チートヒーラー、男女比1:999の異世界で女子を治癒したら激重感情を向けられる件 作:茨木野
事件は無事に解決した。今回の報酬は十万円と、新たに獲得したスキルが四十個だ。
村の入り口で見送ってくれたジウさんたちは、「お金が少なくてごめんなさい」と、身を縮めて申し訳なさそうにしていた。
だけど、お金なんてどうでも良かった。まあ、完全に要らないというわけではないのだけれど。
それよりも、村のみんなが安心して笑ってくれている姿を見られたのが、一番の収穫だ。
やはり、美人は笑顔が一番似合う。
「とはいえ、若干疲れたなぁ」
ぼく、カトレア、シウネー、アルクの四人は、ジウさんたちの村を出て、拠点へ帰るところだ。
木の葉が風に揺れる長閑な道を、ジウさんが手配してくれた馬車がのんびりと進んでいく。車輪の軋む音が、心地よいリズムを刻んでいた。
ちなみにファナティオは、後からやってくる他の騎士団員に回収してもらう手はずになっている。彼女はまだ、ぼくとの激しい交尾の余韻から抜け出せていないらしい。心配だったので残ろうとしたのだけれど、「残っているとまたファナティオさんに襲われるから帰った方が良い」とジウさんたちに止められてしまったのだ。
治癒スキルがあるから、彼女が満足するまでずっと相手をしてあげることはできる。でもそうなると、カトレアや、他のぼくの大事な女性《ひと》たちと触れ合う時間がなくなってしまう。それはいかんともしがたい問題だった。
ということで、ぼくは大人しく、一旦拠点としている宿へと戻ることにした次第だ。
「坊や。やり過ぎだよ」
カトレアが、呆れたように小さく溜息をつく。
「カトレアの言う通り。魔物討伐より、そっちの方に時間をかけているからそうなるんだよ」
アルクも隣で肩をすくめた。二人は宿で、ぼくの帰りをずっと待っていたのだ。その間、ぼくが村の女性たちとえっちばかりしていたことに対して、少なからず不満があるようだった。
要するに。
「二人とも、ぼくにもっと可愛がってほしいってことだね」
「「はいっ♡」」
本当に、可愛い人たちだ。揺れる馬車の中で、ぼくは両手に美人を抱き寄せている。右には妖艶なカトレア。左には知的なアルク。女性特有の甘い香りが、鼻腔をくすぐる。
シウネーは空気を読んだのか、向かいの席で「むぅ」と頬を膨らませて焼き餅を焼いていた。
二人がいない間、シウネーとは村で何度もえっちをしたからね。それに、カトレアたちのことを大切な仲間だと思っているのだろう。今は二人にぼくを譲ってくれているみたいだ。とても偉い。
ただ、可愛がるのはいいのだけれど、カトレアもアルクもベッドでは結構声が大きいのだ。薄壁の宿ではなく、周囲を気にせず安心してえっちができる場所が、そろそろ欲しいかもしれない。
「何を考えているんだい?」
と、アルクが不思議そうに顔を覗き込んでくる。
「家を借りたいな、と思って」
「役所に申請を出せば、補助金がもらえるだろう?」
はい?
「補助金? なにそれ」
「男が家を借りる時に、国から補助金がもらえるだろう?」
「ええっ。そうなの」
家賃補助的なものがもらえるということだろうか。
「どれくらい?」
「確か所得に応じてだったような気もするけれど。借りようとしている物件にも寄るしね。それでも、七割以上は負担してもらえたと思うよ」
「おお。七割。まじか。すごいな」
それにしても、男が優遇されすぎではなかろうか。いや、ぼくにとっては都合が良いのだけれど。
「なんでそんなに優遇されているんだろう」
ぼくが呟くと、アルクがじっと、真剣な瞳でぼくを見つめてきた。
「前から気になっていたのだけれど」
「うん」
「君。もしかして、召喚者かい?」