【男女比1:999】異世界に転生したら、なぜか美少女たちから激重感情と熱い眼差しを向けられるようになった件〜男に飢えた彼女たちを満足させられるのは、何度もできる僕だけ〜   作:茨木野

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第10話 アルク、奉仕する喜びに目覚める

 ぼくが目覚めると、なんだか形の良いお尻が目の前にあった。

 魅惑的なカーブ、ぷるんとした張りのあるお尻は、どう見ても女性のものだ。

 

「んふーっ、んふーっ。ふーっ、ふーっ」

 

「えっ、え、えっ。あ、アルクっ」

 

 聞こえてくる声はアルクのものだ。でもおかしいな。アルクって男の人じゃなかったっけ。

 

「っ」

 

 ばっとアルクがこちらを振り返る。さっきまで、ぼくにお尻を向けて、お腹の上に跨がっていたのだ。

 

「あ、ああぁあ、あぁああああああああああああっ」

 

 アルクの顔が一瞬で真っ青になる。

 そして、ぼくの上からどいて、慌ててベッドから降りた。

 そして。

 

「すまないぃいいいいいいいいいいいいいいいいっ」

 

 と、床に額を擦り付けて土下座をしてきたのだ。

 今更だけれど、この異世界にも土下座という文化があるらしい。なぜだろう。土下座は世界共通なのだろうか。

 

 って。

 

「え、なんで謝ってるの……?」

 

「すまない……」

 

「いやだからなんで……?」

 

「なんでって……?」

 

 話が通じない。なんだか向こうも困惑しているようだ。

 ぼくはベッドから降りて、床に平伏すアルクの近くへ行く。

 そして、彼女の瞳を覗き込んだ。激しく動揺しているのが見て取れる。顔は血の気を失い真っ青だ。

 

 それほどまでに恐ろしい出来事に直面したということだ。でも、何がだろうか。

 理由はわからない。でも、わかることもある。彼女がひどく何かに怯えているということだ。

 

 ぼくはアルクの震える手を取る。

 氷のように冷たい手。そして、ふっくらと柔らかい。間違いなく女の子の手だ。

 

「大丈夫だよ」

 

「え……?」

 

「もし、ぼくが君を怖がらせてるんだったら……大丈夫。ぼくはそんな気まったくないから」

 

 本心だった。

 別にアルクに対して、強い負の感情など少しも抱いていない。

 

「う、うそ……だ、だってぼく……寝ている君を襲おうとしたんだよ」

 

「性的にってことでしょ?」

 

 もごもごと口ごもるアルク。

 彼女はフードを深く被り直し、小さくこくんと頷いた。

 

「なら全然OKです。むしろ君みたいな美人にやってもらえるなら、大歓迎だよっ」

 

 ぽかーんと、アルクが間の抜けた顔で口を開けている。

 

「ほらその証拠に」

 

 ぼくは元気になっている下の息子を見せた。

 そりゃあ、仕方ないだろう。彼女はとびきり綺麗だし。なにより、あのお尻だ。

 

 カトレアもお尻は大きい。胸も背も申し分ない。

 でも、アルクの場合はお尻が大きい上に、きゅっと引き締まっているのだ。

 カトレアは武闘家だからか、少しお尻が固い。

 

「アルクの張りのあるお尻に、ふぎゅっと押しつぶされているとき、めっちゃよかったっ」

 

 まるで最高級のシルククッションを押しつけられているような感触だったのだ。

 

「できることなら、あのお尻に顔を埋めて眠りたいくらいだねっ」

 

 引きこもりニートだったぼくが、朝目が覚めたら美少女が乗っかっているなんて、ご褒美以外の何物でもない。

 日頃の妄想が現実になっているのだから。

 

 アルクはぼくを見つめ。

 

「なに、それ……」

 

 と小さく呟く。笑ってくれたら良かったのだけれど。

 彼女は青い顔のまま、ゆっくりと首を横に振った。

 

「しんじないよ……。おとこは、みんなこわいいきものだもん……」

 

 いつも知的で、大人な印象を受けていたアルク。

 しかし、今目の前にいるのは、怯える幼い女の子のように見えた。

 

「おとこのひと……こわいもん。すぐに手を上げるし……。こころのなかでは、僕のこと……殴ろうとしてる」

 

「しないよ」

 

「うそ……」

 

「しない」

 

 殴る気など全くない。

 彼女は怯えたようにぼくの目を見る。ぼくの瞳の奥を探るように見て、やがて押し黙った。

 

「…………」

 

 しばらく静かな時間が流れる。

 多分、彼女の中で何か激しい葛藤があったのだろう。

 やがて、おずおずと口を開く。

 

「……ほんとに?」

 

「うんっ。ほんとに」

 

「……あとで殴るとかしない?」

 

「しないしない」

 

「…………あとで何か要求してこない?」

 

 う。

 

「それはあるかも」

 

「ほらみたことか」

 

「アルクのお尻、いっぱい触らせてほしいなっ」

 

「…………」

 

 またも、アルクが呆然とする。

 そして。

 

「ぷっ。あははははっ」

 

 花がほころぶように、明るく笑ったのだ。

 さっきまで立ち込めていたシリアスな雰囲気はどこへやらだ。

 彼女は涙を拭いながら、ひとしきり笑う。

 

「わかったよ……。君……根っからの善人なんだね」

 

「いやぁ、それはどうだろう。ぼくはアルクのお尻触りたいわけだし」

 

 女性のお尻を触りたがっている時点で、結構ヤバい奴な気がするし。

 

「…………」

 

 アルクがすっと目線を逸らす。頬をほんのりと赤らめる。

 そして、消え入るような小さな声で呟いた。

 

「……いいよ」

 

「え?」

 

「だ、だからっ。お尻、触ってもいいよ」

 

 えっ、えっ、えーっ。

 

「い、いいの……?」

 

「…………」

 

 アルクが小さく、こくっと頷く。

 わ、わーっ。マジか、いいのかっ。

 

「じゃあ遠慮なくっ」

 

「も、もう……」

 

 そう言って、アルクはベッドの上で四つん這いになり、こちらに丸いお尻を向けてきた。

 え、えっと。

 

「なによっ。するならさ、さっさとすればいいよっ」

 

「う、うん」

 

 そんな扇情的な女豹のポーズをとらなくてもよかったのに。

 普通に隣に座って、そっとお尻を触るようなイメージだったのだけれど。

 

 まあ、エロいからOKだっ。

 

 ぼくは両手を伸ばし、アルクの豊満なお尻をわしづかみにする。

 

「はぁんっ」

 

 アルクが鼻にかかった可愛い声を上げる。か、可愛すぎる。

 ぼくはそのまま、両手でお尻の肉を揉みほぐす。

 ぼくはどちらかというとおっぱい派だ。

 

 カトレアやシウネーと行為に及ぶときでさえ、彼女らのおっぱいを重点的に愛撫する。

 お尻は結構二の次というか、おまけのようなものだった。

 

 でも、アルクのお尻は異次元だった。

 張りが違う。もっちりとした肉感が、手に吸い付いてくるのだ。

 そして、何より、ぼくが揉むたびに、彼女が心地よさそうに腰をくねらせて擦り寄ってくる。

 

「ふーっ、ふーっ」

 

「…………」

 

 お尻って結構いいものなんだな。

 ズボン越しでこの感触なのだから、直に触ったらとんでもないことになりそうだ。

 

「ね、ねえ……もうおわり……?」

 

「え?」

 

 アルクが顔を耳まで真っ赤にしながら、誘うようにお尻をふりふりと揺らす。

 

「もしかして……足りないの?」

 

「っ。そ、そういうわけじゃ……」

 

 いや、これは間違いなく誘っている。

 もっと触ってほしいのだ。でも、自分から直接言うのは恥ずかしいのだ。

 なんて、なんていじらしいっ。

 

「えっちだね、アルク」

 

「や、やめてよぉ……っ。そんな言い方しないでぇ……っ」

 

 と言いながらも、どこか嬉しそうにしているアルクを見ていたら、ぼくはもう完全に襲う気満々になっていた。

 

 今なら、いける。そんな確信めいた気持ちになる。

 だが、強引に押し倒すような真似はしたくない。

 相手の明確な同意が取れないと。

 

 すると、いそいそとアルクが自らズボンを脱ぎ出した。

 ぷるん、と。

 

 な、なんだこのお尻は。

 白い清楚なショーツから溢れ出している、この大きくて柔らかなお尻。

 豊かな双丘が、つんと誇らしげに上を向いているのだ。

 なんだこれは。

 

 そして、部屋中にむせ返るような甘い香りが充満する。

 彼女の太ももの内側は、濡れて大洪水を起こしていた。

 あんなに生真面目だった女の子が、である。

 

「ね、ねえ……もうだめ……僕もう……頭おかしくなってるんだ……」

 

「そ、そうなんだ……」

 

「うん……だから、だから……ね」

 

 それ以上は言葉を紡がないアルク。

 多分、自分から直接誘うのがひどく恥ずかしいのだろう。

 ぼくは彼女の背中に後ろから覆い被さる。そして、熱い耳元で囁いた。

 

「いいの?」

 

 びくんっ、と。

 ぼくに密着させている彼女の体が、強く痙攣した。

 そしてそのまま、くたぁっと脱力する。

 潤んだ瞳だけでこちらを見つめ、小さく、ひどく恥ずかしそうに頷いた。

 

 もう、我慢の限界だった。

 

    ☆

 

 良太を力ずくで犯そうとしてしまった。

 男女比が一対九百九十九のこの世界において、不同意の性行為は重篤な犯罪である。

 国宝である男を無理やり犯すような真似をすれば、一発でしょっ引かれる。

 

 女が男に対して行う強姦は極刑に値する重罪だ。二度と日の目を見られないほどに。

 仕方がないことだ。ただでさえ男の数が極端に少ないのだ。

 その貴重な男に女性恐怖症を植え付けるなど、万死に値する罪である。

 

 この世界において、男は文字通り国宝なのだから。

 

 アルクは、良太が異世界人だとは知らない。

 この世界で生まれ育った普通の男だと思っている。

 特にアルクにとって、男という存在は長らく恐怖の対象だった。

 彼女の父親は、自分が偉いのだと、国宝であると自覚して女を見下すタイプのクズ男だったからだ。

 

 発情して良太を襲ってしまった時、父親と同じように扱われると思った。

 容赦なく折檻されると思った。殴られ、叩かれ、涙を流しながら許しを乞わされるのだと。

 

 全裸のまま、惨めに。

 だが、良太は違った。

 

 彼は自分を責め立てるどころか、優しく温かい言葉をかけてくれた。

 こんな慈愛に満ちた男は、人生で初めてだった。

 

 男は全員、性格の歪んだクズばかりだと思い込んでいたからこそ。

 良太の無条件の優しさが、痛いほど胸に染みた。

 もっとも、良太に下心がなかったわけではないのだが。

 

 それでも、アルクの冷え切った心に、ひとすじの希望を持たせてくれた。

 この狂った世界にも、優しく誠実な男は存在するのだと。

 

 そう実感した途端、アルクの中に眠っていた『雌』の本能が激しく疼きだした。

 彼を丸ごと受け入れたい。彼に心から喜んでほしい。

 

 彼に、全身全霊で奉仕したい。

 そんな熱い感情が、心の奥底から止めどなく溢れ出してきたのである。

 

 今まで、そんな感情を抱いたことは一度もなかった。

 自分のことは自分で解決しなければならない。

 

 誰かに寄りかかり、頼る生き方など、あり得ないと思っていた。

 自分の人生なのだから、自分で責任を持ち、自分のためだけに生きるのだと。

 

 でも、良太と出会い、その強固な考えが百八十度変わってしまった。

 

 良太に尽くしたい。良太に奉仕したい。良太に、めちゃくちゃにされたい。

 彼と寄り添い共に歩む人生が、ひどく魅力的に思えてしまった。

 

 一緒にいるだけで、幸せ。

 カトレアが以前、少し恥ずかしそうにそう口にしていた。

 あの時は意味不明だと切り捨てていたが、今ならその言葉の意味が痛いほど理解できる気がした。

 

 誰かに背中を預け、寄りかかって生きるのも悪くない。

 それどころか、その愛する誰かのために尽くすことは、脳が溶けるほど気持ちが良い。

 

 良太と肌を重ね、熱を交わすたびに、そんな幸せな感情が頭の中を埋め尽くしていった。

 

 良太の前で、とんでもなく恥ずかしい真似をしてしまった。

 だいぶ迷惑をかけてしまったと思う。

 明日からどんな顔をして、彼や宿にいる仲間に会えば良いのだろう。

 

 でも。

 良太がいれば、きっと大丈夫だ。良太なら、どんなにはしたない自分でも、優しく受け入れてくれる。

 

 自分の恥ずかしい場所、みだらな姿、そのすべてを曝け出した。

 それでも彼は拒絶せず、温かく全部を受け止めてくれたのだ。

 

 心が、もう彼のことでいっぱいになっていた。

 自分のすべてを、彼に委ねたい。

 

 激しい行為を終え、ベッドでぐったりとしている良太の体を、アルクは濡れタオルで丁寧に拭い、綺麗にしてあげた。

 

「ありがと……でも、自分でできるよ……」

 

 ありがとうと、優しくお礼を言われただけで、脳内に幸せな物質が溢れ返った。

 完全に頭がおかしくなってしまったのだ。

 

 良太と行為をしたことで、孤独に生きていた以前までの自分は死んでしまった。

 

「ううん♡ りょーたくんはそのままで。僕がきれいにするから」

 

「そっか……ありがとう……!」

 

 良太が愛おしそうに頭を撫でてくる。

 それだけで、全身から芯の力が抜けていく。幸せな感情で、胸がいっぱいになる。

 すると、もっともっと彼を幸せにしたいと、甲斐甲斐しく奉仕を続ける。

 

(もう……僕は駄目だ。りょーたくんに、奉仕する喜びに目覚めちゃった……)

 

 彼のお世話をしたい。全部。身の回りのことを全部してあげたい。

 

(今なら、カトレアたちの気持ちわかるよ)

 

 カトレアは良太を危険に晒さないために、躊躇なく良太を気絶させた。

 一見すると意味不明でサイコパスな行為だ。

 でも、今こうして雌として生まれ変わったアルクなら、その痛いほどの愛情がよくわかる。

 

(大好きなりょーたくんに喜んで欲しいから……尽くすんだね……♡)

 

 今まで、カトレアやシウネーが理解不能な宇宙人のように見えていた。

 彼女らの異常な執着を、頭のおかしいバケモノだと思っていた。

 

 でも、やっと理解できた。

 これでやっと、本当の意味で彼女たちと仲間になれた気がする。

 

「りょーたくん……♡ あのね……あのね……♡」

 

「うん、なに?」

 

 誰も周りにいないのはわかっている。

 わかってはいるけれど、誰かに聞かれるのがひどく恥ずかしかった。

 だから、身を寄せ、彼の耳元で小さく囁く。

 

「……好き♡」

 

(ああ、もう僕、完全に彼の愛の奴隷になっちゃったぁ〜……♡)

 

 好きと、言われたのではない。

 自分から好きと言っただけで、嬉しさで頭がどうにかなりそうだった。

 

「うん、ぼくも好きだよ」

 

 だから、彼から好きと言い返されただけで、残っていた理性が完全に吹き飛んだ。

 もう、駄目だった。もう、自分を抑えきれなかった。

 

 アルクは生まれて初めて、自分が女として生まれてきて良かったと、心の底から思うのだった。

 

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