異世界立志伝〜チュートリアルで滅ぼされる悪役貴族に転生した俺、ゲーム知識と固有スキル『改造』を駆使して、最強領主に成り上がる〜 作:未来人A
洞窟を出たあと、リンカの依頼主にエメラルドタートルの甲羅を持って行った。
依頼料として9000ミアもらっていた。
「これ半分あげるわ」
「え? いや、いいけど」
「この依頼を達成できたのはハリスのおかげだしとっておいてよあの洞窟の場所も知っていたし、倒し方も知っていた。あんたがいなかったら、達成できなかったわ」
「いや、でもな……あの洞窟の魔物を倒して先に進んだのはリンカの力があってこそだし」
「そ、だから半分こよ」
リンカはそう言ってミアを渡してくる。
「わかった受け取るが……その金はそのままお前の護衛料として渡すよ。先払いだ」
「え? ああ、そういう話だったわね。じゃあ、これは貰っておくは」
リンカは金を受け取った。
「ハリス。あんたは信用できそうなやつだし、長い付き合いになるといいって思ってるわ。これからよろしくね」
「ああ。よろしく」
俺はリンカと握手を交わした。
リンカが仲間に加わった。
「そうだ」
洞窟の宝箱から獲得した、レッドミノタウロスの角を取り出す。
「それどうしたの? 売るの?」
「いや、素材にする。これでお前の剣を改造する?」
「へ?」
何を言われたのか分からず、リンカはポカンとした表情を浮かべる。
改造スキルについてリンカに説明する。
「へー、そんな便利なスキル持ってるのね」
信じたようである。
「まあ、アタシも固有《ユニーク》スキルはあるからね。ハリスにもあるんだね」
リンカは戦闘用、固有《ユニーク》スキルの所持者である。
これまた強いスキルだ。いざという時は使って貰いたい。
「お前の大剣はかなりボロボロだろ? レッドミノタウロスの角を使えばかなり強く出来るんだ」
「まあ、確かにボロボロだけど……」
リンカはかなり強いのだが、初期装備の大剣はかなり弱い。
この大剣でもその辺の魔物くらいならすぐに蹴散らせるくらい、本人の性能は高いのだが……今後も考えると、武器の強化もしておいた方がいい。
ロードオブエンペラーでは武器の性能もかなり大事だからな。
「強くできるなら頼みたいけど……いいの? その素材高く売れそうじゃない?」
「武器を強くする方が大事だ」
「そう……分かった。お願いするわ」
リンカはそう言って大剣を渡してきた。
ずっしりと重い。
持つのがやっとである。
こんなものよく振り回せるな。
「改造!」
スキルを使用。
大剣から光が発生する。
改造に成功した。
レッドミノタウロスソードの完成である。
剣身がかなり綺麗になる。
鍔が赤くなった。グリップも赤い。
持ってみて先ほどより明らかに軽くなった。
硬度は上がっている。
使いやすさ、剣の威力ともに上がっている。
「お……おおなんか凄いわね」
改造するところを見て、リンカは感想を呟いた。
「持ってみてくれ」
「うん」
大剣をリンカに返却する。
「!!」
持った瞬間目を見開いていた。
「なんかすごく軽くなってるわね」
軽く振って試していた。
その後、自分の剣を調べるように、じっくりと観察する。
「切れ味も結構良さそうじゃない?」
「ああ。軽量化した上に、硬度も上がっているはずだ」
「ありがとう。すごく使いやすそうだわ」
とリンカは嬉しそうにしていた。
「さて、それじゃあ、交易したいから準備をしよう」
俺たちは交易の準備をするため、市場へと向かう。
まず交易品を運ぶ荷車を購入する。
本当は馬車を購入したいが、今の手持ちだとギリギリ買えるか買えないかという感じだ。
金がなくなり交易品を購入不可能になるので、まずは安い荷車にしておいた。
そこそこ大きい荷車を4000ミアで購入できる。
購入した。
そして、残りの金で交易品。それから食料を購入する。
食料は500ミア分購入。これだけあれば隣町まで持つはずだ。
残りの19950ミアだ。
ミゼラルの特産品はオリーブだ。
樽一個分で二万ミアする。
それなりに高価なものだった。
50ミア足りなかったが、そのくらいなら負けてくれると、購入できた。
樽一つと食料を荷車に乗せる。
そこそこ重いが運べないわけではない。
流石に樽一個なら運べる。
「荷車引けるの? アタシが引こうか?」
リンカが気遣うように言ってきた。
「いや、護衛の依頼だし大丈夫だ。何かあったと気にすぐに動けるようにしていてくれ」
俺がそういうと、リンカは頷いた。
「目的地はどこなの」
「タイアールに行こうと思う」
「国境跨ぐんだね。了解〜」
リンカはそう言った。
タイアールはミゼラルから北にある街である。
ミゼラルとは属している国が違う。
アールマディアという地域では、8つの国が存在する。
北東にあるバルック。
北西にあるガードン帝国北。
中央西にあるガードン帝国南。
中央東にあるプライツ王国。
南西にあるエレクト連合国。
南東にあるハーナイン。
それから、プライツ王国の東に島があるのだが、そこを治めるアレス。
この8つの国である。
ミゼラルはエレクト連合国に属しており、タイアールはガードン帝国南にある都市だ。
国を跨ぐが距離はそこまで離れてはいない。
荷車なしで歩いて十日程度か。
近くの街だとそこまで特産品の値段は上がらない。
遠ければ遠いほど上がりやすい。
ただ、移動距離が長ければ、その分時間もかかるし、危険も多くなる。
比較的近い都市の中で、オリーブが高く売れる都市は、タイアールだった。
「それじゃあ行こうか」
「うん。危なくなったら絶対守るからね!」
リンカが頼もしい言葉を言ってくれた。
俺たちはミゼラルを出て、タイアールへと向かった。
○
「ゼェゼェ……」
出発して数時間後。
汗をダラダラと流しながら、膝をついていた。
「だ、大丈夫?」
リンカが心配するようにこちらを見てくる。
俺はハリスとして今まで生きてきた。
ハリスというやつは、絵に描いたような悪役貴族だ。
もちろん力仕事などした記憶はない。
体力はなくて当たり前であった。
「大丈夫だ……」
汗を拭いながら言った。
「やっぱりアタシが引こうか?」
「いや、自分で引くよ」
ここでリンカを頼っているようでは、一生体力が付かない。
これから先のことを考えると、体力はつけておいた方がいい。
ハリスは年齢的にはまだまだ若い。
十六歳である。
訓練すればある程度体力はつくはずだ。
気合いを入れ直し、荷車引きを再開した。
「なかなか根性あるわね」
リンカは感心したようにそう言った。
そうやってしばらく歩いていると、目の前から馬に乗った集団が来た。
ガラの悪い見た目の男たちである。
最後尾に馬車がある。何かを運んでいるようだった。
「あいつら……人狩りね」
人狩り。
歩いている人間に襲い掛かり、奴隷にして売る、とんでもない連中である。
一応問答無用では襲いかかっては来ない。
俺たちも武装しているので、こういう状況では来ない可能性が高い。
無用な戦闘を避けたいのは人狩りも同じだ。
人狩りどもは俺たちをチラリと見た。何も言ってこない。
戦う気は無いのか?
……待て。
人狩り集団を率いる先頭の男。
こいつ見たことあるぞ。
スキンヘッドで頭に刺青を入れている。
肌は青白く病的な感じ。
こいつ… …人狩りのロッコだ。
ロッコ自体は大したキャラではない。
ただ、彼が輸送している奴隷が強いキャラであった。
ロードオブエンペラーではロッコがどの街道を歩いているのか、ランダムだったので、でくわせるかどうかは運である。
奴隷は解放すればすぐ仲間にすることができる。
なのでロッコを見つけたら、すぐにに倒して、奴隷を解放するというのが常套手段であった。
相手の人数は五人。
そんなに強くない相手だ。
リンカなら間違いなく倒せる。
「おい」
ロッコから話しかけてきた。
「テメェら俺様たちと出会ったのに何もよこさねぇ気か?」
「どういう意味だ?」
「通行料よこせって言ってんだよ」
「あいにく今はミアがない」
「ならその荷物置いていけ」
命令口調でロッコは言ってきた。
戦う気がないように見えたが、どうやら金をむしり取るつもりだったようだ。
恐らくリンカを舐めているな。見かけで強さを判断しているのだろう。
「それはできないな」
「なら仕方ねぇ。テメェら自身の体を通行料にするとするか」
人狩りたちが剣を抜く。
「役目、果たさせてもらうわよ」
リンカは剣を構える。
「はああああああ!!」
そして凄まじい勢いで突撃して言った。
「なっ!?」「うわっ!!」
リンカの速度は人間離れしていた。
人狩りたちは面食らっている。
そのまま大剣を振り、人狩りたちを一瞬で全滅させた。
血が飛び散る。
凄いグロい光景だ。
ロードオブエンペラーは十八歳未満はプレイ禁止のゲームである。
俺はこの世界でハリスとして生きてきたので、ある程度グロい光景も見て入る。
しかし、それでも動揺はせざるを得なかった。
「ちょっと汚れちゃったわ」
リンカは人の死体を見て、そう感想を漏らした。
この世界の住民なら、いちいち死体を見て驚いたりはしないだろう。
しかし、向こうから襲ってきて逆に良かったな。
悪党とはいえ問答無用に襲いかかって殺すのは、流石に気が引けたからな。
ゲームだったらそんなの別に気にしないのだが。
さて、それではお目当ての奴隷解放をしよう。
馬車の箱を開ける。
中に長い黒髪の少女が捕えられていた。
顔は汚れてしまってはいるが、非常に整っている。
服はボロ切れだ。大きな胸が強調されている。
彼女の名はマイナ・バーナード。
ロードオブエンペラーでも有数の弓使いである。