メイ:久米郁葉(くめ・いくは)。女。20歳代後半。タクの彼女。小柄な手品師で、手品と同様、楽しむことに貪欲。
うらなり:成浦なすび(なりうら・なすび)。おっさん。ギャング会社である「エッグ・プラント」の輸入課の課長。ドジ。
第1話[キャンプしてたらダイヤモンドを見つけちゃった]
第2話[東海林商事の笑って死ねる拷問]
第3話[空港で歩きスマホと8の字転倒]
第4話[抱き合って? エッグ・プラントに潜入]
第5話[盗んだ飛行機で孤島に向かったら銃撃を受けた]
第6話[エッグ・プラントの社長の温情はウソ]
第7話[わたくし、素敵なワインが飲みたい気分ですの]
第8話[エッグ・プラントの社長が捕まる]
第9話[うらなりのハッピーエンド]
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▼ 第6話[エッグ・プラントの社長の温情はウソ]
うらなり「どうするんだ? このままなら、墜落するぞ」
逃げたが、たくさんの弾が当たったのだろう、操縦不能になった。こうなっては、御曹司のタクでも、手品師のメイでも、どうにもならない。
うらなり「やっぱり、この飛行機に泥棒が乗っていると判断されたらしい」
タク「仕方ないなあ。緊急事態だ」
タクが「emergency(エマージェンシー)」と書かれているボタンを押す。
うらなり「オイ! それは自爆ボタンだ」
メイ「だったら、これ!」
メイが「Non-emergency(緊急でない)」と書かれているボタンを押す。
うらなり「もっとマズイ。それは誤爆ボタンだ」
タク「なんで誤爆なんだ?!」
うらなり「爆発する!!」
メイ「暴発でしょーー!!」
けたたましいアラーム音が鳴った。
飛行機の座席が包まれ、シェルターのような箱になり、機体の爆発で空中に発射された。これは脱出なのだろうか?
「おい、ミスターなすび、これは自爆か? 誤爆か?」
「わからん。社長はいたずらが好きだから」
「いたずらが好きだから、なんなの?」
「危険かと思えば安全で、……、安全かと思えば危険で」
「どっちなのー!!」
「どうにもならないのかーっ! ここまで上手くいったのに、諦められるかーー!!」
シェルターからパラシュートが開き、風に流され、船の方に降下して行く。
船から発射された捕獲網で、シェルターが捕まった。
シェルターから引きずり出された、タク、メイ、うらなりの三人は、ロープで縛られ、甲板の椅子に座らされた。
エッグ・プラントの社長が出て来た。なんと、日本人だ。
うらなり「なぜ殺さない! 僕たちを狙撃しただろう」
社長「私たちは殺人鬼ではない。我が社の飛行機を盗むのは、我が社に対する犯罪。飛行機が返却されても、盗まれた時点で「使えないもの」に変わった。だから壊れても良いから狙撃した。しかし、犯人を殺す意味が無い。警察に引き渡す」
タクは、その理屈にだけは納得した。しかし、ギャングの会社ということは、わかっている。
うらなり「まさか、社長が日本人だとは思わなかった。日本支社の上層部は、カクー国の人が多いからな」
社長「なぜ日本人が多いかって? ウホホホ、気にするな。乗組員の言葉が通じると都合がいい。ほら、全員が日本人だ」
タクたちをシェルターから引きずり出した乗員が、ダイヤモンドの入った袋と、うらなりが持っていたタブレットを、社長に渡す。
社長はタブレットを操作した。
「ふむ、成浦なすび。君は、我が社の社員か」
「そうだ」
乗員が、タクたち三人の指紋を、スマホで採取する。うらなりだけが社員だと判明する。
うらなりは社長に、エッグ・プラントがギャングの会社であるから、ダイヤモンドの密輸をしていると言う。それをカクー国に返すのが僕たちの目的だ。
社長は笑いながら答える。
「どこから、そんな都市伝説ができたのだろうね、ウホホホ。我が社は普通の商社だ。ダイヤモンドの納品で、折悪しくスケジュールが合わなかったから、キャンプ場を使っただけだ。都市伝説に惑わされたせいで、輸入が密輸に思えたんだね」
うらなりは、社長の「折悪しく」が「今回だけの都合」という言い訳に聞こえた。しかし、うらなりにとっては「いつも不遇にされている」だ。それだけでも、会社には大きな不満を持っている。
納得できずに、うらなりは会社の愚痴を言う。社長はそれを聞き入れ、改善すると約束する。ダイヤモンドも、このまま返却すれば窃盗としては問わず、拾得物を届けたという扱いにする。
飛行機が壊れたのは、業務上の重要な失敗として、いくらかの請求はするが、主に会社と保険で解決すると約束した。
「ありがとうございます」
うらなりは社長の恩赦に涙する。
社長「しかし、君たち三人を完全に信用してはいない。この船は、このまま島に向かうから、島に警察を呼ぶ。君たち三人は飛行機を盗んだから、警察に引き渡すことにする。警察の到着まで、ホテルの一室で静かにしていてもらう」
うらなりは納得したが、タクとメイは納得しない。おそらく、ホテルの部屋ではあるが監禁だろう。
孤島に到着。三人は監禁された。縄は解かれているが、所持品の没収だけでなく、監視されたまま下着の交換もさせられた。それだけ疑われているのか、疑り深いのか。どちらにしても、気持ちを引き締めなければならない。
別室で、社長と側近の会話。
側近「本当に、あの三人を許すのですか?」
社長「まさか。あの三人は、我が社がギャングの会社だと見抜いている。特に、社員ではない二人は、東海林商事の重役と、その婚約者だ。あの会社を敵に回せば、とんでもないことになる」
側近「では、殺しますか?」
社長「無論、殺すことになるが、ここで死んだとばれてはいけない。血が出ないように毒殺だ」
側近は黙って聞いている。社長は続ける。
「そして、別な社員をあの三人に変装させて、あちこちの防犯カメラに映るようにしろ。行方不明になった日付を誤魔化すためだ。そして、いつの間にかいなくなる……いや……」
社長は不敵な笑い。
社長「変装した社員を、防犯カメラに映った状態で殺せ。死んでも変装がばれないように、死体も残らないような事故で殺せ。ウホホホ……」
次回は …… 第7話[わたくし、素敵なワインが飲みたい気分ですの]
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