アスペンの白杖を構え、滑らかな動作で一振りする。

 

杖先から、直視できないほど澄み渡った『純白の静かな閃光』が小さく弾けた。

 

次の瞬間。

木製だったはずのマッチ棒は音もなく姿を変え、光を美しく反射する完璧な『銀針』へと変貌していた。

そればかりか、針の頭部には繊細で美しい百合の花の刻印まで細密に施されている。

 

「……なんということでしょう」

 

足音もなく近づいてきたマクゴナガル教授が、目を見開いてその銀針を取り上げた。

指先で銀針の質感を確かめ、刻まれた細工をまじまじと見つめる。

 

「1年生の初回の授業で、これほど完璧な構造変化……それどころか、このような美しく細密な装飾まで施してみせるとは。見事というほかありません。

……ミス・ヴァレンティス、ハッフルパフに10点!」

 

「10点……!?」

 

「初日から合わせて15点も稼いだぞ……!」

 

ハッフルパフの席から割れんばかりの歓声と拍手が沸き起こり、ルーカスやハンナたちも誇らしげに胸を張った。

レイブンクローの生徒たちも感服したように拍手を送り、セラフィナの異次元の才能に羨望の眼差しを向けていた。

 

◇ ◇ ◇

 

午前の最後の授業は、城の裏手にある第一温室での『薬草学』だった。

こちらはグリフィンドールとの合同授業であり、ハリー、ロン、ハーマイオニーたちと同じ作業台を囲むこととなった。

 

「すごいな、セラフィナ! 呪文学でも変身術でも大活躍だったって聞いたよ!」

 

ロンが目を輝かせて尋ねると、グリフィンドールの授業で真っ先にマッチ棒を変化させて自信を持っていたハーマイオニーが、ほんの少しだけ悔しそうに唇を噛んだ。

 

「私も銀色の針には変えられたけれど……百合の装飾まで施すなんて、一体どうやったの? 魔力の伝導をどうやってコントロールしたのかしら?」

 

「ハーマイオニー、降参した方がいいぞ。セラフィナは別格なんだからさ」

 

ロンがニヤニヤしながら茶化すと、ハーマイオニーは「黙りなさいよロン! 私は純粋に技術を聞いているのよ!」と顔を真っ赤にして反論した。

 

その賑やかな掛け合いに、セラフィナは優しく微笑みを返した。

 

「手首の振りで魔力の伝導速度をほんの少し緩め、先端に意図する形状のイメージを重ねただけですわ、ハーマイオニー。あなたの変身術もきっと素晴らしい出来だったのでしょうね」

 

「まあね……でも、装飾までつけるなんて負けたわ。次は絶対に負けないんだから!」

 

少し頬を染めながらも素直に認めるハーマイオニーに、ハリーやロン、そしてエマがクスクスと笑い声を上げた。

 

「エマ、そちらの土はもう少しほぐしてから根を包んであげるといいですよ」

 

「あ、本当だ! すごい、根っこが柔らかくなった! ねぇハリーくん、魔法界の植物ってなんだか生きてるみたいで面白いね!」

 

エマが無邪気に話しかけると、ハリーも嬉しそうに頷いた。

 

「うん、僕も最初はうまくできるか不安だったけど……みんなとこうして授業を受けるのはすごく楽しいよ。

ホグワーツに来て、一番安心できた時間かもしれないな」

 

ハリーの澄んだ緑の瞳に浮かぶ安らぎの色を見て、セラフィナはそっと温かな眼差しを注いだ。

 

「そう言っていただけて嬉しいですわ、ハリー。いつでも私たちを頼ってくださいね」

 

作業を見守っていたスプラウト教授も、寮の垣根を越えて助け合い、高め合う生徒たちの姿に嬉しそうに何度も頷いていた。

 

◇ ◇ ◇

 

午前中の授業を終え、セラフィナたちは大広間へと向かった。

 

ハッフルパフとグリフィンドールのテーブルの境目あたりで、ハリー、ロン、ハーマイオニー、そしてエマやルーカスたちがテーブルを挟んで向かい合い、賑やかに昼食を囲んだ。

 

「ハッフルパフの談話室って、お日様の匂いがしてすごく居心地がいいんだよ!」

 

エマが楽しそうに自慢すると、ロンが羨ましそうにローストビーフを頬張った。

 

「いいなあ、グリフィンドールの塔は階段を登るのが大変でさ……」

 

「もう、ロンったら。文句ばかり言わないの」

 

ハーマイオニーが呆れたように笑い、大広間全体に温かな笑い声が広がる。

 

「お互いの寮の良さを認め合い、こうして食事を共にできることこそ、素晴らしい調和ですわね」

 

セラフィナが気品ある所作で紅茶を口に含みながら微笑むと、大広間の天井から降り注ぐ温かな陽光の下で、ハッフルパフとグリフィンドールの間に確かな信頼と絆が深まっていくのだった。




最後までお読みいただきありがとうございました!

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次話の投稿は17日の0:00になります!

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