【男女比1:999の】異世界に転生したら、なぜか美少女たちから激重感情と熱い眼差しを向けられるようになった件〜男に飢えた彼女たちを満足させられるのは、何度もできる僕だけ〜 作:茨木野
シウネーさんを治癒スキルで治した後。
ぼくは猫耳受付嬢のアメショさんと一緒に、ギルドの奥で待機させられていた。
そして、ギルドマスターの部屋へと再び通されたのだった。
「失礼しまーす……」
重厚な扉を開けて中へ入ると、見知ったカトレアと、さっき助けたばかりのシウネー、そしてもう一人の人物が立っていた。
「…………」
「あ、あの……何か……?」
「ふんっ。別にっ」
少し目つきの悪い人がいた。
細身で背が高く、白いローブのようなものを羽織っている。カトレアとシウネーの二人はわかるけれど、この白ローブさんは誰だろう。
「待たせてすまないね、リョータ君」
「あ、ギルマス……」
窓際の執務机に座っている髪の長い美人が、このギルドのトップであるギルドマスターだ。
先ほど一度呼び出されて軽く自己紹介を済ませていたので、顔は知っている。
それにしても、この場にいるのは本当に美人ばかりだ。あ、でも、そういえば白ローブさんは男なのだろうか、それとも女なのだろうか。
「あの、カトレアたちがどうしてここに? というか、どうしてぼくがまた呼び出されたのですか?」
「まあ、順を追って説明しよう。と、その前に紹介しておこうか。うちのギルドメンバーのシウネー、そして【アルク】だ」
シウネーは、さっきぼくが助けたお姉さんだ。
細身の美人で、肩まで伸びた青い髪が印象的だ。そして、透き通るような真っ白な肌がとっても綺麗なお姉さんである。
「…………」
なんだかシウネーは黙り込んだままだ。治した直後はあんなに情熱的だったのに、何かあったのだろうか。
すると、白ローブの人物が一歩前に出て、ぼくを見据えて言った。
「僕はアルク・ファート。職業《ジョブ》は錬金術師だ」
一人称が『僕』。それにアルクという響きからして、男の人か。なるほど、男の錬金術師ということね。
「はじめまして、良太です」
「ふんっ」
挨拶を返すと、アルクさんはぷいっとそっぽを向いてしまった。あら、どうしたのだろう。ぼく、何か気に障るようなことをしてしまっただろうか。
「シウネーたちを呼んだのは他でもない。君の護衛につかせるためだ」
「ご、護衛……? ぼ、ぼくのっ?」
まったくの初耳だ。護衛とは、一体どうしてだろう。
「君は規格外の存在だからね。君を狙う不届き者は、これから嫌というほど多くなるだろう」
「っ。なるほど……」
これもネット小説でよく見る展開だ。主人公の能力が規格外すぎて、それを取り込もうと悪い貴族の人たちがやってくる、みたいな。
剣と魔法の世界なのだ、権力を持った貴族がいてもおかしくはない。確かに、ぼくも貴族に目をつけられて自由を奪われるような展開はごめんだ。
まあ、その貴族が美しいマダムや可憐な娘さんならともかく、悪徳貴族といえば大抵は太っちょな男の人と相場が決まっている。それはちょっとご勘弁願いたい。
「わかりましたっ」
「本当にわかっているのか……?」
「わかってますってっ。ぼくの治癒スキルが貴重だから、ですよねっ」
「うん、まあ……わかっているならいいけれど」
カトレアはもとより強いから頼りになるし、そこに実力者が二人も護衛についてくれれば、突然襲われたり拉致されたりする心配もないだろう。
「まあそんなわけで、君にはSランカーを一人、Aランカーを二人つけさせてもらう」
「Sランカー……Sランク冒険者ってことですかっ?」
「ああ。シウネーはSランカー。カトレアとアルクがAランクだ」
そうだったのか。すごい、そんな雲の上のような高ランク冒険者さんたちが、ぼくの護衛をしてくれるなんて。
「ありがとう、カトレア。それにアルクさんもっ」
「ふんっ。僕はギルドからの仕事だから、仕方なく引き受けただけだ。そこの二人と違って、僕は君を認めたわけじゃあないからねっ」
男のツンデレだ。どこかの戦闘民族の王子様みたいだ。
「坊や。何か勘違いしてるようだけど、アルクは……」
「アルクさんはAランクの凄い冒険者で、職業《ジョブ》は錬金術師……でしょう?」
「うん、まあ、そうだけどさ。もっと根本的なところで間違ってないかい」
根本的なところ……?
「さて。あとは……シウネー」
ギルマスに促され、シウネーさんがこくりと頷いてぼくのそばへ歩み寄ってきた。
そして、腰に下げていた大きな革袋を外し、ぼくへと差し出してくる。
「これは?」
「……お礼金」
「礼金? 何の?」
「……貴方はわたしの命を助けてくれた。そのお礼」
シウネーがぼくの胸元に革袋をぐいっと押しつけてくる。ずしっ、と想像以上の重みが腕にのしかかった。
あまりの重さに支えきれず、革袋を床に落としてしまう。
ジャラジャラッ、と袋の口から眩い金貨がこぼれ落ちた。しかも、とんでもない量だ。
「……百万ゴールド入ってる」
「い、一億円っ!? な、なんでそんな大金を……」
というか、Sランカーともなると一億円もの大金を持ち歩いているのか。さすがは最高峰の冒険者だ。
「わたしを売った、お金」
「売った!? ど、どういうこと……?」
「命を救ってもらった対価。けど、わたしの手持ちだけじゃ到底足りなかったから、奴隷商にわたし自身を奴隷として売ることを提案して、得たの……そのお金」
「ええええっ!?」
自分の身を売ってまで作ったお金を、ぼくに!?
「そんなことする必要ないよっ。スキルなんてタダで何発も使えるんだから、治療費なんていらないよっ」
「「な……っ!? タダぁ……っ!?」」
シウネーはともかく、なぜか隣にいたアルクまで目を剥いて驚いている。
「君……僕をコケにしているのかっ!?」
「こ、コケ……? 一体何の話をしているんですか、アルクさん……」
「あの神がかり的な力を、タダで振るうだと? あり得ない……っ。君は死の淵にある者を蘇らせ、部位欠損まで完全に治したんだぞっ!?」
「えっと……だから? でも、あれはただのスキルだし。回数は制限されてるけど、ぼく自身は何も消費せずタダでできることだから」
だから、わざわざ人生を縛るような重い対価を取るつもりなど毛頭ない。
「じゃあ、どうしてシウネーを助けたんだい、君は……?」
「さっきも言ったけど、こんな美人が死んでしまうなんて、世界の損失でしょう」
ぼくが笑って答えると、シウネーの瞳にじわっと大粒の涙が溜まり、次の瞬間、ぼくの首元へ思いきり抱きついてきた。
細身の体だと思っていたけれど、押し当てられた胸は予想以上に豊かで柔らかい。
「……好き♡ 好き♡ りょーた……♡ 好き……♡」
こんな絶世の美人から好かれるなんて。良いことをして、本当によかった。
☆
アルク・ファート。十九歳。言うまでもなく、女性である。
分厚いローブでボディラインを巧妙に隠しているが、その下にはかなりの巨乳を秘めていた。
過去に男から無理やり性的な嫌がらせを受けた経験があり、それ以来、彼女は一人称を『僕』に変え、パッと見では女性だと悟られないよう、常にゆったりとしたローブを纏うようになったのだった。
アルクたち一行は、良太を伴ってギルドを出た。
「じゃあ、奴隷商のところへ行ってくるね。シウネーの奴隷行きの話、キャンセルしてくるよ」
良太の片腕には、シウネーがべったりと張り付いている。そして逆側の腕は、カトレアが自分の豊かな胸に抱き込むようにしてホールドしていた。
(ふん……馬鹿な人たちだ。男に媚びるなんて。男なんて、みんなろくでもない連中ばかりなのに)
一歩後ろを歩きながら、アルクは冷ややかな視線を向ける。
彼女がそう思うのには、明確な理由があった。昔、男に無理やり犯されそうになったのだ。
アルクは必死に抵抗した。だが、周囲から咎められたのは、被害者であるはずのアルクのほうだった。
国は、男を絶対的な存在として保護している。男に求められることは女にとって栄誉なことであると。男女比一対九百九十九の世界において、種を持つ男は絶対的優位に立っているのだ。
ただ男として生まれたというだけの理由で、これほどまでに優遇される。女が暴力的に犯されそうになっても、抵抗した女側が悪者にされるなんて。
(狂っている……)
アルクはこの世界の歪んだルールが、そしてそれに胡坐をかく男という生き物が、心の底から嫌いでならなかった。それに。
(僕の作った最高峰のポーションよりも、あいつの治癒スキルのほうが優れているなんて……絶対に認めたくないっ)
男が先天的に手にした安易な力のほうが、自分が血の滲むような努力で積み上げた結晶である薬品よりも上だなんて、プライドが許さなかったのだ。
「あそこが奴隷商の館だよ」
しばらく大通りを歩いていると、立派な門構えの館が見えてきた。
「奴隷かぁ。女の子奴隷とかいるのかな?」
館を見上げながら、良太が間の抜けたことを呟く。
(なんだその言い方は……。まるで、女以外の奴隷が存在するかのような口ぶりじゃないか。いるわけないだろう、男の奴隷なんて)
この国での奴隷といえば、借金が返せずに身売りされた者か、重罪を犯して身分を落とされた者だ。
いずれにせよ、国が男を国宝として手厚く保護している以上、男がどちらの境遇に落ちることもあり得ない。ゆえに、この商館で扱われているのは必然的に女奴隷だけということになる。
一行は館の中へと通された。良太が使用人に事情を説明する。
主人が少し出払っているとのことで、豪華な応接室で待機することになった。
室内には、見るからに高価でふかふかとした大きなソファが置かれている。
「待つって、どれくらい待つんだろうね」
「さあね。主人が出払ってるっていうから、しばらくは待たされるんじゃないかい?」
良太の問いに、カトレアが肩をすくめて答える。
すると、カトレアがニマァっと妖艶に微笑み。
「坊や……♡ ちゅっ♡」
「っ!? な、な、何をやっているんだい、君たちはっ!?」
カトレアが良太を深いソファへと押し倒し、唇を奪ったのだ。さらには、もぞもぞと良太のズボンのベルトに手をかけ、脱がし始めている。
「何って、見ればわかるだろう? 待っている間、暇だから……えっちさ」
「こ、ここをどこだと思っているんだっ!? 宿屋じゃあないんだぞっ!?」
「わかってるよ、うるさいな」
この女と良太が恋仲だというのは聞いている。だが、まさか街中の商館の応接室で、白昼堂々おっぱじめるとは夢にも思わなかった。
「あたしらが致してる間、あんたたちは外で見張りをしておいてくれよ」
カトレアが良太の首筋に唇を這わせながら、シウネーとアルクに向かって手を振った。
「い、言われるまでもないよ……。行こう、シウネー君。……シウネー君?」
誰が好き好んで、男が女を貪る野蛮なシーンなんて見るものかと、アルクは踵を返して部屋を出ようとした。
だが、隣にいるはずのシウネーは耳まで真っ赤に染め、その場に棒立ちしていた。
太ももをきゅっと内股にすり合わせ、小動物のようにぷるぷると震えている。
「……りょーた。わたし……わたしも……したい」
「「はぁっ!?」」
カトレアとアルクの驚愕の声が、応接室に響き渡った。
「ちょ……シウネー君、正気かっ!?」
「正気。わたしの心……もう、りょーたでいっぱい。りょーたが欲しい……。りょーたに抱かれたい。りょーたの赤ちゃん、ほしい……♡」
アルクは言葉を失い、唖然とした。シウネーは、この街でも指折りの実力を持つ孤高の女剣士だ。
その氷のようにクールな性格と凛とした美貌から、『氷剣鬼』と畏れられるほどの人物である。
(あの氷剣鬼が、なんでそんな発情した雌の顔をしているんだ……。出会ってまだ一日も経っていない相手だぞ? 頭でも打ったのか……?)
確かに、シウネーは彼に命を救われた。だが、それだけの理由でここまであっさりと骨抜きにされるなんて、理解が追いつかない。
「いいよ、シウネー。おいで」
「いいのかよっ!?」
「? なんでって、異世界もののお約束で、ここって一夫多妻なんでしょう?」
「イセカイモノ……?」
(確かにこの国は一夫多妻制だけれど……。異世界? 一体何を言っているんだ、こいつは……?)
どうにも、良太の言動は普通の男とはかけ離れている。最初からどこかおかしかったが、ますます謎が深まるばかりだ。
「坊や……♡」
良太の許可が下りるや否や、カトレアが再び良太を押し倒し、行為を再開した。
「ちょっ!? まだここに僕がいるだろうがっ。何をやっているんだっ」
「坊やはあたしのだ♡ あたしだけのものだ♡ 他の雌に渡してなるものかい♡ あたしの体で骨抜きにしてやるっ♡ あたし以外いらないって思わせてやるっ」
「……ズルい。わたしも……するっ」
カトレアに負けじと、シウネーが自分の装備を次々と脱ぎ捨て始めた。あっという間に上半身裸となり、雪のような白い肌と形の良い胸を晒して良太のそばへと這い寄る。そして。
まるで飼い主にじゃれつく犬のように、熱烈なキスを浴びせ始めた。良太の顔中をぺろぺろと舐め回し、唇を貪るその姿は、まさに発情した雌犬そのものだった。
豊満な胸を揺らして腰を振り、甘い嬌声を上げるカトレア。一心不乱に良太の顔を舐め、キスを繰り返すシウネー。
二人の普段の凛々しい姿を知っているアルクから見れば、それは信じがたいほど異様な光景だった。
(お、女をあそこまで狂わせるなんて……)
男とは恐ろしいもので、汚らわしい生き物だと思っていた。それは自分だけでなく、すべての女が心の底ではそう思っているはずだと信じていた。
だが、目の前のカトレアたちは、心の底から歓喜に震え、自ら喜んで自分の体を男に捧げている。
しかも、押し倒されている良太のほうも、彼女たちを乱暴に扱うどころか、愛おしそうに頭を撫で、優しく受け止めているのだ。
(そんなに……良いもの……なの……か……? あれほど強い女たちが、我を忘れてしまうほどに……)
汗ばんだ肌を密着させ、三人が淫らに絡み合う姿から、アルクは目が離せなくなっていた。
フードの奥で顔を真っ赤に染め、フーフーと鼻息を荒くしながら、食い入るようにその光景を見つめている。
そう、彼女は男嫌いをこじらせているだけで、この世界にはない言葉で例えるなら『むっつりスケベ』なのである。それも、超がつくほどの。