女の園 ~異世界の魔法使いが女子校で教師になります~   作:R884

16 / 17
真実はいつも嘘

3階の校舎ではまだ警察の方々が忙しく作業している、黄色の帯で仕切られた奥に佐藤さん(内海)が立っていたので話かけた。

 

「佐藤さん」

 

「あぁ、おはようございます、昨日はよく寝られましたか」

 

「……」

 

ニコニコと笑顔を見せる佐藤さん、いかにこの世界の事にうとい私でも、警察が昨日の件をテロリストの仕業という事で誤魔化そうとしているのは察しがついた、私が異世界人というのも関係しているのだう、ならば昨夜の私の破壊行為はお咎めなしということでいいのか?今夜にでもサクラ様に相談してみよう。

 

「武田先生には、また昨日のテロ事件の事を伺うこともあるかもしれませんが、その時はよろしくおねがいします」

 

「わかりました、協力は惜しみません、では失礼します」

 

ペコリとお互い頭を下げる。

 

 

 

 

 

 

階段を降りながら気持ちの整理をつける、この騒ぎでは今日は授業は無理と学校側は判断した、すでに登校してしまった生徒達には事情説明して自宅に帰さなければいけない。

 

ガララ

 

「あ、仁先生!何々、何があったの?」

「逃亡中の凶悪テロリストが学校に忍び込んだって、マジ!」

「仁先生は犯人見たの!」

 

教室のトビラを開けた途端生徒達に捲し立てられる、なんで全員揃っているんですか?朝イチで休校の連絡は入れているはずですが。

 

「皆さん落ち着いてください、昨夜この学校に凶悪犯が忍び込んだのは事実です、ですが犯人はもう警察に捕まっています」

 

「「「おぉ〜!やるじゃん警察」」」

 

「只、今日は警察の方の現場検証があるので臨時休校となりました」

 

「「「えぇ〜〜〜〜〜っ!」」」

 

「折角来たのに〜、つまんない〜」

「仁先生もっとくわしく」

 

う〜む、流石に若い子は好奇心旺盛だな、もう学校に来ちゃってるししょうがないか。

 

 

「では私がわかっている範囲でお話します、聞いたら帰ってくださいね」

 

「「「おお〜〜〜〜っ!!」」」

 

 

 

 

「「「…………」」」

 

「私は昨日は宿直当番で夜中学校内を巡回していたのです、1階のこの教室も2年生の2階も何も異常はありませんでした」

 

「夜の校舎ってなんかドキドキしそう〜」

「仁先生も言ってくれれば、私達も一緒に付き合ったのに」

「あ、それ、楽しそぉ!今度やろ私リーダー!」

 

思いもよらない反応に私はコホンと一つ咳払いして話を続ける。

 

「3年の3階に行くと廊下の北側の端の窓が開いていて、風が吹き込んでいました」

 

「仁先生、もっと怪談ぽく話して」

 

「えっ、怪談ですか」

 

「「「そうそう、せっかくだから皆んなで涼しくなろうよ」」」

 

なるほど、今日も朝から暑いですからね。

 

「私がヒタ、ヒタと窓にゆ〜っくり近づくと、ヒヤリとした夜風が頬を撫ぜてきました」

 

どうせならもっと臨場感があったほうがいいか、そっと風系の魔法を展開する。

 

「うわっ、なんかゾクってきた!」

「なんか冷たい風吹いてない?」

 

「窓の外、上をみても下を見ても何もありません、私はおかしいなぁ、おかしいなぁと思いつつ、窓の閉め忘れかと思って見廻りを続ける事にしたんです」

 

「えっ、もしかしてその窓からもう犯人が中に!」

 

「北側からA組、B組、C組、D組と全て回るも異常はありません、残るはトイレのみ」

 

「えぇ〜!仁先生、女子トイレに入ったのぉ!」

「やばい、今度から変な妄想しちゃいそう」

 

何故かキャアキャア盛り上がっている生徒達、変な妄想とは?

 

「トイレのドアノブに手をかけるとゾクリ寒気がしたんです」

 

「「「きゃあ!仁先生開けちゃダメぇ!」」」

 

「そうは言っても確かめないわけにはいきません、私は思い切ってドアを開いたんです」

 

「「「おぉ〜〜!」」」

 

「手に持ったライトで中を照らせば、居たんですよ、そこに…」

 

ちょっと温度下げたほうがいいかな、風魔法の魔力を強めて冷気をつくる。

 

「金髪短髪の角張った顔、大柄のがっちりとした体格を隠すように着込んだ灰色のスーツ、暗闇で怪しく光る青い瞳と目が合うと、私に向かって彼が言うんです」

 

『みぃ〜た〜なぁ〜』って。

 

「「「きゃぁーーーーっ!!」」」

 

「私は咄嗟に廊下に向かって全力で走り出しました、すると後で大きな爆発音が…」

 

『ドカーーーーン!』と

 

ちょっと教室を縦に揺らす。

 

「「「おぉ!!」」」

 

「後を振り向いても誰も追ってきません、すると下の階から警察の方がバタバタと上がって来たんです、どうやら通報があったみたいで、校舎に入ると爆発音がしたので駆けつけたそうです、その後犯人は見てませんが、どうやら私に見られた事で「もう、駄目だぁ」と思ったのか爆弾自殺を図ったそうです、でも運悪く?助かって警察に捕まってしまいましたけどね」

 

「「「ほっ」」」

 

「私が知っているのはこんなところですかね、皆さんご静聴ありがとうございました」

 

教壇の前でペコリと頭を下げる。

 

パチパチパチパチパチパチ

 

 

 

ところで、いつのまにか生徒達と一緒になって楽しそうに聞いてる児島主任と李先生が居た。

いいんですか、他の生徒達にも説明に行かないと校長に怒られますよ。

 

 

 

その夜、サクラ様に同じように話をしたら、全然怖くないねと駄目出しされてしまった。

怪談は話す時の言葉の抑揚が大事らしい、また一つ勉強になった。

 





お読みいただきありがとうございます。感想、お気に入り、評価いただけると頑張れます。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。