その後は特筆すべきことは何も無い。残りの鎧たちは抵抗する場合はレニーの方でどうにかし、生き残ったものはお縄となった。
衛兵に引き渡すまで、レニーが賊を見守り、ルミナが村を守る役割を担うことにし、無事に強盗団は壊滅。懸賞金や装備の売却額も合わせ、かなりの額となった。
懸賞金の分は村人に寄付、装備売却分をレニーたちの報酬として受け取った。村から大変感謝され、惜しまれつつもレニーとルミナはギルドに帰ってきた。
いつもの酒場で二人で飲む。
レニーはシーフードパスタを、ルミナはローストビーフを大皿で頼んでいた。
「今回の敵、強かったなぁ」
レニーの呟きにルミナは頷く。
「でも。ボクらの方が、強かった」
「ルミナのおかげだ」
「作戦はレニー。ボクらの、手柄」
「そうだね」
レニーは笑みを浮かべる。パスタを食べつつ、水を飲む。ルミナはローストビーフを食べながらワインを飲んでいた。
「なんか珍しいね。そういう組み合わせでルミナが食べるの」
「嬉しい、から。豪華仕様」
「なんで」
レニーの問いかけに、ルミナは頬を赤らめる。
「ちゃんと、頼ってくれた、から」
「うん? いつも頼ってるけど」
ルミナはワインを口に含み、そしてローストビーフを食べる。幸せそうに目を細めた。
「任せてくれる。それは知ってる、けど。いつもと違ったから。こうしてほしいって、言ってもらえて、嬉しかった」
表情はあまり変わらないが、ルミナ自身心から喜んでいるのだけは伝わってきた。レニーの作戦での、ルミナの役回りのことなのだろう。
「ボクが、もっと頭良かったら。逆の役割できたのに」
「それはオレの領分だしね。ルミナにリスクの高い役回りはさせたくないし」
冒険者はいつも死と隣り合わせである。誰だって死にたくはないが、冒険をしている以上、死ぬ時は突然やってくる。
自分の行動や作戦の責任はしっかりと自分で負わなければ、多くのものを失う羽目になるときもあるだろう。
「ルミナのこと大事だし」
パスタを食べきって水を飲み干す。
「レニー」
名前を呼ばれて、視線を向ける。
「好き、だよ」
花のような笑顔で、そう言われる。喧騒の中で簡単に掻き消えてしまう儚いものだが、だからこそ近くにいたレニーにしか聞こえないものだった。
「だから、ボクもレニーのこと、大事」
手を伸ばされて、テーブルにおいていた手を包まれる。
温かかった。
「大事にして、ね?」
レニーは目をそらす。
「……ハイ」
「ふふ、いい子」
手が離れる。
ルミナは普段とは違い、ゆっくり楽しむように食事を続けた。
レニーはこっそり自分の胸に手を当てる。
――聞こえたりしていないだろうか?