『メインシステム 通常モード起動』
辺りは阿鼻叫喚の地獄絵図となっていた。
護衛達はトラックの下敷きになって身動きが取れなくなっているところをトラックの炎が包みこみ、悲鳴がこだまする。
仕事は終わりだ
私は彼らに背を向けた
依頼主に成果を報告する。
「依頼にあったトラックを全て破壊した」
「はい?」
証拠の映像を彼の端末に送る。
「一応、証拠の動画も送っておく」
依頼主がタブレット端末で送られた動画を再生する。
「すみません、確認が取れるまで待って頂けますか?」
動画を再生した後、誰かにメールを送っている。
待つこと10分、ようやく口を開いた。
「………確認が取れました」
「それは良かった」
「それで、報酬ですが…」
依頼主がすこしためらう様子を見せる
「………どうした?」
「すみません、貴方がすべてのトラックを吹き飛ばすとは思わなかったので20万しか用意していなくて………」
「………払えないと?」
「い、いえ!今20万渡すので後日改めてここに来てくだされば残りの80万はきっちりとお支払いします!」
「分かった」
依頼主から封筒を受け取り、額を確認する。
きっちり20万だ。
「じゃあ、また明日」
─────────────────────────────────
カイザーへの嫌がらせで傭兵を雇ったが、こんな結果になるとは。
元々、彼女に金を払う気はなかった。
すこしでもカイザーの邪魔ができればいいと思っていた。
そもそも彼女には期待していなかった。
しかし────
こめかみを抑える。
彼女はたった一人で、しかも大した装備もなく制圧して見せた。
さらに私の連絡先を教えていないのにも関わらず、私の端末に動画ファイルを送り付けていた。
もしここで報酬を出し渋れば、報復は免れないだろう。
そしてその報復は無視できないものとなる。
だから80万は払うべきだ
しかし、80万は元々用意していない。
…………。
「ハァ………」
たかが80万だ。
私は金を下ろすために銀行に行くことにした。
─────────────────────────────────
「これとこれと………あとこれかな?」
私は今、貰った報酬で弾薬を買いに来ていた。
私の使っているライフルは5.56mm弾、拳銃は9mm弾というものを使うらしいが、メーカーによって値段が違う。
さらにHP、FMJとかいろいろな種類がある。
とりあえず調べてみてよさげなものを買った。
それとマガジンをいくつか。
さらにそれを入れる用のバックパックも売っていたので買った。
合計1万5000円
銃器販売店の次は雑貨屋兼キャンプ用品店に向かった。
鏡とくしを買う。
以前はウォルターに髪をとかしてもらっていた。
自分でも出来たが、これだけはウォルターにしてもらっていた。
どうしてだったのか、未だに分からない。
次はキャンプ用品店で寝袋と野戦救急キットを買った。
レジカウンターの横にシナモン味のガムが売っていたのでそれも買った。
噛むとカフェインが補給できる。
会計を済ませ店の外に出ると、見知った顔と目が合った。
「げ…」
今朝私をカツアゲした親切な人物、イムだ。
「こんばんは、イム」
「……こんばんは」
「もう夕飯は食べた?」
「……いや、まだだけど」
「それは良かった」
私は目の前にあるそば屋を指差す。
「あそこで一緒に食べない?奢るから」
「奢り?」
「うん」
「……じゃあ、お言葉に甘えて」
暖簾を潜る。
出汁の匂いが鼻をくすぐる
「いらっしゃい!」
「そば二つ」
「あいよ!」
注文してから5分ほどでそばが出された。
なんだ、これは。
そばが紫色じゃないだと?
さらに出汁も青色ではない
そばは灰色で出汁は茶色だ。
そばの上にはミールワームの代わりに白いぷよぷよが乗っている。
色彩の欠片もない食べ物に絶句する。
イムの方を見てみると普通に食べている。
特段、まずそうにはしていない
………匂いは同じだ。
少なくとも吐き出すようなことはないだろう。
恐る恐るそばを口に運ぶ。
………
うまい。
ルビコンにいた時のものよりもうまいかもしれない。
匂い立つ出汁の香りが、そばの風味を引き立てる。
さらにこの白いぷよぷよを箸でつつくと中からオレンジ色のドロリとしたものが溢れ、そばをこれに絡めると非常にまろやかな口当たりになる。
出汁もこのオレンジのドロドロが混じり、味わい深くなっている。
「………随分、おいしそうに食べますね」
「ん、ああ………」
しまった。あまりにも夢中で食べていたからイムを気にする暇がなかった。
「美味いからな」
「………そういえば、お金の方は大丈夫なんですか?」
「もちろん」
「収入が入ったからな」
「………え」
「どうしたんだ?そんなに驚いて」
「い、いや…」
「?」
………収入が入ったのならもっと高い所に連れて行け、ということだろうか?
「依頼を成功させたんですか?」
「うん、襲撃任務で」
「前金とかではなく?」
「そう」
イムが視線を向ける。
どこか恐れているような、そんな目線。
「本当に………強いんですね」
「まぁね」
正直私も驚いている。
私は戦闘経験はほとんどなかった。
銃だってACを別にすれば撃ったことすらない。
強化人間パワーで何とかなっていたのだろうか。
「ん………」
気づけば器が空になっていた。
イムも既に食べ終わっている。
両手を合わせる
「「ご馳走さまでした」」
代金を支払い、屋台を出た。
空を見上げると屋台に入った時には既に薄暗くなっていた空はすでに暗くなり、空には色とりどりの星々が浮かんでいる。
空には大きいヘイローが浮かんでいる。
いつの間にか、空にあったらしい。
もしかしたら頭に
────そういえば
「なんでイムはヘルメット団にいるんだ?」
「聞きます?それ?」
「………聞かないほうが良かったか?」
「そういうわけでもないんですけど………」
すこし言いにくそうにしながらイムが口を開く。
「元々私はミレニアムサイエンススクール、という学校に居たんです」
ミレニアムサイエンススクールを検索する。
「ミレニアム?って言うと、研究とかしてる?」
イムがうなずく
「私はその学園の人体拡張研究部というところである研究をしていた一人の学生でした」
「まあ、その研究のせいでミレニアムを追われることになったのですが」
「その研究というのは────」
イムはそのことを口にしていいものか、迷っていた。
「そんなにまずいものなのか?」
「ええ…」
イムはしばらく黙っていたが、やがて口を開いた。
「その研究とは、人体の強化を目的としていて───」
「具体的には脳の一部と神経系統を切除し、コンピュータと人工神経に置き換える、という非人道的な試みでした」
「その実験はデザインド、と呼ばれていました」
アリスを引いて気づいたのが身長152cmもあったこと。
ユウカと3cmしか違わないから結構驚き。
ユウカはロリコンじゃなくて寸胴体型が好きなのかもしれない
つまりロリコンは風評被害。
イムの行く学校
-
アビドス
-
ゲヘナ
-
トリニティ