チートヒーラー、男女比1:999の異世界で女子を治癒したら激重感情を向けられる件   作:茨木野

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第14話 (飢えた)村娘たち全員を相手に尋問する

 ゴブリンに洗脳されていたという村へとやってきた。

 森からそう離れていない場所に、目的の集落はあった。

 

 ぼくたちは村長の家へと向かう。

 

「えへえへえぇ〜……いらっしゃい旅人さぁん〜……。実は村は困ってましてねぇえへへえへへ〜……」

 

「……この人が、村長さん?」

 

 ぼくは村長の娘さんであるジウさんに尋ねる。

 ジウさんはぼくの半歩後ろで控えている。ぼくが話しかけると、なぜかその場にしゃがみ込んで深々と頭を下げながら、こくこくと頷く。

 

 なんだ、この異常な態度は。

 

「そうです。リョータ様。我が父です」

 

「あ、そ、そう……」

 

 ジウさんの過剰なリアクションが変なのは……まあ、今は置いておこう。

 問題は村長さんだ。焦点の合わないうつろな目をしていて、ずっと薄気味悪い半笑いを浮かべている。

 

 これはどう見ても、洗脳の魔法が掛かっている。ただ、まあ一応確認のために。

 

「【鑑定】」

 

~~~~~~

ソンチョ

性別 男

状態 洗脳

~~~~~~

 

 やはり洗脳状態だ。

 よし。治してあげよう。元々は森の調査依頼を受けただけだったから、別に村人を治す義理はないのだけれど。まあでも、知ってしまった以上は放置できない。

 

「【治癒】」

 

 何でも治す、万能の治癒スキル。

 対象を元の正常な状態に戻せるチートスキルだ。厄介な洗脳状態だって、あら不思議。

 

「んぁ……? あれ……わしは一体……」

 

「お父さんっ」

 

「ジウ……?」

 

 正気に戻った村長さんに、ジウさんが泣きながら抱きつく。……ん? そういえば、この異世界で男の人に会うのは初めてじゃないだろうか……? いや、そんなことはないか。うん。他にもいた……いた……いたかなぁ? あれぇ?

 

「ジウ。この人は……?」

 

「リョータ様です。実は……」

 

 ジウさんが涙ながらに事情を説明する。村長さんは「なんと……そうでしたか……」と呟くと、ぼくに向かって深く頭を下げた。

 

「ご迷惑をおかけして、本当に申し訳ございませんでしたっ。なんとお詫びしてよいか……」

 

「いえいえ……それより、ちょっと気になっているんですけど、一体いつ、どうやってゴブリンによる洗脳を受けたのですか?」

 

 ゴブリン・メイジは森の奥の洞窟に住んでいた。外に出れば目立つし、すぐに強い冒険者に駆除されてしまうだろう。

 だから極力、外には出ないはずだ。なのに、村長は洗脳にかかっていた。

 

 ……自発的にメイジの元へ、この村長が行くだろうか。どうにも不自然だ。

 

「そう言われましても、洗脳されていた間の記憶がないので、なんとも……」

 

「森の中の洞窟に近づいたことは?」

 

「いえ、決してありませんが」

 

 うーん……なおのこと怪しい。

 

「……どうしたの、りょーた?」

 

 シウネーがぼくの腕にひっつきながら尋ねる。この子は先日の洞窟での一件があってから、すっごくくっつくようになった。まあ、柔らかくて気持ちいいから歓迎だけれどさ。もそもそ。

 

「ぼくの股間をもそもそしないで、人前で」

 

「……やんっ♡ 人前えっちもいいかも」

 

「いいかもしれないけれど、空気を読んでちょうだいね」

 

 さて。

 この様子だと、村長は自分の意志でゴブリンに会いに行ったわけではないらしい。

 

 一方で、ゴブリンがわざわざこの村までやって来たというわけでもない。

 そうなると、考えられる可能性は一つ。

 

「誰かが村長を騙して、メイジの元へ連れて行った……か。村長、誰かに誘い出された覚えは?」

 

「うーむ……。すみません、わかりません……」

 

「そっか……洗脳される前のことだもんね」

 

 しかし、真犯人を探し出さないと、また同じような悲劇が繰り返される可能性がある。

 村長さん自身じゃないってことは、村の他の人間、あるいは外部から来た人間……?

 

 でも、外部の得体の知れない人間に、ほいほいと村長がついていくだろうか……?

 

「どうなさったのですか、リョータ様?」

 

「あ、いや……」

 

 ぼくはジウさんだけを部屋の隅に呼び出して、ぼくの推論を説明する。

 

「なるほど……お父様をハメた真犯人が、この村の中にいると」

 

「うん。多分、村の人間だと思う。誰かはわからないけれど……。それに、はぐらかされたらそれまでだし」

 

 この世界には、現代日本と違って監視カメラなんて便利なものはない。決定的な物的証拠がない以上、知らぬ存ぜぬで通されてしまう。

 

「犯人に『お前が犯人ですか』なんて聞いて、素直に『はい』って答えてくれるとは思えないし……」

 

 すると、ちょんちょんとシウネーがぼくの頬をつつく。もそもそ。

 

「だからついでに股間をもそもそしないで……。どうしたの?」

 

「方法あるよ、犯人に口を割らせる」

 

「え、ほんとに? どうやるの? だからもそもそしないでってば」

 

 なんだかさっきからずっともそもそしてくるんだけれどっ。

 

「りょーたの、これ……使う」

 

「これって……え? これ?」

 

「そう。村の女、みんなこれ欲しい。これをエサにして口を割らせる」

 

 えっ、ええー……。それって、つまりえっちをやって、その快楽の対価として相手に真実をしゃべらせるってこと?

 

「名案ですね」

 

「ジウさんっ!?」

 

 どこがっ!? どう考えてもおかしな発想だと思うのだけれど。

 

「皆、若い男との交尾に飢えきっております。これを最高のエサにすれば、犯人の口を割らせることは容易に可能……かとっ」

 

「ええー……ほんとにぃ?」

 

「はい、ほんとですっ。な、なぜなら……はぁはぁっ♡」

 

 ……ジウさんの瞳に、明らかな♡が浮かんでいる。ずいっと顔を寄せてくる。はぁはぁ……と荒い呼吸を繰り返しながら、熱を帯びた眼差しをまっすぐに向けてくる。

 

 う。異世界はさすがだ。名もなき村人ですら、モデル並みの美人なのだから。

 

「む、村の娘たちに話して回ります。御男様《おとこさま》とやら、やらせていただけるとっ。その代わり、聞かれたことには嘘偽りなく答えるようにと」

 

「え、ええー……。それ、みんな納得するの?」

 

「「する」」

 

 村人であるジウさんならともかく、シウネーまでどうしてそんなに確信を持った顔で言い切れるのだろうか……。わ、わからない……。

 

 でも、まあ正直、たくさんの女の子とやれるっていうのは、非常に興味がある。

 あれじゃん……夢のハーレムじゃんっ。

 

 異世界に来たら一度は目指したいやつ。ハーレムえっち。

 それが叶うなら……正直、やってみたい。

 

 これが事件解決のため、正義のためっていう大義名分があるなら、なおさらだ。……まあ、手段としてはちょっと気が引けるけれども。

 

 でも……。

 

「わかった、やってみようっ」

 

    ☆

 

 ジウは熱を帯びた声で、村娘たちに声をかけて回った。

 

「神にも等しい御男様《おとこさま》が、我々と交尾してくださるそうですっ」

 

 その言葉を聞いた瞬間、村娘たちは歓喜のあまりむせび泣いた。男女比一対九百九十九の狂った世界。男が圧倒的に少ない世界だ。

 この村で唯一の男は、村長だけである。

 

 そしてこの村長は、一般的なこの世界の男性と同様に、女を極端に怖がっている。

 

 女が圧倒的に多い世界において、男は横柄な態度を取るか、女性を化け物のように怖がるか。極端な二択の対応を取る。村長は前者だった。

 

 愛する娘以外の女に対しては常に恐怖し、決して強く出られないのである。だからこそ、騙されたとも言えるが。

 

 話を戻す。

 村娘たちは、唯一の男が重度の女性恐怖症であるため、旺盛な性欲を発散させる相手がどこにもいなかった。

 

 村を出て男を探す、という選択肢は彼女らにはない。出て行ったところで生活する術がない。この閉鎖された村で働いて生きていくしかないのだ。

 

 一生、男と関わりのない干からびた人生で終わる……そう絶望していた矢先にやってきた、極上の若い男《りょうた》との交尾。

 

「や、やりたいっ」

「わたしにもやらせて欲しいわっ」

「えっちのためなら、なんだって答える……っ」

 

 とまあ、当然こうなるわけだ。村娘たちは皆、我を忘れて喜んで、村長の家へと殺到する。

 

 素朴な顔立ちの女たちが、皆一様に性欲で目をギラつかせながら、家の前で長蛇の列を作っている。まさに異様な光景。だが、この男女比の壊れた世界では、極めてありふれた普通の光景だった。

 

「じゃあ、始めますよ」

 

 ジウが仕切り、村娘たちを順番に村長の家に入れていく。

 一人ずつだと時間が掛かりすぎるので、複数人まとめて部屋へと通した。

 

「そんな……複数人を一度に相手取れる男性なの……♡」

「すごいわ、りょーたさま……♡」

「さすがは神の子……♡」

 

 しばらくすると、家の奥から獣のような激しい喘ぎ声が聞こえてくる。かわいらしく喘ぐ者。快感に耐えきれず野太い声を上げる者。それぞれ異なった声を上げている。

 

 だが、皆共通して、脳が溶けるほど気持ちよさそうにしている。外で待つ村娘たちの期待は、否が応でも高まっていく。並んでいるだけで想像してしまい、腰をがくつかせる者まで出てきた。

 

 飢えた野獣《むらむすめ》たちは、今にも良太の元へ暴動を起こして飛びかかろうとする。だが、それを扉の前に立つシウネーが鋭い殺気で押し止めている。

 

 そうやって、村娘は次々と良太にえっちさせてもらっていった。

 えっちする前に、良太は必ず問う。

 

「君が村長さんを、ゴブリン・メイジに引き合わせたの?」と。

 

 大抵の村娘たちは「違うっ」と切実な声で答える。そして一発やって、さらに激しく喘ぎながら尋ねられる。

 

「あわせたの?」

「もっとぉ〜……♡ もっとほしいのぉ〜……♡」

「正直に答えて」

「ちがいますぅう〜……♡」

 

 飢えた娘たちに、若い男とのえっちは劇薬だ。一度ハマったら、もう二度と後戻りできない。一度味わった甘美なる蜜を、誰も絶対に手放したくないのだ。

 

 よって、彼女らは嫌われるのを恐れ、真実を語るしかなくなるわけだ。

 そうして次々とえっちしていくうちに……ふと、列を整理していたジウは気づく。

 

「……あれ、ドロジョ?」

 

「っ」

 

 良太待ちをしている狂乱の列を、遠くからじっと見ている女が一人いた。

 二十代後半の女……ドロジョ。彼女は列に並ぼうとせず、こちらに探るような目線をくれている。その目には、明らかな迷いと焦りが見て取れた。

 

(何を迷っている……? まさか……)

「シウネーさ……」

 

 ジウが言い終わる前に、シウネーが弾かれたように飛び出した。凄まじい速さで距離を詰め、逃げようとしたドロジョを捕らえる。

 

「ちょっ。何するんだい……っ。離しなよっ」

「……多分こいつ。やましいという気持ちと、逆らえない性欲とがぶつかって、葛藤してた」

 

(やっぱり……っ)

 

 シウネーたちは暴れるドロジョを引きずって、良太のいる部屋へと連行する。

 

 部屋の中は、女の気持ちよさそうな甘い声と、むせ返るような甘い香りが鼻孔を突いた。

 

「りょ、リョータ様……。賊を捕らえてまいりました」

「え、もう……?」

 

 すでに、部屋の中は死屍累々。何人もの女性たちが快感のあまり白目を剥いてぐったりと倒れ、山積みなっている。

 良太はスキルの恩恵で無限の体力があるが、一般の女性たちはそうはいかない。

 

 良太も村人全員の回数をこなさないといけないので、あえて女性に治癒は行っていないのだ。

 

 ドロジョを良太の前に引きずり出し、膝をつかせる。

 

「へ、へんっ。アタシが何したっていうんだい? 何かしたっていう証拠でもあるのかい? 証拠は……っ」

 

(やっぱり物的証拠を出せとなりますね。でも……)

 

 ジウは、そしてシウネーもよく知っている。この世界の女は、目の前にぶら下げられた美味しい餌《おとこ》の強烈な誘惑には絶対に勝てないということを。

 

「ねえ、ドロジョさん。あなたが村長さんをメイジに引き合わせたの?」

 

 良太は全裸だ。ドロジョの視線が、良太の猛々しい一部に釘付けになる。

 熱い眼差し……そこからどうしても目が離せない。喉から手が出るほど欲しいのだろう。当たり前だ。若くて逞しい雄は、誰だって欲しい。

 

「し、知らない……」

「あ、そう。なら……体に直接聞いちゃおうかな」

 

 そう言って、良太はドロジョの肩を押し倒す。

 

「な、なにするんだいっ♡ はぁんっ♡」

 

 良太のものが目の前にある。それだけで、彼女は瞳に♡を浮かべた。熱に浮かされたような、だらしない表情だ。多分欲しくて欲しくてたまらないのだろう。

 

「い、いれてっ。ほ、ほしいっ。ほしいんだっ」

「じゃあちゃんと言って。君が犯人?」

 

「う、うぅううううううううううううううううううっ」

「じゃあお預けだね。嫌がる人を無理やりやる趣味はない。犯罪だしね」

 

 否、こっちの狂った世界では、男から迫る不同意の性行為は犯罪ではない。だが。

 

「わ、わかったっ。わかった、認めるよぉっ。あたしがやったんだよぉおっ」

 

 美味しい餌を目の前にして、ドロジョはあっさりと自白した。良太は安堵の息をつく。

 

「じゃ、拘束して。騎士団に引き渡そう」

 

 シウネーは無言で頷くと、素早い動きでドロジョをロープで縛り上げる。

 

「あぁあああっ。酷いっ。真実を話したのにっ。どうしてやってくれないのっ。この卑怯者っ」

 

「犯罪者に卑怯者って言われても、なんとも思わないよ。それに……君のせいで大勢の人が死んだんだ」

 

 ジウも、自分の目で見た。ゴブリンの巣の中には、無残に白骨化した死体がいくつもあった。

 それはドロジョのせいで呼び出された、うら若き冒険者たちのなれの果て。

 

 ドロジョが彼女らを殺したのと同義だ。

 

「犯罪者に施すものなんて何もないよ。それに……人を散々騙して陥れてきたんだ。騙されたって、文句は言えないでしょ?」

 

「そ、んなぁ〜……」

 

 ドロジョは絶望し、がくりと頭を垂れる。ジウは涙を流しながら、感動のあまり拍手をする。

 

「さすがです、リョータ様。なんという鮮やかな問題解決……。お見事でした」

「え、ああ……うーん……鮮やかかなぁ……これぇ」

 

「なんて謙虚なお方……っ。素敵っ。抱いてっ」

 

 ジウはとうとう欲望に耐えられなくなり、全裸の良太に激しく襲いかかるのだった。

 

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