びっくり!
【まにあむけりりかる】もよろしくね!
ポケナビにある機能『通話』にて実家に連絡をいれ、このまま旅にでる、ということを伝えた翌朝。
マサラタウンにさよならバイバイ、俺はこいつらと旅に出た。
という第一歩目、トキワシティからの出立である。
金銀から現れた設定、トレーナーズスクール。元は塾みたいな存在だったそれが、この世界では各町にそれなりの施設があるらしい。
見学は只らしいから覗いてみることにしたのだけど。
「他の人のポケモンをとったら泥棒! モンスターボールは野生のポケモンだけを捕まえますよ! 道路脇の草むらとか林の中、森の中、川の中、洞窟の中、さまざまなところでポケモンは生息しているのです!」
なんか普通のことを教えているらしい。
トキワだからか?
「何か質問などはあーりますかなー?」
質問……。
「じゃあ、はい。街中とかには生息しているポケモンは捕まえられないんですか?」
「おおぅ、いーい質問ですねぇ、えー、あなたは、見学者の子でーすか。トレーナーになってどれほど?」
「初心者です」
「そですかー、おこーたえしましょー! 街中にも生息しているポケモンもまれにいまーす。しかしそういったものを捕まえるのはむーずかしーいでーす。バトルをしないと捕まえられないポケモンが多い、これが常識ー、街中でのバトルは人様の迷惑になりかねませーん、極力避けるようにする、これがトレーナーとしての配慮、わかーりますかー?」
「なるほど、わかりました」
言葉遣い難しすぎ。子供に聞かせる台詞と違くね?
まあ迷惑行為はどういうところでもやっちゃだめって言うのは全世界共通だしな。普通のことだな。
「つまりはトキワの森とかで捕まえに行けってことか」
「ハイ? 森?」
「え?」
「エ?」
◎ ◎ ◎ ◎ ◎
なんか、トキワの森が開拓されて道路になってるって言う話だそうです。
あー、そーいやそーだったよ。
金銀は森がなくなっていたんだよな。
ニビに行くには一本道になっているから行きやすいだろうけど、ピカ様の住処がなくなってんじゃん。
まあ開拓された理由が、5年くらい前にロケット団のポケモン養殖計画とかいうものでトキワの森自体が強力なポケモンの養殖場にされて生態系が狂った、って言うところだからな。その時点でピカ様の住処は消えてたか。
しかし当時にはサンドパンとかマタドガスとか、ガルーラとかゴローニャが住み着いていたっていう話なら、そりゃあトキワ住民からすればたまったものじゃねえよな。
ちなみに森の入り口・出口には程よい大きさの林と草原が広がっており、そこには虫ポケがそこそこ住み着いているとか。
スピアーとかの巣もあるから気をつけろ、って言われた。
あれ? クチートを育てるにはうってつけじゃね?
◎ ◎ ◎ ◎ ◎
タイプ鋼には毒が効かない。
これはゲームでの話だったけれど、現実にも適応しているようでなにより。
お陰でクチートさん無双。
ふははー、クチートさん今だ! おんがえーし!
「おっ、お前トレーナーだなっ?」
ん? あ、虫取り少年?
クチートさんのレベルを確認していると唐突に話しかけてきた虫取り網を手にし虫かごを肩掛けした麦わらが話しかけてきた。
ちなみにこの世界では目と目があったら勝負! なんて直情的なことは早々ない。
大概の人たちはお互いのやる気を確認しあうのが配慮だ、ってじっちゃ(トレスク教師)が言ってた。
「よーし、勝負しようぜ!」
「ん、ちょい待って。ルールは?」
「あ? ああ、そうだなー、2vs2でいーか?」
「おっけい」
紳士だねこの虫取り。
クチートさんもレベルが上がって今12くらいだろーし、負けるこたーねーべ。
「よし。いけっクチート!」
「クッチィ!」
「いけっ、キャタピー!」
「キュー!」
改めて見るとこの芋虫でっけぇ。
が、所詮は進化前。
スピアーとかに無双していたクチートさんに勝てるって、本気で思ってんの?
「キャタピー! いとをはく!」
「キュピー!」
「よしクチート、まずはまもる!」
「クチッ」
命令されたクチートがファイティングポーズをとると、ヒュオッ、と障壁のようなものがクチートの前に現れる。それにキャタピーの糸が巻き付いて、クチートがファイティングポーズをやめれば糸はそのまま地面にぱさりと落ちた。
「え、ちょ、なに今の!?」
「キュー!?」
「続けてクチート、メロメロ!」
「クッチクッチ」
虫取りはまもるを知らないらしい。うろたえているけれど今がチャンス。
後ろのはさみを見せていたクチートが正面を向き、両手を顔の前に持ってきて上目遣いでピーカブースタイル。
――キューン キャタピーは めろめろに なった!
なんかそんな音声が脳内に響いた。
初めて使ったけど、きくなぁメロメロ。
「おっおいキャタピー! キャタピーさん!? どうしたぁああ!?」
「キュゥゥ~」
「うむ、今のうちにつるぎのまい」
「クッチィ!」
――キュッ キュッ キュッ にゃー
――こうげきりょくが ぐーんとあがった!
いやいやいやいや。
今のがつるぎのまい? ニヨニヨ笑える動画にこんなのがあった気がするんだけど。
「キャタピーたいあたり! たいあたりだってばよ!」
「キュ、キュ~」
命令を聞かなくて焦っているな?
とどめだよクチートさん。
「クチートからげんき!」
「クッチィ!」
命令した瞬間、一瞬にしてキャタピーに近づきこぶしを振り上げる。クチートさん。そして――、
「ク――――チチチチチチチチチチチチチチチチチチチチチチチチチチチチチチチチチチチィィィィ!」
「ええええええええええ!?」
繰り出されるのはジョジョかDIOかと見紛うばかりのオラオララッシュ。
攻撃回数が本気でおかしい。なんだあれ。
「クチィィィィ!」
「………………おいおい」
ウィリィーーーー! とでも云わんばかりに勝ち誇るクチートさん。もうこの子のニックネーム「ジョジョ」か「DIO」でいいんじゃなかろうか。あ、メスだから「ジョリィン」か。
「うぁぁ……キャ、キャタピーがぁぁ……」
ボールに戻る芋虫。
崩れ落ちる虫取り。
勝ち誇るクチート。
なんだこれ。
「で、どうする? まだやるか?」
◎ ◎ ◎ ◎ ◎
マルキ:別に必ず瀕死にする、って必要はないんだよな ポケモンバトルって
サトシ:え、そーなんすか?
ユーリ:トレーナーの采配で止めることもできるよ 止めたほうが棄権ってことになるけど、手持ちのコンディションを見抜けないよりは印象良いね
サトシ:え、でも倒さないと経験値が手に入らないんじゃあ……?
マルキ:ゲームじゃねえからさ、経験値っつう概念自体がそれほど重要じゃねえのよ ぶっちゃけスライム1,000匹倒してもろくな経験になりませんっていう感じ? スライムは出ないけど
サトシ:気づかんかった…… あれ? じゃあスピアーを倒しまくったクチートさんのレベルって…… うわ、10にも届いてない……
コトナ:同じポケモンばっかり相手にしてたんじゃあ経験が偏るからねー 攻撃力のほうには努力は割り振られていると思うけど
クシヤ:努力値の確認はできないからなーポケナビじゃ
サトシ:じゃ、じゃあ俺の今日のがんばりは……
ハジメ:割と無駄☆
サトシ:うぁぁぁぁぁ………………
クシヤ:かなしみに つつまれる
マルキ:サトシは めのまえが まっくらになった!
コトナ:所持金は半分になりまーす
ユーリ:でも実際少し面倒だよね レベルの固定っていう概念がないから数値で見ると下がっているときもあるし
クシヤ:逆にトレーナーのテンションで20くらい上がるときがあるんだよな なんだよあの理不尽
マルキ:強いやつっていっても精々30~40だな でも種族で違うから数値自体が当てにならず
コトナ:本当に強いポケモンはトレーナーがしっかりと育てている子だよね 野生を相手にするよりはそっちのほうが『経験』にはなるんじゃない? トレーナーズスクールに行ってごらんよ あそこ準ジムみたいなところだから、いいバトルの勉強になるよ
サトシ:昼間行ってきたっす もう、今ニビだけど
ハジメ:早くね?
サトシ:ニビ一歩手前って感じっすね トキワの森が開拓されて道路なんで、マサラ→トキワより早くに着きました
コトナ:ピカ様! ピカ様は捕まえた!?
サトシ:棲み処何処ですか 無人発電所にでも行きなさい
クシヤ:リニア開通してるから発電所はもう無人じゃねえだろ サンダーもどこにいるんだろうなー
マルキ:ふたご島も地下道が塞がっているらしいからフリーザーもいくえふめい 今じゃグレンジムの代わりになってたぞ
ユーリ:つくづく伝説のポケモンの所在がかすんでいく世界だよね ちなみにこっちの空の柱は崩壊したらしいよ
コトナ:レックウザェ……
ハジメ:ポケモンの住処が追われる、か…… 世知辛い世の中になったよな……
サトシ:その話は置いといて ちなみにこれ→●●●●●今回のクチートさんのバトル動画です
コトナ:ふぉぉぉ!
マルキ:wwwww
クシヤ:なんだこれwww
ユーリ:かわいい
ハジメ:なんであのダンス踊ってるんだwww
マルキ:つーかジョジョ立ちってwww
クシヤ:からげんきってこんなわざだっけ?www
サトシ:シオンに行ったらニックネームジョリィンにします