女の園 ~異世界の魔法使いが女子校で教師になります~   作:R884

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辛くて暑い

「それじゃあ仁先生さようなら〜♪」

 

「はい、ご苦労様でした、お気をつけて」

 

 

日直の桐生さんに学級日誌をもらって今日のお仕事は終了だ、さて今日はサクラ様も用事で出かけると言っていたし、夕飯はどうしよう、さっちゃんの焼き鳥でも食べに行こうかな。

そんな事を考えていたら児島主任に声をかけられる。

 

「武田先生、どうかされたんですか?そんな難しいお顔をなさって」

 

「あ、児島主任。いえ、今日の夕飯はサクラさんが居なくて一人なので、何を食べようかなと考えていたんですよ」

 

「あらあらあら、まぁまぁまぁ〜、実は私も今日はたまたま外食しようと思っていたんですよ、えぇ、たまたま」

 

「え、そうなんですか。では児島主任、ご一緒に何か食べに行きませんか」

 

「はう、い、いやぁ〜そんなに誘われちゃうと困っちゃうな、どこかで生徒に見られたらデートと誤解されちゃうんじゃないかなぁ、い、いやぁ、別に誤解じゃなくても私は全然構わないんですけど〜」テレッ

 

ポン

 

「児島ちゃん、別にそんな心配しなくても大丈夫よ、私も一緒に行ってあげるから」

 

「あ、李先生」

 

「な、な、なんで蓮花(れんふぁ)先生が」

 

「いやぁ〜、同僚とは言え教育者ですからね、余計な誤解を生むわけにはいかないじゃない、私も入れて3人でなら変な噂もされないでしょ」

 

「なるほど、流石は李先生ですね、私も児島主任に対する配慮が欠けていました、すみません」

 

「いえ、別にそんな配慮は全然、まるっきりいらないですよ」

 

「じゃ、仁先生も児島ちゃんも行きましょうか、良い中華のお店があるんですよ〜」

 

「中華、か、辛いやつ?」

 

「児島ちゃんはお子ちゃまだなぁ、大丈夫よ辛くない奴もあるから!」

 

 

 

駐車場まで来て3人で顔を見合わす。

 

「「「…………」」」

 

「お二人とも私の車に乗ってください」

 

そうだった、私は自転車で李先生はバイク通勤だった!私一人なら自転車でもいいのだが、お二人も一緒ではそうもいかない、結局は児島先生の車に3人で乗り込み夕食を食べに行く事になった、ふむ、中華料理とはラーメンの事だったよな?

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねえ、李先生、本当にここなの?(どう見ても高級中華のお店なんですけど!)」

 

児島主任が大きな建物を見上げながら尋ねる。

 

「そうですよ、ここは四川料理が美味しいんだから」

 

学校から上田方面に向かう途中、温泉街があるのだが李先生に案内されたのはホテルの中にある中華レストランであった。

 

そう言えばさっき足湯の所に東堂さんによく似た子がいたような、錯覚かな。

 

 

「「李苑?」」

 

「そ、知り合いのお店だから安心していいよ」

 

ガラッ

 

「蓮花ぁ!」

 

「あ、叔父さん」

 

3人がお店に入ると料理人の格好をしたおじさんが笑顔で迎えてくれた、叔父さん?親戚なのだろうか?

 

 

「はっはっは、彼が蓮花の彼氏かい。良い男じゃないか!どうする上のホテルで1室用意させるか」

 

「いやダァ、叔父さんまだ気が早いよぉ」

 

バシ、バシ、バシィ

 

「おぉ、そうだったかすまんすまん!痛い痛い、痛えよ蓮花!この馬鹿力が」

 

何やら李先生と叔父さんで盛り上がっているが隣の児島先生は、何か騙されたような表情をしている。

李先生が勝手に奥の個室に入って行くがいいのだろうか?

 

「蓮花(れんふぁ)先生、個室(ここ)なら噂もなにもないと思うんですが」

 

「ふふ、この前、ウチの教頭がここに食べに来てたみたいよ、しかも若い女連れで」

 

「えっ、教頭に娘さんはいないはず、もしかして不倫!」

 

李先生と児島主任が何やら盛り上がっていたが、李先生が思い出したように叔父さんに向き直る。

 

「叔父さん、それじゃあ、3人ともおまかせコースでお願いね」

 

「蓮花先生!」

 

とりあえず安い料理でも頼もうと思っていた児島はちょっと慌てる。いざとなればカードでと考える。

 

「あぁ、大丈夫よ、今日は私の奢りだから〜♪」

 

おまかせコースで奢りとなれば好きなラーメンを選ぶことは出来ないか、美味しければいいのだが。

 

 

 

 

ガッガッガツッ

 

「李先生!この麻婆豆腐なる料理とても美味いです!ピリリと痺れる辛さの中にもしっかりと肉の旨味がある」

 

「確かにこれは美味しいわね、私だけ甘口なのはどうかと思うけど、全然色が違うじゃない」

 

「この店は陳建民のお弟子さんが料理人にいるから、本格的な四川なのよ」

 

「おぉ!このエビチリなるものも美味い!!」

 

出される料理、どれも素晴らしく美味しかった。チンジャオロースーなるピーマンの炒めものなど自分でも作ってみたくなった。中華料理とはラーメンだけではないのだな、家では和食が多いので大変勉強になった。

 

3人で締めの杏仁豆腐を食べて一息つく。

 

「「ごちそうさまでした!」」

 

「いや〜、仁先生良い食べっぷりでしたね、叔父さんも喜んでましたよ」

 

児島主任がテーブルの上に積まれた皿を見ながら李先生に小声で話しかける。

 

「ちょっと蓮花先生、これ結構高くつくんじゃないの?私も少しは出すわよ」

 

「叔父さんがこの店のオーナーなんで気にしないでいいですよ、私も暑い季節には辛い料理が食べたくなりますから」

 

 

ガララ

 

「武田先生、今度は二人きりでお夕飯を…」

 

「ん、児島主任何か言いました?あれ?」

 

店から出て李先生が先に歩き出すと、児島主任がトコトコやって来て小声で何か呟いた。

ちょっと小声で聞き取りずらかった、それよりも角からこっちをじっと覗いてる人がいる、フードを被っているので顔はよく見えないが、でもあのフード、来る時に足湯の所にいた人だよな、東堂会長?

 

東堂(な、なんで、あの男がここに、しかも児島ちゃんと保険医の李先生まで、もう二人ともたらしこんだの!あの悪魔!)

 

 

「仁先生、帰るよ〜!」

 

「あ、はーい。今行きま〜す!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

トゥルルル、ピッ

 

 

「はい、特務7課 佐藤」

「あ、内海、今日の報告ね」

 

「お前なぁ、佐藤つってんだろうが!こう言う仕事なんだから本名言うなや!」

 

「携帯なんだからいいでしょ、それより今日の仁先生の報告ね、仁先生はこっちの世界の料理何でも好き嫌いなく良く食べるわ、でもなんか野菜の方が好きなのかも、なんか野菜が美味しいって何回も言ってたから」

 

「ふーん、野菜ねぇ、それは部下の報告にも確かあったな、他には?」

 

「凄くカッコよかったし、お邪魔虫の邪魔も出来た!」

 

「はぁ」

 

「じゃあ、今日の食事代はそっちに請求回しとくわね〜、よろしく」

 

「は?」

 

「必要経費でしょ」

 

「……了解した、メールしといてくれ」

 

「OK!」

 

内海は国家権力を使って李蓮花を仁の務める学校にねじ込んだが、個人的に李蓮花と契約している、色々頼んでる自覚はあるだけにあまり強くは出れないのだ。

 

 

 

ピッ

 

ピロ〜ン

 

電話を切った内海に蓮花からのメールがすぐに届く。画面を下までスクロールさせ金額の部分で指を止める。

 

「……あいつめ、どんだけ食ってるんだ」

 

請求額124,000円、3人で割っても一人4万円を超える金額だ、せめて一人4千円くらいの安いコースを頼めと思う内海だった。

 

奇しくも内海の仁に対するヘイトがまた一つ溜まった。

人はこれを逆恨みと言う。





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